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40代後半、バツイチ、子持ちの女性に「恋愛結婚」は可能なのか…婚活アプリで「マジメな出会い」を探した結果

プレジデントオンライン / 2023年10月28日 12時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuma seki

■自分自身が商品になった気分がした

バツイチ子持ちで40代後半の筆者は今夏、人生で初めて婚活を始めた。そしてこの4カ月間で約150人の男性と対面した。今もまださまざまな場で異性と会い続けている。

私が最初に婚活アプリでマッチングした人は、「ヤリモク」の男だった。「ヤリモク」とは、婚活アプリ用語でセックスが目的の参加者のことである。

入会した婚活アプリは、40代以上向け、シングルマザーやシングルファザーも多く利用するという触れ込みだった。もっと会員数の多い初心者向けのアプリもあったのだが、私はあえてそれを避けた。40代後半という自分の「年齢」、「バツイチ」で「子持ち」――そのすべてにコンプレックスがあったからだ。

女性は無料で入会できた。プロフィールを記入し、正面から撮影した顔写真をアップロードして、身分証明書をアプリ事務局に送信。事務局の確認がとれると、【本人確認済み】のマークがプロフィールに記載される。私の顔写真近くにNEWのマークが表示され、また男性が「いいね!」を押してくれると、マーク近くのグッドの数字が増えていく。自分自身が商品になった気分だ。

異性が押してくれた「いいね!」に、自分も「いいね!」を押すと、いわゆる“マッチング”となり、アプリ上でメッセージ交換ができる仕組みだ。そのあとは自由恋愛で、LINEのIDやメールアドレスを交換したり、もちろん約束できれば実際に会うこともできる。

■人気の男性から、1日に何回も「あしあと」が

女性側がプロフィールの条件を設定して希望に合う男性会員を探し、自ら「いいね!」を押す(申し込む)こともできるが、私は「いいね!」をくれた人や、自分のプロフィールを見てくれた人をチェックしていた。このアプリには、何日何時何分に誰が自分のプロフィールを見たかがわかる、「あしあと」という機能があったのだ。

20代から50代まで年齢は幅広く職業もいろいろ、多種多様な男性がいる。しばらくして、私のプロフィールを1日に何回ものぞいて「あしあと」をつける、「和馬さん」という男性が目に入るようになった。

彼のプロフィールには「気になる女性に『あしあと』をつけています!」と書かれているので、これが彼なりの脈ありサインらしい。目を引いたのは、和馬さんの顔写真近くに表示されている「いいね!」の数だ。30日以内のいいね! 数が580にものぼっている。通常、男性は女性からいいね! をもらうのが、多くても1カ月に50くらいだ。それが和馬さんの場合、単純計算で毎日20人近くの女性からのアプローチを受けている。

■「キャバクラ、風俗には行きません。真剣に恋人を探している」

年は42歳、年収600万円はアプリ事務局の証明済み(男性のみ収入証明ができる)。以下は自己申告になるが、会社員、タバコは吸わない、お酒も飲まない。身長は175センチ。婚姻歴なしの独身。10枚近く並んだプロフィール写真を見ると、髪は長く、ところどころ金色に染められていて、いかにも遊んでいそうな風貌だった。

だが、仕事のかたわらでバンドをしているらしく、ドラムをたたく写真は確かにかっこよく見える。そして自己紹介文がとても丁寧。「キャバクラ、風俗には行きません。真剣に恋人を探している」というトーンだった。これが女性の胸を打つのかもしれない。

ステージのドラマーの背後から
写真=iStock.com/Mumemories
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Mumemories

そんな和馬さんが私のプロフィールに何度も「あしあと」を残す。同じ日に3度目の「あしあと」を残してくれた時、私は彼に「いいね!」を押してみた。すると即「いいね!」が返ってきて、あっさりマッチング。

その直後、〈いいね! ありがとうございます〉と和馬さんからメッセージがあった。

■〈声が聞きたいです〉〈通話してみますか〉

私が〈初めてマッチングしたので何を書けばいいのかわからない〉と返信すると、

和馬さんから〈俺が初めてってことですか??〉という言葉と驚きの絵文字が送られてきた。続いて時事ネタがテーマの返信。少しそれでやりとりし、〈いえ、カタイ話がしたいわけではなくて……笑〉と私が送ると、

〈男と女の話がしたいですか⁉〉

という一言が返ってきた。“男と女の話”ってなんだろうと戸惑っていると、この後、〈声が聞きたいです〉〈通話してみますか〉など、次々にメッセージが。やっぱりただの遊び人かと思い、〈また明日〉とメッセージを送って切ろうとした。すると意外にも〈また明日(^^)〉と、さわやかな返信。一瞬、かわいいと思ってしまう。けれども次の日、やっぱりこの人とメッセージ交換を続けるのはどうだろうと疑問に感じ、私はこんな試しのメッセージを送った。

〈和馬さんは、遊べる相手を探しているんですよね? 私は真面目に婚活しているので、もし難しかったらブロックしてほしいんです〉

アプリ上でどちらかがブロックすると、相手には「退会マーク」が表示され、もうその人の写真やプロフィールを見ることができない。もちろんメッセージも送れなくなる。

■〈相性悪かったらガッカリしませんか?〉

昨日は1分ごとにメッセージが返ってきたが、少し考えていたのか、5分後に和馬さんから次の返信がきた。

〈遊べる相手探しではないですよ? でも、色んな相性って大事だから気になるところではありますけどね?〉

やっぱり怪しい。しばらく無視していると、1時間後に再び和馬さんから。

〈会って確かめます?〉

あぁやっぱり遊び人だったんだ……と、ため息をつきながら返信した。

〈言っていることがよくわからないです。私はお付き合いする前にそういう関係にはならないです〉

再び和馬さんより、〈相性悪かったらガッカリしませんか?〉

■軽い女に見られていることも悲しかった

幻滅だった。ほかにもこのサイトで、私に「いいね!」を押してくる男性の自己紹介文には「貧乳が好き」などと書かれていたり、やけにアップの顔写真がのっていたりして、薄気味悪さを感じていた。アプリ選びから失敗したのかもしれない……。私はこう返信した。

〈好きだったら、相性が悪いことないですもん。和馬さん、いい人と思ったのに残念。もう私は退会しますね。これまで男の人に体の相性とか言われたことないですよ〉

すると立て続けに2通のメッセージがきた。

〈男はみんな言わないだけで、相性のことは思っていますよ〉
〈会って確かめてみては?〉

私の頭で音をたてて何かが切れた。即座にメッセージを返す。

〈だから、しないってば!〉

数分後、私は和馬さんからブロックされた。会う前に本性を見抜けてよかったとも言えるが、自分の見る目のなさに婚活スタート時から嫌になってしまったのである。それに自分のプロフィール写真から、そんな軽い女に見られていることも悲しかった。このアプリはわずか1週間で退会したのだった。

■女性と男性では婚活する動機が違う

そもそも40代後半にもなって、再び「結婚」を目指すことになるとは思わなかった。

子どもは成人している。仕事は途切れなくある。気のおけない友人もいる。

それならばなぜ婚活を始めたのか。

ひとことで言うなら「人生のやり直し」をしたかったからだ。今までは妻として母として、また社会人として生きてきた。これからは一人の女性として誰かと関わっていきたい。甘ったれたように感じるかもしれないが、たぶんこれは、経済力のある独身女性や、子どもの手が離れた再婚希望の女性たちの共通の願いだと思う。

しかし、男性が婚活する動機は違うようだ。

私の婚活バイブル『57歳で婚活したらすごかった』(新潮新書)の著者・石神賢介さんは、本の冒頭で、〈心のどこかにいつも、もの寂しさを感じていた〉〈誰かと一緒にいたい〉〈愛する女性と手を携えて生きていきたい〉と述べている。

■男性は「一人でいること」に寂しさを感じる

婚活の場で出会う40代、50代の男性たちも、婚姻歴の有無にかかわらず、しばしば「寂しい」と口にする。

「家に帰って、自分で電気をつける時が寂しい」
「一人で晩ごはんを食べると虚しい」

男性は「一人でいること」に寂しさを感じる。言い換えると「結婚すると寂しさを感じにくい」ということだ。私が出会った中には妻と離婚して1週間もたたないうちに、婚活をスタートさせたという男性もいた。

私は成人した娘と同居していることが大きいのかもしれないが、離婚してからあまり寂しいと感じたことはない。周囲にいるいわゆる「おひとりさまの女性たち」も寂しいそぶりは見せない。

もちろん、女性だって寂しさを感じることはある。でもそれは一人でいる時よりも、むしろ相手がいるけれど「相手が自分を理解しようとしてくれなかった時」ではないだろうか。だから女性は、離婚してすぐ婚活、そしてそのまま再婚へ一気に突き進む人は少数派という気がする。

■20歳そこそこでの結婚出産がコンプレックスだった

男性は、誰かと一緒にいたい。女性は、私をわかってくれる人に出会いたい。だから婚活をする。

やや強引に男性と女性で線引きをしてしまったが、婚活の場で多くの男性と会い、そして同じ状況の女性と話してきてそういう傾向があると感じている。

私自身は、婚活を始める前に好きな人がいた。

20代は孤独感にさいなまれながら育児をし、子どもがある程度大きくなった30代からは仕事に没頭した。30代後半で離婚してからは、就寝時間以外はすべて仕事をしているというくらい自分を追い込んだ。そうしないと仕事のブランクを取り返せなかったからだ。そして子どもの手が離れ、仕事である程度の実績を作れた40代、自分が心から望むことをしたいと思うようになった。皆が当たり前のようにやってきたことをしたい。

20歳そこそこで結婚した私は、好きな人とお茶したりデートしたりといった経験が、実はほとんどなかった。子どもを否定するようでこれまで口にできなかったが、周囲より早くに結婚出産をしたことがずっとコンプレックスだったのだ。そんな時、仕事関係で好きな人ができた。

■仕事関係の人との恋愛が難しくなっている

けれどもその恋愛はうまくいかず、家で泣いていることが多くなった私を見て、成人した娘がこう言ったのだ。

「お母さん、もっといろんな人を見たほうがいいよ。婚活してみなよ。お母さんに誰か“いい人”がいたほうが私も安心だから」

離婚してから母一人、子一人で仲良く暮らしてきた。今だって女二人の生活が楽しい。けれども娘なりに「母親を一人にさせられない。だから家を出られない」という思いがあったことにこの時気づいた。そう考えたら申し訳ない気持ちになった。またいい年をして好きな人に一途になり、相手の負担になるのもいやだった。

さらに、現代では何かあればすぐにハラスメントと指摘され、私が20代だった頃より仕事関係の人との恋愛が難しくなっていると思う。最近出版業界でハラスメントの勉強会が開かれ、そこでは「打ち合わせをしながら呑んだり食べたりする慣習は変えていったほうがいい。今はリモートで会議や打ち合わせをすることが普通」「出版界もプライベートと仕事の区別をもう少しつけていくべき」という声があがった。

■自分の幸せのために婚活を頑張る人を応援したい

「仕事と恋愛をわけるべき」という意見は十分理解できる。一方で、これまで仕事関係の人としか恋愛をしたことがない私のような人間は、それならいったいどこで相手を見つければよいのかと思う。

仕事関係は同じ価値観の人が集いやすく、そこで恋愛感情が芽生えるのは自然な流れではないだろうか。年を重ねるほど既婚者でない異性と出会い、恋愛していくことが難しくなる。近年はコロナによっても人と人とがどんどん浅いつながりに、そして関係が断ち切られていく。

そのような状況も後押しして、婚活を始めることにした。

若い時に「育児」だけなく「仕事」や「病気」「介護」など、もしくは別の理由で恋愛ができず、中年以降「やり直したい」「恋愛したい結婚したい」と思う人は少なくないはずだ。本連載は、自分の幸せのために婚活を頑張る人を応援するものである。くじけそうになっても、パートナーが得られるまで諦めないでほしい。

私自身、好きな人への思いを断ち切れないままスタートしたので、時に心の中で葛藤している自分もいた。そのような面も含めて、なるべく率直に記していきたい。

次回以降は、リアルで人と会う婚活パーティを主軸にお伝えする。(続く。第2回は<「かわいいですよね」と言われて…40代後半、バツイチ、子持ちの女性ライターが「婚活パーティ」に潜入した結果>)

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荒川 ひろこ(あらかわ・ひろこ)
フリーライター
雑誌を中心に記事を執筆。40代後半のバツイチで成人した子どもがいる。

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(フリーライター 荒川 ひろこ)

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