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ホメても「全然大したことないです」と返す堅牢な"謙遜の壁"の持ち主をトロけさせる"最高のホメ方"

プレジデントオンライン / 2023年10月27日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/franckreporter

人とのコミュニケーションをよりよくするにはどんな言葉をかけたらいいのか。お笑いコンビ「アンジャッシュ」の渡部建さんは「多くの日本人が作る“謙遜の壁”をぶち破るには、ひるむことなく相手をホメ続けること、相手のいい点を素早く見抜くこと、第三者を経由してホメる“カゲボメ”が効果的だ」という――。

※本稿は、渡部建『世界一わかりやすい コミュニケーションの教科書』(きずな出版)の一部を再編集したものです。

■「謙遜の壁」をぶち破るくらいホメなさい

いざ相手をホメようと思っても、相手を目の前にするとどこをホメるか困る人は少なくありません。ここで覚えておきたいのは、「どこをホメるかより、『まずホメる』ことが100倍大事」ということです。ずれたポイントをホメたとしても、まったくなんの問題もありません。

気づいたことを手当たり次第にホメる。まちがったホメ方なんて存在しない、くらいの認識でOKです。

とくに、日本人の場合は「褒められると謙遜(けんそん)して、それを否定する」という反応をされることが多いでしょう。しかし日本人の場合、ホメ言葉に相手から否定的な言葉が返ってきたら、「ちゃんとホメることができた」という証拠であると考えてもいいくらいです。

私はこれを「謙遜の壁」とよんでいますが、謙遜の壁にぶち当たっても、ひるむことなく、相手を褒めつづけてください。ホメるポイントが的確かどうかとか、ホメ方がうまいかどうかは、まったく重要ではありません。

会話のなかで相手を「ホメる」のか「ホメない」のか、それが大事なのです。遠慮せずに、謙遜の壁をぶち破るくらいホメているのか、それがポイントです。

■謙遜の壁をぶち破る効果抜群の合わせ技

謙遜の壁をぶち破る方法として、ひとつ覚えておくと便利なのが「ホメ+質問」という合わせ技です。

この技を使うと、いとも簡単に謙遜の壁をぶち破ることができます。

たとえば、「すごくスタイルがいいですね」とホメだけ伝えると「いえいえ、そんなことないですよ」と謙遜されるだけですが、

「すごくスタイルがいいなとおもったんですけど、なにかトレーニングとかされているんですか?」

と、ホメに質問を組み合わせると、

「いえいえ、そんな大したことはしてないんですけど、最近ジムに通い始めて……」

といった具合に、謙遜の壁を打破して、そこからさらに相手の話したいことベースで会話を進めることができるようになります。

■秋元康から学んだ「ホメどころ」の見つけ方

「相手のことをホメようと思っても、ホメるところが見つかりません」というお悩みをいただくことがあります。

でも、ホメるところがひとつもない人間なんてこの世には存在しません。私たちは一人ひとり違う人間だからです。だからその「違い」をホメればいいのです。ホメるところが見つからないと悩む人は、「相手のいいところをホメないといけない」という固定観念にとらわれています。

これが間違いで、別に相手のいいところを見つける必要はありません。

その人の

①ほかの人と違うところ
②これまでのその人とは違うところ

をホメればいいのです。

たとえば、メガネをかけている人だったら「そのメガネ、ステキですね」でいいのです。自分で選んだメガネをホメられれば、うれしいと感じるものでしょう。

あるいは、ふだんはメガネの人がメガネをかけていなかったら、「あ、今日はメガネをかけてないんですね。爽やかな印象でいいですね」などとホメます。

ちょっとした変化にも気づいてくれて、しかもホメてくれれば、誰だってうれしいはずです。このときに大切なのが「観察力」です。相手のちょっとした持ち物に気づく、ちょっとした変化に気づく。これができると、ホメることが見つからない、なんてことはなくなります。私がこれがすごいと感じたのが、秋元康(あきもとやすし)さんのエピソードでした。

■結婚式のスピーチを頼まれていると考えてみよう

僕が作詞家、放送作家の秋元康さんとラジオで対談させていただいたときのことです。番組の途中で、交通情報を伝える女性アナウンサーの方が入ってきました。

そこで秋元さんは、急に私にこうたずねました。

「渡部、あのアナウンサーにプレゼントを送るとしたら、なにを選ぶ?」
「いや……、なにを渡せばいいか、ぜんぜんわからないですね。だって、いまさっき会ったばかりの人ですよ」
「よく見るんだ。彼女は限られた時間のなかで交通情報を伝えないといけないから、ストップウォッチを持っているだろ。でもあのストップウォッチ、ちょっと端が欠けているじゃないか。塗装が剥(は)げてて、色がなくなってるだろ。だから、俺だったら海外製のストップウォッチを取り寄せて、それをあげるかな」

ストップウォッチ
写真=iStock.com/amriphoto
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/amriphoto

秋元さんは瞬時に相手の持ち物にも目を配らせ、ものすごく観察しています。これこそ、秋元さんがヒット曲を生み出し続けられる理由なのだと感じました。

秋元さんレベルの観察力を身につけるのは並大抵のことではありませんが、こうした観察力を鍛える方法はあります。誰かまわりでひとり選んで、「半年後、この人の結婚式のスピーチをしないといけない」と考えて接してみる、観察してみるのです。

結婚式のスピーチなので、相手のいいところを参加者の人たちに紹介しなければいけませんよね。だから、相手のことをしっかり観察して、いいところを見つけようとする意識が働くはずです。

■ふつうにホメるより破壊力抜群な「カゲボメ」の威力

ホメは、目の前の相手にサラッと伝えるのが基本です。一つの事柄について熱心にホメつづけるのではなく、会話のなかでこまかくホメを織り交ぜていくのが効果的と言えるでしょう。

ただ、じつはどんな人でも実践しやすい、破壊力抜群のホメのテクニックがあります。

それが「カゲボメ」です。これはどういうことかというと、ホメたい相手に直接ホメるのではなく、相手がいないとき、共通の知り合いに「○○さんってすごいよね」などと話す……というものです。

たとえば、僕が後輩の芸人に、

「(アンジャッシュの相方の)児嶋ってさ、やっぱすごいいいヤツなんだよね。いまでもあいつとコンビ組んで良かったって、事あるごとに思うんだよ」

と伝えたとしましょう。

その後、後輩が児嶋と会ったときに、

「そういえば、渡部さんが『児嶋さんとコンビ組めて良かった』って、いまでもちょいちょい思うらしいですよ。このあいだ会ったとき、そんなふうに話してました」

と児嶋に伝えたとしたら、児嶋はすごくうれしく感じますよね。これが「カゲボメ」です。

カゲボメは本人に直接伝えるわけではありませんから、面と向かってだと小っ恥ずかしいと感じてしまうことも言いやすいですよね。また、面と向かって言われるよりも、第三者から間接的にホメられたほうが「本音」っぽく聞こえます。

■カゲボメはみんなを幸せにするすごい方法

カゲボメがちゃんと本人に届くのか心配かもしれませんが、大丈夫です。私の経験上、こうしたカゲボメはかなりの高確率でちゃんと本人に届きます。

なぜかというと、カゲボメを本人に伝える第三者(例の場合は後輩芸人)は、絶対にそのホメを児嶋に伝えたいと考えるはずだからです。というのも、ほかの人がホメていたことを伝えれば、児嶋がうれしいと感じるはずですよね。

渡部建『世界一わかりやすい コミュニケーションの教科書』(きずな出版)
渡部建『世界一わかりやすい コミュニケーションの教科書』(きずな出版)

自分の発言によって喜んでいる姿を見るのは、その人にとっても気持ちのいいことです。したがって、後輩芸人は児嶋に、自分がホメていたことを伝えてくれるのです。

つまりこの「カゲボメ」は「ホメた人」「ホメられた人」「伝えた人」の三人みんながいい気持ちになれるわけです。

たとえば会社でも、上司が部下をホメるとき、同じ部署にいる別の人に

「Aくん、最近がんばってるよな」

などとカゲボメすることで、本人に直接伝えるよりも効果的になります。難易度が低い割には非常に効果的な方法なので、ぜひ活用してみてください。

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渡部 建(わたべ・けん)
お笑い芸人
1972年、東京・八王子生まれ。1993年、神奈川大学在学中に高校の同級生であった児嶋一哉に誘われ、お笑いコンビ「アンジャッシュ」を結成。2003年、NHK「爆笑オンエアバトル」5代目チャンピオンに輝き、日本テレビ「エンタの神様」などのネタ番組では“コント仕掛け”のスペシャリストと呼ばれる。その後は数々の人気番組の司会を務め、現在はコミュニケーションをテーマにした企業向けの講演などを積極的に行っている。著書に『ホメ渡部!「ほめる奥義」「聞く技術」』(小学館)、『大人のための「いい店」選び方の極意』(SB新書)などがある。

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(お笑い芸人 渡部 建)

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