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「回転ずし」のネタになって男性10人から値踏みされる…40代後半ライターが「個室パーティ」で婚活した結果

プレジデントオンライン / 2023年10月30日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/xxwp

■全員と話し終わったら「いいねタイム」

婚活パーティの中には、第2回で紹介したような流しそうめんやバーベキューなどのイベント系、ものづくりやクッキングなどの体験系、また飲み会(合コン)があるが、王道は個別の「お見合いタイプ(個室パーティ)」だ。

大抵は年代によって募集が分かれ、男女5対5から15対15くらいまで集める。会場には参加人数に応じた個別ブースが用意され、各ブースで男女1対1が約4~8分間のトークタイム。だいたいどこでも男性だけがブースを移動していく。次々に目の前の異性と話すことから、別名“回転ずし”ともいわれるが、イベント系と比べればカップル成立しやすい。

最近は各自のスマホを使用するパーティも増えてきた。会場に行き、開始時間になってスマホからパーティ用のURLにアクセスすると、参加した異性の写真付きプロフィールや自己紹介が見られる。プロフィールを見ながら異性とトークし、全員と話し終わったら「いいねタイム」。いいなと思った人に“脈ありサイン”として「いいねボタン」を押す。

■参加者の人数が多ければいいというものでもない

そのあとは「マッチングタイム」。相手からの「いいね」を踏まえて、第1~第3までのマッチング希望をスマホから送信する。相手も同様に希望してくれればカップル成立、マッチングというわけだ。もちろん、スマホを使わず手書きのプロフィール用紙やマッチング用の投票用紙を用いるパーティもあるし、「いいねタイム」がない場合もあるが、どこも流れは似たようなものだ。

独身の人がこのような婚活パーティに参加したいと思ったら、ネットで「婚活パーティ」と検索すれば、企業が主催するものが数多くヒットする。毎週、しかも同日に複数のパーティを開催する企業は、集客力がある。一方で、開催頻度が少ない企業は、参加者も少ない。

しかし参加者の人数が多ければいいというものでもない。多いと誰が誰だかわからなくなる。どの人もプロフィール項目を全て記入しているとは限らず、会話したことを覚えている必要があるのだ。

■自分が45歳なら「40~49歳のパーティ」がいい

私はこれまで20近くの個室パーティに参加してきたが、異性が5~6人くらいのほうがゆっくり話せるし、それぞれの人となりが頭に入ると思った。しかしその場合、参加した異性全員がイマイチと感じると、無駄な時間になってしまう。

安心感があるのは、結婚相談所を営む企業が開催する個室パーティだろう。身分証の提出が義務づけられ、「本人確認」を行っているので年齢などの詐称が起きにくい。ほかにも帰宅時に連絡先をしつこく聞かれたなど、あとから何かトラブルが起きた時に、主催者に通報すれば対処してもらえる。

参加するパーティは、開催日時と場所、そして募集年代で決める(ほか婚姻歴の有無や年収、ノンスモーカーなどもある)。年齢は、募集対象の中で自分の年齢が真ん中くらいだとちょうどいいといわれる。たとえば自分が45歳なら、35~45歳もしくは45~55歳を対象にしたパーティよりも、40~49歳のパーティがいい。

私は自分が募集の最低年齢(つまり一番若い)のパーティにも、自分が最高年齢のパーティにも参加したことがあるが、最低年齢の場合は年が離れすぎている人とマッチングし、最高年齢の場合はいいなと思う男性は多いものの、他の女性よりなにかが秀でていないと難しくなる。男性はより若い女性を選ぶからだ。

■さびれたビルの中に「おしゃれなカフェ」があった

私が初めて参加した個室パーティの参加要件は「男性が42~54歳で年収800万円以上、もしくは大卒&年収600万円以上」「女性は38~49歳で笑顔を心がけ周囲にも優しい」だった。

ここに限らず、女性の参加要件はいつもあってないようなもの。これだけ男女平等といわれる現代で、男性の参加要件に合わせて女性も年収や学歴要件を設定するべきだと思うのは私だけだろうか。ちなみに参加費用は男性が4900円、女性が2700円。個室パーティとして平均的な価格ではあるものの、やはり男性のほうがぐっと高い。

開催場所は新宿にあるビルの一角。さびれたビルの外観を見て少し不安な気持ちになる。しかしエレベーターで上にあがって該当の階に降りると、入り口は華やかなレンガ壁に彩られていた。女性が2人、にこやかに立っている。

新宿駅南口から西に向かう
写真=iStock.com/krblokhin
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/krblokhin

「こんにちは。17時からのパーティにご参加ですか」

首をかしげてこちらの顔をのぞきこむ。私がうなずくと身分証の掲示を求められた。本人確認が済むと中へ。ビル外観とは見違えるような室内で、まるでおしゃれなカフェだ。

■今日は「5番」が名前の代わりになる

室内には二人がけのソファが10近く並べられている。私は窓に面した「5番」と掲げられたソファに案内された。隣との間にはついたてがあり、周囲は気にならない。

「女性は左側にお座りください」

受付の女性が言い、私は赤色のソファに腰かける。お尻が沈み込むほどふかふかだ。

真っ赤なソファが置かれた部屋
写真=iStock.com/piovesempre
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/piovesempre

「こんにちは、お隣失礼します」

赤色ソファに座ってすぐ、グレーのスーツ姿に身を包んだ男性が声をかけてきた。濃紺のネクタイがよく似合い、シルバーの細フレームのメガネをかけている。第一印象で、素敵な人だなと感じた。

男性はおじぎをして私の右隣に座ろうとする。

「よろしくお願いします」

ソファのやや左に自分の身を動かしながら私も頭を下げる。この男性も私も、今日は「5番」という番号が名前の代わりになる。自分のスマホでパーティのサイトにアクセスし、5番の男性をチェックする。名は田中さん、年は50歳。地方公務員で年収800万。婚姻歴は「あり」。私と同じ再婚希望者ということだ。確かに今も、結婚していそうな雰囲気が漂う。

■「結婚したい」というアピールが恥ずかしかった

しかしそれよりも、この時自分が大失敗をしたことに気づいた。田中さんを含めて本日参加している男性10人はどの人も丁寧に自己紹介文を書いている。婚活をしている理由や、結婚したら行ってみたい場所、休日の過ごし方、仕事内容など――。一方、私は年齢や婚姻歴などのプロフィール項目は埋めているものの、自己紹介文は一文字も書いていない。「結婚したい」というアピールをしているようで恥ずかしかったのだ(今振り返ると、なんてつまらない見栄だと思う)。

同性である女性のプロフィールを見ることはできないが、男性がこれくらい丁寧なのだから、きっと皆しっかり書いているのだろう。けれどもこれらは事前に登録するものなので、いま自己紹介文を書くことはできない。

「トークタイム」が始まった。

今日は一人あたり8分。一番初めの田中さんとのトークはとても楽しく、仕事の話を中心に盛り上がった。そのほか9人の男性、誰と話しても「つまらない」ということはなかった。私も「自己紹介文なし」を挽回するべく、懸命に話した。

男性だけが移動する形で全員の異性と話して、また元の席に戻って投票タイム。一周して戻ってきた田中さんが「いやはや誰が誰だか……」とつぶやく。そして「疲れましたね」と私に笑いかけてくる。やっぱり素敵な人だなと思う。

■「許せるレベルなら自分からいかないと」

次は「いいねタイム」。受付の女性がアナウンスする。

「人数制限はありません。いいなと思った方にその気持ちを伝えるつもりで、いいねボタンを押しましょう」

しかし私は、自分の気持ちを知られたくない、下に見られたくないという変なプライドが邪魔して、どの男性にも「いいね」を押すことができなかった。

そして私自身にいいねボタンを押してくれたのは10人中1人だけ。どの人とも楽しく話したつもりだったが、やはり自己紹介文が書かれていないことが男性陣から不評だったのだと直感した。「許せるレベルなら自分からいかないと」と、婚活アドバイザーである成人した娘の顔が頭をよぎる。

最後は「マッチングタイム」。

私は5番の田中さんを第1希望に、もう一人、同い年の営業職の男性を第2希望にして送信した。選り好みしている場合ではないのに、いいねボタンを押してくれた男性にはマッチング希望を出せなかった。

「それではマッチングタイムの結果を発表します。結果発表の画面を開いてください」

■帰り道は、誰もが疲れていて、空気が重い

再び女性スタッフの案内が流れる。そう、いいねやマッチング希望の送信だけでなく、「結果発表」も、すべて自分の手元のスマホから行える。しかし隣にはマッチング第一希望の田中さんが座っている。同じ番号の男性に意思表示するのは何とも気まずい……これは後々も悩むところだった。

結果発表の画面を開くと、〈残念ながらマッチングはありませんでした〉と表示された。

隣の田中さんもため息をついているから、私ではない別の女性に希望を出し、かなわなかったのだろう。

「それでは男性の皆様は全員ご退室ください。そしてマッチングされた方は入り口付近でお相手の女性をお待ちください。男性の退室、続いてマッチングされた女性の方の退室、そのあと残りの女性の方に退室いただきます」

マッチングした女性は4人。私は“残りの女性”グループで最後に退室した。残った女性が同じエレベーターに乗る。誰もが疲れていて空気が重い。開始から帰りのエレベーターに乗るまで1時間半弱。短くて長い、そして大失敗の初個室パーティであった。

■参加費は男性が5500円、女性が3200円

2回目の個室パーティは、合コン(第2回参照)で良い思い出のある銀座へ。募集年齢は男性が46~60歳。女性は44~54歳と私は参加者で若いほう。参加費は男性が5500円、女性が3200円。初回の反省を踏まえ、きちんと自己紹介文を記入してから臨んだ。仕事の説明、成人した子どもがいること、最近まで仕事ばかりしていたこと、最後は「今になってみんながやってきたような当たり前のこと、誰かと映画を見たり、どこかに出かけたりということをしたいなあと思っています」と結んだ。

男性は9人の参加。しかしその大半が私とひとまわり以上離れている57、58、59歳。もちろん一人一人と真面目に丁寧に話したつもりだが、どうしても恋愛につながるとは思えない。この日、いいねタイムに私は5人の男性からボタンを押してもらったが、自分からいいねもマッチング希望も出すことはできなかった。だから当然、この日も誰ともマッチングしなかった。

「おぉ、素敵な人じゃない!」

家に帰って今日の報告をすると、娘が騒ぐ。私が参加した個室パーティではパーティ中、マッチング希望と同時に、自分の連絡先を教えたい相手に申請できる。申請された方はパーティ終了後に事務局から「お客様より連絡先が届いております」というメールがきて、その人の連絡先とプロフィールが一週間は見られる仕組みなのだ。

■「この人がダメなら、じゃあ誰ならいいって言うのよ」

銀座パーティの後、私は眞一郎さんという58歳の男性から連絡先をもらった。眞一郎さんの写真付きのプロフィールを見て、娘は「絶対に連絡したほうがいいって!」と大はしゃぎする。

彼はIT企業の役員をしていて、年収は850万。趣味はゴルフなどアウトドアのスポーツと海外旅行。婚姻歴あり、子どもはいるが別居(元妻が引き取っている)。ただ正直あまり話が弾まなかったのだ。

ゴルフのスイングを女性に教えている男性
写真=iStock.com/Marcus Chung
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Marcus Chung

「この人がダメなら、じゃあ誰ならいいって言うのよ」

娘がぶつくさと言う。確かに年齢よりは随分若く見える。それにもう少しちゃんと話してみないと、どういう人かはわからないだろう。

「わかりました。連絡して会ってみます」

そうして私はパーティ後に眞一郎さんにメールをし、この2週間後、カフェでお茶をすることになったのだった。(続く。第4回は<58歳IT企業役員と32歳大学職員…40代バツイチ女性ライターがそれぞれと「婚活デート」をして悟ったこと>)

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荒川 ひろこ(あらかわ・ひろこ)
フリーライター
雑誌を中心に記事を執筆。40代後半のバツイチで成人した子どもがいる。

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(フリーライター 荒川 ひろこ)

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