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「ChatGPTをはじめとする生成AI」について紙1枚で説明せよ…だれでも一発で解説できる「4×4思考法」

プレジデントオンライン / 2023年11月3日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/recep-bg

相手に「わかりやすい」と納得してもらえるような説明をするにはどうすればいいか。ビジネス書作家の浅田すぐるさんは「人は自分が知っていることをイメージしながら話を聞くと、理解が進みやすい。優れた説明をするには引き出し力、把握力、言い換え力の3つが必要だ」という――。

※本稿は、浅田すぐる『「伝える前」が9割 言いたいことが最短で伝わる!「紙1枚」下書き術』(KADOKAWA)を再編集したものです。

■新しいことをわかりやすく人に説明できますか?

人は、「既知との照合」ができると「わかった」という感覚が得られる。

これは、いったいどういう意味なのか。

たとえば、第1回記事で思考整理の2つのプロセスについて解説した際、「カレーライス」のたとえ話をしました。確認すると、「①情報を整理する」が「カレー作りにおける材料集め」であり、「②考えをまとめる」は「カレーの調理」に該当するプロセスになります。

私が提唱している「1枚」フレームワークはそのための「レシピ」であり、この調理法=思考整理法に沿って実践すれば、「できるだけ話さないですませたい」本音を尊重しつつも、最小限の言葉で相手に伝わるコミュニケーションを量産できるようになる。

この解説の中で今回フォーカスをあてたいのは、「カレー」の部分です。

「1枚」フレームワークという新たなスキルについて初めて触れる人に、どうやって親近感を抱いてもらうか。あるいは、思考整理という抽象的な概念について、どう伝えれば「わかった」という感覚を見出してもらえるのか。

こうした課題をクリアするカギが、相手がすでに知っていること=既知の概念と接続しながら、未知の新たなメッセージを伝えていくことなのです。

■「生成AI」を知らない人に説明してみる

これを私は、『未知との遭遇』という有名な映画になぞらえて、「未知との遭遇は、既知との照合で理解してもらう」とまとめて、自社で開講している社会人向けのスクールで受講者さんに学んでもらっています。

何より、このまとめ方自体が「既知との照合」の活用例です。

たとえ映画を観たことがなかったとしても、「未知との遭遇」という言葉に何となく聞き馴染みがある人は多いので、こうしたフレーズでまとめておいたほうが今回の話を覚えやすくなるのではないでしょうか。「覚えやすい」ということもまた、「わかりやすさ」の源泉の1つです。

相手の「既知」にアクセスしながら、伝えたいメッセージを伝える。

ぜひこれから使いこなしていってほしいのですが、具体的にどうすれば良いのか。

答えは、引き続き「紙1枚」書くだけでOKです。

たとえば以前、主宰する学習コミュニティの受講者さん向けに、「ChatGPTをはじめとする生成AI」について解説する機会がありました。

前提として、これは2023年4月当時の話です。当時はまだ、こうした概念について何も知らない人のほうが大半という状況でした。そこで私は、図表1のような「紙1枚」を、伝える前に作成してみたのです。

「生成AI」を知らない人に説明してみる
出典=『「伝える前」が9割 言いたいことが最短で伝わる!「紙1枚」下書き術』

■4×4のマスの中に思いつく言葉を入れてみると…

第1回で学んだ「4×4」の枠組みを緑ペンで作成し、左上の第1フレームには「生成AIとは?」と書きました。その後、青ペンでキーワードを書き出し、相手の「既知」とつなげられそうな言葉を、赤ペンでピックアップしてまとめていったわけです。

伝える前にこうした「紙1枚」で思考整理を行った結果、私は受講者さんにどんな解説をしたのか。相手が既に知っていることに思いを巡らせた結果、私なりに見出した最大のキーワードは「連想ゲーム」でした。

参考までに、当時の説明を文字起こししておきます。

「生成AI」とは、とりあえず「連想ゲーム」なんだと捉えてみてください。

要するに、「風が吹けば」とくれば「桶屋が儲かる」となるし、「本日はお忙しい中」とくれば、大半の人は「お集まりいただき誠にありがとうございます」とつなげていくわけです。

こんな感じで、「こうくればこうなるだろう」という「連想ゲーム」を物凄い膨大な量と超スピードでやって、それっぽい答えを「生成」してしまう。

そういう「AI」なんだという理解で、入り口としては十分だと思います。

■相手に「わかった」という感覚を抱いてもらう

あるいはその後、生成AIの「精度」に関して、「去年までは小学生レベルでした」「今は高校生くらいです」「年内には大学生レベルも超えてしまうかもしれません」といった説明を加えていきました。

これも、「学生」という既知の概念と照合してもらうことで、専門的な話には一切立ち入ることなく、異なる観点から「わかった」という感覚を得てもらっているわけです。

加えて、「では、どう付き合っていけば良いのか」について.も、「まったくのデタラメをさも本当のことのように語ってくるので、とりあえず何を投げかけても、返ってきた応答に対して、語尾に“知らんけど”と自分で付け加える習慣をつけていきましょう」と解説しました。

これは、ここ数年「知らんけど」と最後につける仕草がSNSを中心に流行っていたので、そうした既知と接続してもらうことで、少しでも生成AIへの親近感を高めてもらおう。「わかった」という感覚を抱いてもらおう。そうした意図や配慮から、思いついたアイデアでした。

以上、ここまでの説明を通して、「既知との照合」というアプローチについて、無事に「わかった」となってくれたでしょうか。

■もし、子どもに業務を説明するとしたら

最後に1つ、ぜひやってもらいたいワークがあります。「業務説明」というテーマで「紙1枚」を書いてみてほしいのです。

ただし条件があって、その「紙1枚」を、「家族に説明するつもり」でまとめてみてほしいのです。両親でも良いですし、もし小学生くらいのお子さんがいらっしゃる場合は、「その子に伝えるとしたら?」という前提でキーワード出しをやってみてください。

青ペンで書く言葉が、きっと変わってくるはずです。赤ペンでピックアップする時も、より相手目線で考えられるようになってくると思います。良い体感機会になりますので、さっそくやってみてください。

スマートフォンを手に考える親子
写真=iStock.com/miya227
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/miya227

先ほど、『未知との遭遇』という映画について書きました。スティーブン・スピルバーグ監督による世界的ヒットとなったSF作品なのですが……何せ1977年の作品です。私自身にとっても生まれる前の映画ですし、令和の今となっては「そんな映画知りません!」という読者さんも、きっとたくさんいると思います。

そういった人にとっては、「未知との遭遇は既知との照合で」と言われても、「変わった言い回しだな」くらいには思ってもらえるかもしれませんが、私がこめた意図の通りには受け取ってもらえない可能性も高くなるわけです。

■説明上手な人は「引き出し力」と「把握力」を活かす

何が言いたいのかというと、「既知との照合」をうまく使いこなすためには、次の力が必要になってきます。

自分の「引き出し力」と、相手の「把握力」。

「引き出し力」とは、様々な相手の既知にアクセスできるよう、自分自身の興味関心の幅を可能な限り拡げ、具体例やたとえ話の引き出しを生涯かけて増やし続けていこうという意味です。

とはいえ、これは生真面目にやるようなことではありません。好奇心の赴くままに、その都度楽しんでハマっていけばOKです。強いて言うなら、そうしたものに触れる際、「必要に応じて、伝える前の思考整理の際に活用しよう」というつもりで楽しんでください。

あるいは、「NOT自己完結」を標語に考える。すなわち、いついかなる時も、「後で人に聞かれたら伝えられる前提で」という話です。もし可能であればで構いませんので、これから引き出しを増やしていく際、このことも併せて楽しんでいってください。

一方、相手の「把握力」については、また「紙1枚」書いてみましょう。図表2のようなイメージです。

相手の「把握力」について
出典=『「伝える前」が9割 言いたいことが最短で伝わる!「紙1枚」下書き術』

■相手のことをどれだけ知っているかも重要

左上の「第1フレーム」には「○○さんとは?」と書かれています。ここには、あなたがよく伝える機会がある相手の名前を書いてください。上司や部下・後輩、あるいはパートナーやお子さんでも構いません。その後、青ペンでその人の趣味や興味関心、好きなことやハマっている題材について書き出してみてほしいのです。

この「紙1枚」に関しては赤ペンプロセスはなしでも構わないのですが、最大のポイントは「そもそもどれくらい書けるか?」という点になります。たくさん埋められるのであれば、それだけ相手の「既知」を把握できていることになるので、「既知との照合」につながる伝え方もやりやすくなるはずです。

一方、もし青ペンプロセスでほとんど書き出せなかった場合は……。

今後の取り組みとして、まずは、この「紙1枚」に書けることを増やしていきましょう。

相手の言動を日々観察し、相手の話の内容にも興味関心をもつことで、何か発見があるたびに追加で埋めていってほしいのです。

そういう意味では、これは数分間で1回書いておしまいにするのではなく、何日も、何カ月もかけて少しずつ埋めていってもらうタイプの「紙1枚」になります。

■子供のことは何でもわかっているつもりだったが…

実際、お子さんの名前を書いてこの「紙1枚」をやってくれた人が以前いたのですが、半分くらいのフレームしか記入できず愕然としていました。

聞けばここ数年はめっきりキャリア優先で、学童・習い事・塾・シッター等を駆使して子育ての多くをアウトソーシングしていたそうです。本人はそのことを「時代に合わせてうまいことやれている」と思っていたそうですが、この「紙1枚」を通じて「目が醒めました、子供との関わりを見直します」とおっしゃっていました。

このように、人によっては人生レベルのインパクトになり得る思考整理の機会です。カンタンだからといって雑に扱わず、丁寧にやってほしいと思います。

加えてもう1つ、「1枚」フレームワークは「他者にもっと関心をもちましょう」といった、ともすると精神論レベルのアドバイスについても、手を動かして行動に移せるレベルで活用できる。そんな手法だということも、改めて感じ取ってもらえたら嬉しいです。

伝える前に、どれだけ「相手の既知」を把握できるか。「既知との照合」の成否は、ここでほぼ決まってしまいます。

なので、まずは「この人とのコミュニケーションだけは何とかしたい」という人を一人選んで、実際にこの「紙1枚」を書いてみてください。そして、少しずつ青ペンで書けることを充実させていってください。良い転機となれば幸いです。

■頭のいい人は「言い換え力」が優れている

浅田すぐる『「伝える前」が9割 言いたいことが最短で伝わる!「紙1枚」下書き術』(KADOKAWA)
浅田すぐる『「伝える前」が9割 言いたいことが最短で伝わる!「紙1枚」下書き術』(KADOKAWA)

さて、あと1つだけ「既知との照合」に関する大切な話にお付き合いください。

3つ目のキーワードは、「和・漢・洋を自由自在に行き来する」です。

相手に「わかった」となってもらうためには、相手が「すでに知っていること」に絡めて伝えていけば良い。そのために必要な「言い換え力」や「引き出し力」「把握力」について、ここまで学んできました。

このうち、「言い換え力」について、私が昔からやっているトレーニングをこの項目でシェアしたいと思います。なお、この方法は『語彙力を鍛える』(石黒圭著、光文社)等を参考文献にしつつ、自分なりに構築したトレーニングです。図表3を見てください。

「言い換え力」を鍛えるトレーニング
出典=『「伝える前」が9割 言いたいことが最短で伝わる!「紙1枚」下書き術』

まず、この「紙1枚」は今までと見た目が少し変わっています。

これまでの「1枚」フレームワークは、すべて「4×4」で作成してきました。

一方、この「紙1枚」の場合は、さらに4本ヨコ線を引くことで「フレーム数32」のバージョンになっています。書き方の違いは、それだけです。引き続きシンプルな手法として、今後はこのタイプの「紙1枚」も使って思考整理していきます。

それと、先に明記した通り、この「紙1枚」はトレーニング要素が強いです。即効性のある話ではありませんので、余力のある人はやってみてくださいという位置づけで紹介していきます。

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浅田 すぐる(あさだ・すぐる)
「1枚」ワークス株式会社代表取締役、作家・社会人教育のプロフェッショナル
「1枚」アカデミアプリンシパル。動画学習コミュニティ「イチラボ」主宰。名古屋市出身。旭丘高校、立命館大学卒。在学時はカナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学留学。トヨタ自動車入社後、海外営業部門に従事。同社の「紙1枚」仕事術を修得・実践。米国勤務などを経験したのち、グロービスへの転職を経て、独立。現在は社会人教育のフィールドで、ビジネスパーソンの学習を支援。研修・講演・独自開講のスクール等、累計受講者数は10000名以上。独立当初から配信し続けているメールマガジンは通算1000号以上。読者数18000人超。

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(「1枚」ワークス株式会社代表取締役、作家・社会人教育のプロフェッショナル 浅田 すぐる)

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