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一般人は8人に1人しか利用していない…「ふるさと納税」でわかる金持ちになれる人、なれない人の分岐点【2023編集部セレクション】

プレジデントオンライン / 2023年11月1日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/fcafotodigital

2023年上半期(1月~6月)にプレジデントオンラインで配信した人気記事から、いま読み直したい「編集部セレクション」をお届けします――。(初公開日:2023年1月30日)
ふるさと納税利用率は意外に低い。ファイナンシャルプランナーの藤川太さんは「一般の人は8人に1人ほどしか利用していませんが、私が出会う高所得者の多くが利用しています。この差の中にお金持ちになれるかどうかの分かれ目があるのかもしれません」という――。

■ふるさと納税は8人に1人しか利用していない

ふるさと納税は、本来は生まれ育った故郷や応援したい自治体に寄付をする制度です。実際にはまったく縁のない自治体でも寄付できますし、自治体からは寄付に対する返礼品が受け取れることもあり人気の制度となりました。ただ、お金持ちと一般の人では利用の仕方に明確な違いがあります。

まず、一般の人には利用していない人のほうが圧倒的に多いことです。『ふるさと納税ガイド』などを運営するカリーグズのデータ(2022年8月10日)によると、「利用者数÷利用可能者数」で計算したふるさと納税の利用率は平均で12.45%でした。寄付をすれば得することが期待できるにもかかわらず、8人に1人しか利用していないことになります。

都道府県別に見ると、大都市ほど利用率が高く、東京都がトップですが、それでも5人に1人程度が利用しているにすぎません。

【図表】ふるさと納税「都道府県別の利用率」トップ10

なぜでしょうか。「仕組みがよくわからない」「面倒だ」と考えて利用していない人も多くいます。ふるさと納税の仕組みは寄付金控除の仕組みを利用しているので、所得が高い人ほどメリットが大きくなります。そのため、利用できる金額が小さいと、かかる手間に比べてメリットが少ないと考える人も多いでしょう。また、中には「居住地の自治体の税収が減るからよくない制度だ」と考えて、利用しない人もいます。こうした理由によって利用率が低いままなのでしょう。

■お金持ちはほとんどが利用している

お金持ちはどうでしょうか。統計をとったわけではありませんが、私が出会う高所得者の中で、ふるさと納税を利用していない人は少なくなりました。高所得者であればかかる手間をはるかに上回るメリットが期待できますし、ルール違反ではないなら最大限活用しようと考えるのがお金持ちの発想です。

得するものを見つけたら徹底的に調べて、メリットを最大化することに余念がありません。そのため、ポイント好きな人も少なくありません。

ふるさと納税にしても、寄付の限度額を厳密に計算して、枠の上限まで計画的に利用しています。お金持ちの場合は、顧問税理士がついていることが多いので、プロに計算してもらって、「いくらまで寄付できるか」を判断する人も少なくありません。

■ふるさと納税サイトで限度額を計算しよう

一般的には顧問税理士はついていませんから、ふるさと納税の限度額も自分で計算しなければなりません。この限度額はふるさと納税のポータルサイトにあるシミュレーションなどを利用すれば簡単に知ることができます。

前述したように寄付の上限額は所得によって異なります。所得が高いほど、寄付できる金額が増えるので有利になります。ふるさと納税を利用したことがない人は、一度、ご自身の寄付可能額をシミュレーションしてみることをお勧めします。

不動産の購入を考えているカップル
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuma seki

たとえば、ふるさとチョイスのサイトでは、年収と家族構成から限度額の目安を計算できます。年収300万円の人(配偶者あり・共働き)の場合、2万8200円の寄付が可能です。年収500万円なら寄付額の上限は約6万1000円(同)、年収700万円なら約10万8200円(同)という具合です。

会社員であれば年末に会社から受け取った源泉徴収の数字を使って、さらに詳細なシミュレーションをすることも可能です。

■お金に対してマメでなければお金持ちになれない

ふるさと納税を活用し自治体に寄付すると、寄付金額のうち2000円を超える分はその年の所得税と翌年の住民税から控除されます。自治体によっては寄付に対する返礼品が届きます。食品や日用品も数多くありますから、日常的に購入するものを受け取れる自治体に寄付をすれば、その分、家計費を節約することができます。

買い物の手間が省けるので時間を節約できるのもメリットです。とくにミネラルウォーターや米など重いものを家まで届けてもらえるのは助かります。

仮に共働き世帯で夫婦ともに年収500万円だった場合、2人でふるさと納税を利用するならば合計で年間約12万2000円までの枠があります。

お金持ちは、お金に対してマメで、現実主義だからこそ、お金持ちになったともいえますが、利用したほうが得だと思えば、積極的に利用します。ふるさと納税に関しても同じです。

■お金持ちには旅行券や金券が人気

もう一つ、お金持ちと一般の人で大きく違うのは、返礼品の選び方です。一般的には肉や魚介類が好まれていますし、子育て世帯には米や果物も人気です。一方でお金持ちは金券やポイントなどを選択する人も目立ちます。

お金持ちは納税額も多く寄付限度額が高いので、返礼品に食べ物ばかり選んでも冷蔵庫に入りきりません。消費期限内に消化するのが難しくなってしまうので、量より質で選択するようになりますし、保存しやすい返礼品を選ぶ傾向が見られます。

この傾向は数字にも表れています。カリーグズのデータによると、年収1000万以上の人に人気が高いものは、旅行券・金券や酒・ビールです。旅行券や金券なら保管しておいてもかさばりませんし、酒やビールは賞味期限が長いからでしょう。

反対にあまり人気のない返礼品は、果物・フルーツ、米です。

【図表】年収1000万円以上の人に人気のカテゴリー
【図表】年収300万円以下の人に人気のカテゴリー

■お金持ちお勧めの寄付先とは

私は高所得者の方々に「今年は何を頼みましたか?」と尋ねることがありますが、「これがいいよ」と即答で教えてくれます。お金持ちは返礼品について熱心に調べていますし、高額な寄付で多くの返礼品を受け取っているので、その中から良いものを紹介してくれるのです。

「ふるなびグルメポイント」もその一つです。寄付をするとグルメポイントを受け取ることができて、登録されたレストランで利用できるサービスでした。登録されているレストランは首都圏が中心ですが、普通であれば行く機会がないレストランが利用できたので、私も家族で利用したことがあります。

いまは仕組みが変わって、寄付ではグルメポイントが獲得できなくなってしまったので残念です。ただ、「ふるなびトラベル」が22年11月にリニューアルされ、寄付で得られるトラベルポイントを宿泊のほか、飲食や体験でも利用できるようになっています。

■地方の自治体に寄付して東京のレストランを楽しむ

地域食材を用いた料理を都内の飲食店で食べられる「ふるなび美食体験」もあります。たとえば、ふるなびを通じて、佐賀県唐津市のふるさと納税を利用すると、ミシュラン2022掲載の高級フレンチレストラン「レ・コパン ドゥ ドミニク・ブシェ」の特産品コース(東京・銀座)が楽しめます。

体験型の返礼品もお金持ちに人気です。

ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」では、寄付で受け取れる体験型返礼品として「渡良瀬遊水地 熱気球 遊覧飛行 搭乗体験」(栃木県小山市)が人気になっています。寄付額は17万円で年間15組(1日1組)とハードルが高いふるさと納税ですが、2万円の寄付で熱気球搭乗体験(係留フライト)ができる自治体(栃木県栃木市)もあります。

ほかにもカヌーツーリング(北海道釧路市)やフライトシミュレーター操縦体験(東京都品川区)なども人気のようです。

高所得者にとっては、普段高額の納税をしてもお礼を言われるどころか、批判の対象となってしまうことに不満も少なくないようです。ふるさと納税をすると自治体からお礼状が届き返戻品までもらえることに驚きと喜びを感じると言った人がいました。カタログショッピングのような制度と批判も多いふるさと納税ですが、資産1億円を目指すのであれば、利用できるものは最大限活用するマインドを見習ってみるのもいいと思います。

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藤川 太(ふじかわ・ふとし)
ファイナンシャルプランナー
生活デザイン代表取締役社長。自動車会社で燃料電池自動車の研究に携わった後、FPに転身。家計の個人相談の普及を目指して2001年に設立した「家計の見直し相談センター」では、すでに3万世帯を超える家計診断を行っている。家計管理、生命保険、資産運用など幅広い分野に精通。『やっぱりサラリーマンは2度破産する』など著書多数。 生活デザイン株式会社 オフィシャルサイト

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(ファイナンシャルプランナー 藤川 太)

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