「インディ・ジョーンズの新作がおもしろかった」と言うのは下の下…雑談の達人が必ず加える追加情報
プレジデントオンライン / 2023年11月1日 11時15分
※本稿は、渡部建『世界一わかりやすい コミュニケーションの教科書』(きずな出版)の一部を再編集したものです。
■初対面でも話が弾む雑談ルール あえて知らないふり
「初対面の人と雑談をするのが苦手だ」という人は少なくありません。
でも、そういう人の話を聞いてみると、そもそも初対面の相手と会う前に相手のことを調べていないというケースがほとんどです。事前情報がゼロの状態だと、天気やニュースの話など、当たり障りのない会話しかできず、盛り上がらないのは当たり前です。雑談で大切なのは、「相手が話したいと思っている話題を話させること」です。
そのために大切なのが、できるだけ事前に相手のことについて情報収集をすることです。SNSの発信を見たり、相手の会社のことについて調べたりしましょう。そうすることで、相手がどんなことに興味を持っているのか、どんなことを話したがっているのかがわかります。
このときに注意したいことがあります。それは「私はあなたのことについてこんなに調べましたよ」というアピールは、かえって雑談の邪魔になるということです。
事前に調べたことはあくまでも「相手が話すきっかけ」を与えるためのものであり、自分が話をするためのものではないということは肝に銘じておきましょう。
■「知らないふり」して質問して、相手の話を引き出す
また、事前に相手を調べていると、意図的に「知らないふり」戦略がとれるのも大きなメリットです。知らないふりをして質問をすることで、相手が話したいことを話すきっかけを提供することができます。
たとえば、事前に相手のSNSの投稿から、相手が岩手県に旅行したことを知ったとします。その場合、「そろそろ旅行にでも出かけたいなあと思っているんですけど、京都とか沖縄とか、いわゆる観光地はもうけっこう行ってて、飽きちゃったんですよね。どこかいい旅行先、ご存じないですか?」などと質問すれば、
「それなら、岩手県がオススメですよ。じつは最近、岩手県に旅行してきましてね……」といった具合に、相手の話したいだろうことに誘導できますよね。
あるいは、お子さんが高校受験に合格していたことを投稿していたら、「○○さんは、お子さんはいらっしゃるんですか?」と質問することで、
「中学生の子どもがいるんですが、じつは先日、第一志望の高校に合格できたんですよ」などと話をしてもらいやすくなります。親なら誰だって、自分の子どもの自慢話をしたいものです。でも、自慢話は自分からはなかなか話し出しにくいもの。
そこで「知らないふり」をしてうまく質問することで、相手が話したいだろうことを引き出すこともできるのです。
■雑談がヘタな人がやってしまう致命的なミスとは
じつは雑談がヘタな人には、ひとつ傾向があります。それは、「話の方向性を自分で勝手に決めてしまう」ということです。雑談で大事なのは、「相手の話したいことを話させる」ことです。まず自分の失敗談を話したり、相手に質問したりするのは、そこから「相手の話したいこと」を探るための手段でしかありません。
このときに便利なテクニックがあります。
それが「話題のお品書きを提供する」というテクニックです。あなたが料理人になったつもりになって、「こんな話題が提供できますよ」という一覧を相手に見せるのです。
たとえば、こんな感じです。
「先日、池袋に新しくできたシネマコンプレックス施設で、『インディ・ジョーンズ』の新作を4DXで見たんですよ」
この場合、あなたは、
●池袋
●新しくできたシネマコンプレックス施設
●4DX
●インディ・ジョーンズの新作
という四つの話題を提供していることになります。
このとき相手の反応を見ながら、相手がこの四つのなかからどれに興味をもつのかを判断するのです。
![サンシャインシティ](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/5/0/1200wm/img_501112cdfede3fb2de6566547fd3c832403186.jpg)
■相手のオーダーした料理(話題)を提供するのが鉄則
たとえば、このときに、「あ、池袋に行ったんですね」と相手が返したら、相手は「池袋」について話したいことがあるのかもしれません。相手も最近、池袋になにか用事があって行ったのかもしれない……などと考えられます。
あるいは、「あ、あの新しい施設に行かれたんですね」と返してきたら、相手は新しい施設について興味があると考えられます。もしかしたら映画館ではなく、同じ施設に入っているほかのお店について話したいのかもしれない……などと考えられますよね。
雑談がヘタな人は、相手のこういう反応をスルーして、そのまま「インディ・ジョーンズの新作がおもしろかった」と、映画の話を続けてしまいます。
これはいってみれば、「話題のお品書き」を見せて、相手が「池袋」という話題をオーダーしたのに、それを無視して別の料理を提供しているようなもの。これでは雑談が盛り上がらないのも当然と言えるでしょう。
雑談の基本は「相手が話したいこと」を探ることであり、そのために「話題のお品書き」を見せてオーダーをとる。
この基本を忘れないようにしてください。
![メニューブック](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/2/5/1200wm/img_251f2579e238f139d9058f0a49d17557372274.jpg)
■「かわいいバカ」というポジションは最強である
同じ人と二度目以降に会話をするとき、より相手のなかでポジションを得られやすくする裏ワザ的な方法があります。それが「かわいいバカになる」というものです。
これはどういうことかというと、「相手のアドバイスに従う愚直さ」+「自虐ネタ」の合わせ技です。自虐ネタは第5章でも説明したように、リスクゼロで相手の笑いをとりにいける最強の手法です。
では、具体的にどうすればいいのでしょうか。たとえば、以前の会話で相手からオススメのラーメン屋さんを教えてもらったとしたら、次のような言い方ができます。
「このあいだ教えていただいたラーメン屋さん、おいしすぎて3日連続で食べに行っちゃいました」
こんなふうにいえば、
「いくらおいしかったといっても、3日連続は行きすぎでしょ(笑)」
などと、相手の笑いを誘うことができますよね。
「この間教えてもらったラーメン屋さん、行ってみました!」
これだけでも十分効果はあるのですが、それよりもより自分に親しみを感じてもらえるのが、自分に「かわいいバカ」要素を加えて、ちょっと自虐させるという手法なのです。先輩に好かれて売れていく芸人というのは、こういうコミュニケーションがとれるタイプが多いです。
■「相手に教わる」というポジションに自分を持っていく
あるいは、
「このあいだ紹介してもらった本、読んでみたんですけど、ぜんぜん内容が理解できなくてまだ半分も読めてないです。ちょっと解説してくれませんか」
このような言い回しもたいへん効果的です。
![渡部建『世界一わかりやすい コミュニケーションの教科書』(きずな出版)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/c/8/1200wm/img_c8fff81ad752acffb2b217b96a12eaba198176.jpg)
こうなると、相手は、
「こいつバカだな~」
と思うと同時に、でも自分が勧めたものを素直に買ったりしてくれているわけですから、かわいく感じたりしますよね。
コミュニケーションでは、相手よりも「ちょっと下の位置」に自分を置いておくほうがうまくいきます。
会話では多くの場合「教える側(話す側)」と「教わる側(聞く側)」に分かれます。そして、会話で気持ちよくなれるのは「教える側(話す側)」です。だからこそ、大事なのは、いかに自分が「教わる側(聞く側)」に回るかなのです。
そのためには、相手にアドバイスを請(こ)う、教えてもらう、というコミュニケーションの構造をつくりましょう。その構造をつくるために役立つのが「かわいいバカ」というキャラクターなのです。
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お笑い芸人
1972年、東京・八王子生まれ。1993年、神奈川大学在学中に高校の同級生であった児嶋一哉に誘われ、お笑いコンビ「アンジャッシュ」を結成。2003年、NHK「爆笑オンエアバトル」5代目チャンピオンに輝き、日本テレビ「エンタの神様」などのネタ番組では“コント仕掛け”のスペシャリストと呼ばれる。その後は数々の人気番組の司会を務め、現在はコミュニケーションをテーマにした企業向けの講演などを積極的に行っている。著書に『ホメ渡部!「ほめる奥義」「聞く技術」』(小学館)、『大人のための「いい店」選び方の極意』(SB新書)などがある。
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(お笑い芸人 渡部 建)
外部リンク
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