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中学受験直前3カ月で伸びる子は何が違うか…11月に駆け込んできた親にプロ家庭教師が授ける"最強の助言"

プレジデントオンライン / 2023年11月8日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hakase_

中学受験の入試本番まで、残り3カ月を切った。プロ家庭教師集団・名門指導会の西村則康さんは「毎年この時期になると、家庭教師を求める人が続出する。だが、直前期に重要なのは、わが子に必要なものは何かを見極め、志望校に合格するための戦略を練ることだ。その際に第三者の力が必要だと思えば課金をすればいい」という――。

■家庭教師を求める人が続出する11月

11月になり、受験生の6年生はいよいよ入試本番を意識する時期に入った。

「本番まで3カ月を切ったのに、まだ偏差値が10も足りないんです。プロの力でなんとかしてもらえませんか?」

毎年、この時期になると、駆け込み寺に飛び込んでくるかのように、藁にもすがる思いで家庭教師を求める人たちが続出する。もちろん、中学受験のプロ家庭教師と謳っている以上、なんとかしてあげたいという気持ちはある。しかし、どんなに優秀な家庭教師でも、わずか3カ月で偏差値を10上げるのはムリな話。今から合格の道筋を作るのは、正直不可能に近い。

そして、毎年思うのだ。せめて6年生の春に問い合わせてくれたら、なんとかなっただろうに――。

だが、成功する例も多くある。それは、あと少し頑張れば合格ラインに届きそうという場合だ。この場合、適切な志望校対策をとることで、合格へ導くことができる。しかし、それも家庭教師の力量次第。直前期の課金は、良い家庭教師に巡り合えるかという「運」が非常に大きい。お金をつぎ込めばなんとかなる、というわけではないのだ。

■「志望校特訓」は本当に受ける必要があるのか再検討を

直前期は一日一日の過ごし方が、とても重要になってくる。

大手進学塾では、6年生の秋以降は通常の授業に志望校特訓が加わり、塾で過ごす時間が長くなる。親からすれば「塾に行っていれば安心」かもしれないが、ただ通っているだけで時間を無駄に過ごしてしまっている子は実は少なくない。

まず、志望校特訓が本当に必要かどうか今一度検討した方がいいだろう。志望校特訓とは、その名前の通り、志望校の入試対策に特化した授業を行う。開成中クラスや麻布中クラス、桜蔭中クラスなどのいわゆる難関校1つだけの冠が付いたクラスであれば、その学校の入試対策をしっかりしてくれるので受講する価値は高い。

しかし、それよりも下のランクのクラスになると偏差値帯でひとまとめにされてしまうため、「今週は芝中の問題をやります。来週は本郷の問題を解いてみましょう」といろいろな学校の問題を解かせて、解説をするだけなので、本当の意味での志望校対策にはならず、実は無駄が多いのだ。ここで時間を費やすくらいなら、志望校の過去問を自宅でたくさん解いて、振り返りをしっかり行った方が効果は高いだろう。

■通常の授業も取捨選択していい

また、通常の授業も必ずしも受講する必要はない。大手進学塾の6年生の秋(9月〜11月)の授業は、これまで塾で学習してきたことを演習問題で応用していく授業になる。カリキュラムとしては「比と割合」「平面図形・立体図形」などの名称が付いているが、その範囲は非常に広い。

例えば「比と割合」の授業では、比を扱う図形の問題や、割合の概念を利用した速さの問題などいろいろな問題をまんべんなく解かせる。しかし、実際の入試では各学校で出題される問題傾向はまちまちだ。「比と割合」は中学受験の算数入試では定番問題ではあるが、問題のレベルや求められる力はそれぞれ違うため、全ての問題を網羅しておく必要はない。つまり、ここでも取捨選択が可能なのだ。

きれいになっている黒板がある教室
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maroke

■12月になっても基礎力が付いていない子は家庭学習を徹底

12月に入ると、通常授業は「入試直前総合演習」と題し、ひたすら演習問題を解かせる。それまでにある程度弱点を埋められてきた子は、この演習でアウトプットを強化していくことで、得点力を上げていくことが多い。そういう子にとっては、この授業は非常に効果が高い。だが、この時点に及んでも基礎力がまだ付いていない子にとっては、まったくお手上げだろう。そういう子は、塾の授業から一旦離れて、家庭で基礎力を付ける学習を徹底した方が賢明だ。

例えば現時点で基礎力がまったく付いていないのに、四谷偏差値45〜50あたりの学校を志望校とする場合、四谷大塚なら「四科のまとめ・算数」、早稲田アカデミーなら「バックアップテキスト」といったテキストをまる1冊完成させることを勧める。塾の授業から離れることを不安に思うかもしれないが、基礎知識が入っていないのに問題を解こうとしても解けないのは当然のこと。そこで自信をなくすくらいなら、今できることをコツコツと進めていくべきだ。

■基礎力強化や苦手対策は11月まで

塾の授業を聞いていれば、なんとかなるはず。そう思う親は多いが、ただ聞いているだけでは何の成果も出ない。この時期の勉強は、「何(苦手単元)をいつまでに(11月の終わりまで)やる」と、きちんとやるべきことを決めておくことが重要だ。長年、中学受験の指導にあたっていて感じるのは、入試本番前の12月・1月の直前期になっても、いつまでもインプットの学習をし続けている子は、受験に失敗するケースが多い。結局、インプットばかりして、知識の整理ができないまま本番を迎えてしまうため、限られた時間内でいかに得点力を高めていくかといった「入試で勝つ力」を身に付けられないまま、挑戦することになるからだ。

ノートを開いておいてある机に突っ伏している少年
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

基礎力強化や苦手対策は11月までと割り切って、12月以降は入試を意識したアウトプット型の学習に切り替えていかなければならない。そのためには、残りのこの1カ月に何をやって、何をやらないかを決めることが重要になる。

■良い家庭教師は「子供が問題を解く様子」をじっくり観察している

「志望校の合格点まであと30点足りないんです。なんとか成績を上げることはできないでしょうか?」

そして、冒頭で触れたように、この時期になると、家庭教師の問い合わせが急増する。今の時期から偏差値を10上げるのは現実的ではないが、合格点まで30点上げることはできなくはない。だが、家庭教師を付ければ必ず成績を上げられるかといえば、そうとも限らない。やはり、家庭教師にも当たりとハズレがあるからだ。

直前期の課金を無駄なお金にしないためには、良い家庭教師と残念な家庭教師を見極める力が必要になる。良い家庭教師は、子供が解いている様子を横でしっかり観察し、その子がどのように解いているかを感じ取ろうとする。

姿勢が悪くなっていないだろうか?
鉛筆はしっかり持てているだろうか?
筆圧は? 焦って雑に書いていない?
なぜこの問題を解くときに図を書かないで、いきなり解こうとするのだろう?
なぜここを暗算してしまうのだろう?

■残念な家庭教師は「答えが合っているか」しか見ない

そうやって、細かく見ていき、伸び悩む原因を探る。そして、今この子には何が必要かを見極める。例えば図を書かないでいきなり問題を解こうとする子は単に解き方を知らないのか、知っていても面倒くさがってやらないのか、書いていると時間が足りなくなると思って焦っているのかなど、あらゆる方向から原因を探り、そこを修正していくことで得点力を上げていく。これができるのは、子供一人ひとりの学力レベルはもちろん、問題に向き合うときの姿勢や癖など、さまざまなケースに応じた解かせ方を熟知しているからだ。

一方、残念な家庭教師は、答えが合っているか間違っているかだけに注目し、間違っていた問題の解き方を誰にでも同じように解説する。そして、子供はその解き方を覚えようとする。つまり、いつまでもインプットの学習から抜け出せずにいるのだ。これでは即効性のある得点力にはつながっていかない。

家庭教師と子供
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

■受験までの限りある時間を有効に使ってほしい

中学受験のゴールは、志望校に合格することだ。入試本番まであと2カ月。時間は有限だ。これまで塾のカリキュラムに沿って勉強をしてきたので、そのレールから外れることを不安に感じる人もいるだろう。だが、今塾でやっている勉強が、本当に志望校の対策につながっているのか、今一度冷静な目で見てほしい。すでに多額の授業料が引き落とされてしまっているから受けさせないのはもったいないなど思わず、限りある時間を有効に使ってほしい。

そして、さらにお金をつぎ込めば誰かがなんとかしてくれるだろうと他力本願にならず、今わが子に必要なのは何か、あと何ができるようになれば得点力が上がるのかという視点を持って、志望校に合格するための戦略を練る。その際に第三者の力が必要だと思えば課金をすればいい。最後の最後は、各家庭の取捨選択力にかかってくるのだ。

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西村 則康(にしむら・のりやす)
中学受験のプロ家庭教師「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員
40年以上難関中学受験指導をしてきたカリスマ家庭教師。これまで開成、麻布、桜蔭などの最難関中学に2500人以上を合格させてきた。

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(中学受験のプロ家庭教師「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員 西村 則康 構成=石渡真由美)

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