「わかります、大変ですね」ではダメ…一流の銀座ホステスが突然の「君はどう思う?」に返す"秀逸フレーズ"
プレジデントオンライン / 2023年11月11日 17時15分
※本稿は、森優子『相手を立てるのがうまい人 仕事・人間関係がポジティブに変わる!』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■リクルートの上司が部下との関係構築で使う言葉
相手を上手に立てられると、間違いなく人から愛されるようになります。
相手を立てられる人は、相手の年齢や立場に関係なく、自分の置かれた場所から相手を応援しているともいえます。
相手を応援することは、すなわち相手を尊重することにつながります。相手を尊重し、損得勘定なく応援する人が愛されないわけがありませんね。
人から愛されると自信がつきますね。すると、さらに人を立てることが上手になっていくという、ポジティブなサイクルが発生するのです。
私が所属していたリクルートの営業部は圧倒的に女性が多く、しかも部下よりも年下の上司が割合多くいました。
上司と部下で年齢の逆転があっても、双方ともやりにくさを感じさせない自然なコミュニケーションをとって、信頼関係で結ばれていることは一目瞭然でした。
しかしその背景には、お互いを「立て合う」心遣いがあったのです。
「もしかしたら間違っているかもしれないから、もう一度確認してもらえる?」
「もしかしたら締め切り時間、勘違いしていない?」
年上の部下に対して、年下の上司は仮定言葉を使ってミスを伝えていました。
■さりげない敬語で相手を立てられるか
「もしかしたら」「かもしれない」は仮定言葉です。
この仮定言葉をプラスすることで、相手に不愉快な思いをさせないよう配慮をしているのです。もし仮定言葉抜きでダイレクトに伝えていたら、どうでしょう。
「間違っているから、もう一度確認してもらえる?」
「締め切り時間、勘違いしていない?」
ちょっときつい印象を与えてしまって、言い方によってはトゲが感じられることでしょう。
一方で、年上の部下は年下の上司に対して、敬語を使うことを忘れませんでした。
仮定言葉で仕事のミスを指摘されたときはもちろん、雑談をするときにも、ユーモアで笑い合うときも、「失礼しました。私が間違えていました」「○○さん、笑わせないでくださいよ〜」と、さりげなく敬語を使って答えていたのです。
仮定言葉と敬語でお互いを立て合っていたからこそ、風通しのよい人間関係を保つことができていたのです。
■夜の銀座のひと味違う「立て上手」
ここで、銀座のホステスの話を紹介しましょう。
私はシングルマザーとして、子育てのためにダブルワークをしていた時期が14年間ありました。昼はリクルートで求人広告の営業の仕事、夜は銀座のクラブでホステスとして働いていたのです。
銀座では一流と呼ばれるお客様、一流へと成長していくお客様とママやホステスとのやり取りを目の当たりにしてきました。
銀座のママや評判のよいホステスは、お客様を立てるのが抜群に上手です。
「人を立てるプロ」といっても、過言ではありません。
黙ってニコニコして座っているだけでは、お客様から応援されるホステスにはなれません。時折「すごーい」と絶賛するだけでも同じです。応援されるホステスになるためには、先にお客様を応援する経験の積み重ねが必要なのです。
冒頭にお伝えしたように、応援することは相手を尊重することです。
お客様を尊重して、損得勘定なく応援するホステスこそが、お客様から応援されて愛されるのです。
それでは、お客様を応援する姿勢とは一体どんなものでしょう。
お客様は接待以外のときは、「癒されたい」と思ってお店に足を運びます。つまり、話を聞いてもらいたいのですね。
■気難しい相手にさらりとカツを入れるコツ
な〜んだ、それなら答えは簡単。お客様を主語にして「7対3の法則」で聞き役に徹し、共感言葉と承認言葉で立てればいいんだ。そんなふうに思いますよね?
確かにそれは正解です。ですが、銀座に来られるお客様はプライドが高く、中にはそのプライドから気難しさが表に出てしまい、お客様自身の弱音に対して「君はどう思う?」とホステスに質問を投げかけてくることも多々あるのです。
そんなとき、「わかります」「大変ですね」と、謙虚な姿勢で共感するだけでは、お客様の心を掴めません。もちろん、自己主張が強く出すぎてもいけません。
お客様を引き立てるホステスという立場を忘れず、客観的な意見として「私はこう思います。お客様ならできます。がんばってください」と、ここぞという瞬間にさらりとカツを入れられるホステスこそが、お客様から一目置かれて応援してもらえるようになるのです。
誰だって気難しい人を立てるのは苦手なものです。キャリアのあるホステスでさえ、実は内心ヒヤヒヤしながら接客することもあるのです。
ですが、少し気難しいお客様ほど、上客になる可能性を秘めているものです。
なぜなら気難しそうで近よりがたく見える人は、人から意見を言われることに慣れていません。なので人から意見を言われてさらりとカツを入れられると、そのメリハリのつけ方が新鮮で、グッと心を掴まれてしまうのです。
職場など身の周りにいる気難しい人との人間関係で、ご参考にしていただければうれしいです。
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コミュニケーション・アドバイザー
マリアージュコンサルタント事務所代表。短大卒業後、西武ライオンズ・西武鉄道のチアリーダーに従事。結婚、離婚を経てシングルマザーになり、(株)リクルート、(株)リクルートキャリアにて求人広告の企業営業を担当。入社2年目には、通期を通して「売上、新規売上、新規社数」の目標を完全に達成した者だけに与えられる「グランドスラム賞」を取り表彰される。ほかにも、月間MVP賞や月間売上トップ賞をたびたび獲得。その一方で、生活のため夜は銀座のクラブホステスとして14年間働く。2013年、両親の介護のためにホステスを引退。2015年より現職。著書に『感じのいい人は、この「ひと言」で好かれる』(三笠書房)、『雑談が上手い人 下手な人』『嫌なことを言われた時のとっさの返し言葉』『会話が上手い人 下手な人』(以上、かんき出版)
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(コミュニケーション・アドバイザー 森 優子)
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