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「処方された薬は自己判断でやめても問題ない」医師・和田秀樹がそう断言する深い理由

プレジデントオンライン / 2023年11月14日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Image Source

薬の服用は何を判断基準にすればいいか。医師の和田秀樹さんは「薬を出しただけちゃんと飲んでくれない患者さんはいっぱいいるが、薬を飲み忘れて具合が悪くなったという話はほとんど聞かない。インスリンがほとんど出なくなる1型糖尿病のような病気以外は、薬なんて医者に相談せず自己判断でやめていい」という――。

※本稿は、和田秀樹『和田秀樹の老い方上手』(ワック)の一部を再編集したものです。

■医者が出した薬を勝手にやめても問題はありません

医者から処方された薬を勝手にやめていいのかというのが今回のテーマです。

この問題を取り上げるのは、「血圧の薬を飲んでフラフラしたり、調子が悪くなったりしたら薬を飲むのはやめてかまわない」というようなことを原稿に書くと、必ずといっていいくらい、編集者に「お医者さんと相談してからやめるようにしましょう」みたいに書き直されてムッとするからです。

まあ確かに医者に相談なしにやめるよりは、「先生、この薬を飲んだら調子が悪くなったんですけど」という話をしてからにしたほうがいいんでしょうが、でもね、医師によっては「そうは言っても、薬のおかげで血圧が正常になっているんだから」とか「ちゃんと効いているんだから」とか言ってやめさせてくれないことがけっこうあるんですよ。

私はほとんどの医者がそうしているのだと思っています。だから患者さんも不安になるんだと思う。

確かに、インスリンがほとんど出なくなる1型糖尿病のような病気だと、インスリンをやめてしまったら、血糖値が800くらいまですごい勢いで上がって、最終的に目が見えなくなってしまう恐れもある。勝手に薬をやめてはいけない、そういう病気もあるんです。

でも、2型糖尿病のように、インスリンはちゃんと出ていてもレセプター(インスリン受容体)がおかしくなっている病気の薬とか、コレステロールがちょっと高いのを下げる薬とか、前に脳梗塞をやっているから血をサラサラにする薬を飲んでいるとか、そういった場合は薬をやめてもあまり影響はないんです。もしも調子が悪くなったらまた飲み始めればいいんです。

■薬を飲み忘れて具合が悪くなったという話はほとんど聞かない

たとえば私には心不全という持病があって、利尿効果のある薬を飲まされたせいで、やたらとオシッコが近くなってイヤになっちゃったから、しばらく飲むのをサボっていたらまた息が苦しくなったので、これはまずいなと思って、いまでも飲んでいるわけです。

再び飲み始めれば症状は元に戻るのですから、わざわざ医者に相談する必要があるのかと聞かれたら、その必要はないと私なら答えます。

アメリカみたいに医療費が高い国では自己判断にゆだねるケースがけっこうあるんですよ。でも、日本の場合は医療費が安いから「必ず医者に相談してね」って話になるんでしょうけど。

私も長いあいだ医者をやっていますから、薬を出しただけちゃんと飲んでくれない患者さんがいっぱいいることは知っています。そして、そういう人のほうが病気は重くならないという事実も。

医者に言われたとおり15種類もの薬を飲んでいたら、体調がおかしくなる人が出てきたって不思議じゃない。たぶん、患者さんが上手に自己判断されているんだろうと思います。

「大変です、薬を飲み忘れました」とか言って連絡をくれる患者さんもいますが、少なくとも、薬を飲み忘れて具合が悪くなったという話はほとんど聞いたことがありません。

逆に、認知症の人とかで1回飲んだのを忘れてもう1回飲んじゃったとか、多めに飲んで具合が悪くなった患者さんはいっぱい知っています。

薬の散乱したテーブルに突っ伏す人
写真=iStock.com/Slonov
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Slonov

■精神安定剤とか頭痛薬は最も勝手にやめていい

だから、飲むと調子が悪くなる薬を、次の診察で医師に相談するまでやめちゃいけないっていうのは、明らかに思い込みにすぎない。

僕はそう思っているんだけど、そういうことを書くと、それを読んで薬を飲まなかったために具合が悪くなった人が出た時に責任を問われるから、編集者は「やめる時は医者に必ず相談してください」なんてしょうもない注釈を入れるわけですよ。

でも、国の金を使っているのですから、本来なら飲んで具合が悪くなるような薬を出す医者こそ責任をとらないといけないと私は思います。

もっとムカついたのは、「精神安定剤は記憶障害や足がふらつく原因になるからやめたほうがいい」という文章にも、著者である私に断りなく、編集者が「医者に相談してから」と書き加えたことです。

精神安定剤とか頭痛薬っていうのは、いちばん勝手にやめていい薬なんですよ。

たとえば、頭痛がしなくなったとか、胃が荒れたから頭痛薬を飲むのをやめたとしても、それについてはさすがに医者もうるさいことを言わないと思いますよ。だけど、血圧の薬を自己判断でやめたとか言ったらムッとする医者はけっこういるはずです。

でも、頭痛薬とか睡眠薬を、調子がよかったので飲まなかったからって怒るような医者は相当ヤバい医者です。二度と行かないようにしましょう。

■自分が苦しい思いをしないよう、医者とは上手に付き合う

よほど命に関わる病気を持っている人とか、普通とは違う病気の人だけは、「先生、この薬を急にやめたらまずいですか」という確認が必要かもしれないけれど、そうでない場合は、調子が悪くなったら、「あの薬を飲んでいると調子悪いから、飲むのをやめちゃいました。いまはわりと調子がいいので、もう飲まなくてもいいですよね」というような言い方をすれば、「そうだね」って話になるか、あるいは「じゃあ代わりにこっちの薬を出しておこう」ということになって、少なくともその薬を飲ませ続けられることはあまりない。

ところが、我慢してやめないでいると、「先生、もうこの薬はやめたいんです」と言ったところで、「いや、でもちゃんと血圧が正常になっているからやめないほうがいいよ」とか言われて、むりやり飲まされる可能性が高い。

自己判断でやめたほうが話は早いですから、そういう意味も含め、私は薬をやめるときにいちいち医者に相談する必要はないと思います。くれぐれも自分が苦しい思いをしないように、医者とは上手に付き合うことをお勧めします。

医者の話を聞く患者
写真=iStock.com/davidf
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/davidf

■病人しか診ていない医者に健康相談をしてもムダです

たまたまある雑誌の取材を受けていた時に、お医者さんの言うことは何でも信じてしまうみたいな話になって、「やっぱり専門家の言うことだから、健康法についても素人の意見より信用できる」と言う人もいました。

たとえば医者に「これは体にいいよ」とか「健康のためにはこれを食べたほうがいい、あれを飲んだほうがいい」とか言われると、そうなのかっていう気になると言うので、医者ってそんなに信用されているのかと、ちょっと驚きました。

実のところ、医者の多くは健康法について信用に足る専門知識は持ち合わせていません。

たとえば、「免疫力がアップするから納豆を食べなさい」とか「もうちょっと肉を減らして魚中心の食事に変えたほうがいいですよ」とか、栄養について医者がいろいろ言ったとしても、実は医学部では栄養学はいっさい教えてもらっていないのです。

もしかしたら教えてくれる学校が一つか二つあるのかもしれませんが、少なくとも普通の医学部には栄養学の科目はありません。だから、あるお医者さんが栄養について詳しい知識を持っていたとすれば、それは自分で本を読んで勉強しただけであって、専門家ということではない。

たとえば“ナントカ健康法”とか“体にいいナントカ”みたいな本を何冊か読んだ人と大差はないわけで、つまりは健康オタクの素人と似たり寄ったりか、それ以下です。

確かに医者は海外の論文とかを読んだりすることもありますが、いまのインターネットの世の中では、ちょっと詳しい人なら、医者じゃなくても海外の論文くらい読めますから、そんなに大したことではない。

自動翻訳のソフトもあるから英文でもいくらでも読める。とてもじゃないが、医者が栄養学の専門家であるとは言えません。

■医者は健康の専門家ではない。本当に健康な人の方がアテになる

それに、日本の医療は外国と比べてちょっと特別なところがあります。保険診療は、やっている国とやっていない国とがありますが、日本の保険診療の特色の一つは、保険がきくのは病名のついた病気だけということです。

たとえば、トシのせいで最近、歩くのが覚束(おぼつか)なくなってきたから、50代の体に戻してほしいと言われたとする。これは一般的に医師の専門外です。医療保険の点数がつかないからです。

もちろん、健康回復だとか若返りだとかの研究をしている医療機関もありますが、どうしてもそれは二の次、三の次です。やはり病名のついた病気を治す研究のほうが主体だし、優先されることになります。

つまり、医者は人を健康にする専門家ではない。健康になりたいというより、病気になりたくないということなら、まだなんとかなりそうですが、要するに医者は体の悪いところや病気を治す専門家なんです。

もう一つの重要なポイントは、循環器内科の医者なら「コレステロールを減らしたほうが心臓にいいよ」とか、消化器内科の医者だったら「これは消化に悪いから食べちゃいけません」とか言いますが、それはほとんどの医者がある特定の臓器の専門家だからです。

近所に「ナントカ内科クリニック」が開業して、訪問診療もやりますと看板を掲げると、一見、何でもできそうな印象を受けますが、そういうクリニックのお医者さんも、それまでは「カントカ大学病院」「カントカ国立病院」などの循環器科とか呼吸器科とかにいたという人が多い。

和田秀樹『和田秀樹の老い方上手』(ワック)
和田秀樹『和田秀樹の老い方上手』(ワック)

開業する前は大きな病院に勤めていたわけで、そういう病院は循環器・呼吸器・消化器というふうに臓器ごとに分かれていますから、彼らはある臓器の専門家であって、逆に言えば、それしか知りません。体全体の専門家ではないんです。

だから、健康全般の相談なんかしたってムダだということです。それよりは、素人でも自分で健康についてあれこれ調べている人とか、あるいは自分でいろいろ試してみて健康になったと言っている人のほうが当てになるかもしれません。

健康の専門家でもない医者を当てにするよりは、本当に健康な人に、その秘訣(ひけつ)を聞いたほうがマシです。

先入観を捨ててマインドリセットすれば、医者に頼らなくても、あなたにあった健康法がきっと見つかるはずです。

本稿では薬の服用について考察しましたが、本書にはこのほか健康、医者や病院との付き合い、老いを楽しむなど、面白くてためになる全32編が掲載されています。是非ご一読ください。

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和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医
1960年、大阪市生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。ルネクリニック東京院院長、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。2022年3月発売の『80歳の壁』が2022年トーハン・日販年間総合ベストセラー1位に。メルマガ 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」

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(精神科医 和田 秀樹)

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