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医者にナメられると命が危ない…「失敗したら絶対に訴えてくるな」と医師が震え上がる患者の"冴えた質問例"

プレジデントオンライン / 2023年11月15日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/andrei_r

医者にかかるときの注意点は何か。医師の和田秀樹さんは「医大は動物実験をたくさんして論文をいっぱい書いた人ほど出世するシステムになっているから、大学病院というだけで信じるのはバカだ。初診時に『失敗しても訴えられないな』と値踏みされたら、難しい手術の実験台になるリスクがある。医者にかかるときの最大のポイントは『なめられないこと』だ」という――。

※本稿は、和田秀樹『和田秀樹の老い方上手』(ワック)の一部を再編集したものです。

■医大で教授になる人間の8割くらいは“獣医さん”

テレビが決して取り上げようとしないテーマはいくつもありますが、その一つが医者の選び方、かかり方です。

60歳を過ぎてしみじみ思うのは、大学病院の出世システムの非合理です。私の大学時代の友人には医学部の教授になった人間もけっこういますけれど、教授という偉そうな人の言うことをペコペコ聞く人のほうが出世しやすいのは、医療ドラマを観れば想像がつくでしょう。

逆に、もし教授に嫌われようものなら、行きたくもない病院に飛ばされるとか、理不尽な仕打ちを受けます。

それも問題ですが、もう一つは動物実験をたくさんして論文をいっぱい書いた人ほど出世すること。つまり、医大で教授になる人間の8割くらいは“獣医さん”なんです。

やはり人間では実験しづらい。一人一人の同意を得なければいけないし、長期間にわたるとか、いろいろな問題があるし、人体実験は禁止されていますから、簡単にデータをとることができません。

動物なら虐待に等しい注射でも解剖でも同意はいらないし、どんなことが起こるかすぐにわかるから、すぐにデータが取れます。そういう意味では動物の病気を治すのでなく、動物を平気で殺すのだから「獣医」さんのほうがよほど偉い。

大学病院で、医者から直接、点滴してもらったり、血をとってもらったりした経験のある人って、あまりいないと思います。だいたい看護師さんか臨床検査技師の人がやってくれます。

大学病院の偉そうな先生方は、若い頃は小さなモルモットやマウスの細い血管の血を抜いたり注射したりするのがすごく得意だったはずなのに、人間には決してやろうとしません。

■医者にナメられたら本当に命が危ない!

覚えていらっしゃる方も多いと思いますが、群馬大学病院で、2009年から2014年にかけて、一人の医師が18人の患者を腹腔鏡手術と開腹手術で死なせる(最終的には30人死なせていました)という医療事故を起こしました。

僕らの業界では、群馬大学病院は動物実験ばかりしている研究重視・臨床軽視で有名です。優秀な医師になるポテンシャルのある中高年の優秀な受験生を「研究ができない」という理由で面接で落とすようなひどい大学です。

ここからは僕の妄想ですが、群馬大学病院を受診すると、医師たちはこう考えるのではないでしょうか。

「おっ、この患者、群大に来たぜ。何にも調べていないな。大学病院というだけで信じるバカだぜ。じゃあ、あのヘタクソの練習台にしておけ。もし失敗したって、群大で手術したのにダメでした、ほかの病院ではなおさら助からなかったでしょう、とでも言えばこのバカ患者たちは、納得するよ」

手術室の外科用機器
写真=iStock.com/shapecharge
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/shapecharge

現実に、少なくとも29人目までの患者さんは納得したわけです。

つまり初診時に、「無知で気の弱そうなこの患者なら、失敗しても訴えられないな」と値踏みされたら、難しい手術の練習台にされたり、やったこともない腹腔鏡手術の練習台にされかねない。医者にバカにされるのは本当に危険なことなんです。

決してしてはいけないことの一つが「お礼」です。事前にお礼を渡しておけばまじめにやってくれると思うかもしれませんが、逆です。500万円くらい積めばどうかわかりませんが、3万とか5万くらいのお礼では、「あ、こいつやっぱり医者を素直に信じるバカだな」と思われるだけです。

どうせお礼をするなら、病院を建て替えられるくらい巨額の寄付をすれば、真面目にやってくれるかもしれない。でも3万とか5万では逆効果でバカにされるだけです。

■「失敗したら絶対に訴えてくる」と思わせられるか

じゃあ、医者にバカにされないためにはどうするか。医者は、失敗したら訴えられそうな患者を怖がります。

ドーンと資料を積み上げて、「いろいろ病院を比べてみたら、こうなっていますが、先生はどうお考えでしょう」とか、「この治療の副作用はどうなっていますか」「この病院の手術の死亡率はどれくらいですか」「どういう術式でやっていますか」みたいに質問攻めにするんです。そうして、「あ、くわしく調べているな。うるさそうだな」と医者に思わせる。

ちょっと前の時代なら、それは難しかったかもしれません。でも、インターネットの時代なら、自分が受ける手術について、たとえば腎臓癌、胆管癌、膵臓(すいぞう)癌、あるいは心臓バイパス手術でも、ネットで調べれば、どんなことをするのかだいたいわかる。

みっちり調べていって、一つ一つ答えられるかどうか試してみたら、医者は「これは大変だ。失敗したら絶対に訴えてくるぞ」と震え上がります。

ついでに、「顧問弁護士にも確認したんですが、この程度の手術で失敗したら医療ミスということになりますよね」とか言って、脅してやればいいんですよ。

■最善の治療を受けたいなら、患者も勉強する必要がある

医者に嫌われるんじゃないか、なんて思っちゃいけません。医者になめられたら助かる命も助からないんです。

たとえば、コレステロール値が高かったら、医者はたいがい「じゃあ薬を出しましょう」と言います。そんな時、「あなた、コレステロールが高いほうが長生きするのを知っていて薬を出すんですか」ってやり返したら、医者はビビって、「そんなのは和田秀樹が言っているだけだ。動物実験の結果やアメリカの疫学調査の論文でも証明されている」なんてワケのわからない言い訳をします。

和田秀樹『和田秀樹の老い方上手』(ワック)
和田秀樹『和田秀樹の老い方上手』(ワック)

アメリカ人にあてはまれば日本人にもあてはまるのか。アメリカで認可されている薬の治験(ちけん)(新薬を世に出すために効き目を試す試験)などの時は、「日本人には副作用があるかもしれない」と言いがかりをつけて、なかなか認可しようとしないのに、アメリカの疫学調査を無条件に日本にあてはめるなんて、そんなバカな話がありますか。

とにかく、医者にかかるときの最大のポイントはなめられないことです。

いいですか、嫌われようが何だろうが、医者は訴えられるのがいちばん怖いんだから、堂々と嫌われてください。うまくいったらお礼を払うのはいいと思います。

勤務医の人たちの給料は決して高くありませんから。だけど、最善の治療を受けようと思ったら、患者だって一生懸命勉強する必要があるんです。それを忘れないでください。

本稿では正しい医者の選び方・罹り方を述べましたが、本書にはこのほか健康、医者や病院との付き合い、老いを楽しむなど、面白くてためになる全32編が掲載されています。是非ご一読ください。

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和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医
1960年、大阪市生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。ルネクリニック東京院院長、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。2022年3月発売の『80歳の壁』が2022年トーハン・日販年間総合ベストセラー1位に。メルマガ 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」

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(精神科医 和田 秀樹)

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