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「2次会は経費では落ちない」は本当なのか…経理や税務署を一発で黙らせる「接待交際費」の正しい落とし方

プレジデントオンライン / 2023年11月24日 15時15分

「2次会は経費では落ちない」は本当なのか(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/krisanapong detraphiphat

交際費はどこまで「経費」として認められるのか。元国税調査官の大村大次郎さんは「税法上、交際費が認められる基準は『事業活動に関係しているかどうか』。その上で領収書や相手先などの記録をきちんと残しておけば、2次会のキャバクラ代なども経費にできる」という――。

※本稿は、大村大次郎『ひとり社長の税金を逃れる方法』(かや書房)の一部を再編集したものです。

■接待でなくても交際費に計上できる

会社の節税策で、手っ取り早い方法に、交際費があります。

交際費を自由に使うのは、サラリーマンにはできない、事業をしている人の特権のようなものです。

ひとり社長なら、この特権を十二分に生かしたいものです。

「接待交際費と言っても、うちは取引先の接待はしない」

という方もいるかもしれません。

しかし、接待交際費というのは、取引先の接待に限られてはいません。少しでも仕事に関係する人と会食したときには、交際費を使うことができます。

同業者や従業員を飲みに連れて行ったり、友人と飲んで仕事の情報を得たのであれば、接待交際費の対象となるのです。

■ゴルフ代も交際費でOK

また付き合い上、やむを得ず参加しなければならない会合などの費用も、接待交際費に含めていいのです。

ゴルフで接待したときに、自分のプレイ代は接待交際費に計上できない、という説もありますが、これは都市伝説に過ぎません。

接待ゴルフの場合、自分のプレイ代は接待交際費として計上できます。

現在の日本の税法では、交際費は無条件で損金に計上できるわけではなく、いくつかの制約があります。

だから、飲むのが好きな経営者や、接待が多い業種は、接待交際費の知識を十分に持っておきたいものです。

■年間800万円も交際費を使える

交際費の基本について、ご説明しましょう。

長い間、大企業については原則として交際費の損金算入は全額認められていませんでした(2014年税制改正によって50%まで損金算入可能に)。

が、資本金1億円以下の中小企業では、年間800万円までか、接待交際費の50%を経費に計上できます。

ひとり社長の場合、800万円も交際費が使えるなら、普通は十分でしょう。

■税務署と「見解の相違」が起きやすい

ただし、この交際費という経費は、税務署と見解の相違が起きやすいものでもあります。

税務署としては、私的経費が含まれているのではないかと常に疑いの目を持っています。

仕事には全く関係のない、私的な交際費であれば経費にできないので、税務署はそれを見つけ、あの手この手で交際費を否認してこようとします。

ストップサインをする日本のビジネスマン
写真=iStock.com/mapo
税務署と「見解の相違」が起きやすい(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/mapo

が、少しでも仕事に役に立つ交際であれば交際費に含めて問題ありません。

また交際費が仕事に関連するかどうかの明確な基準はありません。

何が判断基準になるかというと、納税者が「交際費と判断したかどうか」が第一の基準となります。

日本は申告納税制度を採っているので、納税者の申告は原則として認められます。

税務署側が、その交際費を否認する明確な証拠を持っていない限り、否認できないのです。

税務署は税務調査で、「交際費が多すぎる」などと文句を言ってくることもあります。

が、交際費が多すぎることを理由に否認できるものではありません。

一つひとつの交際費が、きちんと条件に該当しているのであれば、多すぎるからダメなどということはありえないのです。

ただ交際費について税務署の目が厳しいのは確かなので、領収書や相手先などの記録をきちんと残しておく必要があります。

■「2次会は交際費にできない」は本当か

前述したように交際費に明確な線引きはありません。どんな費用が交際費で、どんな費用が交際費にならないか、という明確なガイドラインはありません。

唯一の基準は「事業に関連しているかどうか」だけなのです。

税務署の調査官によっては、「1次会の費用は認めるけれど、2次会の費用は認めない」などと言う人もいます。

都市伝説として、「1次会の費用は交際費にできるけれど、2次会の費用はできない」という説も出回っています。

会計の世界では、昔からよく言われてきた説のようです。インターネットでも、この説を時々見かけます。

しかし、「2次会以降の費用は会社の経費で落とすことができない」というのは、都市伝説に過ぎません。

■キャバクラに行っても交際費にできる

交際費の条件は「仕事に関係するかどうか」だけです。少しでも仕事に関係するのであれば、交際費に計上できるのです。

「2次会は認めない」などと、税法にはまったく書かれていません。交際費の定義から見ても、2次会だけ認められないはずがありません。

「1次会はレストラン、2次会はキャバクラ」という場合でも、その費用を交際費に計上することができます。

基準はその接待が事業にとって意義があるかどうか、です。

キャバクラだから意義がない、ということにはなりません。キャバクラに招待したことで、取引が決まることもあるでしょう。

高級クラブで接待し、交際費で落とすということは、結構どこでもやっていることです。

高級クラブがOKで、キャバクラがNGということも、一般常識から見てあり得ません。

判断基準は「その接待が会社にとって意義があるかどうか」である、と頭に入れておいてください。

それさえクリアしていれば、2次会やキャバクラの費用も経費で落とすことができるのです。

グラスを持ったドレスの女性
写真=iStock.com/maruco
キャバクラに行っても交際費にできる(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/maruco

■なぜ「都市伝説」が広まったのか

なぜ「1次会はいいけれど、2次会はダメ」という都市伝説が広まったのでしょうか?

昔、税務署員や会社の経理担当者たちは、けっこうルーズな処理をしていました。

接待交際費については、経理担当者が社長や社員の遊興費を適当にぶち込んでいたりしたのです。

税務署員も、それをひとつずつチェックするのは面倒だから、2次会と思われる領収書だけをチェックし、「これは本当に接待交際費?」などとしつこく問い詰めたりしたようです。

また一つひとつの取引を精査するのではなく、交際費の総額を見て、

「交際費が少し多すぎるんじゃない?」

などと追及したこともあったようです。

そういうことが、「2次会の費用を計上すると税務署から否認される」という都市伝説にエスカレートしていったのでしょう。

■税務署がとやかく言える筋合いではない

でも、こういう税務調査は、本来の税法からはずれています。

税法上、接待交際費に該当するかどうかが問題であって、接待交際費が多すぎるかどうかを税務署がとやかく言える筋合いではないのです。

少々高かろうが、交際費に該当する経費であれば計上していいのです。

大村大次郎『ひとり社長の税金を逃れる方法』(かや書房)
大村大次郎『ひとり社長の税金を逃れる方法』(かや書房)

今の税務署員は、世間の目もあるので、昔のように「無茶な文句」は言わなくなっています。もし無茶な文句を言えば、ネットでさらされたりするからです。

そのため、昔よりも法律に基づいた仕事をしているはずです。

しかし、稀に今でも無茶なことを言ってくる税務署の調査官もいるようです。そういう調査官にはきちんと正論で反論しましょう。

正論で反論されれば、調査官はそれ以上何も言ってきません。

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大村 大次郎(おおむら・おおじろう)
ビジネスライター
1960年生まれ。調査官として国税局に10年間勤務。退職後、出版社勤務などを経て執筆活動を始め、さまざまな媒体に寄稿。『脱税のススメ』『お金の流れでわかる世界の歴史』など著書多数。近著に『お金で読み解く世界のニュース』。

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(ビジネスライター 大村 大次郎)

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