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「McDonald's」を正しく言えればなんとかなる…28歳フリーターが語学力ゼロで渡米して体得した英会話のコツ

プレジデントオンライン / 2023年11月21日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ivanastar

海外で働くために必要な語学力とはどんなものか。アメリカで働く会社員のUS生活&旅行さんは「最初に渡米したときは英語がほとんどしゃべれなかったが、だんだんと会話ができるようになった。重要なのは文法の正しさではなく、単語の発音だ」という――。

※本稿は、US生活&旅行『底辺駐在員がアメリカで学んだ ギリギリ消耗しない生き方』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■ホストファミリーが何を言っているのか聞き取れなかった

私の英語は、37歳になった現在でも大概ひどいものですが、28歳で渡米した当初は、本当に英語が口から出てこない状態でした。

ホームステイ先に到着してホストと顔を合わせ、「Hello」と言ってからは愛想笑いと苦笑いに終始し、「Yes」と「No」、または名詞のみで質問に答えるのが精一杯。話す以前に、会話が速過ぎて言葉を聞き取ることができないのです。

渡米前に勉強に使っていたリスニング教材のように、アナウンサーばりのきれいな発音で、ゆっくり丁寧に話してくれる人はどこにもいません。

会話のスピードに慣れること。それが、最初の関門でございました。

語学学校では初日に簡単なテストを実施してレベル別のクラス分けがあり、当然ながら、私はいちばん下のクラスでございました。

同じクラスにはアジア、南米、欧州から来た10代~50代の男女がおり、上位クラスは若い人が多く、いちばん下のクラスは年齢層が高めです。

個人事業を展開するために米国にやって来たものの、英語ができないので勉強をしに来た社長さん、夫の米国駐在に同行し、日中は時間があるので英語を勉強しに来たおばさまなどがいる中で、28歳の私は超若手。

それはそれでショックなことですが、自分と同じくらい英語ができない人たちがいると思うと、「何とかなる」と勇気づけられた思いがしたものです。

■文法は理解できてもスピーキングは壊滅的

Reading リーディング(読む)、Writing ライティング(書く)、Listening リスニング(聴く)、Speaking スピーキング(話す)。

ご存知の通り、これらは語学を学ぶ上での大切な4つのスキルです。私が通っていた語学学校でも、各スキルに焦点をあてた授業が組まれておりました。

文法理解力が必要なリーディングとライティングは、私もそこそこできるのですが、リスニングはひどくはないけれど良いとは言えず、スピーキングに至ってはまったくできず、重症でございました。

日本人はスピーキングが弱いと言われます。今では国公立の大学受験にも英語4技能の試験があるようですから中高で4技能を磨くのでしょうが、少なくとも私が中高生だった20年ほど前は、公立学校にスピーキングのテストは一切ありませんでした。

しかしながら、自分の英語力のなさを、日本の英語教育のせいにするのはやはりお門違いというもの。やる気があれば、語学というのは短期間でもある程度は上達するものなのでございます。

■間違ってもいいから話さなければ上達しない

語学学校で1カ月ほど授業を受けてみると、私のように理解が遅い者でも徐々に耳が英語に慣れて、英語が聞き取れるようになってきます。

留学前、語学学校を選ぶ過程で「早い人であれば1週間ほどで現地語に耳が慣れてくるので、大丈夫です」と言われたことも、納得できるようになりました。

と同時に、1カ月が過ぎた頃から、すでにペラペラとしゃべっていると思っていた南米や欧州から来ている生徒たちの英語が、実は文法や単語のチョイスが適切ではないことが聞き取れるようになってきました。

どうやら彼らは、間違えて喋ることをさほど恥ずかしいと思わず、間違えたら言い直せばいいと考えているようでした。それに対して日本人は、間違えたら恥ずかしいと思う気持ちが強いのではないでしょうか。

間違えていいんです。日本語だって、間違えて言い直しているのですから。

最初のうちは授業中に間違えまくって恥ずかしい、情けない……の連続でしたが、語学学校の生徒をはじめ、米国で暮らす人の中には英語が話せない人が一定数いることを実感するようになると、恥ずかしさも薄れていきます。

■英会話で重要なのは文法ではなく単語の発音

だいたい、恥ずかしいからと言葉を発しないのでは会話が成り立ちません。語学学校でさまざまな国の人と接する中で学んだのは、「会話をする上で文法はさほど重要ではなく、単語の発音が重要」ということです。

たとえばファストフードの代名詞、「McDonald's(マクドナルド)」。

日本と同じ発音をしてもまったく伝わりませんし、関東風に「マック」、関西風に「マクド」と言っても通じませんが、文法が滅茶苦茶でも単語がはっきり発音できれば、相手は即座に場所を教えてくれます。

そのことがわかってから、留学中はラジオ(主にiHeartRadioというネットラジオ)を聴くようにしました。ラジオからは標準的なアクセントの単語が流れてきますから、聞き流しているだけでも発音の勉強にはなるわけです。

ほかに、「映画を英語字幕で観る」「知っている小説を英語で読み直す」「好きなスポーツを英語の実況中継で観戦する」なども実践しました。

■月に1500ドルはもらえるインターンシップを目指す

1年弱フロリダに滞在して日本へ帰ってきましたが、ちょろっと語学留学したくらいで語学が活かせる職につけるわけではありません。

仮に運良く採用してもらえたとしても、当時の私の語学力は、ビジネスで使うにはまったく役に立たない、低レベルのものでした。

そこで、再就職前のステップとして、就業体験ができるインターンシップ制度を利用することにしました。

日本におけるインターンシップとは、一般的に企業が新卒採用活動の一環として行う1day仕事体験や短期の仕事体験制度を表すことが多いのですが、米国のインターンシップはまるで別物。研修生として12カ月から最長18カ月の就業体験ができ、しかも、報酬を得ることができます。

1日8時間のインターンシップで貰える報酬は、仕事内容や全米各州や都市における労働基準法などによって差はありますが、月に1500~2000ドルが当時の相場だったと記憶しています。

しかも、米国のインターンシップ制度には年齢制限がありません。概ね40歳ぐらいまでとされているようなので、私のように30歳を迎えてしまった者でも卑屈にならずに挑戦できる点が魅力でした。

■受け入れ先が求める英語力のレベルは幅広い

問題は、ビザでございます。

私のような社会人経験者が米国でインターンシップ制度を利用するには、トレーニングやインターンシップを目的とする「J1ビザ(※1)」が必要になるため、ビザスポンサー(※2)を探さなければなりません。

※1:交流交換プログラムを目的とした米国のビザで、日本人が多く申請するのが「トレーニー」と「インターン」。ともに、米国内での研修やトレーニングを目的としたもので、就労ビザのように米国移民局の管轄ではなく、米国国務省の管轄となる。
※2:ビザ申請者の保証人。学生ビザは、入学する学校や教育機関が学生ビザのスポンサーになり、就労ビザの場合は、雇用主がビザスポンサーになる。

インターンの受け入れ先は、ビジネスレベルの語学力が要求されて報酬も高いIT業界や金融業界から、日常英会話程度でOKですが報酬はそこそこな業界の仕事まで幅があり、私のように語学力が低い人間でも、「選択を間違えなければ何とかなる」という印象でした。探してみると、語学力が低めでもイケそうな業界もありました。

「J1ビザ」取得の主な条件は、

(1)満18歳以上であること(大卒の場合は日本で就労経験が1年以上)
(2)受け入れ企業の業種が、日本での就労経験と関連性があること
(3)日常会話レベル以上の語学力があること
(4)渡米に必要な費用を有していること(金融機関の残高証明)

などがメインで、さほどハードルは高くありません。

私の場合、大学卒業後2年間営業職を経験し、季節労働者時代はスキー宿で働いていましたので、「J1ビザ」取得条件の(1)はクリアしています。

受け入れ企業の選び方は、(2)の「業種が、日本での就労経験と関連性があること」が条件となります。

ノルマに追われる営業職はまったく自分には向いていないとわかっておりましたので、「宿での仕事経験を活かしてステップアップをしたい」と留学エージェントに伝え、ホスピタリティ業界で受け入れ企業を探してもらうことにしました。すると驚くことに、私のように英語力がない者でも、面接可能な企業がざっくり10件以上あったのでございます。

■「日常会話レベル」「未経験」で探してすぐ面接にこぎつけた

留学エージェントでインターンシップに必要な「J1ビザ」の申請手続きを開始してから、面接可能なビザスポンサー企業のリストが私の手元に届くまで、7日。インターンシップへの道は私の予想をはるかに超え、トントン拍子で進んでいきました。

エージェントから送られてきたリストに目を通し、語学条件が「ビジネスレベル」ではなく「日常会話レベル」で、仕事は「未経験可」となっている比較的ハードルの低そうな企業を探して応募すると、すぐに面接の連絡が入りました。

現地企業担当者との面接は、スカイプを使って行います。コロナ禍を経験した現在でこそオンラインミーティングは当たり前になりましたが、口下手、あがり症の私が緊張したことは言うまでもありません。

■英会話チェックにも答えられず1社目は撃沈

最初の面接は、合格すればニューヨーク勤務となる旅行会社でした。

パソコンの画面越しに、50歳前後の男女の面接官がにこやかな笑顔で待機していて、時差を考慮した「朝早くに面接のお時間をいただきましてありがとうございます」的な挨拶から始まり、ややお堅めの質疑応答が続きました。

志望動機やインターンシップ後のキャリアプラン以外に何を聞かれたかは、緊張していたのではっきり覚えておりません。最後に簡単な英会話チェックがあり、トータル20分ほどで面接が終わりました。

面接官との波長が何となく合わない上に、英会話チェックの質問にもうまく答えられなかったので、これはダメだなと思っておりました。

案の定、2日後に留学エージェントを介して不採用のメールが届き、自分の力のなさを思い知らされ、かなり凹みました。

面接に1社落ちたくらいで凹む必要などないのかもしれませんが、語学に自信がない上に、ビデオ通話面接だということが、「もしかするとすべての面接に落ちるのではないか……」と私の不安を増長させていました。

オンライン就職面接を受ける男性応募者
写真=iStock.com/:PrathanChorruangsak
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/:PrathanChorruangsak

■雑談で終わり「落ちた」と思った2社目は無事合格

ところが2社目の面接は、打って変わってフランク。

ラスベガスにあるこの日系旅行会社の面接は、「アメリカに来たことある?」「どこに行ったの?」「日本では何をしてるの?」といった軽い質問が続きました。

私もラスベガスに行ったことがあったので、話の流れで雑談をしていると、英語のレベルチェックもないまま面接は終わってしまったのです。

1社目のガチガチに堅苦しい面接がインターン採用としてはまっとうだとするなら、雑談で終わった2社目は面接に入る前に不採用と判断された可能性が高く、私としてはガチで凹んでおりました。

ところが面接から2日後、留学エージェントから「合格しました」とメールが届いたのです。これには私も驚きました。

面接可能な企業はほかにもありましたので、さらに数社の面接をし、比較検討をしてからインターンとして受け入れてもらう企業を決めることもできました。むしろそれが、一般的かと思います。

しかし私としては、超緊張を強いられる面接はもうたくさんだと思っておりましたので、「ありがとうございます。よろしくお願いいたします」と留学エージェントにお返事をいたしました。

■大使館でのビザ申請面接で「言ってはいけない」NGワード

合格後は、インターンとして受け入れてくれたビザスポンサー企業から条件が記された受け入れ承諾書(オファーレター)が届きます。

米国では職種によってインターン期間が決まっており、ホスピタリティ業界は12カ月。私が取得できるビザは、12カ月の「J1ビザ」になります。

ビザ申請に必要な書類は留学エージェントが作成してくれますので、あとは在日米国大使館でのビザ申請面接をクリアすればOKです。

ところが、この面接がなかなかの難関。NGワードもかなりあり、留学エージェントの担当者さんからは丁寧なアドバイスをいただきました。

インターンシップに必要な「J1ビザ」を取得するために米国大使館での面接を行うのは、その人物が本当にインターン制度を利用したいと考えているのか、それとも別に目的があり、違法な入国を考えているのかを確認するためだそうです。

留学エージェントの担当者さんからは、「インターンシップ制度の利用動機や目的、将来にこの経験をどう活かしたいかといった質問がされますので、前向きで差し障りのない答えをしておけば大丈夫です。ただし、違法滞在や違法就労が最も警戒されますので、その点はご注意ください」と、かなり念押しされました。

さらに、面接では次の3点を守るようにと注意を受けました。

(1)「働く=work」というワードは絶対に使わないこと。
(2)インターンシップなので「訓練する=train」「学ぶ=learn」といったワードを使って話を進めること。
(3)インターンシップ終了後は必ず帰国する意思を表示すること。

■緊張して挑んだ大使館面接は拍子抜けするほど易しかった

注意項目も多かったため、米国大使館での面接ではとても緊張しました。ところが大使館での質問は、

US生活&旅行『底辺駐在員がアメリカで学んだギリギリ消耗しない生き方』(KADOKAWA)
US生活&旅行『底辺駐在員がアメリカで学んだギリギリ消耗しない生き方』(KADOKAWA)

・インターンシップ先の企業名と都市は?
・インターンシップの期間は何カ月ですか?
・インターンシップ終了後はどうする予定ですか?

の3問だけでした。

最後の質問がひっかけでして、ここで「インターンシップ終了後に米国で就職口を探したい」などと答えてしまったら、アウトだったかもしれません。

面接官の方はとてもゆっくり、はっきりした英語で質問をしてくれまして、英語力未熟な私でもなんとか答えることができ、ビザを取得できました。

インターンシップ先とのスカイプ面接、米国大使館での面接を終えてからわずか1カ月後、私は米国ネバダ州のラスベガスにおりました。

人生が変わるときというのは、まるでジェットコースターにでも乗っているかのように目まぐるしいものでございます。

 

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US生活&旅行(ゆーえすせいかつあんどりょこう)
会社員
在米10年目のアラフォー駐在員。フロリダ州、ネバダ州、カリフォルニア州、ニューヨーク州を転々とし、コロナ禍でリストラを経験。失業時にYouTubeチャンネル「US生活&旅行」がブレイク。マイルを使って飛行機のファーストクラスに搭乗した様子の動画は280万回再生を突破(2023年10月時点)。

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(会社員 US生活&旅行)

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