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マッチングアプリに潜む「モラハラ男」を見分けられるか…結婚準備の段階で明らかになる"危険な兆候"

プレジデントオンライン / 2023年11月28日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Tonktiti

モラハラをする人を結婚相手に選ばないためにはどうすればいいか。モラハラ離婚に詳しい弁護士の堀井亜生さんは「モラハラ夫は妻に暴言を吐く一方で、自分の考えを相手にうまく伝えられない『内弁慶』なことが多い。そして、友人がいない、家族との関係が悪いなど、結婚準備の段階で兆候が見られる」という――。
※本原稿で挙げる事例は、実際にあった事例を守秘義務とプライバシーに配慮して修正したものです。また、罵倒や叱責といったモラハラの言動について具体的に書いていますのでご注意ください。

■「知的で誠実そうだったのに」結婚したら一変

会社員のA子さん(29歳)は、マッチングアプリで知り合った男性と半年の交際を経て結婚しました。

夫は2歳年上で、理系メーカーに勤める会社員。知的で誠実そうな外見で、A子さんの両親も「大人しい性格のA子がこんなしっかりした人と結婚してくれれば安心だ」と喜んでいました。

結婚後、A子さんは退職して専業主婦になりました。幸せな結婚生活が始まるかと思いきや、誠実そうだった夫は、毎日のようにA子さんを怒鳴りつけるようになりました。

どんなにささいなことでも、夫は一度スイッチが入ると何時間も怒鳴り続けます。決まってA子さんを「物を知らない、頭が悪い」となじり、どんなに謝っても「謝れば済むと思ってるのか」とまた怒ります。

時にはA子さんの両親に電話をかけて、「お宅では娘にどんな教育をしてきたんですか!」と深夜まで怒鳴り続けることもあります。

■「夫はとても弁が立つ」と心配する妻

A子さんは「夫は本当は優しい人なのに、私が非常識だから怒らせてしまうんだ」と、気を付けて夫に接するようにしましたが、それでも何で怒り出すかわかりません。

際限なく怒鳴られる毎日が続き、気が付くと、夫がいない時でも怒鳴り声が頭の中に響き、夫の帰宅時間が近づくと動悸(どうき)がするようになりました。

このままでは心身を壊してしまうと思い、A子さんは実家に帰りました。そして離婚を決意して、私の法律事務所に相談にいらっしゃいました。

まずは協議離婚を目指し、それが無理なら調停や裁判になるという一般的な見通しを話すと、A子さんは「夫はとても弁が立つ人なので、先生も言い負かされてしまうかもしれません。調停委員や裁判官も夫に説得されてしまうかも……」と心配していました。

A子さんが録音していた暴言を聞くと、どれも音が割れるほどの金切り声で怒鳴っている音声ばかりでした。夫は泣きながら謝るA子さんに長々と叫んでいるものの、内容はなく同じ話を繰り返すばかりで、最後は夫が飽きて「もういい!」と言い捨てて終わっています。

■対面では何も言えない夫

離婚を希望するA子さんから依頼を受けて、夫に受任したことと、まずは離婚について話し合いたいという旨を連絡すると、夫から、私の事務所に来ると返事がありました。

約束の日になって、夫が事務所にやってきました。とても大人しそうで、弁護士である私と対面してもずっと下を向いていて、A子さんから聞いていた話とは別人のようです。

暴言がつらいので離婚を望んでいるというA子さんの希望を伝えると、ますます下を向いて、「暴力や不倫をしたわけではないので……」と言います。録音があるのでと言うと、夫は何も答えなくなってしまいました。

結局夫は離婚をするともしないとも答えないまま、帰っていきました。

そこからはメールで離婚協議をすることになったのですが、今度は夫は非常に長いメールを送ってくるようになりました。

こちらが「こういった暴言がつらかった」と書くと、それら一つひとつに対して、「○月○日の妻の発言はこのような理由で非常識だったため、指導を行ったに過ぎない」など、数千字にわたって反論を書いてきます。事務所に来た時の態度とは別人のようです。

とはいえ、自分は悪くないと述べるばかりで、離婚をするともしないとも書いてきません。話し合いが進まないため、これ以上の離婚協議はできないと判断して、離婚調停を提起しました。

夫は弁護士を立てずに一人で調停にやってくるのですが、調停委員に対してもやはり下を向いているだけで、ほぼ何も話せないそうです。

暴言を悪いと思っているのかと聞かれても、やはり「暴力ではないので……」と答えるだけで、謝ってやり直したいと言うことも、だからといって開き直ることもしないということでした。

結局、暴言の録音と書き起こしを証拠として提出したところ、調停委員に「ここまで激しく怒鳴りつけていたら、やり直すのは難しいですよ」と言われて、夫は離婚に応じました。

こうしてA子さんは離婚することができました。

離婚届と外した指輪と印鑑
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

■なぜ「内弁慶モラハラ夫」が生まれるのか

実はこのA子さんの事例は、昨今の「モラハラ離婚」のスタンダードな事例です。

妻に毎日のように度を超えた暴言を吐いている夫が、いざ離婚を求められると、弁護士にも裁判官にも何も言えず、まともな意思表示もしないまま離婚に応じる……。

モラハラ夫と聞くと、もともと気が強い夫が家で暴君のように振る舞っているところを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし実際はA子さんの夫のように、外では大人しい人が、家では別人のように妻や子どもに暴言を吐いているという、二面性のある人が多いのです。いわば「内弁慶モラハラ夫」です。

なぜこのような夫が多いのでしょうか。

■学歴コンプレックスと高いプライド

実は彼らは、現代におけるリアルな男性像という現実と、彼らの抱く理想とのギャップを表していると思います。

まず、こういった夫に共通するのは、「学歴コンプレックスがあるがプライドが高い」という点です。名の知れた大学出身ではあるものの、第一志望ではなかったのか、周囲の友人に比べると劣等感を覚えるのか、本人には強い学歴コンプレックスがあり、受験時代や大学時代のことを聞くと黙り込んだり、怒り出したりします。

その一方で、プライドが非常に高く、テレビに高学歴タレントが出ていると「学歴はいいが地頭が悪い」「付属上がりで大学に行っただけ」「この学部はいまいちだ」などとケチをつけます。

■友達がおらずコミュニケーションが不得手

もう一点は、「友達がいない」ということです。友達が少ないのではなく、一人もいないこともざらです。妻からは「呼べる友人がいないので結婚式を挙げなかった」「休日も必ず家にいる」「飲み会に行くのを見たことがない」という信じられないエピソードが出てきます。

また、実家の親やきょうだいとも不仲で疎遠という特徴もあります。

つまり、彼らは結婚するまでの人生で、誰とも良好な人間関係を築けたことがない人なのです。そのため他者とのコミュニケーションが不得手です。

このような人が結婚すると家庭生活はどうなるのでしょうか。

彼らはプライドが高いため、日常生活では「頭が良く、いつも正しい自分と、頭が悪くていつも間違っている妻」という自分の頭の中のイメージに基づいて、何かと妻を指導しようとします。しかしコミュニケーションが不得手であるため、怒る以外の言い方ができず、言葉を簡潔にまとめることもできません。

おそらく自分では、「知的な自分が妻を指導している」という理想像があるのでしょう。しかし実際は、言葉がうまく出てこなくて、金切り声で延々と「お前は頭が悪い」「どういう教育を受けてきたのか」と相手を責め続けるだけの短絡的な怒り方になっているのです。

そもそも怒ることにも慣れていないので、怒り出すと「常識を疑いますね」「親の顔を見てみたいものです」などと敬語になるのもよくあるパターンです。

こうして家庭内の雰囲気は険悪になりますが、それでも夫は休日も必ず家にいます。友達がいないからです。飲み会に行くなど、家庭の外でストレスを発散する手段がないため、仕事以外の時間は常に妻と顔を突き合わせて、怒り続けることになるのです。

■弁護士に依頼しない人が多い

こうして、妻ともしっかりした人間関係を築くことができないまま夫婦関係は悪化していき、最終的には離婚に至ってしまいますが、「内弁慶モラハラ夫」は、離婚するまでも特徴的な経緯をたどります。

まず、こういった夫はほとんど弁護士に依頼しません。プライドが高く、自分の頭の良さに自信があるため、弁護士という専門家を信用しないのです。「弁護士はぼったくりだ」「弁護士なんて頼まなくても自分でできる」と信じ込み、自分で妻の弁護士に会いに行ったり、電話をしたりします。

しかし、いざ弁護士のところに行っても、緊張してうまく話をすることができません。自分が悪者になるのは嫌なので、離婚を受け入れることはできず、だからといってプライドが邪魔をして、妻との関係を修復したくても素直に謝ることもできません。

離婚に際して弁護士に依頼しない人は少なくありませんが、それでも通常は自分の考えや意見を伝えることはできるので、話し合いは進めることができます。しかし、このタイプのモラハラ夫は、自分の考えもなく、反論も的を射たものではないので、話し合いが全く進みません。

■「夫は弁が立つ」と思っているのは妻だけ

調停になっても同様なので、調停委員からは、「何か不満はあるようだけど、どうしたいのかまったくわからない」と言われてしまいます。長い書面も、何を言いたいのかがわからないので、誰も取り合いません。

最初の相談で妻が心配していた「夫はとても弁が立つ人なので、先生も言い負かされてしまうかもしれません。調停委員や裁判官も夫に説得されてしまうかも……」は全くの杞憂(きゆう)なのです。

これが「内弁慶モラハラ夫」の実態です。

■経歴だけで判断すると危険

「なぜこんな人と結婚してしまうのか」と思うかもしれませんが、こういった夫と結婚に至るのには、女性の側にも事情があります。

今の時代は、「いい人と結婚したい、でも出会いがない」という場合、マッチングアプリやお見合いサイトに登録して相手を探すことになります。

その時に「いい人」をどう判断するかというと、やはり経歴を見ることになります。いい大学を出て有名企業で働いている人は、「いい人」と判断されがちです。そして会ってみて一見真面目そうな人となると、相手を運命の人と思い込んで、比較的短い交際期間で結婚します。「マッチングアプリにこんないい人がいると思わなかった」と、皆さん口をそろえて言います。

大体は結婚式の準備あたりで、友達がいないこと、家族と疎遠なことに気づき、おかしいと思うものの、後戻りできずそのまま結婚してしまいます。

■夫婦の上下関係が決まってしまう

こうして結婚生活が始まりますが、妻は「頭のいい人が私と結婚してくれた」と思っているため、ここで夫婦の上下関係が固定されてしまいます。そのため、夫は妻を見下して怒り、妻は夫におびえるという構図になってしまうのです。

先ほど書いた通り、夫は支離滅裂に怒っているだけなのですが、妻は「怒られるのは自分が悪い」「夫の言っていることがわからないのは自分の頭が悪いから」と、ひたすら自分を責めてしまいます。

誰かに相談して「そこまで怒られるのはおかしい」とアドバイスされたり、心身のバランスを崩したりして、ようやく自分が度を超えて怒鳴られていたことに気づくという流れです。

「内弁慶モラハラ夫」は実際の能力に比べて自分自身をとても頭がいいと思っていますが、妻もまた、夫をどこか尊敬してしまっています。

そのため、「弁護士や裁判官も夫に言い負かされるかも」という、およそ夫の実像とはかけ離れた心配をしてしまうのです。

ひどい暴言を受けている人ほど、「夫には勝てない」と耐え続けてしまいがちなのは、夫婦がこのような関係性になってしまっているからなのです。

いい人を探したいと思っている時こそ、経歴だけで男性を選ばないことが重要です。大切なのは人間性です。交際中におかしいと思うことがあったら、冷静になって誰かに相談してみましょう。結婚に憧れるあまり「この人は運命の人」と思い込むと、大事なことを見逃す可能性があります。

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堀井 亜生(ほりい・あおい)
弁護士
北海道札幌市出身、中央大学法学部卒。堀井亜生法律事務所代表。第一東京弁護士会所属。離婚問題に特に詳しく、取り扱った離婚事例は2000件超。豊富な経験と事例分析をもとに多くの案件を解決へ導いており、男女問わず全国からの依頼を受けている。また、相続問題、医療問題にも詳しい。「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ系)をはじめ、テレビやラジオへの出演も多数。執筆活動も精力的に行っており、著書に『ブラック彼氏』(毎日新聞出版)、『モラハラ夫と食洗機 弁護士が教える15の離婚事例と戦い方』(小学館)など。

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(弁護士 堀井 亜生)

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