5分で出した結論は5日考えたものと変わらない…「悩む時間」を劇的に短縮できる"脳科学的アプローチ"
プレジデントオンライン / 2023年11月20日 17時15分
※本稿は、山中恵美子『人生が劇的に変わる「瞬読式」時間術 忙しさから解放され、本当にやりたいことに集中する』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■5分考えて出る結論は、5時間・5日間考えて出た結論と変わらない
この世で一番のムダな時間は、「悩むことに費やす時間」ではないでしょうか。
朝起きてから眠りにつくまで、私たちはさまざまな選択を迫られます。朝食に何を食べるか、どんな服を着て出かけるかといった日常のルーティンの中でさえ悩む場面はたくさんあります。
仕事においては、さらに判断に迷う場面があり、選択するのに時間がかかるものもたくさんあるでしょう。悩みはまさに「時間泥棒」。実は普段から「時間がない」「仕事が終わらない」という人の多くは、この「悩む時間」に貴重な自分の時間を奪われているのです。
悩む時間が増えてしまうのは、世の中に情報があふれ選択の幅が広がっていることも一因ですが、それと同時に、思考が「左脳型」になってしまっていることにあるのではないでしょうか。
左脳は過去のデータや経験から論理的に物事を判断しようとするため、考える(悩む)時間が長くなりがちです。もちろん、悩む時間をゼロにすることはできませんが、短くすることはできます。
私自身は、5分考えて出る結論は、5時間、あるいは5日間考えて出た結論と変わらないと思っています。
「下手の考え休むに似たり」ということわざもありますが、よい考えが浮かばないのにずっと思案しているのは時間の浪費です。5分考えてもわからなければ、さっさとわかる人に話を聞きに行くほうがよい結果に結びつきやすいのです。
■過去は単なる「事実」「結果」だが、「よい経験」にも変わる
さらに、直感で「これをしたい」とピンとくるものがあるなら、迷わずにそれを実行すべきです。直感的に自分がするべき、あるいはやめるべきだと感じることは、無意識が呼びかけている心の声です。
ひらめきや直感は右脳の働きですが、普段から考えすぎてしまう左脳型の人が直感にしたがって「右脳を使おう」と意識すると、左脳の分析力や論理的思考が最高の形で発揮できるのです。
直感にしたがって行動して、大きな成功をつかんだ人は大勢います。
まだ誰もやっていないことにチャレンジするときは、なかなか決断できないこともあります。そのチャレンジが成功するかどうかは運やタイミングも関係するでしょうが、行動しなければ何も変わりません。運も引き寄せられないでしょう。
日常の小さな選択を迫られる場面でも、ときには、決断してから「あー、やっぱり、あっちにしたほうがよかったかな」と思う場面もあります。けれども、どちらを選択しても後悔することはあるので、そこでくよくよと考えないことです。
たとえば、青い服と赤い服で迷って赤い服を買ったら、まったく似合わなくて「青い服にしておけばよかった……」ということもあるでしょう。
これは赤い服を選んだのは失敗だったという話ではなく、「赤い服は自分に似合わない」という発見です。その発見を次に生かせばいいだけです。
過去は単なる「事実」であり「結果」です。それ以上でも以下でもありません。しかしその過去は、これからの行動で「よい経験」に変えられます。
ご存じの方も多いと思いますが、発明家のトーマス・エジソンは「私は失敗したことはない。うまくいかない1万通りの方法を発見したのだ」という名言を残しています。
1万1回目にうまくいけば、1万回の失敗はそこにたどり着くためのプロセスに過ぎなかったといえます。
迷わず行動を起こせば、道は開けると私は信じています。
■物事をスムーズに進めたいなら、「マイルール」をつくっておく
何事も瞬時にレスポンスができれば、迷ったり悩んだりする時間はぐんと減り、すべてが一瞬で解決します。
「この企画、A案とB案、どちらがいい?」
「A案がいい!」
のように。
もちろん、会社経営のように多くの人の生活がかかっている問題は瞬時に判断できないものですが、私の経験では、最初に思いついたことが一番ふさわしい解決策であることが多い気がします。
正しい答えを導くには「自分の中にブレない軸があるか」が大事です。これがないと一貫性がなくなり、まわりも自分も混乱してしまいます。
「さっき、A案がいいっていったけど、B案もいい気がしてきた……あ、やっぱりA案かな」
こんな調子では、まわりは困りますよね。
軸というのは自分の価値観や信条だったり、会社の理念であったり、思考の土台になるものです。この軸(基準)を自分の中に明確に持っておくと、迷いがなくなります。
たとえば、私は個人の理念を、「利己よりも利他」「損得よりも善悪」「安定よりも挑戦」「他責より自責」と決めています。そして社員にもいつもこれらの言葉を投げかけています。
これは大事なポイントです。
たとえば、テストの採点をしているところに、生徒が相談に来たとします。
「今やりかけている作業をキリのいいところまで終わらせてしまいたい」と生徒を待たせたり、作業をしながら話を聞いたりしたら、生徒は不信感を募らせるでしょう。意を決して相談に来たかもしれないのです。
「利己より利他」と決めていたら、自分がどんな作業をしていても中断して、生徒の話を聞くことを優先するようになります。
また、受講の方法も「通常、1教科しか受講していない生徒でも、定期テスト前は、全教科の対策授業を受講できるようにしよう。人件費はかかるけれど、生徒たちにとって必要なことなので、このサービスは続けよう」と判断できます。
どちらかで迷うような場面で、考える隙を与えないためにルールを決めておくのが大事なのです。
物事をスムーズに進めたいなら、自分のルールをつくっておくといいでしょう。「社内の都合より、お客様の都合」というマイルールをつくったのなら、「お客様のリクエストを受け入れたら、上司に叱られそうだな」と思うのだとしても、お客様を優先させる。
それがお客様にとっても自分にとっても正しいことであるなら、きっとお客様から感謝され、人の役に立てたという喜びを得られるでしょう。
■「返事は0.2秒でする」が脳科学的にいいと言える理由
「今日も仕事が終わらなかった」
「あのとき、別の方法を選べばよかった」
つい、くよくよ考えたり、後悔したりするネガティブな思考はなかなか消えないものです。頭からなかなか離れないそれらの「雑念」にも、マイルールは役立ちます。
たとえば、私のマイルールの一つは「返事は0.2秒でする」です。そのおかげで迷ったり悩んだりすることはほとんどありません。これは、脳科学を40年以上研究されている西田文郎先生から学んだことです。
先生によると、外界からの刺激に対して、0.2秒で感情をつかさどる脳(右脳)が働いてイメージがわき、それに対して「どうしよう」と考える理屈をつかさどる脳(左脳)は、0.4秒後に働きだします。
ですから、イエスでもノーでも、とにかく0.2秒で返します。つまり、論理的に考える前に感情にしたがって判断せよという教えです。
速ければ速いほど人は決められた時間内で何とかしようとするので、即決できるようになります。0.2秒で返事をすると、決めるまでの悩む時間をなくせるだけでなく、マイルールにもとづいて判断しているので後悔がありません。
また、マイルールは仕事だけではなく、プライベートでも守れば、自分の生き方の指針となります。
ショッピングで服を選ぶときも、マイルールで「安定よりも挑戦」と決めていれば、「今日は、普段絶対着ない色の服を選ぼう」と新たなチャレンジにつながります。
人生の大きな選択をするときでも、「安定よりも挑戦」がマイルールなら、「思いきって転職をしよう」と背中を押してもらえるでしょう。
マイルールがあると、自分が何をすべきなのかが明確になるので、取捨選択を瞬時にできるようになります。
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株式会社瞬読 代表取締役社長
瞬読代表取締役、通信制高校EMI高等学院・メタバーススクール学院長、ワイイーエス代表取締役社長。1971年生まれ。甲南大学法学部卒業。大学在学中に日本珠算連盟講師資格取得。学生時代より、珠算指導を開始。卒業後、関西テレビ放送に勤務。2009年、我が子を通わせたい塾が見つからず、兵庫県西宮市に学習塾を開校。未経験で始めた学習塾は、開校8年でグループ30校に。子ども達の能力開発のため塾内で始めた「瞬読」と呼ばれる独自の読書法が評判を呼び、やがて塾生から保護者、ビジネスパーソンへと広まり、受講生は4200人以上。2023年4月、通信制高等学院EMI高等学院を開校。世界で活躍するメタバースエンジニアを育成するメタバースコースを開設。主な著書に『瞬読』(SBクリエイティブ)『見るだけで脳がよくなる1分間瞬読ドリル』(ダイヤモンド社)など。一連の「瞬読」シリーズは累計28万部超えのベストセラーとなる。
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(株式会社瞬読 代表取締役社長 山中 恵美子)
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