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「あなたは厄女」 「息子と結婚させない」彼氏の母と姉が組む"義実家スクラム"に39歳バツイチ女性が絶望のワケ

プレジデントオンライン / 2023年11月25日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kieferpix

24歳で結婚した女性は13年間の結婚生活にピリオドを打った。その2年後、交際を始めたIT系企業で働く同い年の男性から結婚を申し込まれた。男性は女性に「お袋と姉貴が大反対すると思うけど、絶対に説得する。できなかったら絶縁して結婚する」と言ったが、縁談は一向に前に進まなかった――。

ある家庭では、ひきこもりの子どもを「いない存在」として扱う。ある家庭では、夫の暴力支配が近所に知られないように、家族全員がひた隠しにする。限られた人間しか出入りしない「家庭」という密室では、しばしばタブーが生まれ、誰にも触れられないまま長い年月が過ぎるケースも少なくない。そんな「家庭のタブー」はなぜ生じるのか。どんな家庭にタブーができるのか。具体事例からその成り立ちを探り、発生を防ぐ方法や生じたタブーを破るすべを模索したい。

今回は、現在50代でバツイチの女性が再婚した、同じ歳の夫の家庭のタブーを取り上げる。彼の「家庭のタブー」はなぜ生じたのか。そしてその泥沼から逃れられたのか。

■一度目の結婚

中部地方在住の片桐蘭子さん(仮名・50代・既婚)は、国立の理系の学校を20歳で卒業すると、研究施設の管理部門で働き始め、21歳の頃、同じ会社で働くSEの男性と出会い、24歳で結婚した。

ところが結婚して2年ほどでセックスレスになり、次第に、「自分に魅力を感じていない人のいる家に帰りたくない」と思うように。

「子どもがほしい」と伝えても、排卵日に義務的にするだけ。それでも片桐さんは自分から誘うことができず、ただイライラし、女性としての自信を喪失していく。前夫はイライラの理由には触れず、ただ「美味しいものを食べに行こうよ」と言ってきた。

「私も前夫もお互い、『結婚したいくらい好き!』というわけではなく、『早く結婚したい!』とか、『そろそろ結婚したほうがいい年なんだろうな』みたいな感覚で結婚したのだと思います」

結婚から13年後、37歳の時に片桐さんは離婚を切り出した。すると前夫は開口一番、「あと2年のうちに俺が死んだら、生命保険で1億円入ってくるんだから、考え直したら?」と返答。しかし片桐さんは、「子どもがほしい30代女性の2年がどれほど貴重な時間かわかってないんだな」と内心苦笑し、首を振る。それを見た前夫は、「婚約指輪は返して」と言った。

「まさかあげたものを返せと言う人だとは思いませんでした。私は前夫のことを何にも知らなかったのかもしれません」

■不穏なプロポーズ

それから2年後の39歳の頃、共通の友人のSNSがきっかけで同い年のIT系企業で働く男性と知り合った。

交際が始まってから2〜3カ月経つと、男性は「結婚してください」とプロポーズ。片桐さんは驚きつつも、「はい」と答えた。

彼は、「お袋と姉貴が大反対すると思うけど、絶対に説得するし、できなかったら絶縁してでも結婚するから」と言った。片桐さんは、「私の離婚歴のせいかな?」と思ったが、彼の姉も離婚歴があるということを聞いていたので、そこまで心配してはいなかった。

しかし、彼が母親や姉に結婚を反対されると思っていたのは、片桐さんに離婚歴があるからではなかった。

片桐さんと出会う前、時々母親はいつまでも独身の息子に、「あなたがひとりでいることが一番の心配事だわ……」とこぼしていた。そのため彼は30代半ばに差しかかると、「まぁ、この歳で付き合ってるんだから結婚すればいいのかな?」と思い、そのとき交際中の女性を家族に紹介した。

ところが彼女が帰宅した途端、当時70代の母親と、彼より6歳上の姉は口を揃えて、「あなたのことを全然立ててない!」「あんな子ダメよ!」とダメ出しが始まる。

それを横目に兄は、「お袋と姉貴のお眼鏡にかなう女性なんて存在しないよ。お前がそれでも結婚したいと思える子じゃないと結婚なんて無理だね」と言った。

5歳上の兄が結婚した時はまだ父親が生きていた。父親は、「お前が好きな人と結婚すれば良い」というスタンスだったため、結婚まではスムーズだった。だが結婚後は、母親による兄嫁いびりが始まったという。

畳の上で乱雑に置かれた座布団
写真=iStock.com/Kana Design Image
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Kana Design Image

そんな経験があったため、彼は片桐さんへのプロポーズの後、「母と姉の説得に苦戦するだろうな」と思ったのだった。

■彼の家族への違和感

片桐さんが彼の家族に覚えた最初の違和感は、離婚歴に対する価値観の違いだった。

「当時の私は、まだ彼の母親や姉のことをよく知らなかったので、呑気なものでした。しかし彼の姉も離婚歴があると聞いていたのに、私の離婚歴をやたらとディスることに違和感を持ちました」

彼が片桐さんのことを話したところ、母親と姉は、「バツイチであなたに近づくなんて財産目当てに決まってる! 財産をしぼりとった後、あなたのことを捨てるつもりに違いない! バツイチの女なんて絶対に反対だ! バツイチの嫁が来るなんて恥ずかしくて外を歩けない!」と怒り狂い、「絶対に会わない! 電話もしない! 一切関わりたくない!」と頑なに拒絶。

加えて彼の姉は、「バツイチなんだから、それをわきまえて、妊娠してから結婚の許しを得るべきでしょう?」と言ってきた。

思い悩む女性
写真=iStock.com/kieferpix
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kieferpix

さらに母親は、あろうことか片桐さんの両親に対しても、「バツイチの娘をうちの立派な息子にもらってもらうありがたみがわかってないわ。息子の経歴を傷つけるんだから土下座しにくるべきよ」と言った。以上、すべて片桐さんが彼から聞いたことだが、おそらく事実だろう。

「彼の母親は自分の娘が離婚しているし、姉は自分に離婚歴がある。それにかかわらず、他人の離婚歴をここまで非難できるなんて、価値観がだいぶ違う人たちだなと戸惑いました。まだ会ったこともない私に対してここまでイメージに偏りがあることに驚き、『自慢の息子』と言いながらも『息子がバツイチの女性に騙されて、お金を取られた挙げ句に捨てられるかもしれない』という心配をするということにも疑問を感じました」

彼経由で理由を聞くと姉は、

「自分も離婚しているから離婚がダメだとは言わないけど、普通、離婚したら自分の何がいけなかったか振り返るのに10年くらいは必要だし、同じ過ちをしないという保証がない限り簡単に再婚など考えられないはず。そんなすぐに再婚だなんて怪しい。またすぐに離婚する可能性がある。年老いた母を心配させるようなことはやめたほうがいい」

と言ったらしい。

「彼の姉は、離婚歴よりも再婚を考えることに不快感があるようでした。自分も離婚しているから離婚する人の気持ちは理解できるけど、再婚する人の気持ちは理解できないから反対ということなのでしょう」

それにしても彼の母親は、やたらと彼の財産を心配しているように感じる。不思議に思った片桐さんが彼に、「お母さんから『財産目当て』というワードがよく出てくるけど、あなたはそんなに資産家なの?」とたずねると、彼は言った。

「家族の中で俺が一番年収が高いというだけで、資産家なんかじゃないよ。おふくろは君が、俺の収入目当てで結婚しようとしているんじゃないかと心配しているんだと思う」

片桐さんは、「それってつまり、息子・弟の収入は自分たちのものって思ってるから、誰にも渡したくないってことなのでは……?」という疑いを持った。

■「離婚した理由を説明に来い」

それから7カ月ほど経った頃、彼経由で母親が、「離婚した理由を説明してほしいから家に来てほしい。ただし、あくまでも息子の友人として」と言っていると伝えられる。

彼はひたすら申し訳なさそうな様子だ。

片桐さんは、「つまり、ただの友人に離婚理由を聞くってことよね?」などと心の中でツッコミを入れつつ、彼の手前、断るわけにはいかないため、菓子折り持参で伺うことにした。

当時、彼の母親は70代後半。会ってみると小柄で朗らかな印象だった。片桐さんは「財産狙いの女狐め! 成敗してくれる!」みたいな老婆を想像していたため、少しほっとした。しかし応接間で話し始めた母親は、息子自慢が止まらなかった。

「上の2人の子育ての時は、働きながらだったから姑に任せっきりになってしまったけど、この子の時は専業主婦だったから、イチから私が育てたの! だからこんなに立派になったのよ!」

片桐さんは顔では笑い、「姉と兄は? 姑に育てられたから立派にならなかったの?」と心の中でツッコミを入れていると、突然、耳を疑うような言葉を母親から剛速球で投げつけられた。

「恋愛のことは教えなかったからあなたみたいな人を選んじゃって……。この子、今年厄年なのよね〜。私、あなたが厄だと思ってるのよ? まだ結婚するには若すぎるんじゃない? 家に帰ってくれば私が全部お世話してあげるんだから焦らなくていいのに……」

このとき彼は39歳。結婚するのに早すぎる年齢ではない。小柄で朗らかな第一印象とは違い、初対面の相手に面と向かって「あなたが厄」と言い切った。

「母親に恋愛について教えてもらう息子なんて気持ち悪いですよね。まだ結婚してないんだし、今からでも教えれば? と思いました」

彼はというと、自分の婚約者が母親からひどいことを言われているのに、怒ることも慌てることもなく、「またそんなこと言ってるのかよ……」と呆れるばかり。その様子から片桐さんは、「彼のお母さんはこれが通常モードなの?」と驚いていた。

1時間ほどして、ようやく片桐さんが離婚した理由についての話題になった。

「相手があることなので誰にも話さないつもりでしたが、彼が『一度だけ説明してやってくれ』というので仕方なく話しました。お互いの価値観が合わなかっただけで、特にひどいことをされたわけではないので、元夫が悪者にならないように、極力、客観的に説明するようにしたのですが……」

離婚届とボールペン
写真=iStock.com/yuruphoto
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/yuruphoto

母親は、「前の旦那さん、そんなに悪い人には思えないんだけど。そんな人と離婚するなんてワガママなんじゃないの?」と片桐さんを非難。

すると彼が「いや、でも蘭子はつらい思いをしたわけだから……」と助け船を出してくれたため、片桐さんがそれに関するエピソードを説明すると、「そうやって相手ばかり悪く言うなんて、都合がいい人ね!」とさらに不快感をあらわに。

「そこで気付きました。そもそも、誰もが納得する離婚理由なんてないんですよね。浮気やDV、借金などの十分に離婚の理由になることが原因だとしても、『されるほうにも問題あるよね?』と言う人もいるのですから……。離婚理由を聞いてから結婚を認めるかどうか判断するというのは建前で、徹底的に反対するネタを集めるためだけのイベントに過ぎなかったのです」

■離婚は恥ずかしく恐ろしいもの

挙げ句の果てに、母親はこう言った。

「そんな離婚理由なら、うちの息子が離婚されない保証はどこにもないから結婚は認められないわ。それに、前の旦那さんが息子を殺しにきたらどうしてくれるの?」

あまりにも飛躍した妄想に、片桐さんは呆気にとられてしまう。

「彼が私と離婚したくなる可能性だってあるのに、一貫して私から離婚を切り出すと決めつけてくることが不思議でした。後から気付いたのは、彼の母親は彼の姉の離婚歴をとても恥じていたから、絶対に息子をバツイチにさせたくなかったということです。そして、自分が手塩にかけて育てた優しい息子だから、息子から離婚を切り出すことはありえないと思っていたのかもしれません」

母親が「元夫が殺しに来る」などという極端な妄想をしたのは理由があった。

プライドが高く、自分が一番でないと気が済まない性格の彼の姉は、両親からの猛烈な反対を押し切って、大学時代の先輩と30歳の時に結婚した。その割には翌年息子を出産した後、金銭問題や子育てに対する考え方の違いからまもなく別居状態になり、揉めに揉めて、3年ほどかけてやっと離婚に至ったという。その途中、元夫から姉への暴力行為があっただけでなく、実家に来るたびに姉が口走る「あいつ、殺してやりたい!」などと愚痴とも呪詛ともつかぬ言葉を母親は聞かされていたため、「離婚は恐ろしいもの」というイメージが植え付けられてしまったようだ。

片桐さんの離婚理由を聞いた後、母親は息子の大学の卒業証書まで持ち出して、息子がどれだけ優秀だったか、どれだけ母親思いの良い息子なのかをひとしきり話し、

「こんなに優秀な子だってこと、蘭子さんわかってる? この子を大学院まで出すために、私もパートで頑張ったのよ〜」

と“自慢の息子のために頑張った母親”アピールをし始めた。

しかしそこで彼が、「え? あの頃おふくろがパートに出たのって、俺の学費のためだったの?」と驚くと、

「ううん! ううん! 違うの! お母さんのお小遣いになると思って、ちょっとパートに出てただけよ!」

と突然息子に媚を売るような口調と仕草に豹変。片桐さんは面食らった。

顔を手で覆っている女性
写真=iStock.com/kieferpix
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kieferpix

帰り際、母親は「これからもお・と・も・だ・ちとして、息子と仲良くしてやってね」と釘を刺しつつ見送った。

2人になると彼は、「ごめんね。ありがとうね。あとは俺が説得がんばるからね」と改めて結婚への決意表明をした。このときの片桐さんは、まさか入籍まで3年もかかるとは思っていなかった。

(以下、後編へ続く)

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旦木 瑞穂(たんぎ・みずほ)
ライター・グラフィックデザイナー
愛知県出身。印刷会社や広告代理店でグラフィックデザイナー、アートディレクターなどを務め、2015年に独立。グルメ・イベント記事や、葬儀・お墓・介護など終活に関する連載の執筆のほか、パンフレットやガイドブックなどの企画編集、グラフィックデザイン、イラスト制作などを行う。主な執筆媒体は、東洋経済オンライン「子育てと介護 ダブルケアの現実」、毎日新聞出版『サンデー毎日「完璧な終活」』、産経新聞出版『終活読本ソナエ』、日経BP 日経ARIA「今から始める『親』のこと」、朝日新聞出版『AERA.』、鎌倉新書『月刊「仏事」』、高齢者住宅新聞社『エルダリープレス』、インプレス「シニアガイド」など。

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(ライター・グラフィックデザイナー 旦木 瑞穂)

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