バカほど「何時間勉強すれば東大に入れますか」と聞く…「勉強しても成績が上がらない」と悩む人の根本的誤解
プレジデントオンライン / 2023年12月7日 10時15分
※本稿は、西岡壱誠『東大モチベーション 勉強のやる気がすぐ起きて→ずっと続く方法』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
■「何時間勉強すれば東大に入れるか」とよく聞かれる
突然ですが、東大生が目の前にいたとしたらどんな質問をしますか?
僕はよく、学校でお話をさせていただきます。そのようなとき、必ずと言っていいほど受けるのは、以下の質問です。
「何時間くらい勉強すればいいですか?」
「何時間くらい勉強すれば東大に合格できますか?」
まあ確かに気になりますよね。
どれくらいやれば受かるのか、知りたいと考えるのは自然なことです。
でもこの質問って、よく考えたらおかしいと思いませんか?
だって、「時間をかけたら勉強ができるようになる」わけじゃないですよね?
たとえば、みなさんが4時間勉強したとして、そのうち2時間わからない問題をずっと考えていたとします。2時間ずっと、「うーん、うーん」と唸っていて、それで半分勉強時間が消えているのであれば、その時間にはなんの意味もないですよね。
ただただ頭を捻って考えているだけで2時間経過……。ハッキリ言うと時間のムダです。そういう時間が何時間累積したって意味がありません。
■「机に向かっている時間」を計っても意味はない
もっと言いましょう。昨日みなさんは何時間勉強しましたか?
そしてその勉強時間が仮に3時間だったとして、その3時間のうち、どれくらい本気で、なんのジャマも入らず、スマホもいじったりせずに、きちんと3時間勉強できましたか?
おそらく、こう聞かれると「3時間」とは答えにくいですよね。
つまり、「机に向かっている時間」は計れるのですが、そのうちどれくらいが自分の本当の勉強時間なのかはわからないのです。
だから東大生に「どれくらい机に向かっていたのか」と聞いても意味はありませんし、みなさんも、ただ机に向かっている時間だけを計ることに意味はないのです。
結局、そうやって机に向かっている時間で考えていると、「勉強しているのに成績が上がらない!」「がんばっても結果が出ない!」ということになります。
■ストップウォッチで「本気の時間」を計る
「勉強しているのに成績が上がらない!」のはなぜか?
答えは簡単です。単純に勉強に身が入っていない場合が多いのです。
僕もそうでした。
ちょっとよそ見したり、遊んだり、別のことを考えたり。本当の意味での勉強時間が少ないから成績が上がらないのです。
つまり、勉強時間自体に目を向けること自体、あまり意味がないですし、勉強の効果を上げることにはならないのです。
では、本当の意味での勉強時間を増やすにはどうしたらいいか?
オススメなのは、ストップウォッチを使った勉強です。
ストップウォッチを用意して、「自分の本気になって努力した時間」だけを計ります。
ちょっと余談ですが、このように、周りについているムダなものをすべて落とした中身のことを「正味(しょうみ)」と言います。
『デジタル大辞泉』(小学館)で意味を調べると、
「余分なものを取り除いた、物の本当の中身。」
とあります。
つまり、勉強時間で大切なのは「正味」です。
「正味」の時間が長ければ長いほど、成績が上がる勉強と言えるわけです。
正味の時間を計るために、ストップウォッチを使います。
・勉強に集中している時間はストップウォッチを進める
・ちょっとスマホを見る時間には止める
・机の前だけではなく、行き帰りの電車の中でも集中していたら進める
・でも友達に話しかけられたら止める
こうやって、「自分の本気になって努力した時間」だけを抽出してみましょう。
■「勉強したつもり」になっている人は多い
ストップウォッチは、自分の本当の努力を可視化してくれます。
「ちゃんと本気になっていると自分が感じた時間だけを計ってみる」というルールを決めます。すると、こんなことに気づくことができます。
・ぜんぜん時間が稼げない
・ちゃんと身が入った勉強をしていない
僕もストップウォッチで計らないで勉強していたときは、「毎日3時間くらい勉強しているかな?」と思っていました。
実際測ってみたら「なんと⁉ 1時間も勉強していないじゃん!」となりました。
多くの人は、「勉強しているつもり」になっていることが多いです。でも実際は、ぜんぜん勉強に集中できていないことが多いのです。
だからこそ、自分の「本当の」勉強時間を計ってみましょう。
そして、その勉強時間のほうを増やす訓練をしてみましょう。
その時間が長ければ、必ず成績も上がるはずです!
■SNSで「他人から見てもらう」
人間は、「一人でがんばるのは難しい。だけど、誰かが見ているとがんばれる」という側面を持っています。
誰かから見られているという意識があると、そうでない場合と比べて、1.5倍程度の力を発揮できると言われているのです。
たとえば、工事現場では人の「目」のかたちのシールが貼られている場合が多いです。これは、働いている作業員が「誰かから見られている」という意識があると、ミスしにくくなると言われているからです。
実際、目のシールを貼っている現場とそうでない現場とでは、事故率が1.5倍程度違うと言われています。
ということで、自分を「他人から見てもらうことで縛る」という方法は、とてもオススメなのです。
具体的には、「自分はこんなことをしたんだ」ということをSNSなどで表明します。SNSは世界中の人とつながるためのツールです。ということは、SNSで発信した時点で、世界中の人がみなさんの勉強の成果を見ているわけです。
そう考えると、1.5倍どころじゃなく、もっと力を発揮できそうな気がしませんか?
■受験勉強で「恥をかく」ことは重要
実際、東大合格をめざす受験生の中には、周りから応援してもらうために、ブログやX、YouTubeで自分の勉強記録を発表している人がいます。
そして、このような受験生の合格率は高くなる傾向があります。
特にXとInstagramには「勉強垢」と呼ばれる受験生のアカウントや、浪人生の人たちのアカウントが数多く存在しています。自分の勉強記録や成績を上げつつ交流しています。東大生も数多くの人が、こうしたアカウントを作って勉強していたそうです。
さて、このような受験生は、一体この行為によって、具体的に「何を」得ているのでしょうか?
一見なんの意味もなさそうな「発信活動」ですが、こうやって他人から見てもらうことにはどんなプラスの効果があるのでしょうか?
それは、「恥をかくことができる」ということです。
できれば恥はかかずに生きたいですよね? でも、この「恥をかく」というのはとっても大切なことなんです。
■自分より格上の受験生を見つけてモチベーションを上げる
実はこれ、僕もやっていた方法なんです。
大学合格をめざすXのアカウントはとても多いです。そのアカウントでは、自分の志望校と、模試の成績・順位や点数を写真でアップしています。
自分の勉強の記録や成績を、どんどんX上にアップして、解けた問題も解けなかった問題も、いい成績も悪い成績も、誰かが見ることができる状態にするわけです。
そうするとSNS上では、同じ目標を持った受験生がたくさんいることがわかります。そして、自分よりもいい成績の人がたくさんいることや、自分が解けなかった問題を簡単に解いてしまう人に出会うことができます。
「自分より勉強している誰か」と出会えて、そういう人にも自分の勉強記録が見られるわけです。
逆に、自分の恥ずかしいミスなんかも他人に知ってもらうことができるわけです。
そうやって「恥ずかしい」という意識を持つと、「自分は何をやっているんだ」「きちんと自分もがんばらなければ」という意識が生まれるわけです。
周りと比較して「勝とう」とする意識というのは、それだけでモチベーションになるのです。
■ライバルがいることでより上を目指そうと思える
自分よりも強い人に勝ちたい。誰かに負けたくない。
少年マンガでも、ライバルの存在が主人公を成長させますよね。
「自分は最強だ」と思っていると、なかなか努力するモチベーションは生まれません。しかし、「自分より強いヤツがいる」と思うと、努力するモチベーションが生まれる。相手がいるから強くなる。これはどんな物事においても同じなのです。
先ほど紹介した、東大をはじめとする難関大学をめざす受験生がXをやっているという話には、ある背景もあります。
実は、やっている受験生の傾向を見ると、周りに難関大学をめざす人が少ない地域、たとえば、地方に住んでいる受験生が多いそうです。
そういう場所では自分が一番! つまり、「お山の大将」になってしまう場合が多いです。
自分より上の人がいないから、より上をめざそうという気概が生まれません。
でも、Xに行けば自分なんかよりももっと上の人たちがゴロゴロいる。それを知り、「自分なんかまだまだだ」と理解するためにXをやる。このようなライバル作りは、とても大切な行為だと言えます。
SNSで自分の勉強を発信すること。
これは結構大変かもしれませんが、重要なことです。
ぜひやってみてください!
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東京大学経済学部4年 カルぺ・ディエム代表
1996年生まれ。偏差値35の無名校から東大を目指すものの、2年連続で不合格に。二浪中、独自のスマホ勉強術を駆使して東大合格を果たす。自身のノウハウを全国の高校生に教える傍ら、人気漫画『ドラゴン桜2』(講談社)に情報提供を行う「ドラゴン桜2 東大生チーム『東龍門』」のプロジェクトリーダーも務める。『東大式スマホ勉強術』(文藝春秋)、『東大思考』『東大読書』など著書多数。
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(東京大学経済学部4年 カルぺ・ディエム代表 西岡 壱誠)
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