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ダメな人は部下のミスに対して「ほらね」と言うのと正反対…人間関係を絶えず好転させる人の"ひねりの4文字"

プレジデントオンライン / 2023年12月5日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/MicroStockHub

口は災いの元という。話す言葉によって、相手が受ける印象ががらりと変化することがある。伝わる表現アドバイザーで産業カウンセラーの山本衣奈子さんは「何かうまくいかないことが起こったとき『ほらね、やっぱり』と言う人がいます。これは自分の考え方が正しいということを主張するための言葉で、遠回しに違う意見や考え方を否定しています」という――。

※本稿は、山本衣奈子『「気がきく人」と「気がきかない人」の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

■気がきく人は「念のため」と言い、気がきかない人は「前にも言ったけど」と言う

人間誰しも、時間が経てば記憶は薄れ、覚えていたはずのことがいつの間にか頭の中から消えている、なんてことがあるものです。

いくらこちらが忘れないでほしいと思ったとしても、相手の頭の中をコントロールできるわけではなく、うっかり忘れられてしまうことはよくあります。

気がきかない人は、相手が忘れることを許せず、場合によっては非常に腹を立てて相手を責め立てたりすることがあります。

もちろん、約束事など相手が関わっていることを忘れずにいることは大切なことですし、忘れないように工夫することも必要です。けれども、わざと忘れたわけではないのに必要以上に強く言われることは、不要な言い合いを招きやすくなります。

これはそもそも、「ちゃんと伝えたのだから、忘れないはずだ」という考えが引き起こしていると言えます。その考え方が「忘れないはずのことを忘れているなんてどういうことだ」という怒りを生み出しているのです。

その点、気がきく人は、最初から「忘れることもあるかもしれない」と考え、相手が忘れる可能性を考慮しています。

ですから、どんなことも投げっぱなしにはせず、確認を丁寧に行います。その際によく使っているのが、「念のため」という言葉です。

「忘れるかもしれない」と思っているとしても、あまりにしつこく確認をしては、相手に「信用していない」という印象を与えかねません。

心理学に「自己成就的予言」というものがあります。これは、アメリカの社会学者ロバート・K・マートンが提唱したもので、未来の出来事に対して「こうなるだろう」と予測すると、仮にそれがその通りではなかったとしても、予測した人の行動を通して現実化するというものです。

例えば、「きっと試験に失敗するだろう」と繰り返し考えていると、その不安が集中の邪魔をして勉強時間に悪影響を与え、結局失敗してしまいやすくなるのです。

だからこそ、「念のため」なのです。

「念のため」には「万が一に備えて」という意味があります。「忘れるかもしれない」という予測を現実化させないために、あえて言葉で予測を断ち切るような効果があります。

「念のためもう一度言っておくね」
「念のため確認してもいい?」

こういった言い方は相手に対する信用を前提として伝わります。

同じ確認でも、「前にも言ったけど」といった言い回しを使うと、忘れることが前提に変わってしまい、「忘れると思うからもう一度言う」という意味を含めて相手に伝えることになります。これが責められているような印象となって受け取られやすいのです。

「念のため」という言葉は、聞きにくいことを聞きたい場合にも使うことができます。

私はコールセンターで働いていたころ、名前や電話番号や住所などを聞くときに必ずつけるようにしていました。というのも、手続き上必要とはいえ新規ではないお客さまには、「電話番号も住所ももう知っているはずなのにどうしてまた聞かれなければならないのか」といういらだちを感じさせることがあったからです。

ただ尋ねるだけだと、「もうそっちでわかってるはずでしょ。どうして何度も聞くわけ?」と言われてしまうことも少なくなかったのですが、「念のためにお伺いしてもいいでしょうか」と尋ねると、ほとんどの場合すっと答えてくれました。

「念のため」には、自分のためにというより、おたがいの安心のために伝えているという印象を与える効果があります。確認や依頼の際には特に、この言葉を取り入れてみることをおすすめします。

★気がきく人は、「念のため」をうまく使う!

■気がきく人は「とはいえ」と言い、気がきかない人は「ほらね」と言う

どんな物事も、見方によって見え方は変わります。例えば、シマウマを見て「黒地に白の縞」と見ることもできれば、「白地に黒の縞」と見ることもできます。

物事の見方・言い方は、その人次第で自由に変えることができるものです。

ところが、気がきかない人は、違う見方があることを忘れ、つい1つの見方や考え方に捉われてしまいます。「こうだからこう」と一旦決めてしまうと、そこから離れることができず、相手を不快な気分にさせてしまうことも少なくありません。

それを象徴するのが、気がきかない人がよく言う「ほらね」という口癖です。

何かうまくいかないことがあると「ほらね、言った通りでしょう」
相手に不満を持つと「ほらね、やっぱりあなたってそういう人だよね」
ミスが起きると「ほらね、そうなると思ってたよ」

ここに隠されているのは、「ほらね、私は間違っていない」という考え方です。これは自分の見方や考え方が正しいということを主張するための言葉で、遠回しに違う意見や考え方を否定しています。これでは言われた方ももちろん面白くありませんから、人間関係に影を落とすきっかけになったりします。

それに対して、気がきく人は、物の見方や言葉を転換させることがとても上手です。つねに物事を多角的に見て考える習慣があるので、口癖でも「とはいえ」という言葉が頻繁に出てきます。

何かうまくいかないことがあっても「とはいえ、ここはうまくいったよね」
相手に不満を持っても「とはいえ、本音が聞けてよかったよ」
ミスが起きても「とはいえ、このくらいで済んだのは不幸中の幸いだよね」

自分の考え方に捉われることなく、相手を認め、相手の見方も尊重する意識が伝わるため、落ち着いた穏やかなやりとりをすることができます。

気がきく人は、言ってみれば、“七色のメガネ”を持っているのです。これは、七色にレンズが変化するメガネです。どの色のレンズを通して見ているかで、世界は変わって見えると知っています。ですから、自分の好きな色だけではなく、様々な色を通して見て、偏りのない見方をすることを心がけています。

気がきかない人は、一色、しかも色の濃いサングラスをかけて世の中を見ています。全体的にダークな色味の中で、場合によってはよく見えていないことすらあります。そのため、今見えているものの状態や雰囲気を、「きっとこうだろう」という予測で決めつけてしまっているのです。

山本衣奈子『「気がきく人」と「気がきかない人」の習慣』(明日香出版社)
山本衣奈子『「気がきく人」と「気がきかない人」の習慣』(明日香出版社)

気がきく人がしているように、サングラスから七色のメガネに掛け替えるには、次の「リアプレイザル」や「リフレーミング」を意識するのが有効です。

リアプレイザル=「再評価」ネガティブな感情を再評価して、新たな意味づけをする
リフレーミング=「枠組みを変える」枠組みを外して、別の視点・捉え方で見つめる

例えば、嫌なことをされて「なんて失礼なんだ!」と考えるのではなく、「何か辛いことでもあってイライラしているのかな」と転換させるのがリアプレイザル的方法。「あの人って落ち着きがないよね」ではなく「あの人は行動力があるよね」と転換させるのがリフレーミング的方法。どちらも、“捉え方を変える”という意味では同じ考え方です。

そういった考え方に近づけてくれるのが「とはいえ」という言葉です。違う捉え方を生み、決めつけによる誤解や争いを減らすことができる言葉で、気がきく人がよく使います。ネガティブな想いが生まれたら、まずこれをつぶやいてみることを習慣にしてみましょう。

★気がきく人は、相手を認め尊重する!

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山本 衣奈子(やまもと・えなこ)
産業カウンセラー、E-ComWorks代表
「伝わる伝え方」の研究を重ねながらサービス業、接客、受付、営業、クレーム応対等の業務にて30社以上に勤務。コミュニケーション術の講師として企業や官公庁を中心に、コミュニケーション研修、プレゼンテーション研修、セルフマネジメント研修、マナー研修等を実施。年間180回近い企業研修や講演を行う。

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(産業カウンセラー、E-ComWorks代表 山本 衣奈子)

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