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「インターネット」を子供に説明するにはどうすべきか…仕事のできる人は知っている”会話術の極意8つ”

プレジデントオンライン / 2023年12月12日 13時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/chachamal

「話が分かりやすい人」はどんなことに気をつけているのか。経営コンサルタントの安達裕哉さんは「話のわかりやすさは『相手の立場から自分の話を見ることができるかどうか』に尽きる。相手の理解のスピードに合わせられなければ、どれだけ話が上手くても意味はない」という――。(第1回)

※本稿は、安達裕哉『仕事ができる人が見えないところで必ずしていること』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。

■「話がわかりやすい人」はなにを意識しているのか

うまく仕事を進めるコツは、他者に自分の話を十分に理解してもらうことだ。しかし、自分がよい話し手かどうかを見極めることは難しい。観察をすると、話のわかりやすさにはかなり個人差があるが、いったいなぜ、話のわかりやすい人と、わかりにくい人がいるのか、私にはよくわからなかった。「生まれつき」なのだろうか?

または「訓練」によるものなのだろうか? だが、いろいろな人と話すと、要は「サービス精神」の違いなのではと思うようになった。巷にはいろいろと「話し方」に関する講座があふれているが、細かいテクニックよりも、結局のところ、話のわかりやすさは「相手の立場から自分の話を見ることができるかどうか」に尽きる。

よって、「話がわかりやすい人」になるためには、次の8つが重要である。

1.「過程」から話すか、「結論」から話すか
2.「抽象的」に話すか、「具体的」に話すか
3.「自分が話したいこと」を話すか、「聞かれたこと」を話すか
4.「一律の表現を使う」か、「相手の反応を見て言葉を変える」か
5.「詳細から入る」か、「全体から入る」か
6.「自分のペースで話す」か、「相手の理解スピードに合わせて話す」か
7.「こそあど言葉を多用する」か、「こそあど言葉を避ける」か
8.「話が途中で脱線する」か、「話を完結させてから次の話題に移る」か

■「打ち合わせの結果は?」にどう応答すべきか

【話がわかりやすい人とわかりにくい人の違い】
1.「過程」から話すか、「結論」から話すか
例:「今日の打ち合わせの結果はどうだった?」と聞かれたとき

【話のわかりにくい人】

「最初に今期の売上目標の達成率についての議題がありまして、鈴木さんが達成状況を報告しました。そして次に山下さんからお客さんからのクレームについて相談が……」と、話の過程を一つひとつ述べる。小説や映画など、「過程」を楽しむ場合はいいのだが、これは「わかりやすい話」ではない。多くの場合、仕事において聞き手は過程を知りたいわけではなく、結果を知りたいのだ。

【話のわかりやすい人】

「うまくいきました。部長が指示を出されていた案件は、うちがやることになりました。過程をご説明します。まず……」「イマイチでした。部長の指示通りにいきませんでした。実は……」と結論から話す。

【話がわかりやすい人とわかりにくい人の違い】
2.「抽象的」に話すか、「具体的」に話すか
例:「仕事の優先度はどのようにつける?」と質問されたとき

【話のわかりにくい人】

「早くやらなくちゃいけない仕事や、大事な仕事、あとは早く片づけられそうな仕事の優先度を高めます」と回答する。これは「早くやらなくちゃいけない」「大事な」「早く片づけられそうな」の中身が判然とせず、話が抽象的でよくわからない。

【話のわかりやすい人】

「まず、タスクを書き出します。それら1つひとつに納期と、重要度を1〜3の三段階に分けて書きます。納期までの日数と、重要度を掛け算して、数値の高いほうから並べます。それを優先度とします」と、具体的に回答する。

■「起きたこと」をすべて話す必要はない

【話がわかりやすい人とわかりにくい人の違い】
3.「自分が話したいこと」を話すか、「聞かれたこと」を話すか
例:「今日はどのお客さんのところに行った?」と聞かれたとき

【話のわかりにくい人】

「A社ではすごい話が盛り上がりまして、よかったです。B社は担当者が不在で、連絡先を教えてもらって、やっとつかまりました……」と、聞かれていない部分についての話が長い。もちろん日常会話としては悪くないが、仕事においては聞き手をイラつかせる可能性もあり、話のわかりやすさはいまひとつである。

【話のわかりやすい人】

「A社、B社、C社を回りました」とだけ、簡潔に答える。話は「聞かれたこと」を簡潔に答えるほうがいい。相手が知りたいことがはっきりしていれば、それに相手が知りたそうなプラスアルファの情報、たとえば「今日訪問した3社のうち、B社とC社はかなり受注の見込みが高いと思います」と、付け加えるのもいい。

会議
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

■専門用語をどう使いこなせばいいか

【話がわかりやすい人とわかりにくい人の違い】
4.「一律の表現を使う」か、「相手の反応を見て言葉を変える」か
例:「今期の業績はどうですか?」と聞かれたとき

【話のわかりにくい人】

「そうですね、粗利は増加したのですが、販管費がそれ以上に伸びてしまって、結局、今のところ営業利益は昨対比マイナスですよ」相手によらず、一律の言葉、一律の表現を使いがちな人は「わかりにくい話」をする人である可能性が高い。とくに専門用語を使う際は要注意である。

【話のわかりやすい人】

「粗利は増加したのですが……、あっ、会計の用語はわかりますか? ……苦手ですか? すみません。ではもう少し砕けた言葉で説明します。結局、恥ずかしながら今期はあまり儲かっていません。広告にお金をかけすぎてしまって……」

専門用語を使いたいとき、専門用語を出して聞き手の顔が曇ったら、次から専門用語ではない言葉を使う。逆に、相手がその用語を理解しているようであれば、積極的に使ってみる。話すときは聞き手の反応を見て、リアルタイムに使う言葉を変えるのがいいだろう。

■細部から説明を始めてはいけない

【話がわかりやすい人とわかりにくい人の違い】
5.「詳細から入る」か、「全体から入る」か
例:「将棋」を知らない人に将棋のやり方を伝えるとき

【話のわかりにくい人】

「では、駒の動かし方から説明します。この『歩』という駒は、前に1つだけ進むことができます。次にこの『飛車』という駒ですが、十字にどこまでも動けます。次に……」

いきなり「駒の動かし方」や「成なりのルール」から説明したり、あるいは二歩などの「反則」についての説明を入れてしまったりと、全体を意識しないで詳細から話す。

【話のわかりやすい人】

「将棋というゲームの目的は、自分の駒を動かして、相手の王という駒を取ることです。相手の駒があるマスに自分の駒を進めると、相手の駒を取ることができます。駒によって移動できる範囲が違います。駒の種類は……」

まず「2人でやるゲーム」「駒を動かして、相手の王様を取れば勝ち」というもっとも大きなルールを相手に伝える。次いで、「駒の種類」「最初の駒の並べ方」「駒の動かし方」「駒の取り方」「取った駒の使い方」といった具合に、全体から詳細へと順番に説明をしていく。理解に役立つイメージの共有は、やはり全体像から説明されることで可能になる。話は全体から入るようにする。

プレゼンテーション
写真=iStock.com/Cecilie_Arcurs
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Cecilie_Arcurs

■“難しい話”は相手の理解度を探ることが重要

【話がわかりやすい人とわかりにくい人の違い】
6.「自分のペースで話す」か、「相手の理解スピードに合わせて話す」か
例:「インターネットとは何か?」を、小学生くらいの子どもに説明するとき

【話のわかりにくい人】

「世界中のコンピュータが、特定の通信方式でつながったネットワークをインターネットと呼ぶ」。これでは、相手はなんのことだかさっぱりわからない。相手の理解の速度を考えないからである。相手は複数のことを同時に理解しなければならないので、話についていくだけで大変である。

【話のわかりやすい人】

「コンピュータってわかる?」から始める。子どもが「家にあるパソコン」とか、「学校で見たキーボードのついている機械」「スマートフォン」などを想像したら、次に「じゃあ、コンピュータ同士って、つながっているよね?」と、メールなどの事例を挙げて伝える。それを相手がわかったら、最後に「そういうコンピュータ同士がつながったものを“インターネット”って呼ぶんだよ」と伝える。途中で相手の理解を確かめるために、「ここまでは大丈夫?」などと聞いて共有することも大切である。

話は相手の理解のスピードに合わせよう。

■「こそあど言葉」はNG

【話がわかりやすい人とわかりにくい人の違い】
7.「こそあど言葉を多用する」か、「こそあど言葉を避ける」か
例:申請書を部長に渡してほしいとき

【話のわかりにくい人】

「これをあの人に渡しておいて」と言う。現在の状況をかなり共有できていない限り、「これ」「あの」がなんだかわからない。「こそあど言葉」とは、「これ」「それ」「あれ」「どれ」に代表されるような指示代名詞の総称で、便利ではあるが、なるべく「こそあど言葉」を避けよう。

【話のわかりやすい人】

こそあど言葉を使用せず、「申請書を部長に渡しておいて」と言う。

ビジネスパーソン
写真=iStock.com/kazuma seki
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【話がわかりやすい人とわかりにくい人の違い】
8.「話が途中で脱線する」か、「話を完結させてから次の話題に移る」か
例:システムトラブルが起きた際に、役割分担についての話をするとき

【話のわかりにくい人】

「役割分担」を相談している最中に突然、「あ、次のユーザーテストはいつでしたっけ?」と、本来「役割分担」をしたうえでするべき話題を持ち出す。話が脱線すると、そもそもなんの話をしていたかについて立ち返ることが必要になり、時間もロスする。

【話のわかりやすい人】

「ある話題」がきちんと終わってから「次の話題」に移る。わかりやすく話をするには1つの会話を終わらせてから、次の会話を始めなければならない。

【見えないところで必ずしていること】
相手の立場から、自分の話を見ることができる

■コミュニケーションにおける「3つの障害」

人に何かをわかってもらうためにコミュニケーションをとるのは、毎日の生活や社会活動の基本だ。振り返ってみると、人は1日中、誰かに何かをわかってもらおうとしている。

・通勤時、狭いところを通りたいとき
・会社で、部下に報告書をあげるように依頼するとき
・営業で、お客さんに自社の製品のよさを売り込むとき
・会社を出て、家族に帰宅の時間を知らせるとき
・家に帰って、子どもに「勉強したほうがいい」と伝えるとき

しかし、誰かに、何かを伝えるのはほんとうに大変だ。

ちょっとしたことなら、言えばすぐに相手もわかってくれるが、うまくいかないときも多い。相手に依頼をするとき、あるいはこちらの気持ちを伝えるとき、正確に相手に伝わらず、「なんで言ってもわかってもらえないのか」とため息をもらす人も多いだろう。ではなぜ、言ってもわかってもらえないのか? これは多くの場合は言葉の不自由さに起因する。

オフィスで頭を抱える人
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

伝えたいことに対して、適切な言葉を選択することが難しいため、コミュニケーション障害が発生するのだ。コミュニケーション障害は、大別すると3つある。

(1)言っていることの意味がわからない
(2)言っていることを誤解する
(3)言っていることはわかるが、理解したくない。やりたくない

■わざわざ分かりにくい言葉を使う必要はない

コミュニケーション障害(1)
言っていることの意味がわからない

たとえば、「アンケート結果を『しゅうれん』させます」と書いても、ほとんどの人はこれを理解しないだろう。ちなみに、「しゅうれん」は「収斂」と書き、「まとめる」意味だ。言葉は相手の語彙(ごい)のなかから選択せねばならず、相手の頭のなかにある語彙にない言葉を使うときは、その言葉を調べるように、とくに注意を向けさせる工夫が必要である。だが、これだけであれば、わかりやすい言葉を注意深く使えば、解決はできる。

ほんとうに問題なのは、言葉の意味がわからないことではなく、「その言葉が示すことを経験したことがない」というときだ。具体的に言えば、「頑張ったら報われる」という言葉は、頑張ったことのない人、報われたことのない人には理解されない。

「オレの言う通りやればうまくいく」という言葉も一緒である。「オレの言うことをやったことのない人、うまくいったことのない人」にそれは理解されない。したがって、言葉の意味をわかってもらおうとしたら、その人の経験にある出来事、言葉を使わなければ正確には理解されない。

■「誤解を招く発言」の責任は本人にある

コミュニケーション障害(2)
言っていることを誤解する

これは、なにかと政治家や組織のトップの失言がスキャンダラスに取り上げられるときに起きる。「差別だ」だったり、「弱者を見下している」などと批判されることも多い。本人は「誤解」だとか「真意が伝わっていない」などと言っているが、この事件はコミュニケーションの本質に関わるものだ。すなわち、「コミュニケーションにおいて生じた誤解は、多くの場合、発言した本人の責任になる」ということである。

安達裕哉『仕事ができる人が見えないところで必ずしていること』(日本実業出版社)
安達裕哉『仕事ができる人が見えないところで必ずしていること』(日本実業出版社)

しかも、1つ目の「言っていることの意味がわからない」よりも、「誤解」はさらにたちが悪い。意味がわからないのであれば、「わからない」と言ったり、無視することができたりするが、誤解は文字通り誤った解釈によって、自分が意図しない行動を引き起こす可能性がある。誤解を招かないよう、コミュニケーションの途中では必ず、どのようにこちらの発言を理解しているかを常に相手に聞き、フィードバックを受けなければいけない。

それが不可能な場合、たとえば公の場での発言や、セミナー等では、発言の誤解によって起こる結果を引き受ける覚悟を決めなくてはいけない。

■意味を伝えるだけがコミュニケーションではない

コミュニケーション障害(3)
言っていることはわかるが、理解したくない。やりたくない

コミュニケーションをする場合、本質的にそれは、相手への要求がセットとなる。要求のやり方が悪ければ、それは相手にとって「言葉の意味はわかるが、やりたくない」という感情的な結果を引き起こす。

また、「意図的にその要求を無視する」という結果になる。このときに重要なのは、英語で「デリバリースキル」と言われるスキルだ。これは、いわゆる言い方やプレゼンテーションの手法に相当するものである。企業などの組織においては、評価の時期になるとコミュニケーションに悩む人が多いが、原因ははっきりしている。それは、相手の価値観を変えさせるような行為は、受け手を支配しようとしていると、とらえられてしまうからだ。

したがって、相手の価値観を否定せず、相手の価値観に合致するような要求をうまくつくり出すことが、話し手に求められている。言い方を工夫しなくてはならないのは、このためだ。コミュニケーションは受け手が聞く姿勢になっていなければならない。この認識こそが、言ったことを間違いなく伝えるために必要なすべてのことを教えてくれる。

【見えないところで必ずしていること】
相手の価値観に合致する要求をつくり出す

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安達 裕哉(あだち・ゆうや)
経営コンサルタント
1975年東京都生まれ。筑波大学環境科学研究科修了。デロイト トーマツ コンサルティング(現アビームコンサルティング)で12年間経営コンサルティングに従事し、社内ベンチャーの立ち上げにも参画。東京支社長、大阪支社長を歴任。その後独立し、オウンドメディア支援の「ティネクト株式会社」を設立。コンサルティング、webメディアの運営支援、記事執筆などを行う。著書に『仕事で必要な「本当のコミュニケーション能力」はどう身につければいいのか?』、『仕事ができる人が見えないところで必ずしていること』(ともに日本実業出版社)、『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)などがある。

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(経営コンサルタント 安達 裕哉)

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