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「アロハシャツで出勤して、ニコニコ仕事をしよう」今の50代が"定年後の20年間"を謳歌するために必要なこと

プレジデントオンライン / 2023年12月12日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/hartphotography

50代はどんな働き方をするのが理想的か。医師の和田秀樹さんは「50代の10年間は定年後の助走期間だ。軽やかな気持ちで乗り切れるといい。そのためには、ちょっとした工夫で毎日に変化をつけることが大切だ」という――。

※本稿は、和田秀樹『50歳からの脳老化を防ぐ脱マンネリ思考』(マガジンハウス新書)の一部を再編集したものです。

■「変化を好まない」ようになったら黄信号

今回は「意欲の低下」について考えてみます。

理由は2つあります。

1つはまず、意欲を生み出す脳とされる前頭葉の機能は20代をピークに低下していくからです。

まだもの忘れもそれほどひどくなく、思考力や計算力だって衰えを感じない50代にしてみれば、「もう脳の老化が始まってしまうのか」と驚くかもしれませんが、前頭葉だけは違います。思考力や論理力や計算力を受け持つほかの部位に比べて、その機能が低下するのが早いのです。

20代をピークに下り坂を迎えてしまいますから、早い人は40代から、50代ともなれば意欲の低下をはっきりと自覚する人が増えてきます。決して他人事ではないということです。

たとえば「変化を好まない」とか、ふだんの習慣や前例踏襲を守ろうとするといった心の動きもそのひとつです。「いつもと同じ」がいちばん安心できるようになってきます。

当然、何か新しいことをやってみようとか、「ものは試し」という発想が減ってきます。好奇心も薄れてきますから、一日が漫然と流れてしまい、本人はそのことでむしろ安心するようになります。

もちろん前頭葉にはさまざまな機能があって、たとえば感情のコントロールなどもその一つですが、機能が低下することでちょっとしたことで腹を立てたり、自分の意見に固執するようになります。ひとことでいえばだんだん頑固になってくるのです。

■「会社時代は良かったな」と過去を懐かしむだけになる

2つめの理由は、意欲が低下してしまったら、定年までの10年間はもちろん、その後の自由になれるはずの人生も輝きを失ってしまうからです。ただ漫然といつもと同じ日課を繰り返し、新しいことを始めてみようとか、面白そうだ、楽しそうだと新しい世界に興味を持つこともなくなります。

ふだんの仕事だっていままでのやり方に固執し、人間関係も固定して飽き飽きするような毎日になります。でも本人はそれで安心しているのですから意欲の低下には気がつきません。定年後の人生にもとくにワクワクすることもないでしょう。

これではせっかくの自由が手に入っても、「会社時代は良かったな」と過去を懐かしむだけになります。自由を謳歌(おうか)するどころか、不自由だった時代を懐かしむようになったら定年後の20年はたちまち色褪せたものになってくるはずです。

■50代になったら「毎日の業務」で消耗してはいけない

残りの会社人生を定年後の準備期間と割り切るためには、毎日の仕事に対してできるだけ気楽に、しかも新鮮な気持ちで向き合う必要があります。

これは当然のことで、毎日の仕事が重苦しく、うんざりするほど飽きてしまえば、会社に行くだけで苦痛になります。まだまだ現役、しかもベテラン社員としてそれなりの成果や実績を積み重ねなければいけません。前回は「残りの10年は定年後の助走期間」と書きましたが、ふだんの仕事で消耗してしまえば助走もできないことになります。

しかも50代になると、新しいことに取り組む意欲が薄れてきます。何かを習い始めるとか勉強し始めるとか、あるいは旅行に出るようなことも「億劫だな」とまず考えてしまいます。毎日の業務で消耗するようになると、休日や退社後に何か新しいことを始めるなんていよいよ面倒になってくるはずです。

■「ちょっとした工夫」で毎日の仕事に変化をつける

そこでまず、50代は定年までの10年を軽やかに乗り切ることを目指しましょう。

そのためには変化をつけることです。どんなに慣れた仕事、慣れたオフィスや仕事場、代わり映えのしない顔ぶれだとしても、ちょっとした工夫で変化が生まれます。

たとえば仕事ならやり方を変えてみる、任せられるものは後輩や新人に任せてみて自分は新規の案件に取り組むといったようなことです。

職場の人間関係も同じで、いつも同じ部署の人間とつき合うのでなく、ふだんやり取りのない部署、たとえば営業でしたら経理や人事の担当者とつき合ってみるようなことです。顔も名前も知っているのに、あまり話したことのない同僚というのは案外多いものです。

通勤や退社後のコースもほぼ固定されているはずですから、これもどんどん変えてみましょう。

横断歩道を渡るビジネスパーソンの集団
写真=iStock.com/Tony Studio
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Tony Studio

そうやっていろいろ変化をつけてみると、飽き飽きしていた仕事や職場でも「案外、知らないことが多いものだな」と気がつきます。他の部署の同僚と思いがけずも趣味や考え方が似ていたり、美味しいラーメン屋を紹介されたりします。

軽い気分さえ取り戻せば、定年後の20年にも楽しみな計画をあれこれ持ち込むことができるはずです。

■地味で窮屈そうな服装をしているのは50代がほとんど

服装も変えてみましょう。いまは職場でもダークスーツにネクタイという時代ではないのですから、思い切ったファッションでも案外、「お、大胆だな」と注目されるかもしれません。

そういった意識すればすぐにできそうなことから変化を持ち込んでみると、自分の仕事や職場に退屈を感じることだけはなくなってくるはずです。「今日は何を試してみるかな」と考えるだけで、うんざりしている仕事にも軽い気分で向き合えるようになります。

ネクタイ不要の部署や社風なら、夏は涼しい半袖シャツやポロシャツ、それも明るい色を選んでも問題ありません。アロハシャツだって咎められることはないはずです。

首回りが解放的になると気分も解放的になります。実際、オフィス街を昼休みの時間に歩いてみると「ここは観光地かな」とか「今日は休みの会社が多いのかな」と思うときがあります。それくらいカジュアルな服装のビジネスパーソンが歩道やカフェに溢れています。

そういう中で、相変わらず地味な色のパンツや靴を履き、首の窮屈そうな服装をしているのはほとんどが50代のビジネスマンです。業種によっては若い社長がTシャツ一枚なのに、年上の部下がスーツ姿だったりします。遠慮の要らない世代のはずなのに、なぜか50代は縮こまった印象すら与えます。

■アロハシャツで出勤するだけで“超越した存在”になれる

そこでぜひ心に留めて頂きたいのは、もう誰にも遠慮のいらない世代なんだということです。入社以来、十分に貢献してきたし薄給にも甘んじてきました。管理職に就いていようがいまいが、バブル以降の不況にあって会社を支えてきたのが50代です。若い社員だって何となく煙たがっているのは、50代が気難しそうに仕事しているからかもしれません。

それがアロハシャツ姿で出勤してくれば「おや? イメチェンかな」となります。

あなたはただニコニコしていつもどうりに仕事を片づけるだけでいいのです。職場の中で超越した存在になってみる。それくらいの変化を持ち込む気持ちになってみましょう。

和田秀樹『50歳からの脳老化を防ぐ脱マンネリ思考』(マガジンハウス新書)
和田秀樹『50歳からの脳老化を防ぐ脱マンネリ思考』(マガジンハウス新書)

おそらく、いま例に挙げたファッションなら、職場に帰属意識を持たない世代にとってはごくふつうのファッションだと思います。50代が「やり過ぎかな」と思う程度のことはありふれた行動でしかないのです。自分では「派手過ぎないか」とか「目立ち過ぎるかな」とか「これはやり過ぎだろう」と思うようなことでも、自分が作った職場のルールに縛られているだけかもしれません。何せ入社以来30年間、生き延びるのに必死でしたから、無意識のうちに自分にたくさんのルールを課している可能性があるのです。

定年まであと10年、ここでその殻を打ち破って伸び伸びと、楽しく過ごしてください。そのためにはまず変化をどんどん持ち込んでみることです。この10年で気持ちの若々しさや意欲すら失ってしまったら、ゴールはできてもそこからの再スタートは難しくなってしまいます。

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和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医
1960年、大阪市生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。ルネクリニック東京院院長、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。2022年3月発売の『80歳の壁』が2022年トーハン・日販年間総合ベストセラー1位に。メルマガ 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」

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(精神科医 和田 秀樹)

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