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「インターン中にこれを言ったらアウト」人事担当者に聞いた就活で評価が急降下・爆上げな発言の実例

プレジデントオンライン / 2023年12月9日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Moment Makers Group

定着しつつある「採用直結型インターンシップ」。2025年卒学生の採用活動も水面下で活発化している。人事ジャーナリストの溝上憲文さんが企業の人事担当者にインターン中の学生のどの部分をチェックしているか取材した――。

■インターンシップ就活の勝ち組・負け組

学生情報を採用活動に使用できるインターンシップが2025年卒学生から政府の方針で解禁になった。といってもインターンシップに参加した学生を早期に囲い込む「採用直結型インターンシップ」はコロナ前から始まっており、政府が追認したにすぎない。

また、政府が認定する汎用的能力活用型インターンシップは5日間以上、かつ期間の半分は就業体験を行う必要がある。それ以外はインターンシップと名乗ってはいけないのだが、1day、2dayの仕事体験と称したインターンシップも横行している。

リクルートが公表した「2025年卒インターンシップ・就職活動準備に関する調査」(今年9月時点)によると、「5日以上のインターンシップ等のキャリア形成支援プログラムに参加した経験のある学生は18.4%と少ない。そのうち、上記の政府が認定するインターンシップ(5日以上など)に参加した人は38.2%にすぎない。

もちろんこんなに少ないはずはない。近年ではインターンシップ参加を大学のキャリアセンターが積極的に推奨し、9割の学生が参加しているといわれる。同調査でもインターンシップに参加した学生の割合は85.2%に上る。しかも1~2日のプログラムに参加した学生が85.1%を占めている。実態としては1~2日程度のインターンシップを含めて玉石混淆の状態にある。

また、「採用直結型インターンシップ」の公認を受けて、インターンシップへの参加が事実上の採用選考になり、今年は例年よりも早くなっているという。

小売業の人事担当者はこう語る。

「就活の早期化が一層進んでいる。とくに大手企業の中にはインターンシップの事前エントリーが始まる3年生の4月以降から学生に接触し、自社のインターンシップに誘い込む企業も登場した。採用直結になったことで夏期インターンシップが実質的な採用選考になり、インターンシップで内定を出すことはないにしても、気に入った学生には『君と一緒に仕事をしたい』とか『うちの会社にきなさい』と、シグナルを送るなど、選考モードに入っている」

■会社はインターン学生のココをチェックしている

インターンシップは夏に始まり、秋と冬にかけて実施されるが、参加枠が限定されるので、通常選考と同様にエントリーシートの提出と適性テストを実施して絞り込む。

当然、人気企業は100倍近い倍率になり、狭き門となる。つまりインターンシップの参加資格が内定への一次ステップとなる。しかもその後の選考でも有利となる。

通信関連企業の人事担当者は……。

「すでにインターンシップ参加者はエントリーシートなどの書類選考をパスしているので、実際の選考では一般選考の学生と違い、面接から始まる。しかも優秀と評価された学生はいきなり役員面接が受けられ、クリアすると内定が出る」

建設関連会社では早期選考と通常選考の2つを実施している。インターンシップを通じて現場の社員に優秀だと評価され、なおかつ人事部が当社にふさわしいと思った学生を対象に1月から早期選考を行う。

同社の人事担当者は次のように話す。

「主に技術系が中心だが、現場のベテランエンジニアが見て本当に優秀だと思った学生に対して部長・役員面接を行う。目的は他社に採られないためだ。2月には内定を出しているが、全体の採用数の1割程度を早期選考で内定を出している」

通常選考は3月から実施されるが、一般応募の学生の中にインターンシップ参加した文系の学生も混じっている。人事担当者は「一般応募の学生とガチンコ勝負になるが、インターンシップ参加組はすでに能力も含めてよく知っている。結果的に内定を得るのはインターンシップ参加組が多い」と語る。

インターンシップは通常選考の面接と違い、ワークショップや仕事体験を通じてじっくり観察ができるのが最大のメリットと各企業の人事担当者は語る。では、参加した学生のどこをチェックしているのか。

インターンと会話する男性社員
写真=iStock.com/GCShutter
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/GCShutter

中堅システム開発会社の人事担当者はこう見ている。

「企業によって視点は異なると思うが、共通しているのは当社のビジネスにマッチングし、活躍できる人かどうかだ。それが見えるように参加者に課題を与え、グループワークを行い、最後に発表させるプログラムを作っている。見ているのは、ビジネスマナーをはじめ、課題解決に向けた考えるプロセスや、他の人に対して自分の考えを言語化できるコミュニケーション力などだ。考えるプロセスを通じて地頭の良さを見ることができるし、グループワークから本人の性格もわかる」

■「インターン中にこれを言ったらアウト」な発言

現場のベテラン社員や人事も含めてチェックポイントを共有し、点数をつけて評価している。

「たとえば課題を与えたときに質問が飛んでくるが、『どうやったらいいんですか』と、言ってくる学生が必ずいる。このタイプは教えられないと動かない人で、点数もマイナス。まず自分でどんな方法があるかを考えて、『こういうイメージでアプローチしたいと思うんですが、どうですか』と質問してくる人はプラス5点。当社に入っても仕事ができるなと思う」(前出・人事担当者)

若い女性が使用しているノートパソコンを指さし、指摘している上司
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

また、グループワークや実習でも指示されたことを率先して行動するタイプは好まれる傾向があるが、必ずしもそうではない。

「行動力も大事だが、当社のような業種は自分でロジカルに物事を考えることができるかを重視している。もちろん、頭で考えるより、とにかく行動力を重視する営業系の企業もある。たとえば、公道の樹木を社員が伐採してしまった中古車販売会社もあるが、うちではそういうタイプは一番たちが悪い」(前同)

前出の小売業では店舗での仕事体験も実施している。人事担当者はこう語る。

「現場のスタッフと一緒に仕事をするが、言われた仕事を一生懸命にやり、接客でも愛想が良い学生は、現場のスタッフからも『あの学生は行動力があっていいですね』と、評価も高い。しかしそれだけではだめだ。現場の動きを見ながら『もっとこうしたら効率が良くなるんじゃないですか』と、多少煙たがられても提案できる学生のほうが評価は高い。なぜなら店舗のスタッフを募集しているのではなく、店長を経て、エリア統括マネジャーができる幹部人材になり得るかどうかを見ている。問題解決力やリーダーシップを重視している」

前出の建設関連会社ではエントリーシートなど書類選考では見えなかった部分をインターンシップで深掘りするようにしている。

「たとえば事前の課題作文ではすばらしい提案をしているが、グループワークなどをやらせると何も話せない学生もいる。一方で、作文はたいしたことはなかったが、話をさせたら天下一品という学生もいる。また、話をさせてもわかりづらいとか、話が長すぎるとか一目瞭然になる」(人事担当者)

この建設関連会社では人柄や性格も重視している。

「チームの作業を見ていると、1人だけ関連のない作業を始めて浮いているとか、協調性に欠ける人は現場に出したら使いづらいなと思ってしまう。また、書類選考の成績は抜群で優秀だが、あまり楽しそうに仕事をしていない学生を見ると、当社のネームバリューだけで受けにきただけで、『この学生は1年も持たずに転職してしまうのではないか』と考えてしまう。当社に合わずに定着しそうにない学生は優秀でもマイナス評価になる」(人事担当者)

インターンシップでの着眼点やチェックポイントは業種や企業文化によって異なる。目指す企業はどんな社風なのか、どんな人材を求めているのかについて、OB・OG訪問などを通じて企業研究をすることが大事だろう。

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溝上 憲文(みぞうえ・のりふみ)
人事ジャーナリスト
1958年、鹿児島県生まれ。明治大学卒。月刊誌、週刊誌記者などを経て、独立。経営、人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍。著書に『人事部はここを見ている!』など。

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(人事ジャーナリスト 溝上 憲文)

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