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"Go for your dream job."を訳せるか…ネイティブの英語が"中学レベル"なのに理解できない根本原因

プレジデントオンライン / 2023年12月25日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/filadendron

「簡単な英語なのにネイティブが話している意味がわからない」となる原因は何なのか。英語講師・英語インフルエンサーのMayuさんは「ネイティブが実際に使っている英語は、私たちが中学で習うものばかりだ。会話を理解する近道は、毎日使う動詞の“コアイメージ”を覚えることだ」という――。

※本稿は、Mayu、Forrest Baker(著)、nankaiine(イラスト)『パパッと頭に入る 英語の動詞図鑑』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■簡単な英語なのに話している意味がわからない

Hi, everyone! Mayuです! 私は、日本で生まれ育ったのですが、小さい頃から洋楽が大好きで、英語はずっと得意科目でした。しかし、高校3年生で初めてアメリカに留学した際に、日本で習った知識や当時の教科書に載っていた英語と、現地の人が話している英語にはギャップがあることに気がつきました。例えば、以下の英文、意味がわかりますか?

We're gonna go to the bar later. Are you in?
At my old job, I didn't even have weekends off.
Go for your dream job.

単語は中学で習う簡単なものばかりですよね。ただ太字あたり(動詞や副詞・前置詞)の意味を掴みづらくありませんか? このように、「簡単な英語なのにネイティブが話している意味がわからない」となることが私もよくありました。①は「後でバーに行くんだけど、来る?」、②は「前の仕事では、週末でさえ休みがなかった」、③は「なりたい職業のために頑張りなよ」という意味です。

私が留学して一番驚いたのは、ネイティブが実際に使っている英語は、私たちが中学で習うものばかりだったことです。渡航前は、必死に英検1級に出てくる難しい単語を勉強していました。でも現地の英語をよくよく聞いてみると、意外にも、ネイティブが使っている英語は、私がすべて知っているはずの簡単な単語で構成されていました。

■英会話の軸は「動詞」にある

そして一番大事なのが、英会話の軸は動詞であるということです。動詞は、動作・状態・存在を表す最もエネルギッシュな品詞で、生きている英語を話すには不可欠な存在です。時制や話し手の意図も含むし、文章の口調や丁寧さを表現できるのも動詞です。とにかく「誰がどうする」かが伝われば、大体のことが伝わりますし、過去・現在・未来などの時制も反表現できます。

例えば、日本語の「食う、食べる、召し上がる」のように、英語も“chow down, eat, dine” という表現がそれぞれあります。全部同じ「食べ物を消化する」という意味ですが、ニュアンスが違うので使うシーンは全く異なります。こういうニュアンスの違いは、あまり学校や教科書では勉強できません。私が留学したときに話してた英語は、いわゆる論文よりのかしこまった遠回しの表現が多かったように思います。

以下は、どちらが日常でネイティブがよく使う英語でしょうか。

I need to search for my phone. VS  I need to look for my phone.

携帯がない! 探さなきゃ!

I postponed doing my homework. VS  I put off doing my homework.

宿題を後回しにした。

答えは後者です。後者は中学生で習うような表現を組み合わせてるだけですが、これがシンプルで誰もが理解でき、本当にネイティブがよく使うカジュアルな英語です。前者は、日常英会話で使うような英語よりは、文章で読むような堅い英語の印象です。後者のような減を使いこなすには単純に各単語の定義を知るだけでなく、動詞自体の使い方、そして句動詞や慣用句を学ぶ必要があります。

■2語以上で一つの動詞の役割を果たす「句動詞」

句動詞とは、2語以上で一つの動詞の役割を果たす語句のことで、特にカジュアルな会話で使われることが多いです。パターンは三つあり、前置詞の後には、必ず名詞がきますが、副詞の場合は、必要としません。

「動詞+副詞」→ run away, go out, stand out­

「動詞+前置詞」→ look for, turn in, pick up

「動詞+副詞+前置詞」→ catch up with, look forward to, put up with

文章によっては、inやupなどの単語は副詞・前置詞どちらにもなり得ます。また、通常の動詞と同じように、句動詞にも自動詞(「上がる」のように目的語を必要としない動詞)と他動詞(「~を上げる」のように目的語を取る動詞)があり、目的語を取る句動詞の中には、句動詞を分解して、中間に目的語を入れられる場合があります。

自動詞型(すべて分離不可)
I got up at 8 this morning.
今朝8時に起きた。
The older you get, the faster time seems to go by.
歳を取れば取るほど、時は早く過ぎ去るようだ。
分離不可能な他動詞型
I went by the store on the way home from work.
仕事の帰り道でお店に寄った。
My parents are taking care of my cat during my business trip.
出張の間は、私の両親が猫の世話をしてくれている。
分離可能な他動詞型
Can you look up this word on your phone? My keyboard doesn’t have that character.
携帯でこの単語調べてくれない? 私のキーボードにはその文字なくて。
I already looked that up, and the figures are correct.
既にそれを調べたけど、数値は合っているよ。
ベッドで目を覚ました後、目覚まし時計に手を伸ばす若い男
写真=iStock.com/PeopleImages
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PeopleImages

ちなみに、目的語が代名詞の場合は、必ず句動詞の中間に入ります。例えば、turn upならturn it upと言い、turn up itとは言いません。

複数の単語で特定の意味を表現する「慣用句」

また、複数の単語の組み合わせによって、特定の意味を表現する言い回しを慣用句と言います。

He left me on read for three days. What a jerk!

彼が私のこと3日も既読無視してるんだけど。なんて失礼なの!

The team managed to break the ice and really bonded.

チームは緊張をほぐして、かなり仲良くなれた。

このように句動詞・慣用句は私たちが知っているはずの中学レベルの英語の組み合わせから成り立っています。こういった簡単な単語の表現が、ネイティブが真に使っている英語なのです。

■go、take、make…毎日使う動詞は実は多くない

Mayu、Forrest Baker(著)、nankaiine(イラスト)『パパッと頭に入る 英語の動詞図鑑』(KADOKAWA)
Mayu、Forrest Baker(著)、nankaiine(イラスト)『パパッと頭に入る 英語の動詞図鑑』(KADOKAWA)

実は句動詞・慣用句は、go、take、makeなど、日常生活に強く根付いている基本動詞に多いです。こういった毎日使う動詞は、実は多くありません。そしてそれぞれの動詞にはコアイメージがあります。goは「話の中心から離れて、行く」、take「自分の元に取る」、make「(材料に手を加えて)何かを作る」がコアイメージです。

どの表現もこのコアイメージから派生していますので、まずはコアイメージを頭に入れることが重要です。例として、getの句動詞・慣用句を一部紹介いたします。getのコアイメージは「何らかの事象によって状態が変わる、何かを得る」です。

●句動詞

I never got along with my sister when we were kids, but now that we’re older, we’re a lot closer.

子どもの頃は妹とは全く仲良くなかったけど、大人になってからは、かなり仲が良い。

I’ve been so busy that I haven’t been able to get around to responding to emails lately.

最近忙しすぎて、メールの返信に手を付けられてない。

I don’t think I understand what you’re getting at. Can you please explain it again?

君が言わんとしてることがわからないんだけど、もう一回説明してくれない?

She gets away with being late to work every day because her dad is the CEO.

彼女のお父さんは社長なので、毎日仕事に遅刻しても許される。

I need to leave here by 3:00 to get to the airport in time for my flight.

フライトに間に合うように空港に着くために、ここを3時までに出なきゃいけない。

■動詞のコアイメージから覚えるのが近道

●慣用句

Man, drinking mojitos in the sunshine on the beach——this is as good as it gets.

あぁ、ビーチで日差しの中モヒートを飲むなんて。これ以上のことなんてない。

Having visuals helps get your point across in a presentation.

イメージがあることでプレゼンの意図を理解してもらいやすくなる。

I got into a fight with my girlfriend, so I had to sleep on the couch.

彼女とケンカになったから、ソファで寝なきゃいけなかった。

It took me a while to get the hang of snowboarding, but once I did, I really enjoyed it.

スノボに慣れるのに少し時間がかかったが、慣れてからはとても楽しかった。

The project hasn’t done yet, but it’s getting there.

プロジェクトは終わってないけど、いい感じに進んでるよ。

このように、句動詞・慣用句を構成している単語は決して難しくはありません。難しい単語を覚えるより、まずは超簡単な動詞のコアイメージから覚える。そしてその句動詞・慣用句を身につけることが、ネイティブの英会話を理解でき、あなたがネイティブっぽく話せるようになる一番の近道かもしれません。

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Mayu(まゆ)
英語講師、英語系インフルエンサー
国際基督教大学(ICU)卒。英検1級、TOEIC985点、TOEFL110点取得。高校3年時に、1年間ニュージャージー州に留学。大学では、言語教育とメディア・コミュニケーション・文化を二重専攻し、専門性を高めるため、アメリカのバーモント州に1年間の交換留学をする。現在は英語や留学についての情報をSNSで発信する傍ら、英語講師をメインに通訳や翻訳家としても活動。YouTube・Instagram・TikTok等SNSの累計フォロワー数45万人(2023年10月時点)。

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Forrest Baker 翻訳家
アメリカ出身。ミドルベリー大学にて言語学を中心に日本学を専攻。在学中、国際基督教大学(ICU)に留学。日本語にどっぷりハマり、日本学の学位をもって卒業。卒業後は英語教育に2年間従事し、現在は日本で暮らしながら国際関係の仕事・翻訳業務に携わっている。2017年より日本在住。極度の言語オタク。

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nankaiine(なんかいいね)
イラストレーター
ゆるい人物イラスト制作を得意とするクリエイター。自身が制作するゆるキャラの物語や、イラストグッズ制作・LINEスタンプ制作・似顔絵制作など。Instagram・TikTokで日々ゆるいイラストを投稿中。

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(英語講師、英語系インフルエンサー Mayu、翻訳家 Forrest Baker、イラストレーター nankaiine)

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