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英語ができる・できない人の衝撃年収差…30代女性で約140万円の差、50代で男性1.5倍、女性2.2倍という歴然

プレジデントオンライン / 2023年12月21日 11時15分

出所=『プレジデントFamily2024冬号』

仕事上で英語が使えるか使えないか。そのスキル差はきっちり年収差に表れる。外資系・グローバル企業に特化した転職情報サイトを運営する企業の社長は「今後、英語力が高いほどますます高収入になるでしょう。また、新卒採用の段階で収入に差も生まれる」という――。

※本稿は、『プレジデントFamily2024冬号』の一部を再編集したものです。

■英語力が高いほど今後ますます高収入に!

「英語ができると、年収に大きな差ができます。私たちの調査では、『ビジネス会話以上(TOEIC®L&R735点以上)』の英語レベルの人は、国税庁が調べた平均給与(令和3年分 民間給与実態統計調査)と比べて、20代男性で約70万円、30代女性では約140万円も違います。その差が最も大きいのは50代で、男性で約1.5倍。女性の場合は、約2.2倍にもなります。そしてこの差は、今後さらに広がっていくと考えられます」

そう語るのは、外資系・グローバル企業に特化した転職情報サイト「Daijob.com」を運営するヒューマングローバルタレントの代表取締役社長、横川友樹氏だ。

同社は、「Daijob.com」の登録者71万人のうち、企業からスカウトを受けた日本国籍の男女2万4665人を対象に、英語力と年収の関わりについて調査。英語力に関しては76%以上が英語レベル「ビジネス会話以上」であることがわかった。

年収に関しては、「日常会話レベル」(同475〜730点)、そして国税庁の調査による平均給与とも比較。先に見た結果が明らかになったのだ。

しかもその差は開く一方のようだ。昨年度は、英語ができる人と国税庁の平均給与との差は、50代男性で1.3倍だったが、今年度は約1.5倍に広がっている。

なぜここまで英語力で収入差がついてくるのだろう。

■英語力の有無で大きな収入差が出るのは40、50代

横川氏がまず挙げたのが、グローバル化の中での企業の規模。

「日本企業の海外進出が加速しています。また、外資による地域活性化を目的に、国は外資系企業の誘致を進めています。当然、そこでは英語のできる人材が求められるわけですが、日本から海外に行くのも、海外から日本に来るのも、本国では大手企業というケースが多くあります」

外国人とのやりとりが必要とされる会社の多くが大手、つまりは高い給料を払える会社というわけだ。そこで働く「英語のできる人」は、高収入を得られる。

ところで現状、英語力のあるなしで大きな収入差が出るのは若い世代よりも50代や40代。これはどういう理由なのだろうか。

「日本に進出した外資系企業にとって大事なことは、日本のマーケットを開拓することです。お客さんは日本人。そこでは日本語による営業スキルが求められます。若いうちは、英語を使う機会は上司や同僚との会話程度です。でも管理職になれば、本国とのやりとりが中心になってきます。本国との会議できちんと物を言えないといけません。ビジネス会話ができないから、マネジャー以上のポジションにつけないということがありうるのです」

日常会話とビジネス会話との違いについて、横川氏は面白い例を挙げた。腹痛で病院に行ったとき、「おなかが痛い」としか言えないレベルと、「おなかのこのあたりが断続的に刺すように痛い」などと、痛みの状況を具体的に説明できるレベルとの差だという。

「ビジネスの場面でも、語彙(ごい)力が足りないと、話している内容がすべて抽象的になり、説得力を持ちません。こちらが何を求めているのか、相手に何をどうしてほしいのか、具体的に説明できる英語力が必要とされます」

語彙力や表現力を駆使して、自分の意見をきちんと外国人に示すことができるか否かで、ビジネスパーソンの収入が大きく変わってくるのだ。

「英語できちんと自分をアピールすることも大事です。言われたことをそのままやるだけで、自ら発信をしない働き方では認められません」

『プレジデントFamily2024冬号』(プレジデント社)
『プレジデントFamily2024冬号』(プレジデント社)

横川氏はまた、新型コロナウイルス禍も、英語力の必要性を加速させた理由の一つだと分析する。

「コロナ禍で一般的になったのがオンラインでのミーティングです。これにより、場所の概念がなくなってきたのですね。これまでならわざわざ海外と行わなかったようなやりとりも、当たり前のようにオンラインでできるようになりました。つまり、英語での交渉が日常的になってきた。今後、さらに増えていくでしょう」

となると、若い世代でも英語で海外の取引先や上司と話す機会が増えていくことになる。20代、30代での収入差もさらに広がるという見通しはこのためだ。

■新卒採用の段階で収入に差も

同時に、日本の雇用環境も大きく変化してきている。現在の日本では新卒一括採用が主流だ。総合職として入社した新入社員は、多くの部署で経験を積みながら育成されていく。しかし日本企業でも終身雇用が廃れ、転職が増える流れが加速すると予想される。

【図表2】スカウトを受けた人材(日本国籍)の英語力
出所=『プレジデントFamily2024冬号』

「統計によると、日本人が一つの会社に勤続する年数は、平均で11.9年です(厚生労働省「2020年賃金構造基本統計調査」)。ヨーロッパでは8〜10年、アメリカでは4.1年ほどです。企業のグローバル化によって日本でも労働力が流動化していき、欧米並みの勤続年数になったとき、日本企業がこれまでのように採用費や社員教育費をかけるでしょうか。英語は入社してから覚える、という図式が成り立たなくなっていくと思われます。

新卒に関しても、育成前提の一括採用から即戦力のジョブ型採用に変わっていくでしょう。若いうちからビジネス英語を使えるかどうかで、収入に差が出てくるのです」

産業構造も大きく変化している。かつては重厚長大企業が幅を利かせ、世界の企業ランキングの上位を日本企業が独占したものだ。しかし今は、GAFAMをはじめとした海外のIT企業が上位を占める。この傾向はさらに続くだろう。

「IT、DX(デジタルトランスフォーメーション)、そして英語。これらの知識があれば、どこの国に行っても働けます。外資系、国内の企業とも、優秀な人材を得るため高収入を約束してくれるのです」

国内企業でも、優秀な外国人を採用し、社内公用語を英語にしている企業は増えている。

一方で、AI(人工知能)技術の進化により外国語を覚える必要などなくなるのではないかという意見もあるが……。

「たしかに翻訳アプリを利用しても、すでにかなり精度が高い状態です」と、横川氏は前置きしつつ、「でも実際に使ってみて感じるのですが、わずかですが翻訳のための時間がかかるので、この間合いによって調子が狂うんですよね。また文章、言葉としては正確だったとしても、話し手の感情や思いは伝わりません。会話というのは、言葉に感情を乗せて話すものです。抑揚などは、いくら学習してもAIでは置き換えにくいのではないでしょうか」という。

やはり、高い英語力を身につけておくに限るようだ。

教える人
横川友樹氏

ヒューマングローバルタレント代表取締役社長
2007年、早稲田大学スポーツ科学部卒業。ベイカレント・コンサルティングを経て10年、同社に入社。20年より現職。グローバル人材の転職市場に深い知見を持つ。

(プレジデントFamily編集部 文=菊地武顕)

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