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3位は西野七瀬、2位は前田敦子、1位は…国内ドラマ「2023年俳優ランキング」男女混合ワースト10

プレジデントオンライン / 2023年12月30日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/asbe

2023年に日本国内で放送・配信されたドラマで、評価するべき俳優はだれか。ドラマ偏愛コラムニストの吉田潮さんが作成した「2023年俳優ランキング」を紹介する。第3回は男優女優混合のワースト10――。(第3回/全3回)

■ベテラン俳優たちのやりすぎが目に余る

さ、今年もやるよ、ワースト俳優。評価項目としては「主役としての引力・説得力不足」「劇中で浮いた過剰な演技・力不足」「キャラクターに違和感」「実力より権力と忖度(そんたく)のにおい(2023年ならでは)」を設けた。

さらに今年は「挽回の有無」という救済枠も用意。「この作品ではひどかったが、別の作品で上回る演技によって挽回した」と減点する方式だ。同点が多かったので、ワースト12に。結局は好みだけど、いつものこと。それではランキングへ。

超主観&偏向的「俳優ランキング2023」ワースト編

■やりすぎ・はしゃぎすぎが悪目立ちしたベテラン勢

12位 三石琴乃 「Get Ready!」(TBS) -10点
11位 吉田鋼太郎 「unknown」(テレ朝) -10点
10位 橋爪功 「6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱から」 -10点

ベテラン勢が並んだのでまとめたが、同点であること、そして共通しているのは「やりすぎ」「はしゃぎすぎ」。これだけの手練れ熟年役者陣ともなると、演出とは別で、自分の意志でやっちまった感がなきにしもあらず。

12位の三石の役どころは、おそらく演出の堤幸彦に託されたであろう、奇天烈なバニースタイルの占い師・POC役。「セーラームーン」リスペクト、いや声優としての長いキャリアをリスペクトした呪文を唱える銭ゲバ占い師だが、物語には思ったほど関与せず。藤原竜也から金を巻き上げるコメディリリーフ。1ミリもふざけない主役と主軸の場面と比べると、相当浮いちゃった感がある。

「リコカツ」(TBS)で演じた、北川景子の母親役が初出演のわりによかっただけに、おふざけが悪目立ちしてしまった。

■本田翼の生気を奪っていた

11位の鋼太郎は、もうなんというか、なれあいの「圭&鋼太郎劇場」に。「おっさんずラブ」の栄華を引っぱり、吸血鬼という架空のキャラもあいまって、やりたい放題の鋼太郎。笑える反面、割合の問題かなとも思う。鋼太郎の暴走を田中圭や高畑充希が止められないのも問題かなと。

もっと止めにくいのは、純粋な愛情が「過剰」を招いた10位の橋爪だ。主役の高橋一生を愛しすぎるあまり、もう「祖父と孫」みたいな状況へ。

亡くなった父親役で、息子にだけはその姿が見えるというファンタジーだったが、ナチュラルボーンおふざけの橋爪が生真面目な一生を巻き込む形に。逆にその愛情の深さに入り込めない本田翼がますます生気を失っていたような印象も。

■世界の西島がまさかのランクイン

キャラクターやキャスティングに違和感・じゃない感

9位 西島秀俊 「警視庁アウトサイダー」(テレ朝) -10点
8位 風間俊介 「勝利の法廷式」(日テレ) -10点
7位 深田恭子 「18/40」(TBS) -10点
6位 伊野尾慧 「ダ・カーポしませんか?」(テレ東) -10点

9位には、カンヌ国際映画祭4冠、世界の西島がまさかのランクイン。と書いて気づく。正直あの映画のよさがわからなかったから、そこまでほめそやさなくてもいいか、と。で、西島が猛烈にすべり倒したドラマがこれ。

誰も観たことがない異色の刑事ドラマと謳っていたが、確かにここまですべり倒す西島は観たことがない。上白石萌歌も巻き込んでの茶番劇は、ご愁傷様でしたと言うしかない。

ただし、西島はもはや国民的ドラマで安定の良作「きのう何食べた?」(テレ東)で挽回。シロさんの心の解放のおかげで、-10点に。

8位、風間俊介がかっこつけると、ろくなことにならない。えなりかずきがかっこつけるのと同じくらい、落胆と違和感をうむ。下手じゃない、むしろうまかったりもするから余計に厄介。

ただし、風間にも挽回作品が。「初恋ざらり」(テレ東)で、軽度知的障がいのヒロイン(小野花梨)に恋をする中年男の役はしっくり。そのへんにいる一般人の日常が最も馴染むので-10点に。

■私生活で得たことを演技に出して深田恭子

7位の深田恭子には、四十女の憂いが1ミクロンも見えなかった。18歳(福原遥)と40歳のシスターフッドを描くと聞いて、女の連帯がどう描かれるのか楽しみにしていたが、メインは経済的援助。

相変わらず年下男に惚れられて、「年齢ではじかれて貶められる苦い思い」もせず、管理職の逡巡もたいしてない。金持ちの道楽を体現しただけのフカキョン。可愛いのはわかったからさ。もっと深みを見せてほしいのよ、私生活で経験しているような業を。

6位の伊野尾慧は実に単純な理由。巨額の賞金をもらえるが、負けたら命も奪われるサバイバル。誰が生き残るかを推理するのが楽しみのひとつのはずが、最初から「伊野尾は最後まで残るよね」とわかってしまう点。キャスティングから死なないとわかる出来レース。迫田孝也なんか絶対死ぬだろうなと思っていたけれど、まさか初回で死ぬとは。裏切らない男だね。

■ワースト入りを逃れた期待の俳優たち

救済枠でワーストを免れたのは若手女優3人

今田美桜 「トリリオンゲーム」(TBS)
仁村紗和 「わたしのお嫁くん」(フジ)
富田望生 「ブギウギ」(NHK)

ノミネートされたが、救済枠でワーストには入らなかった人々にも触れておこう。

今田美桜は巨大IT企業の社長令嬢で取締役、キレモノの役どころだが説得力に欠けた。阿漕(あこぎ)で強欲で傲慢(ごうまん)な女にはどうしても見えなくてね。ただし「ラストマン」(TBS)の技術支援捜査官役で挽回、さらに「いちばんすきな花」(フジ)の夜々ちゃんはこれ以上ない適役だったので、逆にベスト俳優へ。

仁村紗和もやりすぎた。人事部の赤嶺さんは、ひとりだけ外連味が激しく、浮いてしまったのだ。が、女性の貧困を描く「SHUT UP」(テレ東)の主演で挽回。若さと美しさだけを求める男社会の歪みと対峙(たいじ)する女子大生の役で、今後の展開に期待している。

最後は朝ドラから。ズーズー弁でひとり気炎を吐く小夜ちゃんこと富田望生にやりすぎ疑惑が浮上。ヒロインに憧れて弟子入りしてきた田舎娘だが、経験豊富で基本的に人間不信。あき竹城を彷彿とさせるとも言えるのだが、大声でしつこく騒ぎすぎと思う場面も。演出がそれを望んだのだろう。

ただし、今年を振り返ると、富田には静かなる名演が。「だが、情熱はある」(日テレ)の南海キャンディーズのしずちゃん役だ。オードリーの春日を演じた戸塚純貴も本人にかなり近い好演だった。ということで挽回。3人とも好きな女優で、令和を担う俳優になると信じているのでエールをこめて。

■ジャニーズ俳優の限界を見た

ワースト5は「力不足」か「役不足」

5位 松本潤 「どうする家康」(NHK) -20点
4位 大沢たかお 「ONE DAY」(フジ) -20点
3位 前田敦子 「育休刑事」(NHK)他 -20点
2位 西野七瀬 「Dr.チョコレート」(日テレ)他 -20点

残念なのは5位の松本潤である。前半、松平時代の家康の甘さ、情けなさ、決断力と威厳のなさ、右往左往する姿はコミカルであり、名武将とは程遠いぼっちゃん感が新鮮。有村架純を好きすぎるところも含め、人間の弱さが前面に出てよかった。アイドル大河、いろいろな意味で記憶に残ると思っていた。

が、中盤から急にトーンダウン。爆速で老け、貫禄も深みも身につけないままあっという間にメークがジジイになって小声になっただけ。いつまでも若さと輝きを求められた結果、円熟味を身につけないスターの限界。

有村架純・小栗旬・寺島しのぶに託し、まさかの若かりし頃に遡るというNHKの忖度だか塩対応だかわからない最終回。歴代の家康役者の中でも爆速で忘却の彼方へ。

■大沢たかおが悪いだけではない

4位の大沢たかおは、もらい事故。久々の連ドラ主演なのに、初回から激痛。大沢の力が足りないのではない。役と設定がそもそもひどい「役不足」のほうである。

料理の蘊蓄(うんちく)を滔々(とうとう)と語り、厨房(ちゅうぼう)での追いかけっこになぜか反応して(そこからして疑問)デミグラスソースを台無しにしちゃう馬鹿さ加減。デミグラスソース同様、目も当てられない初回。次に出る作品でぜひ挽回を。

3位の前田敦子だが、春頃に出演作が集中。「ウツボラ」(WOWOW)では謎の双子で作家を惑わすという設定だが、漫画原作の印象とは異なり、根本的にミステリアスの欠如が気になった。

最大の失敗は「育休刑事」で演じた主人公の姉。数十年前の浅野温子のようで、やりすぎ・かきまわしすぎ。もちろん物語のフックになるのだが、法医学者には到底見えない悲劇。力不足の一言。

ただし、挽回枠もある。「かしましめし」(テレ東)ではアラサー男女3人組で、人間関係の憂き目を抱えて一時避難中という役。「彼女たちの犯罪」(日テレ)では浮気三昧なお坊ちゃん医師の妻役。この2作はよかったので挽回のはずが、そもそもの点数が高すぎたのでワースト入り。

■時空にゆがみを生じさせる元アイドルの演技

2位の西野七瀬だが、ここ5~6年で主演作も多数、大活躍なのだが、いつも不思議に思う。登場すると周囲との技量の差で時空にゆがみが生じる。演技力ではなく破壊力抜群。特に、映画「孤狼の血LEVEL2」での破壊力は凄まじかった。

映画『孤狼の血 LEVEL2』公式サイトより
映画『孤狼の血 LEVEL2』公式サイトより

今年のドラマでは、「いちげき」(NHK)で遊女役や「Dr.チョコレート」(日テレ)で新聞記者役などをこなしていたが、とどまることをしらない破壊力。

クラッシャーでもオファーがひっきりなしということは、性格がよくて人間的に魅力があるのだろう、と思うことにしている。

余談だが、この1~2年で、乃木坂46(卒業生含む)のドラマ進出が激しい。顔と名前が一致するのは、深川麻衣、若月佑美、伊藤万理華、生田絵梨花、白石麻衣、山下美月、齋藤飛鳥、久保史緒里、堀未央奈、生駒里奈、樋口日奈……ただ演技力の格差は激しい。うまいと思うのは4人だけ。

■「アクション向いてない」

さて、ランキングへ戻ろう。栄えある第1位は……。

1位 櫻井翔 「大病院占拠」(日テレ) -30点

続編をやるらしいので、手短に。「アクション向いてない」。

病院にたてこもる鬼を演じた役者陣が徐々に明かされたり、人質になった人々の罪が順番に暴かれる仕組みは面白かったが、主役に魅力と説得力がなくて致命的。熱血が似合わないというか、冷めた心で演じるシラケ感も。

知能と理性と傲岸(ごうがん)不遜を売りにするキャラの方が、断然持ち味を発揮できると思うんだけどな。忖度キャスティングの日テレがいつまで持ちこたえられるか。その最後の象徴と思って1位に。

ちなみにテレ朝はシリーズドラマ「刑事7人」「特捜9」で、魂を売って苦い経験をしたはず。2024年は各局キャスティングの正常化が進むと期待してます。

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吉田 潮(よしだ・うしお)
ライター
1972年生まれ。千葉県船橋市出身。法政大学法学部政治学科卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。医療、健康、下ネタ、テレビ、社会全般など幅広く執筆。2010年4月より『週刊新潮』にて「TVふうーん録」の連載開始。2016年9月より東京新聞の放送芸能欄のコラム「風向計」の連載開始。テレビ「週刊フジテレビ批評」「Live News イット!」(ともにフジテレビ)のコメンテーターもたまに務める。

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(ライター 吉田 潮)

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