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野菜を買ってきたまま料理する人は大損している…調理時間の短縮と栄養分の吸収を高めるためにすべきこと

プレジデントオンライン / 2023年12月29日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Tatiana

野菜を使いきれずダメにしてしまう事態を回避できるのが、冷凍保存だ。東京慈恵会医科大学附属病院栄養部(管理栄養士)の赤石定典さんに冷凍すると保存がきくだけでなく、栄養価が高まる食べ物を聞いた――。

※本稿は、『プレジデントFamily2024冬号』の一部を再編集したものです。

■あなたの知らないワンランク上の野菜の冷凍保存術

野菜を使いきれず、冷蔵庫の中でしなびさせてしまった――。そんな経験はきっと誰にでもあるでしょう。鮮度が落ちた野菜は味や色がよくないばかりか、栄養価も下がります。ホウレンソウを冷蔵庫に9日間保管すると、ビタミンC含有量がもとの3割に減ってしまうという報告もあります。

そのような変化が起こる理由は野菜が呼吸をしているため。収穫された後も呼吸を続けるたびに蒸発していき、同時にビタミンなどの栄養も消耗してしまうのです。特に葉物野菜は水分が飛びやすいので、買ってから2〜3日のうちに食べきるのが理想です。

とはいえ、毎日の食事づくりの中で、使いきれない野菜はどうしても出てくるもの。食材が高騰している昨今、安い野菜を見つけたらつい多めに買い込み、結局、余らせてしまうことも起こりがちです。

そんな野菜を救う方法が冷凍保存です。凍結させると野菜の呼吸が抑えられ、水分の蒸発を防いで栄養もそのまま。保存期間の目安は約1カ月と長く、野菜のストックには最適なのです。

メリットはそれだけではありません。冷凍すると膨張した水分が細胞壁を壊し、繊維がほぐれてやわらかくなります。調理時間も短縮可能。小松菜やチンゲンサイは硬い茎もやわらかくなるので、常温解凍するだけでおひたしやナムルに使うことができます。ゆでない分、栄養を損ねることもなく、まさしく一石二鳥です。

保存の際のポイントはあらかじめ食べやすく切っておくこと。ジッパー付きのポリ袋に入れて冷凍すれば、そのままスープに入れたり炒め物にしたりと自在に使いこなすことができます。ホウレンソウのようなシュウ酸(エグみ成分)が気になる野菜は、軽く下ゆでしておくとよいでしょう。

■大根、ゴボウ、レンコン、ニンジンそしてキノコも

ほかに冷凍保存に向く野菜はニラ、ブロッコリー、キャベツなど。トマトは比較的日持ちする野菜ですが、冷凍すればさらに長く置くことができ、パスタソースやカレーなどに重宝します。逆に冷凍に向かないのは生食が基本のレタスやキュウリなど。

『プレジデントFamily2024冬号』(プレジデント社)
『プレジデントFamily2024冬号』(プレジデント社)

また、ジャガイモやサツマイモなどの芋類は糖質が多いのでやはり冷凍には不向きです。常温で保存したほうが熟成が進んで甘みが増すのでおいしく食べられます。

これからの時季、味わいを増す根菜類はどうでしょうか。結論からいうと、冷凍にするメリットはあり。例えば大根は凍結させたほうが短時間でやわらかくなり、味も染みやすくなります。厚めの輪切りにして冷凍しておけば、冬の定番、おでんにうってつけ。

ニンジンも同様で、シチューやカレーに活躍するでしょう。ゴボウやレンコンも切って冷凍しておくと、煮物はもちろん、きんぴらもささっと手早くつくれます。

こうした野菜とともに、個人的にイチオシなのがキノコ類です。冷凍すると細胞壁が壊れるというのは先述の通りですが、キノコ類の場合、これによって酵素が働いてグアニル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸といったうまみ成分をつくり出せるのです。

キノコ
写真=iStock.com/petesphotography
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/petesphotography

加熱調理すると2度にわたって酵素が働くことになり、うまみが3〜4倍にアップするといわれています。また細胞壁が壊れることで免疫力に役立つビタミンD、代謝アップや美肌効果が期待できるビタミンB群、ダイエットに有効なキノコキトサンといった栄養分を体内で吸収しやすくなります。

私の場合、シメジやエノキタケ、マイタケなどをほぐしてミックスし、冷凍庫に常備しています。使うときのポイントは、解凍せずに加熱調理すること。キノコならではのシャキシャキした食感も存分に楽しむことができます。

野菜は旬の時季が最もおいしく栄養価も高い。価格も安定するので、多めに買って冷凍すれば旬の味と栄養を余さず使うことができます。

調理例 冷凍キノコを使った料理でイチオシはホイル焼き
冷凍のままホイルに包み、オーブンかオーブントースターで焼くだけと超簡単です。食べるときはポン酢かしょうゆで。レモンを搾ってもいいですね。サケやタラなど魚の切り身を一緒に包めば、タンパク質も同時に取れるうえ、キノコのうまみを魚が吸っておいしさもアップします。キノコはシイタケ、シメジ、エノキタケ、マイタケなど好みでOK。数種類をミックスすると、味も食感も多彩になって食べ応えがでますよ。


赤石定典さん
東京慈恵会医科大学附属病院栄養部。管理栄養士。『慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ』などの本やテレビで、食事で健康になる情報を発信している。

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赤石 定典(あかいし・さだのり)
東京慈恵会医科大学附属病院栄養部、管理栄養士
『慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ』などの本やテレビで、食事で健康になる情報を発信している。

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(東京慈恵会医科大学附属病院栄養部、管理栄養士 赤石 定典 構成=上島寿子)

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