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「腹筋を鍛えてお腹から声を出す」はNG…声のプロが推奨する「人を惹きつける声」になるストレッチ3選

プレジデントオンライン / 2024年1月10日 13時15分

話す内容より、声が大事(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/gorodenkoff

どうすれば「人を惹きつける話し方」ができるのか。日本声診断協会代表理事の中島由美子さんは「『腹筋を鍛えてお腹から出す声』よりも、『軟口蓋をリラックスさせた声』のほうが人を惹きつける。ストレッチで背中をゆるめると、リラックスしたいい声に近づく」という――。

※本稿は、中島由美子『1日3分で変えられる! 成功する声を手に入れる本』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

■人を惹きつけるのは「声の魅力」

聞く人に深く伝わる話し方がしたい。人を惹きつける話し方がしたい。

そんなふうに思っている人は多いのではないでしょうか。

話し方のテクニックや話している内容より大切なのは、その人自身が持っている「声」の魅力です。

同じ話をしているのに、なぜか耳に入ってこずスルーしてしまう人と、つい聞き入ってしまう人っていませんでしたか。

一般的にいわれるような「いい声」ではないのに、なぜか心に響き、感動してしまう声。

あるいは、同じ歌を歌っているのに、この人が歌うと心地よく、何度も聞きたくなる、知らず知らずに涙が出てしまう。

一方で、いくら歌がうまくても、ある人が歌うと心に響いてこない、ということもよくあります。

また、「感謝します、ありがとうございます」とお礼を言われたときのことを想像してみてください。本当に心から感謝されているときと、こう言ってはなんですが「本当はそれほど感謝してないよね?」とわかってしまうとき、ありますよね。

■キング牧師の声はなぜ心に響くのか

実は、私たちは言葉や伝え方のテクニックだけでは心が震えないということを知っているのです。

その答えは、「声」にありました。つまり、いくら取りつくろっても、その人が放つ声のエネルギー、周波数が受け取る側に伝わってしまうのです。

米国の黒人差別撤廃のために闘ったキング牧師の声を聞くと、なぜか鳥肌が立ちます。英語なので何を話しているかさっぱりわからなくても、心が反応してしまうのです。

話す内容より、声が大事だということです。

■「元気な声」は相手を疲れさせる

元気な声で営業して仕事がとれる時代はもう終わりました。

よく通る声でプレゼンされても長く聞いていられないし、説得されることもありません。

日本人は小さいときから大人になるまでずっと、「ちゃんとすること」をよしとされてきました。学校では姿勢良く、大きなはっきりとした声で話すとほめられます。

部活では元気に声を張り上げ、社会に出てからも明るく挨拶すると評価はアップ。

たしかにそれは素晴らしいことですし、好印象を与えるにはいいでしょう。

でも、そんなときの声は、実はとても緊張しています。とてもじゃないけれど、「自分本来の声」ではありません。

■「軟口蓋がリラックスした声」は全然印象が違う

私たちは、人と関わるとき、少なからず緊張しています。

それはどんなに社会経験を重ねている人でも、どんなベテランであっても同じです。

しゃべりのプロであるアナウンサーだって、実は緊張をしているんです。「間違えてはいけない」「ちゃんとしなければいけない」と思うため、声が硬くなるのです。

声はメンタルであり、心の状態が素直に表れるものなのです。

硬直した声の波形をとると、とても偏っています。波形が偏り硬直した声を聞くと、聞くほうも緊張してしまい、疲れてしまいます。

軟口蓋がやわらかくリラックスしていると、人の心の奥深くまで届き、やさしく包まれるような声になります。

聞き比べるとわかりますが、軟口蓋を丸くした声で「○○さん、これ、やっといてくれますか」と言うのと、きつい声で「○○さん、これやっといてくれますか」と言うのでは、全然印象が違います。

【図表1】ソフトパレット(軟口蓋)の開いている状態と閉じている状態の違い
出典=『1日3分で変えられる! 成功する声を手に入れる本』

■「はい、みなさん、こんにちはー!」は緊張させるだけ

従来のヴォイストレーニングでは、いい声で話したり歌ったりするために、「もっと声を張り上げて」「もっと地声から上のほうまで引き上げて」などといわれます。

大きな声を張り上げて話すことは元気があっていいもの、高い声を力ずくで出して歌うことがかっこいいとされてきたからでしょう。

でも、それでは緊張した硬い声を相手にぶつけているだけ。

このように前に押し出した声は、専門用語で「フォワード・プロダクション」といって、聞く者に威圧感や恐怖を与えてしまいます。

営業マンの元気のいいプレゼンや売り込みでは買いたくなりませんし、セミナー講師の「はい、みなさん、こんにちはー!」みたいなカラ元気は、緊張させるだけなのです。

メガホンを使って話す人
写真=iStock.com/Pekic
「はい、みなさん、こんにちはー!」は緊張させるだけ(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/Pekic

■お腹から声を出してはいけない

ヴォイストレーニングと聞くと、どんなトレーニングを想像しますか。

多くの人が想像するのが、「お腹から声を出す」とか、「あ、え、い、う、え、お、あ、お……」などの発声練習を想像するのではないでしょうか。

頑張ってお腹から声を出せば、大きな声は出せるでしょう。

でも、聞いている側からすると、そういう声って、何時間も聞いていられないものです。なぜか、「いい話なんだけど、聞いていると疲れる」声なのです。

私も「いい声を出すには腹筋を鍛え、腹から声を出す」と思い込み、頑張って腹筋を鍛えていた時期がありました。そのほうが高音も出せるし、声のボリュームも大きくなるし、声の勢いや声量で人を魅了する話し方がいいと思っていたのです。

でも、ある時期から、普通に話したり歌ったりすることができなくなってしまいました。それと同時に、プロとして話す仕事にも限界を感じてしまい、声の世界から遠ざかってしまったのです。声の世界に疲れてしまったのですね。

実は、声を出すにはお腹を意識したらダメなのです。意識するのは、軟口蓋(ソフトパレット)だけでOK。

■いい声のカギは「軟口蓋」

舌で口の中をたどると、歯の裏側に硬い部分があります。ここをハードパレット(硬口蓋)といいます。ソフトパレット(軟口蓋)は、そこからさらに喉の奥に行き、舌が届かないやわらかい部分にあります。

音色はソフトパレット(軟口蓋)でつくられます。

振動体である声帯が音を発声させ、ソフトパレットの形によって音が共鳴する箇所が変わり、声の質になっていきます。ソフトパレットが声の音色をつくるうえで鍵となるのです。

言葉の子音は口の前方で発声されますが、「あ、い、う、え、お」の母音(ぼいん)が形成されるのがソフトパレットの形によるものです。

よくヴォイストレーニングで「喉を開いて」と言われることがありますが、これは「ソフトパレットを開いて」という意味です。

長時間話したり歌ったりすると喉が痛くなるのは、ソフトパレットがつぶれているから。専門的に説明すると、ソフトパレットが下がることによって、結果的に声帯が痛むのです。

■背骨をゆるめると声が変わる

ソフトパレットを開くには、体をゆるめてリラックスすることが大切です。体をゆるめると、声が響きやすくなるのです。

私たちの体は普通に生活しているだけでも緊張します。

心の癖を手放すことが大切ですが、同時に体からもアプローチしていきます。

そのポイントとなるのが「背骨」です。

中島由美子『1日3分で変えられる! 成功する声を手に入れる本』(青春出版社)
中島由美子『1日3分で変えられる! 成功する声を手に入れる本』(青春出版社)

緊張すると首や肩も硬くなりますが、背骨もギュッと硬くなります。

現代人は常にストレスにさらされ、緊張している時間が長いので、その結果、体も硬くなり、声の自由を失ったともいえるのです。

硬く緊張している状態を長く続けると、背骨に老廃物がたまり、より硬直し、背骨の可動域が狭くなっていってしまうのです。

現代人はただでさえパソコンやスマホで前かがみの姿勢が多く、背骨が動いていません。楽器は振動することで音が鳴り響くのに、1個1個の背骨が振動しないから、声が響かないのです。

背骨の可動域とソフトパレットはつながっています。背骨をゆるめて体を解放することが、ソフトパレットをゆるめることにもつながります。

患者の背中に手を当てる理学療法士
写真=iStock.com/Ngampol Thongsai
背骨をゆるめると声が変わる(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/Ngampol Thongsai

■背骨をゆるめるストレッチ

1 体を前後に曲げる

立ったままで行うのがベストですが、いすに座ったままでもOK。首から腰に向かって頸椎、胸椎、腰椎と、背骨を一つひとつ意識するように、上体をゆっくり曲げていきます。

曲がりきったら、今度は逆に腰から首に向かって、背骨を一つひとつ意識しながらゆっくり起こし、上体をゆっくり反らします。これを2、3回繰り返しましょう。

※いすに座って行う場合は、いすの背もたれにもたれるように反っていいですが、後ろに倒れないように注意しましょう

背骨をゆるめるストレッチ
出典=『1日3分で変えられる! 成功する声を手に入れる本』
2 ねじる

いすに座り、背筋をまっすぐに立て、骨盤を正面に向けたまま、上体を左右にゆっくりねじり、元に戻します。左右3回ずつくらいを目安にしましょう。

背骨をゆるめるストレッチ
出典=『1日3分で変えられる! 成功する声を手に入れる本』
3 上体を横に曲げる

立ったままで行うのがベストですが、いすに座ったままでもOK。右腕を上げ、ゆっくりと上体を左側に曲げ、右の脇腹の筋肉を気持ちよく伸ばします。肋骨(ろっこつ)と肋骨の間が開くようなイメージで行います。

ゆっくりと元に戻したら、左側も同様に行います。これを2、3回繰り返しましょう。

(背骨の可動域をチェックするにはビデオを撮るのもいいですし、ピラティスの体験レッスンなどもいいかと思います)

背骨をゆるめるストレッチ
出典=『1日3分で変えられる! 成功する声を手に入れる本』

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中島 由美子(なかじま・ゆみこ)
日本声診断協会代表理事
司会、ラジオパーソナリティ、ナレーターなど声の仕事を経て、リクルート入社。退職後、2012年に日本声診断協会を設立。18年間で約2万5千人の声のデータを分析した結果から、「声診断メソッド」「声診断ソフト」、および独自の「ボイストレーニング法」を開発。大手美容室やエステティックサロン、コールセンター、タレント事務所のほか、介護施設、IT系企業、教育現場などで導入実績多数。著書に『1日3分で変えられる!成功する声を手に入れる本』(青春出版社)『人生を好転させる 声のみがき方』(ビジネス社)など。

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(日本声診断協会代表理事 中島 由美子)

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