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これで正月太りをリセットできる…医師が「これだけは食べていい」と断言する「魔法の油」

プレジデントオンライン / 2024年2月3日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kuppa_rock

「正月太り」を解消するにはどうすればいいのか。医師の齋藤真理子さんは「カロリー制限や糖質制限が体に適さない人も多い。ラクして、健康的にダイエットするなら、MTCオイルを食事に取り入れて、勝手に内臓脂肪が落ちる『脂肪燃焼体質』に変えることが大切だ」という――。

※本稿は、齋藤真理子『「内臓脂肪がなかなか減らない!」という人でも 勝手に内臓脂肪が落ちていく食事術』(アスコム)の一部を再編集したものです。

■「正月太り」で増えた体脂肪を放置してはいけない

体重が増える、体に脂肪がつくといった「目に見える」肥満の症状は、実は氷山の一角であり、その裏では「目に見えない」とても重要な臓器に、大きな悪影響を与えてしまいます。

その重要な臓器とは「肝臓」です。

脂肪の中でも、内臓脂肪が多くなると、脂肪を蓄える機能を持つ脂肪細胞がパンパンに膨れます。この異常に膨れた状態になった脂肪細胞から、炎症性物質が放出されるようになるため、体の組織に炎症が起こります。

そのため、肝臓の細胞に内臓脂肪が蓄積する「脂肪肝」になってしまうと、肝臓が常に炎症を起こした状態になってしまうのです。

最近は新年会などでお酒を飲む機会も多いと思いますが、お酒だけでも肝臓を疲れさせている状態です。そこに内臓脂肪が増えることで、さらに肝臓を弱らせてしまっているのです。

肝臓が炎症を起こした状態だと、私たちの健康を保つための、次のような主な4つの働きが十分に果たせなくなってしまいます。

1 代謝(食事で摂った栄養を、体内の各器官に必要な形に変える)
2 エネルギーの貯蔵(体に必要なエネルギー源であるブドウ糖などを貯蔵する)
3 解毒(アルコール、食品添加物、アンモニアなど有害物質を分解して無毒化する)
4 胆汁の生成(脂質の消化吸収を助ける、肝臓で処理された不要物を排泄する、血液のコレステロール濃度を調整してくれる働きのある胆汁を作りだす)

さらに肝臓の炎症が進行することで、脂肪性肝炎、肝硬変、肝臓がんなど深刻な肝臓の病気にもつながります。

■脂肪肝が全身に悪影響を及ぼす

また、脂肪肝になることで、肝臓に蓄積された中性脂肪が全身をめぐる血管にも流れ出てしまい、血管を狭めて詰まらせやすくします。その結果、果ては心筋梗塞や脳梗塞までも発症するリスクが高まってしまうのです。

脂肪肝が全身に及ぼす悪影響はこれだけではありません。体内には「副腎」という、各臓器や器官の炎症を鎮め、修復させる「ステロイド」という成分を生成する臓器があります。

このステロイドは、通常だと体内の各臓器で仲よく分けあって、体内の健康を保つために使うのですが、肝臓が炎症を起こしてしまうと、その炎症を抑えるためにステロイドが肝臓に優先的に使われてしまいます。その結果、ほかに修復が必要な臓器にステロイドが十分に回っていかない状態になるのです。

肝臓以外でも、内臓脂肪が多くなると炎症物質は発生するので、内臓脂肪が多い人は慢性的に炎症が全身で起こっている状態になります。

簡単にまとめると、内臓脂肪が多いと、体内が傷つけられ続けているのに、それを修復してくれる道具も不足しているような悲惨な状態になってしまうのです。

そんな状態が続けば当然、さまざまな臓器や器官に不調が現れ、さらに深刻な病気を引き起こすことへとつながります。

■内臓脂肪は雪だるま式に増えていく

肝臓の働きが悪くなると、やせるうえで重要な「基礎代謝」の低下が起き、さらにやせにくくなっていきます。

基礎代謝とは、体温の維持や、内臓の稼働、神経の伝達など生命維持のために体が自発的に行うエネルギー消費のことで、その1日の消費エネルギー量は代謝全体の約60%といわれています。

そして、肝臓は基礎代謝のうち実に約30%もの割合を占めているのです。

つまり内臓脂肪によって肝臓の機能が低下すると、肝臓が働くために使うエネルギーも減る。結果、エネルギーを消費しない、やせにくい体になってしまい、さらに太るという肥満スパイラルに陥(おちい)り、一度太ると肥満が加速してしまうのです。

体重に不満を感じる女性
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

このように、内臓脂肪を放置しておくことによるデメリットはあまりにも大きく、大げさではなく命の危機にもつながる恐ろしい事態にもなりかねません。

■ラクに、健康的に内臓脂肪を減らす方法

では、どうやって、体を蝕み続けるこの憎むべき内臓脂肪を取り除けばいいのでしょうか。できるだけラクに、そして健康的に、一瞬ではなく永遠に内臓脂肪とサヨナラするためには、①「脂肪燃焼体質になる」ことと②「血糖値を安定させる」ことの2つのポイントがあります。本稿は①「脂肪燃焼体質になる」に絞ってご紹介していきます。

「脂肪燃焼体質になる」とはどういうことか。それについて理解するには「代謝のメカニズム」について知っておく必要があります。

長い間、人間が活動するうえで筋肉や内臓を動かすエネルギー源は主にブドウ糖(糖質)だと思われてきました。さらに、「脳がエネルギー源とできるのはブドウ糖だけ」という定説も長い間ずっと信じられ続けていたことは、知っている人も多いことでしょう。

しかし、近年の医学研究が進むにつれ、人間のエネルギー源は糖質だけではなく、脂肪を分解してできる、「ケトン体」という代謝産物によっても得られることがわかってきています。

お米やパンなどはすぐにエネルギーになるイメージがあるので、炭水化物(糖質)を摂らないと生きていけないと思っている人は多いと思います。しかし、実際に数日間ダイエットのために炭水化物を抜いても、死んでしまう人はほとんどいません。

それは、体内の糖質が不足して飢餓状態に陥ったら、肝臓が摂取した脂肪やタンパク質、また体に蓄えられた脂肪から「ケトン体」という物質を生成して、糖質に代わるエネルギー源に変えるためです。

■「脂肪燃焼体質」になるにはどうすればいいのか

このケトン体をエネルギーにすることを「脂質代謝」といい、糖質ではなくケトン体をエネルギー源にできている状態を「脂肪燃焼体質」といいます。

そもそも何億年前の太古の昔、人間の主食は肉であり、糖質はほとんど摂られていませんでした。それでも、狩猟などで激しく身体を動かしながら生活できていたのは、「脂肪燃焼体質」だったからです。

それが糖質をたくさん摂るようになり、主なエネルギー源が糖質になったため、糖質をエネルギーへと変える「糖質代謝」がメインになり、「脂質代謝」をほとんど行わなくなっていったのです。

つまり、人間の体には、内臓脂肪を減らしてエネルギーへと変える機能が太古より備わっており、その眠っている機能を呼び覚ませば、内臓脂肪が増えるリスクを減らすことができるのです。

■極端なカロリー制限や糖質制限は逆効果

先ほど、糖質を極端に制限して、体内のエネルギー不足を起こすことによって、脂肪をケトン体に変えてエネルギーにする「脂質代謝」を呼び覚ますことができる、とご説明しました。少し前、「ケトジェニックダイエット」というダイエットが流行りましたが、これはその仕組みを利用したものになります。

ところが、この「ケトジェニックダイエット」は極端なカロリー制限や糖質制限を行うため、しっかりした栄養の知識や、食事の管理が不可欠でした。

さらに、免疫力の低下や空腹によるイライラなど、日常生活への不自由を感じやすく、一般の人が仕事をしながら長期的に続けるのは難しいのが現実。結果的に糖質制限ダイエット=リバウンドしやすいという研究結果もあります。

ダイエットのためにテーブルの上の食べ物を拒否する女性
写真=iStock.com/Farknot_Architect
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Farknot_Architect

■MCT(中鎖脂肪酸)オイルが基礎代謝を上げ、脂肪を減らしてくれる

そこで、オススメの食べ物があります。拙著『勝手に内臓脂肪が落ちていく食事術』でも痩せるメソッドの1つとして紹介している「MCTオイル」です。MCTと英語なので、ちょっとケミカルな感じがしますが、MCTは中鎖脂肪酸の英語名 Medium Chain Triglycerideの略称で、母乳や牛乳などの乳製品、さらにはココナッツなどのヤシ科植物の種実に含まれる成分です。この中鎖脂肪酸100%のものが、MCTオイルと呼ばれています。

本来であれば、ケトン体はブドウ糖が不足すると、代わりのエネルギーとして肝臓で生産されますが、MCTオイルは分子構造が小さいため体内で素早く消化され、ケトン体を作りやすくすることができます。

さらにMCTオイルで太古の眠りから覚まされた脂質代謝の機能(脂肪燃焼回路)は、体内の脂肪を使って、どんどんとケトン体を作るようになります。次の図は、MCTオイルとサラダ油を2週間小さじ1杯摂取することにより、体内でケトン体がどれだけ増えたのかを調べた研究結果を紹介しています。

MCTオイルを摂ると体内のケトン体濃度が増えていくのがよくわかると思います。さらに、「ケトン体」によってミトコンドリアという細胞内の器官が活性化することによって、基礎代謝が上がっていくのです。

MCTオイルを摂るとケトン体が増加する
出典=『「内臓脂肪がなかなか減らない!」という人でも 勝手に内臓脂肪が落ちていく食事術』

脂肪が減って基礎代謝が上がる。このダブルの効果によって、体は、勝手に脂肪が燃える体へと変身していきます。

そして、「ケトジェニックダイエット」と違い、ケトン体を作り出すのに激しい糖質制限は必要ありません。

MCTオイルをかければ、糖質を適度に食べてもいいのです。糖質をエネルギーにする機能(糖燃焼回路)と脂肪燃焼回路の両方が作動しているという状態になります。代謝が上がることが関係するのか、糖質だけを摂ったときよりも、MCTオイルを一緒に食べた方が、糖質もエネルギーとして早く燃焼され、体脂肪になりにくいという研究結果もあります。

■MCTオイルを加えると、料理にコクがでてくる

具体的なやり方は、基本的にはMCTオイルを毎日の食事にかけるだけ。

オイルというと、スープやサラダ、パスタという洋風なものに合うイメージがあるかもしれませんが、お味噌汁やご飯などにも非常によく合います。コーヒーや紅茶などのドリンク、ヨーグルトや果物などのデザートにかけても違和感なく摂れるはずです。

MCTオイルはクセがほとんどなく、無味無臭でどんな料理にもよく合います。基本的には、香り、匂いはほぼなく、味もほとんど感じません。和洋中、どんなお料理にかけても、味を邪魔しなかったという感想が多くの方から聞かれます。むしろ、コクが加わり、おいしさがひと段階レベルアップしているようにも感じる人も多くいらっしゃいます。

齋藤真理子『「内臓脂肪がなかなか減らない!」という人でも 勝手に内臓脂肪が落ちていく食事術』(アスコム)
齋藤真理子『「内臓脂肪がなかなか減らない!」という人でも 勝手に内臓脂肪が落ちていく食事術』(アスコム)

1つ注意点としては、お腹が少々ゆるくなることもあるので、最初はちょっとの量からスタートしてください。1日小さじ1/2からはじめてみて、そこから体調を見ながら、1週間後に小さじ1/2を2回、3回と増やしていってください。

「内臓脂肪を減らすためには、『油』を摂るのが近道」であると、近年、多くの医師や研究者にも認められてきています。適量を知り、バランスよく食事に取り入れれば、油は健康な体づくりの最強のパートナーとなってくれます。

筆者はMTCオイルを取り入れる食生活をはじめ、2カ月で体重が6kg落ちました。無理な糖質制限をせず、ラクに、健康的にダイエットすることは可能です。ぜひ、MCTオイルを取り入れて、正月太りをリセットしてみてください。

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齋藤 真理子(さいとう・まりこ)
医学博士、日本形成外科学会専門医、分子栄養学認定医
昭和大学医学部大学院卒業。2010年に山本メディカルセンターに入職。皮膚科・形成外科を立ち上げる。2016年4月、山本メディカルセンター2代目院長に就任。日々の診療を通して、「健康は決して外からの治療だけで得られるものではなく、分子レベルで、身体の内側から健康にならないと成り立たない」と実感し、分子栄養学認定医の資格を取得。NHK「あさイチ」、テレビ朝日「林修のレッスン!今でしょ」、中京テレビ「それって⁉ 実際どうなの課」など、テレビ出演も多数。著書に『「内臓脂肪がなかなか減らない!」という人でも勝手に内臓脂肪が落ちていく食事術』(アスコム)がある。

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(医学博士、日本形成外科学会専門医、分子栄養学認定医 齋藤 真理子)

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