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「ウチは夫婦でよく話す」が一番危険…定年後も夫婦円満なうえ、ガッチリ稼げる人が共通して持つスキル

プレジデントオンライン / 2024年1月21日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/fizkes

人に話を聴いてもらうとスッキリ感や満足感が高まり、相手との信頼関係醸成や自己肯定感アップにもつながる。キャリアコンサルタントの金澤美冬さんは「『俺んとこは夫婦で結構よく話すから大丈夫』という方、要注意です。自分ばかり話して奥さんの話をちゃんと聴いていない可能性もあります。逆に傾聴力のある人は定年後も家庭円満で、仕事にもそれ以外の人間関係にも有効です」という――。

※本稿は、金澤美冬『おじさんの定年前の準備、定年後のスタート 今こそプロティアン・ライフキャリア実践!』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。

■「え? 俺んとこは結構よく話すから大丈夫」が一番危険

定年退職後、「今まで会社で頑張ってきたのだから、これからは家族と向き合う」といった声をよく聞きます。しかし、株式会社マイスター60『定年対策実態調査』によれば、既婚女性の86.5%もの人が旦那さんに「定年後も外で働いてほしい」と考えているそうです。

「亭主元気で留守がいい」というのは多くの女性が思うことであり、「旦那さんにはいつまでも健康にイキイキとしていてほしい」という前向きな理由もあれば、「家にずーっといて、朝昼晩と3食作らされるこっちの身にもなってほしい」「料理してくれるのはいいけど台所がグチャグチャでイヤ」「料理の感想を言わされる。私が作っても何も言ってくれないのに」「外出しようとすると『どこ行くんだ?』と聞かれ一日中監視されているようで鬱々(うつうつ)としてくる」などの理由(こっちの方が多い?)もあるようです。

ここまでの章では、定年後もイキイキと働くためにはどうしたらいいかということをお伝えしてきました。ここでは、そうは言ってもお家の中にいる時間だってあるのですから家族、特に奥様との関係についてお伝えしたいと思います。

なぜなら、男性は奥様の気持ちに鈍感なことが多いからです。奥様が「不満のサイン」を出していても、「俺のところは大丈夫」と気づかないことが実に多いからです。そして、奥様が長年蓄積した想いを爆発させたり、「熟年離婚」という形になって初めて慌てるということも少なくないようです。

そうならないために、今からできることの具体策の一つとして、「傾聴」についてお伝えしたいと思います。「え? 俺んとこは結構よく話すから大丈夫」という方、要注意です。自分ばっかり話して奥さんの話をちゃんと聴いていない可能性もあります。

40~60代の女性と話をしていると「夫が話を聴いてくれない」という方が非常に多いです。そして、それが不満や不信感につながっていきます。話を聴いてもらうことは誰にとってもすごく大事で、カタルシス効果(話してスッキリ、前に進める)のほかにも、信頼関係醸成や自己肯定感アップなどたくさんの良いことがあります。

でも、男性は話を聴くことがあまり得意でない方が多いので、奥様の不満につながるのだと思います。以下、よくある悪い例を挙げてみました。

■絶対やっちゃダメな6つの「話の聞き方」①~④

①上司風

奥様が「こんなことがあって困ったのよ」と話したときに、いつもどのように返答していますか? 「それはさあ、こうすると良いよ」なんてアドバイスしてませんか? そんなことは求めていません。上司または上から目線のコンサルのように、解決策を提示してほしいなんて思ってないんです。夫なんだから気持ちを分かってほしいと思っているんです。「そうだったんだ、大変だったね」と、とにかく共感して聴いてくれる姿勢があれば心が通じたと安心します。この人は分かってくれる、味方だ、と思えるものなんです。

②会話ドロボウ

奥様が話しているときに、「それなら俺もこんなことがあったよ」と自分の話に持っていっていませんか? いつもいつも話を聴いてあげているのに、自分の話をしたときでさえ会話の主役を奪われてしまうのか、と奥様はガッカリしているはずです。もし俺の話をしたいなら、奥様の話が終わった後に、タイミングを見て話してみてはいかがでしょうか。

横に並んで座っている夫婦
写真=iStock.com/bee32
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/bee32
③自称「聴いてる」

「俺はいつも女房の話を聴いている」という方でよくあるのが、本当に聴いてはいるんだけれど、それが奥様に伝わっていないということです。どういうことかというと、相槌を打たない、無表情、頷かないなど反応がないまたは希薄ということです。

そうなると、している方はまるで石に話しかけているようで、「聴いてくれていないな」と不完全燃焼で終わってしまいます。傾聴とは「ただ聴くこと」ではなくて、「聴いているということを相手に伝えること」だとも言えます。

だから具体的な行動としては、自分では少々大げさかなと思うくらい頷いたり相槌を入れたりすることで、まずはちゃんと聴いているということを伝えます。さらに、相手の言葉を「それは腹立つね」と伝え返したり、「それってこういうこと?」と要約や質問をしたりすることでやっと「私に興味持ってくれているのね」と信頼関係が醸成されるのです。

④俺が聴きたいことを聴く

「俺はいつも質問したり、興味持って聴いてる」という方、もしかしたら自分の興味あることだけを聴いていませんか。事実関係の確認、解決に導くための情報収集の質問ばかりだと詰められているように感じてしまい逆効果です。傾聴とは相手が話したいことを話してもらうことを言います。奥様が何を話したがっているのか考えを巡らせながら聴くということ、これを意識して聴いてみましょう。

■絶対やっちゃダメな6つの「話の聞き方」⑤~⑥

⑤無言アンコール

「ご飯ですよ」と声が掛かったときに、1回で着席してますか? 何回も言わないと来てくれなかったりすると「なんで何回も言わないと来てくれないのかしら、私のこと、軽視してるわ」となってしまいます。そんなことで? と思うかもしれませんが、逆に奥様に何度呼びかけても反応がなかったりしたらどうでしょうか? 悲しくなると思います。

⑥俺のタイミングを察してくれ

「俺が聴いてやろうじゃないか。でも俺は自分のペースを乱されたくない。今やっていることを中断させられるのがイヤだ。だから俺のタイミングを察して話しかけてくるのが良い」という方、けっこういるんじゃないでしょうか?

でもそういう方に限って「でも俺の呼びかけには可及的速やかに応答せよ」と言ったりします。ナチュラルにやっている方が多いと思いますが、せめてどっちかにしましょう。俺のタイミングを察してほしいなら、ご自身も奥様のタイミングを尊重する。または俺の呼びかけにすぐに応答してほしいなら、奥様が話したいときに話を聴く。良いとこ取りをしているということは、奥様が悪いとこ取りをさせられているということなのです。

①~⑥までお伝えしてきましたが、当てはまるものはあったでしょうか?

実は私自身も、特に①と②は無意識に家族や友人など身近な人によくやってしまっていました。カウンセリングを学んで、初めてこれが良くないことだと知ったのです。それまでは「良かれ」と思って上からアドバイスしたり、「自分も自分も」と会話ドロボウをしていました。今はそうならないように意識的に気をつけています。

面倒だな、と思うかもしれませんが、人生100年時代をともに歩むパートナーとの生活を潤いある温かいものにするか、カッサカサで冷たいものにするか、ご自身の姿勢にかかっています。何とか頑張っていただきたいです。

ここでグリットコンサルティング代表の野口雄志さんについてご紹介したいと思います。『定年後の人生を黄金期にする方法』『最強の「定年後」』(KKロングセラーズ)などの著書があり、2014年に定年退職後、コンサルティング会社を起業し、企業支援やセミナー講師として引っ張りだこの方です。

野口さんはその著書で、「コンサルティング会社として起業し最も大事なことはまず相手の話を聞くこと。クライアントの話を聞き課題を全て話してもらうことが仕事の成否に関わる。さらに定年後は普段喋る機会が減るのでついつい自分の話ばかりになってしまいがちだが、そうしていると誰も寄ってこなくなってしまうので気をつけなければいけない」とおっしゃっています。

金澤美冬『おじさんの定年前の準備、定年後のスタート 今こそプロティアン・ライフキャリア実践!』(総合法令出版)
金澤美冬『おじさんの定年前の準備、定年後のスタート 今こそプロティアン・ライフキャリア実践!』(総合法令出版)

実際に、野口さんとお会いすると、話下手な私でも話しやすい雰囲気を作って聴いてくださるので野口さんとお会いした後は、いつも元気が出てきます。自分の話を聴いてもらった満足感もありますし、野口さんに対する信頼も増します。だからきっと私と同じように感じ、野口さんとまた仕事がしたい、と思う方がたくさんいて、野口さんはますます定年後忙しくなってきたんだろうと思います。

ここで言えるのは、「傾聴」が家庭だけでなく、仕事にもそれ以外の人間関係にも有効ということです。特に、定年後はついつい自分の話ばかりになってしまう方が多くなると言われていますので、何とかそこを踏みとどまって相手の話を聴く、ということを訓練していくことで、新しい人間関係が仕事でも家庭でもそれ以外でも築けることと思います。

そして、そのことがご自身のライフキャリアをどんどん切り開く要素になることは間違いありません。だから自分のためにも、家族のためにも、「傾聴」を意識してみてください。

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金澤 美冬(かなざわ・みふゆ)
おじさん未来研究所 理事長、プロティアン株式会社 代表、キャリアコンサルタント
早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、三菱倉庫、JACリクルートメント、帝京短期大学(キャリアサポートセンター)等を経て2018年に転職エージェントとして独立。50代、60代の方が、重ねてきた経験、身につけたスキル、知識を活かし、自律的にライフキャリアを開拓するための支援をする。定年前の準備や定年後のセカンドキャリアを支援するため、おじさんLCC(ライフキャリアコミュニティ)を運営。著書に『おじさんの定年前の準備、定年後のスタート 今こそプロティアン・ライフキャリア実践!』(総合法令出版)、監修『定年後でも困らない! 誰でも稼げる小さな仕事』(宝島社)、現在、時事通信社で「令和おじさん進化論」連載中。その他、多数メディアから取材を受けている。

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(おじさん未来研究所 理事長、プロティアン株式会社 代表、キャリアコンサルタント 金澤 美冬)

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