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「白色やレモン色の便」は何を表しているのか…毎日「便の色」をチェックするとわかる隠れた病気リスク

プレジデントオンライン / 2024年2月8日 7時15分

「3日以上出ない」なら便秘(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/Vladimir Vladimirov

便の色からはさまざまな病気のリスクがわかる。薬剤師の鈴木素邦さんは「肝炎や肝不全を起こすと、肝臓で胆汁が作られなくなり、白い便やレモン色の便になってしまう。そんな便が出たら、すぐに医師の診察を受けたほうがいい」という――。

※本稿は、鈴木素邦『その一錠があなたの寿命を縮める 薬の裏側』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。

■「3日以上出ない」なら便秘

便秘とは、便を十分かつ、快適に出し切れない状態のことを言います。

排便回数が少ないだけで便秘と思う方が多くいますが、実はそれだけで便秘と判断することはできません。

自分が便秘状態にあるかどうかを判断する基準としては、3日以上出なかったり、便の硬い状態が続いたりして、心地よい排便ができない時に便秘と考えます。

高齢者の方が便秘の症状になる理由は、腸管の筋力が低下したり、食事の量自体が減少したりとさまざまです。便通回数が少なくても、無理に治療しなくて良い場合もありますので、ケースバイケースで考えましょう。

ただし、

・発熱や嘔吐・腹痛症状も起こっている(イレウスの可能性があり危険)
・細い便・血便が出る(腸管から出血がおこっている可能性がある)
・下痢と便秘を繰り返す(過敏性腸症候群の可能性がある)
・刺激性の下剤を頻繁に使っている(刺激性の下剤は短期的使用が原則)

といった場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

■便秘対策の「最強の味方」

食生活の改善で、大幅に便通改善が見込めることがわかっています。

毎日工夫を続けることで改善されている方が多いので、便秘になったら、まず食生活の改善に取り組んでいただきたいと思います。

食物繊維は、腸管の機能を高め、蠕動(ぜんどう)運動を促し、便を排泄する役割を果たす、便秘対策の最強の味方です。

食物繊維の量が増えると、排便効果が高まりますので、できるだけ多く取れる食生活へと変えていくことが大切です。

■男性は1日20グラム以上、女性は1日16グラム以上

必要な食物繊維は、男性の成人及び高齢者の場合、1日に20グラム以上、女性は1日に16グラム以上、が食物繊維摂取量の目標とされています。

ちなみに、現在の食物繊維の平均摂取量は男女とも1日に15グラム程度です。理想は、1日に24グラム以上の食物繊維摂取が望ましいとされています。

食物繊維を継続的に摂ることを考えると、主食を変えるのが一番現実的です。

レタスやバナナは食物繊維が多いとされていますが、レタスでは、1日に1.5個、バナナでは4本を食べると、平均値に届きます(1日に+5グラム程度)。

ですが、レタス1.5個やバナナ4本を食べる生活はあまり想像できません。

レタスやバナナは食物繊維が多い
写真=iStock.com/bergamont
レタスやバナナは食物繊維が多い(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/bergamont

その点、主食の改善なら課題を解決できます。例えばもち麦50%、白米50%の「麦ご飯」を主食にすれば、食物繊維の多いご飯となります。

大量の野菜や果物で食物繊維を補う必要がありません。

少し、癖があるのですが、主食にできる穀物の中で、食物繊維が多いものとして、大麦を乾燥させた食べ物であるオートミールもあります。

これがお口に合うなら、効率的に食物繊維を摂取することができます。

■正常便の組成は、60~70%が水

1日に1.5リットルから2リットル程度の水分を摂取することで、排便回数が増えることがわかっています。

正常便の組成は、60~70%が水です。十分な水分を取ることで、硬い便になるのを避けられるのです。

■穀物や豆類、野菜類を食べると便が黄色くなる

水以外には、ヨーグルトやチーズなどに含まれる乳酸菌の積極摂取で、便通改善効果が報告されています。

乳酸菌は、食生活で簡単に摂れるものですから、苦手でなければ取り入れてみましょう。

また、排便効果はそこまで大きいものではありませんが、整腸剤を取ることも有効性があります。

食物繊維や水分が足りているかどうかは、便の状態を見れば一目瞭然です。

穀物や豆類、野菜類を食べる量が多ければ多いほど便の色が黄色くなります。

逆に肉食で動物性タンパク質が多ければ多いほど、便の色が茶色から濃い茶色になります。

■白い便やレモン色の便が出たら要注意

ベタっと全体が黒い便が出た場合は、胃や十二指腸などの消化管での出血や潰瘍(かいよう)が疑われますので、医療機関を受診してください。

また、サプリメントで鉄剤を取り過ぎていると黒いブツブツが混ざった便が出たりします。

コーヒーを飲み終えた時にコップに黒いブツブツが残ったような感じに似ています。

白い便やレモン色の便が出ることもあります。この場合は肝臓や胆管の機能異常が疑われます。

白い便やレモン色の便が出たら要注意
写真=iStock.com/anandaBGD
白い便やレモン色の便が出たら要注意(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/anandaBGD

便が茶色、褐色になるのは、胆管から出る胆汁が混じるからです。

肝炎や肝不全を起こすと、肝臓で胆汁が作られなくなり、白い便やレモン色の便になってしまうのです。

便は水分量が多いものなのですが、腸管内に長いこと便が留まると、水分が腸管から吸収されて便が硬くなってしまいます。

硬い便のほか、水分を失って細い便の時も、食物繊維摂取量が不足して、高カロリーや高脂肪の食品を多く摂取している可能性があります。

■「黄色から茶褐色」「太さはバナナぐらいの太さ」「程よい硬さ」

理想の便の条件は、「黄色から茶褐色」「太さはバナナぐらいの太さ」「程よい硬さ」の3つです。

自分の排便を継続的にみることで、身体の健康度合のバローメーターにもなりますのでぜひやってみましょう。

前述した理想の3条件から外れているときは、食物繊維や水分摂取を増やしてみましょう。

なお、サプリメントの食物繊維が良いという研究結果は今のところありませんので、食品由来の食物繊維の摂取を試してみてください。

■「便秘になったら下剤」はおすすめできない

便秘になったらすぐ下剤を使うのはおすすめしません。

「便秘になったら下剤」はおすすめできない
写真=iStock.com/Siarhei Khaletski
「便秘になったら下剤」はおすすめできない(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/Siarhei Khaletski

まずは食生活で対応するのがベースです。その上で、効果がない時に下剤を上乗せで使います。これが標準的な便秘治療です。

まず食生活の改善を行います。食物繊維を増やしたり、水分の摂取を増やしたりします。食物繊維のサプリメントは使わず、野菜や海藻などの食品由来の食物繊維の摂取を試してみてください。

次に、腸管内に水分を増やす薬を検討します。

腸管内に水分を増やす薬としては、酸化マグネシウムがあります。服用することで、便に水分が集まりやすくなり、便の硬さが緩和されます。

それでも効かない場合は、刺激性下剤を検討します。

座薬(坐薬)や浣腸などの腸管を刺激する薬は、効果は大きいのですが、副作用の腹痛などが起こりやすいことも知られています。

また、長期間使い続けるとあまり良くないとされていますので、期間を定めて使います。

市販薬でも売られていますが、継続して腸刺激薬を使わなければならない状態になりそうであれば、一度、医療機関を受診しましょう。

■電車で下痢になる人は「過敏性腸症候群(IBS)」の疑いがある

通勤電車に乗っていて、仕事が嫌だなと思っていると、ストレスで急にお腹が痛くなる……。といったことは誰にでもあるはずです。

製薬会社の調べによれば、2人に1人はそういう経験をしているようです。

駅のトイレに駆け込んだものの、トイレが使用中で大変な思いをしたという人も少なからずいるでしょう。

そんな時に下痢止めの市販薬があれば……と考えがちですが、下痢止め薬は必要最低限の利用に止めておくのが正解です。

電車で下痢になる人のほとんどは、過敏性腸症候群(IBS)の疑いがあります。

■日本人の1割は過敏性腸症候群

最近、腸脳相関といって、腸と脳が密接につながっていることが、さまざまな研究によって明らかにされています。

腸からの指令で、脳が変調をきたすこともありますが、脳からの指令で腸が変調をきたすこともあります。

過敏性腸症候群というのは、脳からの指令で腸が変調をきたす症状を指しています。

この症状の特徴は、内視鏡や血液検査でがんや炎症などの異常がないにもかかわらず、下痢や便秘、腹痛などの消化管機能の異常が起こる、という病気です。

日本人の1割ぐらいが、過敏性腸症候群だと言われています。

鈴木素邦『その一錠があなたの寿命を縮める 薬の裏側』(総合法令出版)
鈴木素邦『その一錠があなたの寿命を縮める 薬の裏側』(総合法令出版)

小腸や大腸などの消化管の動きは自律神経が司っています。しかし、ストレスによって自律神経が乱れ、腸管の蠕動運動が活発になり、便の通過速度が速くなると、水分を腸で吸収できず、下痢として出てしまうということになります。

お腹を冷やしてしまうと下痢を起こす場合があります。これは自律神経のバランスが崩れたり、腸管の筋肉が緊張しているので、症状が辛いときは、下痢止め薬を使っても問題はありません。

ただし、下痢止め薬を使っても48時間以内に症状が改善しない場合は、原因を特定し最適な医療を受けるために病院を受診してください。

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鈴木 素邦(すずき・そほう)
薬剤師、経営学修士(MBA)
1980年生まれ、千葉県出身。東京大学、慶應義塾大学など32大学の教壇に立ち、3万人以上の薬剤師を世に送り出す。また、武田薬品工業、ファイザー製薬など大手製薬企業20社以上から研修依頼なども受け、論理的でありながらユーモラスな講義で人気を集める。祖父が創業した不動産管理会社の3代目社長として、薬局経営を指導している。著書に『その一錠があなたの寿命を縮める 薬の裏側』(総合法令出版)がある。

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(薬剤師、経営学修士(MBA) 鈴木 素邦)

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