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旧NISAから移す必要はない…新NISAを100%使いこなすための「売却・継続」のボーダーライン

プレジデントオンライン / 2024年2月2日 7時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Eoneren

新NISAをどう活用すればいいのか。個人投資家の山口貴大さんは「月5000円でもいいから入金を続けることが重要だ。生涯非課税枠の上限である1800万円に達しなくても、メリットは十分に受けられる」という――。

※本稿は、山口貴大『【新NISA完全攻略】月5万円から始める「リアルすぎる」1億円の作り方』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■月5000円でもいいからNISA口座に入金を続ける

資産形成の道のりは人それぞれです。

国税庁の民間給与実態統計調査によると、2021年の給与所得者の平均給与は443万円。2020年よりも約10万2000円増えたものの、ピークだった1997年の467万円には届いていません。

新NISAの年間投資枠は360万円に拡大されましたが、少ないお給料や貯えから年間360万円も運用に回せる人はなかなかいないのが現状です。

お金に余裕がないなら、月5000円でも1万円でもかまいません。とにかく、非課税でお金がお金を生み出してくれる資産形成マシーンであるNISA口座にたんたんと入金を続けることが大切です。

1800万円という生涯非課税枠を埋めるスピードが遅くても、つみたて期間中にも複利運用の効果が働き、長期つみたてになるほど加速度的につみたて中の資産が増えます。

■少額つみたてで時間がかかる分、長期複利運用ができる

たとえば、月3万円つみたての場合、年間のつみたて額は36万円ですから、1800万円の新NISA上限額を埋め切るには50年かかります。

しかし、つみたて期間中も年率5%の運用利回りで、つみたて中の投資元本がじわじわと増えていく前提で試算すると、50年後に新NISAの投資枠1800万円を埋め尽くしたときの資産評価額は、なんと7556万円に達しているのです。

会社に就職して、お金に少し余裕ができた25歳から毎月3万円つみたてを始めた場合、1800万円の投資枠をすべて満たすのは50年後の74歳になります。

すでに老後生活に入った74歳までつみたてを続けられなくても、つみたて開始36年後の60歳時点で投資元本1296万円は3460万円まで2.6倍以上に増えています。少額つみたてで枠を埋め切るのに時間がかかる分、逆にそれまでの投資元本を長期複利運用できるので、枠をすべて埋め切ったときにはかなり大きな評価額の資産を築くことができるというわけです。

■30歳から毎月5万でも60歳以降で毎月20万円前後使える

すでに40代、50代で、余裕資産が1800万円の倍くらいある人は、毎年360万円、最短5年で新NISAの生涯非課税枠を埋め切ってください。

右肩上がりの上昇が続く投資対象で運用する場合、最初に一括投資するほうがつみたて投資するよりも得られるリターンは大きくなります。

しかし、いくら一括投資のほうが効率的といっても、20代、30代で新NISAの生涯投資枠1800万円を最短5年で用意できる人はほとんどいないのが現状でしょう。

30歳から少し頑張って毎月10万円、年間120万円で、新NISA口座のつみたて投資をスタート。15年後の44歳で、投資元本が新NISAの生涯投資枠1800万円に到達というのがモデルケースといえるかもしれません。

よりハードルを下げるなら、毎月5万円、年間60万円で、30年後の59歳で1800万円に到達というケースになるでしょう。

30歳から44歳まで毎月10万円つみたての場合、59歳時点の運用評価額は5407万円。60歳から80歳でほぼゼロになる取り崩しプランで試算してみると毎月35万1000円。これだけあれば一部を銀行預金にプールできるので、死ぬまで優雅に暮らせるでしょう。

30歳から毎月5万円つみたての場合、59歳時点の運用評価額は3998万円と少ないですが、それでも60歳以降、20万円前後を取り崩せるので、年金と合わせればきっと怖いものなしでしょう。

■1800万円の枠をすべて使いきれなくても問題はない

新NISAが生涯投資枠1800万円をできるだけ早く埋める入金ゲームだったとしても、投資は余裕資金で気長にやるべきもの。

「1800万円の壁」はかなり大きく、手ごわいのです。

新NISAのもう一つのメリットは「死ぬまで非課税運用できる」ことですから、できるだけ早く運用できない分は、できるだけ長く運用することでカバーしましょう。

2023年で終了するつみたてNISA同様に、毎月3万3000円、年間40万円の資金で「1800万円÷40万円=45年間」かけて、気長に1800万円の枠を埋めてもいいのです。

45年間といえば、25歳ではじめて69歳までかかってしまう計算ですが、途中、60歳になった時点でつみたてをやめて、新NISAの非課税枠すべてを使い切れなくても別に問題はありません。いざというときに必要な現金を十分に確保したうえで投資することのほうが大切です。

■ほったらかし運用の期間をどれだけ長くできるかが重要

ここまで読んだ方なら、新NISAの運用ステージは、

(1)入金期間
(2)ほったらかし期間
(3)集金期間

という3つの期間に分かれていることに気づくはずです。

入金期間は、新NISAの生涯投資枠1800万円分の投資元本を埋めるべく毎月つみたて投資を続ける期間です。新NISAの年間投資枠の上限は360万円ですから、毎月30万円が入金額のマックスです。

ほったらかし期間は、1800万円を入金したあと、ほったらかしにして複利運用に励む期間です。すでに生涯非課税投資枠を使い切っているので、もう新NISA口座に追加入金はできません。

つまり、新NISAの運用というのは、投資元本の上限1800万円を頑張って埋め切ったら、あとはお金自体に勝手に働いてもらって、お金を増やしてもらうこと以外、何もやる必要がないということです。

ほったらかし期間が長ければ長いほど複利運用の効果で資産は加速度的に増えます。ほったらかし運用の期間をどれだけ長くできるかが、60歳以降の取り崩し額を決めるといってもいいでしょう。

むろん、これまでせっせと新NISA口座につみたて投資をしてきて、枠が埋まったから急に新規投資を止めてしまうのも、もったいないもの。その後も資金に余裕があれば、課税口座を使ってつみたて投資を続けてもいいでしょう。

コイン
写真=iStock.com/Khanchit Khirisutchalual
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Khanchit Khirisutchalual

■旧NISA口座の資金をすぐに売却する必要はない

旧NISA口座の運用資産は、投資した年から、つみたてNISAなら20年間、一般NISAなら5年間、今後も非課税運用できます。わざわざ、非課税運用できる資産を現金化して、新NISAに移し替える必要はありません。

逆に、新NISAの生涯非課税投資枠1800万円にプラスして非課税運用できる貴重な投資枠として、非課税期間終了まで運用を続けるべきです。

しかし、特定口座で運用している資金に関しては今後、利益を確定したときにその約20%が税金として持っていかれてしまいます。

2024年以降、年間360万円、総額1800万円までは非課税運用できるようになるわけですから、新NISAの投資枠に空きがある2024年早々に、いったん現金化して、新NISAに移し替えたほうが断然有利です。

たとえば、旧NISA口座に100万円、特定口座に100万円の運用資産があった場合は、

●旧NISA口座の100万円はそのまま非課税運用継続
●特定口座の100万円は売却して新NISAの投資資金に充てる

そして、残り1700万円の枠を月収50万円から月の生活費30万円を引いた月20万円で埋めていくのが、新NISA攻略の最適解になります。

■課税口座の資金売却基準は「年間360万円の余力」の有無

ここまでの攻略法を整理すると、

●旧NISA口座にある資金は売却しない(旧NISA口座はいったん運用資産を売却すると非課税枠が消滅してしまうので、非課税期間いっぱいまで運用を続けるのがベスト)
●利益に課税される特定口座(もしくは一般口座)にある資金は場合によっては現金化して新NISAに投資

という流れになります。

課税口座にある資金を売却するかしないかは、基本的には、

●年間360万円の投資余力がある人は売却しない
●年間360万円の投資余力がない人は売却して新NISAでの投資資金に充当

山口貴大『【新NISA完全攻略】月5万円から始める「リアルすぎる」1億円の作り方』(KADOKAWA)
山口貴大『【新NISA完全攻略】月5万円から始める「リアルすぎる」1億円の作り方』(KADOKAWA)

という判断になります。

ただ、特定口座と新NISA口座でまったく同じインデックスファンドに投資しているといった場合、たとえ360万円の投資余力があったとしても特定口座の資産は売却して、非課税口座の新NISAに移し替えたほうがいいでしょう。

その場合、これまでの利益に約20%課税されたうえで非課税運用に切り替える効果と、税金の支払いを繰り延べして課税口座で運用を続ける効果を天秤にかけることになります。

その後の運用がうまくいけばいくほど、非課税の新NISA口座に移し替えたほうが有利になります。

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山口 貴大(やまぐち・たかひろ)
Financial Free College代表
ネット関連会社などに勤務後、独立してサービス業関連会社を興す。2018年に売却、その売却益を米国株を中心に運用する。2019年、YouTubeチャンネルを開設し、「ライオン兄さんの米国株FIREが最強」を運営中。2020年、金融・起業のマネースクール「Financial Free College」を設立。SNSでは「ライオン兄さん」名義で活動。著書に『年収300万円FIRE 貯金ゼロから7年でセミリタイアする「お金の増やし方」』、『【新NISA完全攻略】月5万円から始める「リアルすぎる」1億円の作り方』(ともにKADOKAWA)がある。

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(Financial Free College代表 山口 貴大)

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