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子どもには子どもの「言えない」理由がある…黙り込んだ子に大人がやるべきたった一つの行動

プレジデントオンライン / 2024年2月1日 14時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

何を考えているか話してくれない子どもに、どう声かけすればいいか。児童精神科看護師のこど看さんは「子どもが黙っているときは、言いたいことがあっても言えずにいる場合が多い。『話さないとわからないよ?』と急かすのではなく、言葉を待つことが重要だ」という――。(第1回/全3回)

※本稿は、こど看『児童精神科の看護師が伝える 子どもの傷つきやすいこころの守りかた』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■大人は子どもの言葉を待つことができない

子どもと大人の気持ちはよくすれ違います。子どもが何も語らずに黙っているとき、大人は「話さないとわからないよ?」と語りかけがちです。しかしそのとき、子どもは「話せないんだよ。わからないの?」と感じているかもしれません。

なぜこのようなすれ違いが起きるのでしょうか? その原因のひとつとして、私たち大人が「子どもの言葉を待てない」ことがあると思うのです。大人は、自分の気持ちを言葉で伝えて、その言葉を受け取ってもらったという経験を積み重ねているので、「言葉で伝えることの大切さ」を理解しています。

しかし、子どもは言葉でやり取りする経験を積んでいる真っ最中なので、言葉にする前に「これ言ったら怒られるかな」「迷惑かけちゃうかもしれないな」と考え、自分の言葉が変に伝わってしまわないか怖くなり、「言いたいのに言えない」状況が発生します。

それに加え、自分の気持ちを適切に表現する言葉を知らなかったり、大人から言葉を求められるプレッシャーに圧倒されているなど、子どもながらに言えない理由や背景があります。それを理解し、私たち大人には、子どもの言葉を待つ姿勢が求められるのではないかと思うのです。

■「言えるけど言わない」のではなく「言いたいけど言えない」

大人は「言えるけど言わない」ができます。しかし、子どもは「言いたいけど言えない」のです。もし、子どもから言葉が返ってこなかったら、「話さないとわからないよ?」と子どもの言葉をせかすのではなく、「話せないの、つらいよね」と共感しながら子どもの言葉を待ってみましょう。

そして、子どもが自分の思いや感情を言葉にすることができたときは、その言葉を否定せずに受け止めてあげてください。そうすることで、子どもは「自分の言葉には価値がある」と実感し、「言葉で伝えるって大切なんだな」と思えるようになるのです。

■誰かに話しかけるのは子どもにとって勇気がいる

子どもの話を聞く上で、傾聴力が大切なのは言わずもがなです。しかし、傾聴力だけでは子どもの話を聞くことはできません。なぜなら、子どもの話を聞く場面をつくらなければ、子どもの話を聞けないからです。だからこそ私は、「子どもの話を聞きに行く力」が大切だと思うのです。

子どもにとって、「誰かに話しかける」って結構勇気が必要なことです。大人と違い、誰かに声をかけたり相談してきた経験が少ないので、たとえそれが親相手であったとしても、「今忙しくないかな?」「こんなこと話しても大丈夫かな?」と、自分から話しかけることに躊躇しやすい面があります。そんな背景があるからこそ、大人のほうからも子どものところに行って、声をかけてほしいのです。

では、子どもの話を聞く場面を多くつくり、子どもの話を聞きに行く力を伸ばすにはどうしたらよいでしょうか。

私のおすすめは「子どもの得意分野について本気で質問する」という方法です。「絵を上手く描きたくて」、「サメの弱点を知りたいんだけど……」のような感じで、子どもが得意としていることに関して本気で質問や相談をし、会話のきっかけをつくるのです。その中で、子どもの困り事をさりげなく聞いてみるのもよいでしょう。ただし、強引に子どもの話を聞き出そうとするのは避けてください。私たち大人と同じように、子どもだって話したくないときはありますので、子どもから「話したくない」と言われたら、潔く身を引きます。

このように、子どもの話を聞く力には、「子どもの話を積極的に聞きに行く力」が含まれます。「子どもの話をどうやって聞こう」を考えることと同じくらい、「子どもの話をどうやって聞きに行こう」と考えることが重要なのです。

■「なんでそんなふうにできるの?」と聞いてみる

どんなときでも全力で遊び、楽しみ、悔しがる。

周りの目を気にせず、自分の好奇心に従って行動する。

このような子どもの姿を見て大人が心を動かされることってありますよね。それはきっと、子どもの頃はできていたことが、大人になった今となってはできなくなっていることに気づかされるからなんだと思います。

子どもの姿から学ぶことは大切なのですが、それだけで終わるのはもったいない! もし、あなたが子どもの姿を見て学んだのであれば、その子から直接指導を受けることを強くおすすめします。

絵を描いている子どもと大人のイメージ
写真=iStock.com/FamVeld
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/FamVeld

方法はシンプルで、子どものそばへ行き、「◯◯なところが勉強になったんだけど、意識していることや、コツとかってあるの?」「なんでそんなふうにできるの?」と、子どもに直接指導をしてもらいたいと真剣にお願いするのです。こうした姿勢は大人だけではなく、子どもにも大きなメリットがあります。それは、「その子が自分のすばらしい部分に気づける」という点です。

■大人の「教えて!」が子どもの自信を育てる

子どもから見た大人は、自分よりも経験豊富な「たぶん自分よりもすごい人」に見えています。その「すごい人」から、急に「あなたのやっていることを教えてください」と言われたら、「自分のしてることってなんかすごいのかも」と、その子が気づいていないすばらしい部分を、その子自身が感じられます。

さらに、「大人に認められた」といううれしい事実も残ります。こういった、少し恥ずかしくもうれしい気持ちが、その子にとって大切な要素になります。

ぜひ、子どもの素敵な姿に心を動かされたら、真剣に「教えて!」とお願いしてみましょう。大人のそんな姿勢が、子どもの自信を育む手助けになるのです。

■「よくわからないけど」は子どもの心を閉ざす枕詞

こど看『児童精神科の看護師が伝える 子どもの傷つきやすいこころの守りかた』(KADOKAWA)
こど看『児童精神科の看護師が伝える 子どもの傷つきやすいこころの守りかた』(KADOKAWA)

子どもが発する話題は、大人にとってなじみがなく、理解しづらい場合が多いものです。それで私たち大人はつい「よくわからないけど、そうなんだ」と相槌を打ってしまうことがあります。実はこの言葉、子どもには否定的に捉えられてしまう可能性があり、注意が必要です。

そもそも、子どもが熱心に話しているということは、あなたに対して、「この人ならこの話を理解してくれるかもしれない」と期待して話している可能性が高いです。そんな子どもにとって、「理解してくれるかもしれない」と期待している大人からの「よくわからないけど、そうなんだ」という言葉は、かなり衝撃的に聞こえます。「この人、この話をわかろうともしてくれないんだ」とネガティブに捉え、「もうこの話題は出さないようにしよう……」と心を閉ざしてしまうかもしれません。

■子どもの興味・関心を子どもの目線で学ぶ

では、代わりになんと言えばよいのでしょうか。ここでも「その話、教えてほしいな」と、子どもに教えてもらう姿勢で声をかけるのが私のおすすめです。この言葉は、子どもの話を前のめりに聞こうとする大人がいるというポジティブな事実を伝えることができる上に、子どもが大人に教える機会を自然につくり出すことができる、まさに一石二鳥の言葉です。

大人である私たちが、子どもの話を適当に聞いてしまうことがあるのは事実でしょう。しかし、あなたに向けて子どもが熱心に話しているときこそ、子どもの興味・関心を、子どもの目線から学ぶことができるチャンスです。何かを一生懸命話している子どもに、「その話、教えてほしいな」と伝えたら、きっとその子は目を輝かせて、あなたがまったく知らない世界を力強く語ってくれるはずです。

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こど看(こどかん)
精神科認定看護師
精神科単科の病院の児童思春期精神科病棟に10年以上勤める。現在も看護師として病棟勤務しながら、「子どもとのかかわりを豊かにするための考え方」をSNS等で精力的に発信中。メンタル系YouTuberの会所属。一児の父。

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(精神科認定看護師 こど看)

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