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なぜ一流はメールの返信が早いのか…三流は後回し、二流はすぐ返信、一流がやっている「メール術」とは

プレジデントオンライン / 2024年2月3日 12時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/tsingha25

なぜ一流はメールの返信が早いのか。クロスリバー代表の越川慎司さんは「一流のビジネスマンはメールの確認を必要最低限に抑えている。こまめに確認せずにまとめて確認することで、優先順位に応じて対応することができる」という――。(第1回)

※本稿は、越川慎司『時短の一流、二流、三流』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

■一流は週明けになにから手をつけるのか

休み明けは会社に向かう足取りが重くなりませんか?

私も以前は、日曜の夕方から気分が重くなっていました。いわゆる「サザエさん症候群」です。一週間のスタートは、時短を実践する上で極めて重要です。月曜朝、デスクについてメールや通知の確認から始めると、沼にはまります。

週末に溜まったメールや通知に一気に取り組むと、その日の大半をそれに費やしてしまいやすくなり、とても危険です。また、月曜からフルパワーで仕事を始めようとすると、無理な量の仕事を抱え込むことがあります。これは疲れを溜めるだけでなく、一週間のペースが狂いやすくなります。

一流は、「影響力のある2つのタスク」をメモします。週の初めに最も重要なタスクを書き出し、念頭に置くことで、その他のタスクへの力の入れ方が決まります。成果に影響しないタスクに、過度な労力を費やすことを避けることができるのです。

「やるべきこと」を決めるための基準は2つあります。それは、「影響力」と「緊急度」です。影響力の高いタスクは、長期的な成果や目標の達成に大きく関わってきます。例えば、「将来の大型顧客に対する提案活動」や、「理想の管理職になるためのリーダーシップ研修への参加」などが、影響力の高いタスクです。

■仕事だけでなくプライベートの時短にもつながる

緊急度の高いタスクは、「本日中に提出すべき報告書」などのように、速い対応が求められるものです。しかし、緊急ではないが影響力の高いタスクこそが“成果と効率を共にアップすること”につながるため、一流は緊急度よりも影響力を重視します。

また、一流は「やるべきこと」だけでなく、「やめるべきこと」を決める基準も明確です。成果に直結しない活動、他者がより効果的に行えるタスクは手放す覚悟を持っています。

例えば、週に1回の内省で時間を浪費する習慣や、目標達成に不必要な会議、情報収集を見つけ出し、翌週には思い切ってやめる実験をしていました。やめる実験で問題がなければ、そのままやめ続けていたのです。影響力のある2つのタスクと、「やるべきこと」と「やめるべきこと」の基準を週の初めに書き出すという行動実験を7815人で2カ月実施した結果、「労働時間の削減につながった」と回答した人が77%もいました。

興味深いことに、実験者の59%が、家事や育児などプライベートでの時短にもつながったと回答しました。休み明けの時短は、仕事だけでなく私生活の充実にも直結するのです。

一流は、「影響力のある2つのタスク」をまず書き出す
「やるべきこと」と「やめるべきこと」の基準を明確に持つ

■「まずやることを決める」は二流の仕事術

仕事の初動とは、「始めの一歩を踏み出すための方針」のことを指します。作業内容をきちんと把握せず、具体的な戦略も持たずに作業を始めてしまうと、時間通りに終えることができません。気づかずに不要な工程を踏んだり、途中で作業をやり直すことになったりしてしまいます。

ラップトップ
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

全体像を整理して「やることを決めてから始める」という人も多いですが、まだ一流とは言えません。予定を詰めすぎてしまい、想定外のことに対処できなくなってしまうこともあるからです。

例えば、経営会議に向けて入念に準備したものの、当日に発表時間を半分にするよう指示されて、重要なことを言い切れなかったりすることがあります。一流は、やらないことを決めてから始めます。仕事においては、「すべてをやる」ことが最善ではなく、ときには「やらないこと」を選択することが求められます。

これは、何が最も重要なのかを理解し、それに集中するための戦略なのです。例えば、社内会議用の資料作成を任されたとします。売上数字を社内に報告するための資料だったら、それ以外の情報や、装飾は不要です。また、前回の会議で使った資料を流用することができれば、作成時間は大幅に減ります。この場合、「凝った資料を作るのはやめる」と最初に決めてから、作成に取り掛かるのです。

このように、一流の取り掛かり方には、戦略が求められます。タスクが多いときほど、「やらないこと」を明確にすることが重要です。一流はこの原則を理解し、実践しています。

■目標を明確にすれば、やるべきことは見えてくる

この戦略を成功させるためには、「自分の目標や優先事項」を明確に理解していることが前提となります。

目標が明確でないと、何が重要なのか、何をすべきで、何をやらないべきなのかを、判断する基準がありません。そうなると、目の前のタスクを何となくこなし、結果として重要なタスクが疎かになる恐れがあります。これを機に、「やらないこと」を決定し、その結果得られる時間とエネルギーを最も重要なタスクに集中させてみてください。

このアプローチは、「やらなければならないこと」を見て感じるストレスを減らすだけでなく、自分がコントロールできる行動を選択し、時間とエネルギーを最大限に活用することを可能にします。ぜひ試してみてください。

一流は、「やらないこと」を決める
限られた時間と集中力をどこにフォーカスするかで成果が変わる

■なぜ一流はメールの返信が早いのか

私は、これまで815社の業務改善を支援してきました。その中で39社に協力してもらい、人事評価の上位5%の社員(一流)と、上位40%(二流)、そして下位20%(三流)の社員のメール送信の傾向をそれぞれ調査・分析しました。

スマートフォンで、会社のメールをチェックするビジネスパーソンは年々増えています。チェック頻度は6年前に比べて2.3倍に急増し、平均で49分に1回ほどでした(*1)。意外なことに一流の社員は平均よりも少なく、63分に1回。むしろ仕事ができる人の方が、チェック頻度は少なかったのです。

メール
写真=iStock.com/champpixs
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/champpixs

1時間以上もメールをチェックしないと業務に支障が出るのではないか、と思うかもしれません。実は、一流社員の「違い」は返答スピードにありました。日程調整や資料の修正など返信が求められるメールに対して、一流社員の返答がダントツで早かったのです。

一流は、メールの受信時間から平均39分で返答していました。受信チェックは63分に1回にも関わらず、平均返答時間は39分ですから、チェック時に一気に返答していることが分かります。二流は76分、三流は185分と、明らかな差が出ました。もちろん、受信したメールの文字量や依頼内容の複雑さによって、すぐに返答できないケースもあるでしょう。「すぐに返せるものは、なるべく早く返す」という方が、実際に多いようです。しかし、一流社員はどのメールでもすぐに返信していたのです。

(*1)クロスリバー社調査、2017年3月〜2023年3月、対象者21,764名

■メールチェックの頻度は必要最低限でいい

例えば、日程調整の場合は、すぐに候補日を返信します。時間をかけて作業しないといけない場合は、「今週金曜の17時までに回答します」と提出の目途を返します。このように、仕事の流れを自分のところで止めずに、相手の「待ち時間」を減らしていたのです。

越川慎司『時短の一流、二流、三流』(明日香出版社)
越川慎司『時短の一流、二流、三流』(明日香出版社)

128社を調査したところ、相手からの返答を待つことによって残業になるケースが増えていることが判明しました。仕事は一人だけで完結できず、共同作業によって成り立っていることは明らかです。また、即答することにより、相手からの評価が高まります。同僚や取引先から、「○○さんは3人いるのですか?」と言われて評価されることもあるそうです。

こうして信頼を高めていけば、重要なプロジェクトに抜擢されたり、仕事の進め方を任されて報告業務が減るなど、少ない労力で成果を出しやすくなります。一流は、仕事は共同作業の流れで成り立っていることを知っています。必要最低限の頻度でメールをチェックして、即答することにより「仕事渋滞」を防いでいるのです。

一流は、いつでも返信が早い
相手に配慮することで、仕事のスピードと自分への信頼をアップする

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越川 慎司(こしかわ・しんじ)
株式会社クロスリバー代表
元マイクロソフト役員。国内および外資系通信会社に勤務し、2005年に米マイクロソフト本社に入社。2017年にクロスリバーを設立し、メンバー全員が週休3日・完全リモートワーク・複業を実践、800社以上の働き方改革の実行支援やオンライン研修を提供。オンライン講座は約6万人が受講し、満足度は98%を超える。著書に『AI分析でわかったトップ5%リーダーの習慣』、『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』(共にディスカヴァー・トゥエンティワン)、近著に『29歳の教科書』(プレジデント社)がある。

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(株式会社クロスリバー代表 越川 慎司)

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