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社員の87%が悩む「上司の一方的な話」を止めたい…上司の逆ギレを避けるために一流社員が使う「ひとこと」

プレジデントオンライン / 2024年2月4日 6時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

87%の社員が「管理職が一方的に話し続けるのを聞くのは苦痛だと感じる」という調査結果がある。クロスリバー代表の越川慎司さんは「上司の暴走を放置してしまうと、ただ時間が無駄にすぎてしまう。覚悟とスマートさをもって無駄を撲滅することが必要になる」という――。(第2回)

※本稿は、越川慎司『時短の一流、二流、三流』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

■部下への指導ではなにを意識すべきか

部下や後輩の指導に多くの時間を費やしているものの、成果が出ない。このような悩みを持つ方は少なくないでしょう。時間を効率的に使い、それでいて成果を上げるには、指導の仕方に工夫が必要です。

部下や後輩からの質問を受けた際に、「それってどういうこと?」というように、その質問の意図を深く聞くのはおすすめできません。質問の意図だけを聞いていると、解決すべき具体的な問題点や、背後にある課題に気づきにくいのです。部下や後輩からの質問に対して、すぐに答えを教えてあげるのが一般的でしょう。

いわゆるティーチ(Teach 教える)です。これは緊急度が高いときには有効です。しかし、他の問題が発生したときも、また同じように指導者の助けを求めるようになります。自分で答えを導き出そうとせず、先輩や上司の答えを当てにします。これでは、言われたことしかやらない受け身の姿勢が身につき、長期的な成長は望めません。

一流は、答えの出し方を教えます。いわゆるコーチ(Coach)です。具体的な答えを与えるのではなく、問題解決のフレームワークや思考のプロセスを提供します。これによって、部下や後輩は自ら考え、自ら行動する能力が高まります。

■相手を認めたうえで、一緒に考える

例えば、新しいプロジェクトの計画方法、顧客との交渉術、リーダーシップの取り方など、具体的なスキルや状況に応じた対処法も一緒に教えます。「そのアイディアはいいですね」「さすがですね」「さらによくするためには何か考えられますかね」と相手を認めた上で、一緒に考えるのです。さらに、一流は自分自身も成長し続けようとします。

オフィスで指導するビジネスマン
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

そのために、定期的なフィードバックや内省を欠かしません。部下や後輩への指導だけでなく、彼らからのフィードバックを真摯(しんし)に受け入れ、それを次の指導に活かします。これこそ、一流が部下や後輩とともに成長し続ける秘訣です。一流は、効率的な時間の使い方で、多くの部下や後輩を一度に指導することもします。そのため、短期間で大きな成果を上げることができるのです。

具体的には、必要な指導を一度にまとめて行う、個別の指導の代わりにグループでの指導を行うなどです。このように、一流は指導の仕方においても非常に高いレベルでのスキルと認識を持っています。そのため、彼らが関わる部下や後輩は、高いレベルで成長し続け、その結果として組織全体も強くなるのです。一流に近づくために、このような多角的な視点とスキルをぜひ磨いていきましょう。

一流は、答えの出し方を教える
一方的に答えを教えるだけでは、部下や後輩は育たない

■一流は反対意見に対してもうなずく

何気ない日常の動作である「うなずき」。しかし、その一つひとつが他人とのコミュニケーションにおいて、意外と重要な役割を果たしています。

うなずきが少ないと、意見に対しても無反応に見えて、相手とのコミュニケーションがスムーズに進まないことがよくあります。本人が意識していなくても、相手にとっては不安な存在として目に映るのです。

賛成意見や自分が望む答えに対しては、しっかりとうなずく人が多いのではないでしょうか。しかし、反対意見や意見の相違に対しては、その反応が鈍くなります。相手にとっては、話がスムーズに進む場面も多く安心感はありますが、あまり深い関係性は築けません。

一流は、反対意見に対してもうなずきます。反対意見を出してくれたことを承認する意味でうなずくのです。相手の意見を尊重しているというメッセージともなり、発言しやすい空気を作ります。例えば、ビジネスミーティングの場では、アイディアを出す時間(発散)と決める時間(収束)を分けます。

前者では多くのアイディアを募ることがゴールですので、「何でもよいからアイディアを出してみてください」と呼びかけます。自分とは違う意見であっても、うなずいて「反応」することで安全な空気を作り、多くの発言を促します。アイディアがたくさん出た後に、評価基準を決めて「決定」するのです。

このように、一流は「決定」のうなずきではなく、「反応」としてのうなずきをすることで、限られた時間で発散と収束を終えるのです。

■「いいアイディアを出してください」はNG

ある製造業のお客様で、新商品開発のブレーンストーミングで決定することを禁止する行動実験をしました。アイディアを出してもすぐに否定する年配者が複数いたので、アイディアを出す発散時間と決める時間を分けるルールにしたのです。すると、以前よりも出されるアイディアの量が2倍以上になり、その中にいいアイディアが含まれている確率が高まっていきました。

「いいアイディアを出してください」と言うと恐縮して意見が出にくかったのですが、「否定しないのでどんなものでもアイディアを出してください」と声かけをしたら、アイディア量が増えたのです。このルールの下で行われたブレーンストーミングを計120時間以上記録して分析したところ、どのようなアイディアでもうなずく人が増え、発言者も発言数も増加していました。こうしてアイディアがたくさん出るようになると、予定された時間よりも早く会議が終わることが分かりました。

意見を出しやすい空気を作ったことで、「会議の時短」につながったのです。このように、一流は、ただ時間を「節約」するだけでなく、その時間を「有意義に使う」方法を実践しています。そして、それが真の「時短」であり、一流と呼ばれる所以なのです。

一流は、反対意見にもしっかりうなずく
うなずきは、同意の意味だけでなく、発言しやすい空気も作る

■上司の一方的な話は苦痛でしかない

想像してみてください。毎週月曜日の朝、9時半から週次会議が始まります。そして、上司がまた同じ話を始めます。

「みなさん、数字を上げるためにはコミュニケーションが大事です。コミュニケーションとは……」

講演会
写真=iStock.com/baona
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/baona

何度も聞いたことのある内容。この瞬間、「またこの話か」とその場にいる人は心の中で溜息をつくでしょう。

小学生のとき、校長先生の長話を苦痛に感じていた人は、多いのではないでしょうか。夏の暑い日に外に立たされて、同じ話を何度も繰り返して聞くのは苦行そのものだったと思います。この状況は、職場でも起きています。

218社を調査すると、管理職が一方的に話し続けるのを聞くのは苦痛だと感じる社員は、87%に上りました。一方で、その長い話を止めるのは現実的には困難です。評価者である上司に立てつくと、不利なことが起きると考えてしまう人が多いのです。しかし、上司の暴走を放置してしまうと、ただ時間が無駄にすぎていきます。これがもし日常的な出来事であれば、その累積は計り知れません。

■一流はどうやって上司の暴走を止めているのか

この種の放置は、効率性が損なわれるだけでなく、チームの士気にも影響を与えかねません。割って入る間(ま)を見て発言しようとしても、リスクが伴います。上司がその場で不機嫌になる可能性もあり、それが後で仕事に影響を与える場合もあるからです。

越川慎司『時短の一流、二流、三流』(明日香出版社)
越川慎司『時短の一流、二流、三流』(明日香出版社)

一流は、「ありがとうございます」と言って上司の暴走を止めます。感謝の言葉を添えて上司を止めるのです。

「ありがとうございます、その点は大変重要ですね。ただ、時間も押しているので、次のアジェンダに移りませんか?」といった具体的な提案も一緒に行うことで、上司もスムーズに話を終えるきっかけを得ます。

一流が上手に時間を節約する理由は、無駄なことをやめようとする覚悟とスマートさがあるからです。感謝の言葉を選ぶことで、上司も無意識にその話を区切るきっかけになります。そして、その後の会議がスムーズに進むため、全体として時間を節約できるのです。

■時短は速さと同時に品質を追及するもの

相手を不快に思わせずにコミュニケーションを取る技術は、他の多くの場面でも同様に効果を発揮します。

例えば、プロジェクトが遅れそうなときは、チームに対して具体的な指示を出すだけでなく、その指示がなぜ重要なのか、どういう結果を期待しているのかをしっかりと伝えてみてください。その結果、チームメンバーはその重要性を理解し、より早く、かつ質の高い仕事を行うことができます。

時短とはただ単に「速さ」だけではなく、「品質」も同時に追求するものです。そしてその両方を満たす方法が、一流のコミュニケーションに隠されているのです。

一流は、「承認+指摘+承認」の承認サンドイッチで止める
相手の状況を見て不快にさせずに行動を変えることで、時短を実現する

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越川 慎司(こしかわ・しんじ)
株式会社クロスリバー代表
元マイクロソフト役員。国内および外資系通信会社に勤務し、2005年に米マイクロソフト本社に入社。2017年にクロスリバーを設立し、メンバー全員が週休3日・完全リモートワーク・複業を実践、800社以上の働き方改革の実行支援やオンライン研修を提供。オンライン講座は約6万人が受講し、満足度は98%を超える。著書に『AI分析でわかったトップ5%リーダーの習慣』、『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』(共にディスカヴァー・トゥエンティワン)、近著に『29歳の教科書』(プレジデント社)がある。

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(株式会社クロスリバー代表 越川 慎司)

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