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「饒舌で自己アピールが得意」は大損している…一見華やかにみえる人が陥るコミュニケーションの勘違い

プレジデントオンライン / 2024年2月1日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AndreyPopov

一緒にいて本当に楽しい人は何をしているか。作家の有川真由美さんは「相手が話したくなるテーマを見つけて振ってくれる“話させ上手”な人は、ほとんどの人に好意をもたれる。会話というのは、自分の話をする“主役”よりも、相手にスポットライトを当てて話をさせる“脇役”のほうが得をする仕組みになっている」という――。

※本稿は、有川真由美『どこへ行っても『顔見知り』ができる人、できない人』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

■どんな人の、どんな話にも興味をもって面白がる

「この人は、どんな人とも友だちになれるんじゃないか」と思わせる人というのは、好奇心が旺盛で、だれの、どんな話にも面白がって耳を傾けます。一方、自分から交友関係を狭めている人は、自分と関係のないことには、まったく興味を示さないのです。

相手の話に乗ってあげられるかどうかで、会話の楽しさは大きく変わります。

たとえば、「最近、サウナにハマってるんです」と言われたときに、「私はあまり行かないです」などと返すと、会話はすぐに途切れてしまいます。

「私はあまり行かないんですけど、流行ってますよね。どんなところが魅力なんですか?」とか、「デトックスになりそうですよね」「サウナに行ってなにか変化はありました?」「おすすめのサウナはあります?」なんて、自分の興味に寄せて聞いてみると、相手はどんどん話してくれるし、自分も楽しくなってきます。

興味のないテーマでも、「もし自分がやるとしたら、どうなんだろう」「そうなった人の心境はどうなのか」「そんな世界があるのか」と、想像を膨らませて面白がるスキルは、相手に話をさせながらも、その場を楽しくする主導権を握っているのです。

相手に“乗っかる”ことのできる人は、自然に話題も交友関係も広がっていきます。

気をつけないといけないのは、よく知らないのに合わせようと知ったかぶりをしたり、マウントをとって張り合おうとしたりすること。知らないことは、自然体で「教えて!」と学びの姿勢、自分も詳しいときは「じつは私も好きなんですよ」と共感や協力の姿勢になったほうが、肩の力を抜いて話ができるはずです。

会話とは、それ自体を楽しむことが目的で、お互いの信頼感を深める方法でもあります。会話が成り立たないと、関係を築くことはむずかしいもの。顔見知りにもなれないし、夫婦や恋人、仕事仲間であっても会話がなかったら楽しくないでしょう。

どんな人にも物語があり、面白いエピソードや貴重な情報が隠れています。その人自身に興味をもつことが、会話上手の基本かもしれません。

■たったひと言「ほめる」だけで笑顔になる

職場でも趣味のサークルでも、すぐに仲良くなれて、良好な関係が続く人は、よく人の長所に目を向けて、ほめることが多いものです。

たとえば、初めて会った人にも、気さくに「おしゃれなシャツですね。よくお似合いです」「色の組み合わせが、いいですね」なんて話しかける。ときどき顔を合わせる人には「今日もいい笑顔!」「物知りだなぁ」「言葉遣いが丁寧」「働き者!」「声に癒やされます」など、相手の“ほめポイント”を見つけて伝えようとするのです。

最近、私が初対面の人から言われて嬉しかったほめ言葉は、「佇まいがいいですね」。“佇まい”という言葉が新鮮で、その人のことが「自分も知らないよさを認めてくれた特別な人」として忘れられない存在になったのです。

子どもからお年寄りまで、だれでもほめられるのは大好き。相手のことが好きになり、こちらも相手を認めよう、ほめよう、喜ばせようという気持ちになります。

たったひと言、ほめるだけで、互いに笑顔になれるのです。

ほめることは、お金も時間もかからず、大きな恩恵があるのに、その重要性を理解していない人が多いようです。とくに現代社会では、多くの人が孤独を抱えていて、心の奥で「自分を認めてほしい」「わかってほしい」と渇望しています。

つまり、需要に対して、ほめてくれる人の供給が圧倒的に不足しているのです。上司でも、夫婦でも、相手をほめて認めることで継続できる関係もあるかもしれません。

もしも、あなたがほめることに慣れていなければ、いいなと思ったときに、すかさず「いいね」「さすが」「すばらしい」と、簡単な言葉でも口に出すことから始めるといいでしょう。

今まで話をしなかった相手でも、にっこりして「髪、切ったんですか? 素敵です」「会議での提案、すごくよかったです」なんて言ってみてはいかがでしょう。

ほめる習慣でいちばん得をしているのは、自分自身。相手のいいところを見ようとするので、嫌悪感やストレスが軽減されて、人間関係がうまくまわり始めるのです。

オフィスで称賛を受けて喜ぶ女性
写真=iStock.com/ChayTee
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ChayTee

■名前をさりげなく会話のなかに差し込む

相手との距離を一気に縮めて“顔見知り”になるために、ぜひ習慣にしてほしいのが「相手の名前を呼ぶこと」です。自己紹介をされたり、名刺をいただいたりしたら、すぐに会話のなかにさりげなく、相手の名前を差し込みましょう。

名前というのは、相手が人生のなかでいちばん耳にしていて、もっとも甘く、心地よく響く言葉。「どう思いますか?」と聞かれるよりも、「○○さんは、どう思いますか?」と聞かれたほうが、自分が尊重されているようで、「ちゃんと答えよう」と思うはずです。

名前を差し込める会話はいくらでもあります。「たしかに、○○さんのおっしゃる通りですね」「○○さんもカラオケに行かれることがあるんですか?」「○○さんは大阪のご出身ですよね」「○○さん、ひとつ質問していいですか?」という具合に。

名前を連呼しすぎるとわざとらしくなりますが、適度に挟むと、相手に「自分は名前を呼んでもらえる存在なのだ」と思われて、親密度がぐんと高まるのです。

名前を繰り返し口にすることで、名前が覚えやすくなるというメリットもあります。

ある有名俳優が、ドラマの収録前に必ずすることは「スタッフ全員の名前を覚えること」と言っていました。名前を呼ばれて、嫌な気持ちになるスタッフはいません。だれもがファンになって「この人のためにがんばろう!」と思うでしょう。

名前を呼ぶことは、コミュ力に自信がない人でも、簡単に距離を縮められる秘策。よく行く飲食店で、スタッフの名前を呼ぶだけで“お得意様”扱いされたり、初対面の人ともすぐに打ち解けて「また会いたい」と思ってもらえたりします。

逆に、何度か面識があるにもかかわらず、いつまでも「あの〜」なんて呼んでいたら、相手は「名前覚えられていないのかな」と、残念な気持ちになるかもしれません。

気恥ずかしいのは最初だけですぐに慣れるので、どんどん名前を呼びましょう。名前を呼んだ相手には不思議と親近感がわき、好印象をもつという効果もあるのです。

■“話し上手”より“話させ上手”になる

饒舌(じょうぜつ)で自己アピールが得意な人は、華やかな印象を与えます。

しかし、仲良くなれるかは別問題。ほとんどの人は他人の話を聞くよりも、自分の話を聞いてもらえるほうが嬉しいもの。それだけ、自分の気持ちを解放して、自分をわかってもらうことには、心の底からの“快感”があるからです。

会話というのは、自分の話をする“主役”よりも、相手にスポットライトを当てて話をさせる“脇役”のほうが得をする仕組みになっています。

とくに、ただ話をさせるだけではなく、相手が話したくなるテーマを見つけて振ってくれる“話させ上手”な人は、一緒にいてほんとうに楽しい。

「面白いなー。それでどうなったの?」「そもそも、どうして挑戦しようと思ったの?」「それ、すごいね。うまくいくヒケツはなに?」なんて質問をして話を引き出してくれるので、話していて心地よく、これまで気づかなかった自分を知ることもできるのです。

そんな相手には当然、「この人ともっと話したい」と好意をもち、「この人のことを知りたい」と興味がわくはずです。“話させ上手”な人は、一見、目立たなくても、どこに行ってもいち早く打ち解けていたり、顔が広くてあちこちから声がかかったり。一目置かれて、人間関係の中心にいることも少なくありません。

私は職場や住居を転々としてきたので、どこに行っても、自分が話すよりも、相手に話してもらうことを心がけてきました。「相手がどんな性格で、なにが好きで、なにを嫌と感じるか……」を“観察”すると、相手の話の延長線上で、自分のことも「じつは私も」と効果的に話せるし、相手の力になることもできるのです。

たとえ相手が小学生でも、フラットな目線で相手が話したくなる話題を見つけて、わかりやすい言葉で話し、興味をもって「なに?」「どうして?」「どんな感じ?」と質問する。相手が楽しく話してくれたら、自分も楽しいと思う……。そんな「お先にどうぞ」のスタンスが、やわらかい関係をつくってくれるような気がするのです。

■「小さな喜び」「小さな苦労」に共感する

「今日、嬉しいことがあってね。ふふ……」なんて、日常のささやかな喜びを話したとき、「それはよかった!」「こちらまでワクワクしてきた」「わかる、わかる」と自分のことのように喜んでくれる人、あなたのまわりにいませんか?

そんな「共感力」のある人がいると、嬉しくて安心するもの。「この人ならわかってくれる!」とつい本音を話したり、思わずはしゃいだりしてしまうこともあります。

また、仕事、人間関係、恋愛、育児、介護など自分の身に起きた小さな苦労を、「それはたいへんだったね」「辛かったね」「よく耐えたね」なんて親身になって理解してくれる人がいるのも心強い。味方を得て報われたような気持ちになるものです。

「共感力」とは、人の気持ちや感情を思いやり、自分のことのように感じる力のこと。社会のなかで人と共存して、助け合うための力でもあります。

「女性同士は共感でつながる」と言われることがありますが、古来、まわりと協力して子どもを産み育てるため、互いの気持ちをわかり合う必要があったのでしょう。

現代は男女関係なく、共感力のある人がモテる時代。部下の気持ち、夫や妻の気持ち、顧客の気持ち、初対面の相手の気持ちなど、相手の立場になって「これは嬉しいだろうな」「これは辛いだろう」と共感できる人はどこに行っても大切にされるはず。

言葉で伝えなくても「助けを必要としている」「いまはそっとしておいてあげよう」と察して行動できるので、一緒にいると心地よく、愛されるのです。

反対に、「私に言わせれば、甘えすぎ」「そんなに嬉しい?」「もっと○○すればいいのに」と、自分目線だけで話す人からは、人は離れていくものです。

相手が「こんなことがあってね」と出来事を話したときに、「それは安心だね」「たいへんだったでしょう?」と相手の感情に変換してリアクションすると、共感する練習になります。相手の気持ちをわかろうとするためには多少気苦労も伴いますが、やさしさや気配りは、必ず自分にはね返ってくるのです。

座って会話をする多民族グループの人々
写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/recep-bg

■やわらかく接すると、やわらかく応えてくれる

どこへ行っても「顔見知り」ができる人のまわりには、いつも笑顔があるもの。笑顔でいると、理屈抜きに自分も相手もリラックスして、仲良くなれるのです。

私はカメラマンをしていたとき、よく海外の街角で、カメラを指さして子どもやお年寄りに「OK?」と笑顔で声をかけていました。すると、こわばった顔も途端にほころんで、大抵は「OK!」と、にっこり笑顔でポーズをとってくれるのです。

笑顔は万国共通の「仲良くしましょう!」「心配しないで!」というメッセージ。

「感じがいい人」という印象は、丁寧な対応(行動)や、あいさつ(言語)よりも、笑顔であること(表情)のほうが大きく影響するといいます。表情というのは、群れて生きてきた人間にとって、とてもわかりやすくて重要な“意思表示”なのです。

私たちは生きていくために、無意識に相手に危険性があるかどうかを感知していますが、笑顔で接すると、相手は「危険ではない」「自分を受け入れてくれている」と認知して、不安や恐れがなくなり、すぐさまリラックスモードに導いてくれるわけです。

笑顔には計り知れない効果があります。表情が感情を生み、自分が楽しくなる「表情フィードバック仮説」、相手やまわりの人も笑顔になる「ミラー効果」、ストレスを緩和して心を整えてくれる効果、自信があって魅力的に見える効果など。だれだって、ムスッとした表情の人より、にっこり笑顔の人が好きなのです。

人間関係を大切にして、仕事やプライベートで引き立てられている人たちは、いち早く笑顔の効果に気づいて、初対面でも、顔見知りでも、家族や同僚でも、だれかと一緒にいるときにできるだけ笑顔でいようと心がけているはずです。

ただし、引きつった笑顔、バカにした薄笑い、ニヤニヤして心ここにあらずの笑い、目が笑っていないなど、気持ちが伴わない笑顔は、逆に警戒されるので気をつけて。

笑顔はお金もかからず、どれだけ与えてもなくならないギフト。笑顔が絶えない人のまわりには、あたたかい人たちが集まるという単純な法則を忘れないでください。

■「本来、人間はあたたかいもの」と心を開く

「都会は世知辛く、みな冷たい」「だれもが自分のことしか考えていない」など、基本的に人は冷たいものだと考えていると、人と仲良くなることも、関わり合って生きていくこともむずかしいでしょう。どこに行っても心が閉じていて猜疑心(さいぎしん)が強く、些細なことでも傷つきやすくなるはずです。

有川真由美『どこへ行っても『顔見知り』ができる人、できない人』(PHP研究所)
有川真由美『どこへ行っても『顔見知り』ができる人、できない人』(PHP研究所)

顔見知りができやすいかどうかは、そもそも人間とは冷たいものか、あたたかいものか、どちらをデフォルトにしているかの差が、大きいのではないかと思うのです。

ときどき、「世の中には悪い人がいるから、下手に声をかけてはいけない」などと言う人がいます。もちろん、自分を守るために気をつける必要はありますが、人間に「いい」「悪い」と色がついているわけではありません。

それぞれがさまざまな要素をもっていて、「善人」がひょんなことから悪に染まっていくこともあるし、「悪人」と呼ばれる人の心にもいくらかの良心はあるでしょう。

それと同様に、あたたかくも冷たくもなるのが人間ですが、私が「本来、人間はあたたかい」と確信するのは、それが生きとし生けるものの“自然”な姿だからです。

植物や動物がまわりから命を与えられ、まわりのために自分の命を捧げるように、人間も一人では生きていけず、だれもが「愛されたい」「愛したい」という欲求をもっています。

社会の機能がシステム化されたり、個人化が進んだりするほど、人間のあたたかさは尊く、つながることを欲するようになるのではないでしょうか。

不思議なもので、「本来、人間はあたたかい」「だれもが限りある人生を懸命に生きている」と俯瞰(ふかん)してみると、あたたかい部分に目がいくようになります。それに、そう考えたほうが心は穏やかになり、生きやすいではありませんか。

「本来、人間はあたたかい」と思うと、怖がらずに心を開いて相手と接することができ、心を開いてもらえるようになります。傷つくことがあっても寛容になれ、癒やすこともできます。“恐れ”より“愛”のある選択ができるようになるのです。

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有川 真由美(ありかわ・まゆみ)
作家
鹿児島県姶良市出身、台湾国立高雄第一科技大学応用日本語学科修士課程修了。化粧品会社事務、塾講師、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、フリー情報誌編集者など、多くの職業経験を生かして、働く女性へのアドバイスをまとめた書籍を刊行。内閣官房すべての女性が輝く社会づくり推進室「暮らしの質」向上検討会委員(2014-2015)。著書に『感情の整理ができる女(ひと)は、うまくいく』(PHP研究所)、『30歳から伸びる女(ひと)、30歳で止まる女(ひと)』(PHP文庫)、『好かれる女性リーダーになるための五十条』(集英社)、『遠回りがいちばん遠くまで行ける』(幻冬舎)などがある。

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(作家 有川 真由美)

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