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これなら人見知りでも話しかけられる…雑談の達人が選ぶ自分のことでも相手のことでもない"第三の話題"

プレジデントオンライン / 2024年2月2日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hakase_

赤の他人に上手く話しかけられる人は何をしているか。作家の有川真由美さんは「知らない人に話しかけるには、最初の言葉を発することが大事だ。ひと言でも相手が受け取ってくれれば、相手と自分の“境界線”が取り払われる。その際に“犬” “赤ちゃん““趣味”は誰もが笑顔になれる鉄板の話題である」という――。

※本稿は、有川真由美『どこへ行っても『顔見知り』ができる人、できない人』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

■「話しかけられる人」ではなく「話しかける人」になる

あなたは、自分から積極的に話しかけるタイプですか?

それとも、話しかけられるのを待っているタイプでしょうか?

私はもともと後者で、話しかけるのが苦手。とくに初めての場所で知らない人ばかりの場面、または知っている人でも用事がない場面などでは、話したいのに話しかける勇気がなくて、「頼むから、だれか私に話しかけてくれー」と祈っていたものです。

話しかけてもらうと嬉しくて、怒濤(どとう)の勢いで話し始めていたのは、「人前で緊張する」「自分に自信がない」というより、「話しかけて拒絶されるのが怖かった」のです。“大人の人見知り”といっていいかもしれません。

私がそれを克服できたのは、やはり“慣れ”。話しかけるのに慣れたのと、ごくたまにある冷たい反応にも慣れたから。「まぁ、そういう人もいるだろう」と。

話しかけるようになって実感するのは、「話しかけられる」のを待っていたときよりも何十倍も人との出逢いが増えて、何十倍も人生が楽しく、充実したものになるということ。

自分自身で、自分の行動を選び、つき合う人を選び、より多くの情報やサポートを得られる。人生が大転換するチャンスが得られたのも自分から声をかけたから。

だれもが程度の差こそあれ、防衛本能の一種である人見知りの一面をもっています。話しかけてもらうほうが嬉しいし、慣れない場所では、救われた気分にもなる。その分、話しかける人は少しの勇気だけで、ずっと愛されるし、大切にもされるのです。

「話しかけるのは苦手」「私も大人の人見知りかも」と感じている人は、「人見知りはよくない」と思うのではなく、「人見知りでも自分から声をかける方法」を探してみませんか?

本稿では、内気な人、人見知りの人でも「話しかける人」になれるコツをお伝えします。小さな声かけでも、大きな一歩。なにかが変わる可能性を秘めています。声かけに少しずつ慣れていくことで、自信がついていくことも実感するでしょう。

■まずは見たまま、感じたままを口にしよう

ゴミ出しに行ったとき、同じマンションの住人らしき女性が、

「あ、金木犀の香り……」

と、ひとり言のような、知っている人に言うようなさりげなさで、つぶやいたことがありました。「ほんといい香り。どこに木があるんだろう」と私もつぶやくと、「ほら、あそこよ。もうそんな季節なのね」「この甘い香りで秋を感じますね」と笑い合って、ときどき声をかけ合う顔見知りに。

一緒になにかを感じて体験することは、一気に心を近づけてくれるでしょう。

わざわざ話題を考えるのではなく、その場でその瞬間「見たまま、感じたままを口にする」だけで、気負わずに話しかけられるのです。たとえば「きれいな夕日!」「今日は蒸しますね」「鳥の鳴き声が聴こえません?」「ぽかぽかして気持ちいいですね」と五感で感じたことを口にするのです。まるで前から顔見知りだったようにさらりと。

いきなり「私はこのマンションに住んでいまして……」とか「お仕事はなにをされているんですか?」などと、野暮な自己紹介をするよりも自然に会話が始まります。

パーティや居酒屋などで同席しているときは、「その料理、美味しそうですね」「カレーの匂いが漂ってきません?」「このパスタ、温かいかと思ったら冷たかった」と食の話題に事欠きません。目や耳に入ってくるものから「あそこに掛かっている絵、面白くないですか?」「このソファー、フカフカで座り心地がいいですよね」「あ、この曲、すごい好き」など、なにげないひと言で人柄を伝えることができます。

ゲストハウスでランチパーティーを楽しむ友達
写真=iStock.com/Yagi-Studio
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Yagi-Studio

相手に対して感じたひと言、たとえば「素敵なお帽子ですね」「これからジョギングですか?」「荷物が重そうですね。持ちましょうか」なども乗ってくる確率大。

まずは、最初の言葉を発することが大事。ひと言でも相手が受け取ってくれれば、相手と自分の“境界線”が取り払われます。互いにふっと肩の力が抜けて安心感が生まれ、つぎの言葉も出てきやすくなるのです。

■第一声は「どこから来たの?」より「お手洗いはどこ?」

あるバンドの大阪でのコンサートに一人で行ったときのこと。右どなりは40代くらい、左は20代の金髪でギャルっぽい格好をした女性で、それぞれ一人で来ているよう。右側の人に話しかけようかなと思っていたら、その女性が私のほうを向いて……、

「お手洗いって、どこにあるか知ってます?」

「私、初めてなんでわからないんですよ」とキョロキョロしていると、左のギャルが「右手の入り口の近くにありました。いまのうちに行ったほうがいいかも」と親切に教えてくれたのです。

そこから「もしかして昨日も来た?」「はい。一応、全公演」「ぎゃー、いろいろ教えて!」と意気投合。九州、四国、北海道から来て年齢もバラバラな3人は、まるで最初から知り合いだったようにコンサートを楽しんだのでした。

なにかの目的でそこにいて、通りすがりに近い相手に、いきなり「どこから来たの?」「おいくつ?」などと相手の情報を聞くと、昨今は不審者扱いされることも。

「なんで聞くの?」と言いたくなる、意図のわからない質問は警戒されるのです。

そんなとき、「お手洗いはどこ?」「このビルに自販機はある?」「このセミナーは何時まで?」「遠くの貼り紙、なんて書いてあります?」など、自分でも相手でもない“第三のこと”を話題にすると、質問の意図も明確。しかも「困っているから、どうにかしてあげなきゃ」と、ほぼ100%の確率で応えてくれます。

それらを話しかける口実にしてもいいではありませんか。話しかけたいときは、わざとらしくない程度に「ちょっと聞いてみたいことないかな?」と考えるのです。

少しでも話すと、「先ほどは、ありがとうございました。私、この会に参加するの初めてなんですよ」「じつは、私もです」なんて、互いのことも話しやすくなります。

自分でも相手でもない“第三のこと”を話題にする「三角話法」は、私もよく使う手。これをやると、世の中の人はなんとあたたかいのだろうと思えてくるのです。

■だれもが笑顔になれる3つの話題

私は、お店や散歩の途中など、“犬”か“赤ちゃん”を連れている人がいたら、ほぼ声をかけます。なぜなら、話しかけやすく、にっこり微笑んで応えてくれるから。

先日もマンションのロビーで「きれいなワンちゃんですね。いま何歳ですか?」と声をかけた瞬間、その犬が盲導犬であることに気づきました。「3歳なんですよ」「まあ、若い。それに、賢い。まったく動じないもの」「そうなんです。あ、エレベーターのボタン、押してもらっていいですか?」「もちろん」……と会話が続き、顔見知りに。見かけるたびに私のほうから声をかけて、スモールトークをしています。

犬を飼っている人同士、ママ・パパ同士は仲良くなりやすいものですが、自分には犬も赤ちゃんもいなくても、言葉を交わし合うだけで、ほっこりした気分になります。

「ワンちゃん、なんていう種類ですか?」「トイプードルって人懐っこいですよね」「男の子? 女の子?」「赤ちゃん、何カ月ですか?」「まぁ、お目々が大きい。元気に育ってね」などと話しかけるほうも目尻が下がってきます。

街の通りでしゃがんで犬を撫でる女性
写真=iStock.com/Ivan Pantic
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Ivan Pantic

ただし、赤ちゃんを連れたママや、犬を散歩させている女性や子どもに、男性が話しかけると、世の中にはいろんな人がいるので、冷たい反応をされることもあるかもしれません。

男性の場合は無理をせず、釣りをしている人に「なにが釣れますか?」、一眼レフのカメラで風景を撮影している人に「そのカメラだときれいに撮れそうですね」、スポーツグッズを身につけている人に「もしかして○○のファンですか?」など、趣味が似ていそうな人に軽く話しかけてみてはいかがでしょう。

自分が愛するものに興味をもってくれるのは、だれでも嬉しいもの。会話が1、2往復で終わることもあれば、なかには饒舌(じょうぜつ)に説明してくれる人もいます。

これらも前項で書いた「三角話法」。趣味でも芸能人でもYouTubeの動画でも、相手が好きな“第三のこと”をきっかけに打ち解け、「見知らぬ人」でなくなるから、場が和らぐのです。

■「答えやすい質問」は自分も相手もラクになる

相手と会話が弾むかどうかは、「いい質問」次第といっても過言ではありません。

「いい質問」とは相手が答えやすい、または答えたくなる質問。会話はキャッチボール。取りやすいボールを投げて、ラリーを楽しく続けることが大切なのです。

あいさつや当たり障りのない話から入って、いい感触なら相手自身についても質問してみるといいでしょう。

よくない例は、相手のことを知りたいからといって「お仕事は?」「ご出身は?」「ご趣味は?」と矢継ぎ早に質問すること。一方的に尋問されている印象になります。

また、「お仕事はどうですか」など、ざっくりした質問も答えにくいものです。

相手が迷わずに答えられる質問をするために、「クローズドクエスチョン」「オープンクエスチョン」の性質を知って使い分けると、質問の質がぐっと上がります。

「クローズドクエスチョン」は、「夏休みはとりました?」→「はい」や、「犬と猫、どちらが好き?」→「猫です」などYESかNO、または選択で回答する質問。初対面でも素早く簡単に答えられるものの、想定外の回答は得られず、深掘りもできません。

「オープンクエスチョン」は「旅行はどこに行かれます?」「どうやってチケットを手に入れました?」など相手が自由に答える質問。

おもに「5W1H」=「when(いつ)、where(どこで)、who(だれ)、what(なに)、why(なぜ)、how(どんな)」で聞き、話を展開、深掘りしやすいものの、質問によっては答えにくいことも。

会話の糸口をつかむには「クローズドクエスチョン→オープンクエスチョン」の流れがスムーズ。たとえば「本をお持ちですけど、読書がお好きなんですか」から始めて、「どんなジャンルの本?」「好きな作家は?」「どんな魅力?」など展開できるはず。

相手の答えを受けて「それはいいですね」「面白そう」「素敵」など感想を加えるのも忘れずに。相手が話し上手ならオープンクエスチョン、話し下手ならクローズドクエスチョンを多めにするなど、相手の性格に合わせて使い分けるのも有効です。

■声かけの「基本型」をもつ

ときどき見かける人、職場やサークルで会う人などに対しては、会うたびに「なにを話そう」と考えるのではなく、「基本型」を決めておくとラク。いざとなったときに焦らず、スムーズに言葉が出てきたり、流れが生まれたりします。

その基本型とは、先の記事でも書いた通り、「あいさつ+ひと言」。たとえば……、

「おはようございます。だんだん涼しくなってきましたね」
「おつかれさまです。これからお昼の休憩ですか?」
「こんばんは。今日は満月みたいですよ」

など、なんでもいいのです。

最後の語尾を「~ですね」(同調)、「~ですか?」(質問)、「~ですよ」(伝達)などにして、相手に問いかけるように言うと、相手も話に乗っかりやすい。

話し好きな人なら「ほんと、昨夜は寒くて掛け布団を出しましたよ」「はい。近くのカフェに行ってきます」「満月、見えるんですか?」というように話が続いていきます。

「~です」「~でした」で終わると、話し下手な人はリアクションに困るでしょう。

話の中身はなくても、ともかく自分から話しかけて、「時間は短く、回数は多く」することが大事。声をかけられるだけで相手は嬉しいのですから。

「単純接触効果」という心理学用語があります。繰り返し見たり、会ったり、接触する回数が増えるほど、警戒心が薄れていき、親しみや好感をもつという効果。「あいさつ+ひと言」を繰り返していると、リラックスしてふと話が弾むことがあるのです。

注意点は、けっして無理をしないこと。気分が乗らないのに話そうとすると互いにストレス。話しにくい相手には、あいさつだけにとどめ、リアクションが薄い相手は、ひと言二言で終了……と最小限のエネルギーで。ボクシングで軽いジャブを打ちながら距離をとるように、短い会話を繰り返していくと、打ち込める場面も出てくるのです。

少し話してまた今度……と気楽に、長期戦で構えたほうがうまくいくはずです。

■“共感”できることを探せば、話題に事欠かない

スポーツジムに行くと、女性たちは“共感”で雑談をつくっていると感じます。

「これだけ雨が続くと、洗濯物がなかなか乾かないですよね」
「行くのが面倒だと思うんですけど、来たら来たで楽しくて」
「今日のホットヨガ、いつもより温度が低かったと思いません?」

というように。「自分が感じていて、きっと相手も感じているであろう」ということを会話の入り口や、話のつなぎにするのです。

有川真由美『どこへ行っても『顔見知り』ができる人、できない人』(PHP研究所)
有川真由美『どこへ行っても『顔見知り』ができる人、できない人』(PHP研究所)

互いに名前も年齢も知らないけれど、会えば気さくに話す「顔見知り」になっているのは、こうした“共感”によるコミュニケーションを重ねているからでしょう。

もし、その場に雑談が一切なかったら、「見知らぬ人」と認識された者同士、殺伐として心地悪い空間になってしまうでしょう。ほんの少し会話をするだけで、場は和らぐのです。とくに“共感”は人と人を結びつける鍵。一気に親しみがわいて、「見知らぬ人」から「顔見知り」に昇格するのです。

どんな人でも、なにかしら共感することはあるはずです。簡単なことでいえば、「体を動かすと気持ちいいですよね」「白髪をいつまで染めようか悩みどころです」など、健康や美容のこと。家事、育児、仕事、地域……共通項から見えてくるはず。

じつは、我が身に起こる「喜・楽」より「怒・哀」の共感のほうが、心に響くといいます。

「問い合わせ電話の長い自動応答ってイラッとしません?」「お会計のあとにいつも、クーポン券が出てくるんですよね」など、深刻にならない程度の「怒・哀」には、心のうちを見せてくれた“小さなぶっちゃけ感”があるからかもしれません。

女性は“共感”、男性は“目的”によって人間関係を築くといいますが、共感力の高い男性は間違いなくモテます。共感できない場面でも「そう感じるんですね」と“理解”しようとする姿勢が見えたら、それでコミュニケーションは成立。

性別や年齢、立場を超えて共感を見つける人のまわりには、自然に顔見知りが増えていくのです。

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有川 真由美(ありかわ・まゆみ)
作家
鹿児島県姶良市出身、台湾国立高雄第一科技大学応用日本語学科修士課程修了。化粧品会社事務、塾講師、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、フリー情報誌編集者など、多くの職業経験を生かして、働く女性へのアドバイスをまとめた書籍を刊行。内閣官房すべての女性が輝く社会づくり推進室「暮らしの質」向上検討会委員(2014-2015)。著書に『感情の整理ができる女(ひと)は、うまくいく』(PHP研究所)、『30歳から伸びる女(ひと)、30歳で止まる女(ひと)』(PHP文庫)、『好かれる女性リーダーになるための五十条』(集英社)、『遠回りがいちばん遠くまで行ける』(幻冬舎)などがある。

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(作家 有川 真由美)

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