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なぜ見た目は上品なのに知性を感じられないのか…信頼されない人が無意識にやっている"話し方の悪癖"

プレジデントオンライン / 2024年2月3日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ra2studio

信頼される人はどんな話し方をしているか。作家の有川真由美さんは「丁寧な言葉遣いはひとつの信頼になり、見た目の印象を超えてくる。いくら品のある外見でも荒っぽい言葉遣いでは、知性に欠けているようにみえてくる。一方で、例えば金髪でいかつい若者がエレベーターで『お先にどうぞ』『何階ですか?』と丁寧な言葉遣いだったときは、ガラリと好印象に変わる」という――。

※本稿は、有川真由美『どこへ行っても『顔見知り』ができる人、できない人』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

■言葉遣いが丁寧な人は、安心して話せる

「この人とは安心して話せる」という人は、相手を心地よくしてくれる“マナー”があるもの。本稿では「気軽に話せる関係」になるためのちょっとしたマナーについてお伝えしましょう。

まず、あたりまえですが忘れがちなのが、「丁寧な言葉遣い」です。言葉は、品格をもっとも表すもの。良くも悪くも、人は言葉遣いで判断されるのです。

カフェで、上品な服装をした40歳前後のご婦人グループから、「うざっ」「やっば」「まじ?」「めんどくせー」といった言葉がつぎつぎに聞こえてきました。

その途端、印象がまるで変わり、顔つきが幼く、知性に欠けるように見えてきたのです。反対に、金髪でいかつい風貌の若者がエレベーターで「お先にどうぞ」「何階ですか?」と丁寧な言葉遣いだったときは、「なんていい人!」とガラリと好印象に。丁寧な言葉遣いはひとつの信頼。見た目の印象を超えてくるのです。

敬語で話せということではありません。フランクな話し言葉でも相手の顔を見て、ゆっくり話そうとするだけで、言葉は丁寧になり、自然に気持ちもこもります。

心が言葉をつくるようですが、じつは逆。言葉の習慣が心のあり方をつくるのです。

口が悪く、汚い言葉を使う人は、気性が荒くてトラブルが多い印象があります。多くは自分の言葉によってヒートアップしてしまうわけです。

もともと私も感情の起伏が激しいタイプなので、けっして人を傷つけないよう、丁寧な言葉遣いを心がけています。イラッとしたときもひと呼吸置いて、ゆっくり「あらまぁ、どうしましょう」などと言っていたら、イライラすること自体なくなりました。

「和顔愛語」という仏教の言葉があります。和やかな顔と愛のある言葉で接すれば、それが循環して、まわりの人も自分も幸せになれることは、実感としてあるでしょう。

「この人の話し方は素敵」と思うお手本を見つけて、なり切ってみるのもひとつの練習方法。丁寧な言葉を使うと、声をかけられることが増えてくるはずです。

■けっして偉ぶらないで、相手の目線で話す

年上や上の立場でも、だれからも気軽に声をかけられる人のいちばんの特徴は、けっして偉ぶらず、自然体であることではないでしょうか。

数千人規模の会社社長である友人は、偉ぶらないし、媚びることもない。相手の目線でフランクに話すので、社内をふらりと歩くと、あちこちから「ちゃんとご飯食べてます?」「今度、こんな企画しませんか?」などと声がかかるのです。

オフィスでビジネスマンと笑顔で会話する上司
写真=iStock.com/stockstudioX
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/stockstudioX

友人曰く「自分はたまたま社長という役割をもらっているだけ。一人ひとりの社員がなにかしら優すぐれた部分をもっているから、ほんとうに尊敬するよ」と、敬意をもって接しているので、社員もそれに応えようとするわけです。

しかし、立場が上になると多くの人はついつい偉ぶったり、知ったかぶりをしたり、上から目線でマウントをとったりしてしまいがち。どの世界にも威厳や権力を示して従わせようとする人はいるものですが、逆効果。まわりは上辺では合わせても「なによ、偉そうに」「器の小さい人間だ」と反感をもつのがオチです。

器の大きい人は、全体像を見ているので、相手の立場になって考えられるし、自分に非があれば素直に認めることもできます。目下の人間や、立場の弱い人にこそ、普段から礼儀正しく接して、丁寧で、わかりやすい言葉で話すようにしています。

そんな人に信頼を寄せて、人が集まってくるのは当然でしょう。

「わかりやすい言葉で話す」と書きましたが、それには知性が必要です。自分が詳しいことを、まったく知らない人にそのまま専門用語で話しても、まったく伝わらない。言葉を嚙み砕いて、相手に合わせてアレンジする必要があるのです。

そんなふうに「伝えること」ではなく、「伝わること」を意識してきた人はつねに謙虚で、偉ぶることもないはずです。

人はだれしも「認められたい」という欲求があります。だからこそ、押しつけでなく、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」の謙虚な姿勢で、自然に認められたいものです。

■相手に体ごと向けて、目の前の人との会話に集中する

だれもが自分自身が尊く、価値ある存在だと感じる“自尊心”を満たしたいと思っています。この自尊心とは、人間が生きていく根幹であり、とてもデリケートなもの。自尊心が満たされないと、他人との関係も自分との関係もうまくいかないのです。

あなたにはありませんか? 人から失礼な態度をとられて自尊心が傷つけられると、感情のスイッチが入って腹が立ち、批判的、攻撃的になってしまうこと。

「自尊心を満たしたい欲求は、空腹を満たしたい欲求と同じ」と聞いたことがあります。お腹が空いてたまらないときは、イライラして他人に目を向ける余裕がないもの。

それと同じで、他人からの敬意や愛、自分自身への満足などで心が満たされていないときは、それを埋めることに必死で、相手への理性も愛も働かなくなるのです。

面白いもので、マウントをとる人や、逆に卑屈になる人も、「この人は自分を大切にしてくれる」とわかった相手には、とても素直で理性的な人になることがあります。

では、さほど親しくない人の「自尊心を満たす」には、どうしたらいいでしょうか? 会話のなかで敬意を示すためには、ほめる、名前を呼ぶ、感謝するなどいろいろな方法がありますが、いちばん簡単で効果的なのは、目の前の相手に体ごと向けて、会話に集中すること。

あたりまえすぎて忘れがちな会話のキホンではありませんか?

人が話をしていてもスマホをいじっていたり、ほかのことを考えて上の空だったり、生返事をしたり……。そんな適当な態度は、意外に相手の自尊心を傷つけるのです。

「相手に体ごと向ける」という姿勢だけで、相手は「自分を大事にしてくれている」と安心します。また、会話に集中することは、ほかのことを排除することでもあります。大事な用事以外は、会話が終わってからすればいいでしょう。

「いまは目の前のあなたをいちばん優先します」という態度がとれる人は、だれからも愛されます。それほど自尊心を満たしてくれる人は、大切な存在なのです。

■前に聞いたことを、さりげなく話題にする

顔見知りの人に「夏休み、福岡のご実家に帰られていたんですよね。ゆっくりできました?」なんて言うと、「そうそう。よく覚えていましたね。久しぶりに家族みんなで集まって、ゆっくり、わいわい過ごせたのでよかったです」と、スムーズに会話がつながっていくことがあります。

相手からすると、自分がなにげなく話したことを覚えてくれているのは嬉しいもの。いままで以上に親近感がわいて、互いの理解も深まっていきます。

とはいえ、雑談なんて、よほどインパクトがないかぎり、会話が終わったら、泡のように消えていくのが普通です。

相手が言ったことをすべて覚えておく必要はありません。なんとなく印象に残ったキーワードだけ覚えておいて、つぎに会ったとき取り上げればいいのです。

通っているスポーツジムで顔見知りになった女性とは、会うたびに健康の話をします。「玄米、食べているんですよね。いかがですか?」「たしか冷え性でしたよね。生姜茶もいいですよ」「睡眠時間はとれてます?」なんて話すうち、仕事や家族構成は知らないのに、互いの体を労り合う不思議な関係に。

共通の話題や興味があること、情報交換や協力ができそうなことなど、自分に引き寄せたキーワードは、記憶に残りやすく、話も弾みやすいものです。

私は、仕事関係者やセミナーによく来てくれる方などの情報を勘違いして、うっかり失礼なことを言ってしまいそうになるので、名前や会社名、出身地など重要だと思うキーワードは、スマホのアドレス帳にメモしています。

あやふやな記憶は、話題にしないか、正直に「○○さん、出身はどちらでしたっけ?」などと尋ねてもいいと思うのです。3回以上聞くのはほんとうに失礼ですが。

「あれって、どうなりました?」「たしか~でしたよね」などと、会話を連載小説のようにつなげていくうちに、気軽に話せる関係になることは間違いありません。

■人のおすすめに乗ると、速攻で仲良くなれる

身近に、助けたり助けられたりする関係があると楽しいし、心強いものです。だから、少しだけ“おせっかい”を焼いてみませんか。もちろん、迷惑そうな人には遠慮しますが、「こんなのあるよー」と情報を提供すると、喜んでくれる人は多いのです。

有川真由美『どこへ行っても『顔見知り』ができる人、できない人』(PHP研究所)
有川真由美『どこへ行っても『顔見知り』ができる人、できない人』(PHP研究所)

たとえば、お笑いが好きな人に「いい気分で眠りにつける漫才のYouTubeがありますよ」とおすすめ。すると、「あの動画、さっそく見てみました。たしかに幸せになれますね~」「でしょでしょ?」と話が弾まないわけはありません。

なにより、すぐに試してくれたことが嬉しい。「すぐに実行する」というのは、紹介した相手に対する最高の気遣いではないかと思うのです。

ほかにも、おすすめの健康器具、病院、カフェ、調理器具、小説、アプリ……、合うかどうかわからないけれど、自分がいいと思ったものをおすすめして、だれかが喜んでくれるのは嬉しいもの。

先日、私は「彼氏が欲しいな~。だれかいないかな~」と言っている女性に、“お見合いおばちゃん”になって信頼する男性を紹介。

結果はうまくいかなかったものの、それぞれから「会ってよかったです。いろいろ考えるところがありました」なんて報告をもらうと、報われた気持ちになりました。

一方、なにかおすすめして、その場では「やってみます!」と盛り上がっても連絡なし。相談に乗っても、その後、音沙汰がない人もいます。採用するかは相手が決めることですが、せっかく親しくなれるチャンス、なにも反応しないのはもったいない。

私は、おすすめされたことは、小さく試して、早めにフィードバックします。試すことより、仲良くなることのほうに重心があることもあります。情報には鮮度があるもの。時間が経ってからでは必要性もなくなり、お互いに忘れてしまうでしょう。

現代社会は「余計なお世話はしないほうがいい」となりがちですが、押しつけでなく、ニーズに応えるおせっかいはどんどん焼いたほうがいいし、無理のない程度に乗ったほうがいい。それが助け、助けられる循環になっていくのですから。

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有川 真由美(ありかわ・まゆみ)
作家
鹿児島県姶良市出身、台湾国立高雄第一科技大学応用日本語学科修士課程修了。化粧品会社事務、塾講師、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、フリー情報誌編集者など、多くの職業経験を生かして、働く女性へのアドバイスをまとめた書籍を刊行。内閣官房すべての女性が輝く社会づくり推進室「暮らしの質」向上検討会委員(2014-2015)。著書に『感情の整理ができる女(ひと)は、うまくいく』(PHP研究所)、『30歳から伸びる女(ひと)、30歳で止まる女(ひと)』(PHP文庫)、『好かれる女性リーダーになるための五十条』(集英社)、『遠回りがいちばん遠くまで行ける』(幻冬舎)などがある。

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(作家 有川 真由美)

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