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わが子の受験校を塾ママ友が周囲に言い触らす…中学受験本番直前に親同士のトラブルが勃発する怖すぎる理由

プレジデントオンライン / 2024年1月31日 14時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Wavebreakmedia

2月1日に東京・神奈川でも中学受験がスタートする。保護者は、わが子に実力を発揮させようと神経を尖らせてしているが、そこへ想定外の人物から足を引っ張られるケースもある。中学受験塾を主宰する矢野耕平さんは「どの学校を受験するのか執拗にLINEで聞いてくるなど塾のママ友、パパ友同士のトラブルは入試直前期に勃発しやすい」という――。

※本稿は、矢野耕平『ぼくのかんがえた「さいきょう」の中学受験』(祥伝社新書)の一部を再編集したものです。

■中学受験をめぐる友人関係

小学校では春に進級するとともに、「クラス替え」のある子どもたちが多いでしょう。新しい友人たちとの会話が弾む中、子どもたちが各々の自己紹介をする中で、通っている塾の名前などを口にすることがあるかもしれませんね。これくらいはまだよいでしょう。

しかし、次のような発言に対して皆さんはどう思われますか?

「○○塾に通っていて、最近○○クラス(学力別編成クラス名称)に上がったんだ!」
「俺、第一志望校は○○中学校だよ!」

子ども同士の無邪気な会話と思われる方は、ちょっと待ってください。小学校内で交わされるこの手の会話に要注意です。

それは一体どうしてでしょうか。

現時点では成績が良好だったとしても、いつまでもその状態が続くとは限りません。あるタイミングで成績が一気に下降した際に、成績良好だと思われている周囲の友人と会話することに苦痛を覚えるようになるかもしれません。

志望校の話だって同様です。いま志望している学校を受験するとは決まってはいないのです。あまり考えたくないケースですが、希望する学校にどうしても学力的に届かない場合、第一志望校を変更することだって十分ありえます。そんなときに、「○○くんって○○中学校を狙っているんだよね。すごいなあ」なんて周囲が思い込んでしまっていると、お子さんが苦しい思いを抱えてしまうことだってあるのですね。

ですから、皆さんにお願いしたいのは、この点についての注意を事前に徹底してほしいということです。もちろん、これは六年生だけではなく、それ以外の学年のお子さんも同様です。お子さんと膝を交えて話をする時間を設けてください。

その際のポイントとして、次の「三つの『ない』」を紹介するとよいでしょう。

① 自分の受験校・成績を絶対に「言わない」
② 他人の受験校・成績を絶対に「たずねない」
③ どんなに仲良しでも絶対に「群れない」

この「三つの『ない』」をお子さんに小学校内で守らせるようにしましょう。

中学受験は「個人戦」です。「みんなと仲良く合格を目指そう!」という世界では決してありません。この三項目が守られないと、先述したようにお子さんが精神的に追い詰められる危険性を孕んでいます。あるいは、無意識のうちにお子さんが友人の受験に干渉してしまい、相手の気分を害してしまう場合も考えられます。

こんな話をすると、「でも、友だちからしつこく成績や志望校のことを詮索(せんさく)されたらどう対応すればよいのか」という声が聞こえてきそうですね。

そんなときは、お子さんに「親から小学校内で塾や受験の話は絶対にするなと強く言われているから何も話せないな。ごめんね」というように返答させるとよいでしょう。

また、三番目の「群れない」について補足説明します。仲の良い友人であっても、「一緒に自習室に行く」とか「一緒に学校説明会に出かける」とか……そんな行動は慎んだほうがよいでしょう。先述したように中学受験は「個人戦」です。たとえば、どちらかの学習が思うように行かなかったりすると、互いに足を引っ張り合う関係になってしまうこともあります。「今日は自習やめて一緒に帰ろうよ」なんて言われたら、なかなか断りづらいですよね。

そして、この「三つの『ない』」を貫徹すべきはお子さんだけではないのです。保護者の皆さんも同様に守ってほしいのです。特に中学入試直前期には保護者同士の軋轢が生じてしまうことがあるのです。これについて説明していきましょう。

■親同士のトラブルは入試直前期に勃発しやすい

「ああ、もうすぐ入試の時期が近づいてくる」とちょっぴり不安になったり焦ったりする中学受験生保護者。そのようなネガティブな気持ちになると、自身と同じような境遇に置かれている中学受験生保護者たちにそんな思いをぶつけ合い、共有したくなるものです。

しかし、その行為が中学入試間際で大きなトラブルを引き起こすきっかけになってしまうことだってあるのです。

「先生、相談があるのですが……」

数年前、思い詰めた表情を浮かべ、六年生の保護者がわたしに声をかけてきました。応接室に入るや否や、その保護者はこんなことを切り出したのです。

「通っている塾は違うのですが、同じ小学校でずっと仲良くしているお母さんがいて……その娘さんも受験生なのですが、最近LINEで執拗(しつよう)にわが子の受験校を探ろうとしてくるのです。何だかとても怖くなってしまって……」

スマートフォンに次々と入る通知
写真=iStock.com/ipuwadol
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ipuwadol

わたしはこんな提案をしました。

「それは心配ですね。それでは、塾側からこんな用紙を渡されて、子どもたちはもちろんのこと、保護者の皆さんもわが子の受験校のことや成績のことなどを一切口外しないように釘を刺されているから答えられない、と説明してみてはいかがでしょうか」

その用紙とは、先ほど紹介した「三つの『ない』」が記載されているものです。このように中学入試間際の保護者間のトラブルはしばしば勃発します。そして、子どもたちと比べると、親同士のトラブルを解決するのは容易ではないのです。

「わが子が受ける学校を○○くんのお母さんが周囲に言い触らしたのですが、親子ともに精神的にまいっています」
「本当は別の学校を受験したいのですが、付き合いの長い○○ちゃんのママが一緒に○○中学校を受験しようと誘いをかけてきて困っています」
「わが子が○○ちゃんにマウントをとったと、○○ちゃんのママから怒鳴り声で電話が来たのですが……どうすればよいでしょうか⁉」

皆さん、わたしの作り話、創作に思えるでしょう?

残念ながら、違います。むしろ、柔らかい表現に差し替えたものがあるくらいです。同じ小学校、同じ性別、同じ塾、同じ志望校……「共通項」が多い保護者同士ほど、この手のトラブルが勃発しやすいように感じています。

中学受験の主役は誰でしょうか。もちろん「わが子」ですよね。そして、原点に返って、中学受験というものをシンプルに「一文」で考えてみましょう。

矢野耕平『ぼくのかんがえた「さいきょう」の中学受験』(祥伝社新書)
矢野耕平『ぼくのかんがえた「さいきょう」の中学受験』(祥伝社新書)

「わが子が中学受験勉強に専心して、入試本番で合格を勝ち取る」

そう、これがすべてなのです。

入試直前期で保護者が不安に陥るのは当然のことですし、わたしはそのことを責めるつもりはもちろんありません。ただ、困り事や相談事があれば、それを周囲の「ママ友」「パパ友」に打ち明けるのではなく、お通いの塾の担当講師を頼ってほしいと考えます。要らぬトラブルは避けて、学力的、精神的に最も伸長する中学入試直前期に、わが子が受験勉強に専念できる環境の構築に努めてほしいのです。

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矢野 耕平(やの・こうへい)
中学受験専門塾スタジオキャンパス代表
1973年生まれ。大手進学塾で十数年勤めた後にスタジオキャンパスを設立。東京・自由が丘と三田に校舎を展開。学童保育施設ABI-STAの特別顧問も務める。主な著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)、『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)、『旧名門校vs.新名門校』』(SB新書)など。

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(中学受験専門塾スタジオキャンパス代表 矢野 耕平)

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