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大谷翔平は人類全体のレベルを引き上げた…88歳医師「人間の能力を覚醒させるたった1つのカギ」

プレジデントオンライン / 2024年2月11日 12時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/cmannphoto

人間の能力を覚醒させるにはどうすればいいか。浜松医科大学名誉教授の高田明和さんは「野球の大谷翔平選手は『できる』ことを疑わず二刀流を実現した。すると、『自分にもできるはず』と信じることができるようになった二刀流の若手選手が、アメリカでも日本でも続々と登場した。大袈裟に言えば、多くの人の新たな能力を覚醒させ、人類のレベルを引き上げたことになる。自分を信じることの力はこれほど偉大である」という――。

※本稿は、高田明和『88歳医師の読むだけで気持ちがスッと軽くなる本 “年”を忘れるほど幸せな生き方』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

■どんなに羨ましがられる人でも、思いもよらぬ問題を抱えている

自分以外の他人には、欠点などどこにもないように思えてしまう。

一方では、自分は欠点だらけだと思う。嫉妬深く、好き嫌いが激しいし、意志は弱いのに競争意識が強い。落ち込みやすいし、劣等感も強い……。

そんなふうに、ふと気づくと、他人と自分を比較して自分を貶め、自己肯定感を下げている人は意外と多いかもしれません。

しかし、私たちが認識すべきなのは、自分と同様にほかの人たちだって完璧ではないという事実です。皆、どこかに心の悩みを抱えているということです。

たとえば、とてもイケメンでモテモテ間違いないような若い男性が、盗撮やら下着泥棒のような犯罪で捕まったとか、聡明で鳴らす女性がヘタな詐欺に引っかかって、虎の子を失ってしまったとか……。

以前、男性とのトラブルで女性が刺される事件があり、テレビで生前の彼女の映像を観たときは驚きました。彼女は女声合唱団の一員で、天使のような美しい声で童謡を歌っていたのです。

講演が終わったら高級住宅地の大きなお屋敷に帰り、ピアノのある居間で庭を眺めながらワインでも飲んでいそうな、そんな優雅な生活をしているようなイメージの女性でした。

しかし現実にはワンルームマンションに住み、厄介な男性との間に、ドロドロした問題を抱えていたのです。人は本当に「見かけによらない」としかいえません。

■劣等感という心の病を治せる最高の医者は、あなた自身

こんなふうに、どんなに羨ましいと思っている人でも、傍目には思いも寄らない、とんでもない問題を抱えていることがあるのです。

偉大な経営者や学者、華やかな芸能人やアーティスト、人格者と崇められる作家や高級官僚……。成功している人でも、精神的な問題や、あるいは家族に問題を抱えて苦しんでいる人は多く、名声を得たら得たで、お金持ちになったらお金持ちになったで、それぞれに問題はあるのです。

現に、マリリン・モンローやマイケル・ジャクソンは、世界中の人から愛されながらも、薬物に依存するなどの心の苦しみがあったわけです。

マイケル・ジャクソン記念碑
写真=iStock.com/Conchi Martínez
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Conchi Martínez

幸福感を得られるかどうかは、まさしく自分で自分を認められるかどうか、自分次第の問題なのでしょう。

逆に、傍目には不幸に見えるような境遇にいる人でも、「自分は幸福になれる」、あるいは「毎日、気楽で幸せだ」と確信していれば、そのとおり、その人の人生は幸せなのです。幸せになるために、医者の診断はいらないのです。

「自分が幸福になれると思う程度だけ、幸福になれる」

「人間は自分が幸福になれると思う程度だけ、幸福になれる」

こう言ったのは、独立宣言で知られる第16代アメリカ合衆国大統領、エイブラハム・リンカーンです。

彼は生涯で2度事業に失敗し、5度も選挙で落選し、恋人を死で失ったのち最悪の妻と結婚し、うつ病を何度も経験し、その最期は凶弾に倒れ帰らぬ人となった――アメリカ合衆国の歴史上最初の大統領暗殺事件でした。そして、アメリカで最も尊敬される大統領でもありました。

リンカーンは、前述のように強度のうつ病を何度も経験し、側近は彼が手に取らないように、拳銃を隠しておいたという逸話があります。

そんなリンカーンでしたから、うつの状態で暗いことばかり考えてしまうときこそ、自分を励ますために、「自分が幸福になれると思う程度だけ、幸福になれる」と自分に言い聞かせ、自分を激励し続けたのだと思います。

そのおかげで、偉業を成し遂げることができた。そうした一片の真理がある言葉だから、時代や国を超えて読む人の心に響くのでしょう。

聖書などと同じですね。日本へキリスト教が伝来した当初は、日本人はポルトガル語などで聖書を読むことができず、もちろん日本語の翻訳書もないにもかかわらず、どうしてあんなにもイエスを信じることができたのでしょう? それはイエスの心が時間や空間を伝わり、信じたいと思う人の心に入ってきたからです。

■世界を夢中にした「マーフィー博士の夢実現の4ステップ」

デール・カーネギーと同じように自己啓発の大家として知られる人物に、心理学者でもあったジョセフ・マーフィー博士がいます。

博士の有名な言葉といえば、これでしょう。

あなたの人生は、あなたが思い描いた通りになる

博士はカーネギーと同様に、科学的には潜在意識の効果について研究した人物です。「人間は、自分が幸せになれると思うと、幸せになれる」という考えで、その具体的方法は、次のとおりです。

① 自分の望むことをうまく想像する
② そのことを考え続ける
③ 実現を信じる
④ 行動する

こうした方法論は、科学的とは思えないかもしれません。でも結局、自分自身が「できる」と思えることは、さほど現実離れしたことではない、ということでもあるのです。

だから、それに向けて努力を続ければ、よっぽど自分の能力を超える荒唐無稽なことでもないかぎり、目標を実現することは可能なのです。

青空の下で大きく手を広げる女性
写真=iStock.com/bee32
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/bee32

■人類全体のレベルを引き上げた大谷翔平の態度

たとえば、大谷翔平選手が登場するまでは、世界の最高峰のメジャーリーグで、「一人の選手が、ホームランバッターと先発ピッチャーを両立させる」などということは、誰も考えませんでした。

しかし大谷選手自身は、自分はそれが「できる」ことを疑いませんでした。だから、さまざまな困難を乗り越え、誰もが認める二刀流のスター選手になることができたのです。

さらに重要なのは、ここからです。

大谷選手がこれを実現したことで、「自分にもできるはず」と信じることができるようになった二刀流の若手選手が、アメリカでも日本でも続々と登場したことです。大袈裟に言えば、大谷選手は、自分自身を信じさせることで多くの人の新たな能力を覚醒させ、人類のレベルを引き上げたのです。

信じることで能力が覚醒する例は、身近なところにも転がっています。

一例として高校の部活などでは、たとえばバレーボール部が全国優勝を果たすと、同校のほかのスポーツ部も、のきなみ強くなることがあります。

なぜなら、「バレーボール部にできたのだから、自分たちにもできるだろう」という意識が、「できない」という思い込みの枠を外すからです。

もっと多くの人の才能が覚醒した例としては、昭和の歌謡界で、なかにし礼や阿久悠という天才的な作詞家が世に出てきたことを挙げることができるでしょう。

彼らに追いつけ追い越せとばかりに、綺羅星(きらぼし)のごとく優れた作詞家・作曲家が続々と歌謡界に現れ、昭和歌謡の黄金時代を築きました。

それ以前の日本で流行した曲の多くは、演歌調のものや、海外のヒット曲をカバーしたものか、欧米の曲調を真似たものでした。

しかし、昭和の高度成長期になると、「これからは日本の時代だ」と、日本中が躍動しはじめます。そんなタイミングで、天才作詞家や作曲家が登場したので、「自分もあんな曲をつくりたい!」「自分にもできるはず」と、皆が目標や自信を持ったことで、多くの人の才能が一気に開花したのです。

自分を信じることの力は、これほど偉大なのです。

■大谷翔平、なかにし礼たちと同じ鍵があなたの中にもある

私たちの夢や目標を実現することを妨害しているのは、いえ、夢や目標を持つことすら阻んでいるのは、無意識下にある「できるわけがないという思い込み」や「常識」、「自分の力を信じていない状態」です。

そして、この「できるわけがない」と思う根拠となっているのが、自分で「欠点」だと見なしている部分です。

「うちみたいな田舎の高校は、全国大会に行けるわけがない」
「大した学校も出ていないのだから、社会に出たって成功するわけがない」
「なんの取柄もないダメな自分が、幸せになれるわけがない」

これらはすべて、自分自身が勝手に欠点だと見なして、勝手につくりだしている幻想です。しかし、どれも視点を変えれば、いくらでも長所になり得る材料なのです。

「田舎だからこそ、広い土地でいろいろなトレーニングができる」
「有名大学を出た人とは、違う視点を持てる」
「なんの取柄もないから、これからさまざまなことが上達できる伸び代がある。あるいは、庶民感覚があるから、多くの人に愛される商品がつくれる」

――という具合に。人それぞれ個性があるので、100人が100人、大谷翔平選手や天才作詞家とまったく同じような活躍ができるという意味ではなくて、各人の個性や才能はそれぞれであり、あなたにはあなただけの力がある、ということです。

そして、その力を覚醒させる鍵は、「自分を信じる」ことにあるのです。

■年齢という「欠点」を、すべての高齢者からなくしたい

さらに加えると、人は年をとると“欠点”を過大に考えてしまいます。

「もう今さら、○○はないな。皆の笑いものになってしまう」
「この年齢になったら、年甲斐もなくもう○○なんてできないな」
「今から○○をやって、どうなるというのだろう。残りの人生は少ないのに」

実際には、高齢になってから年齢相応のモデルや研究者になったり、プログラマーや作家になったりする人はいます。しかし大多数の人は、自分にそんなことができるとは思っていません。

しかし私たちは、気力や体力はなくとも、知識がある状態からスタートできるのです。子どもがゼロからスタートする大変さに比べれば、どんな人にもアドバンテージがあるのです。

高田明和『88歳医師の読むだけで気持ちがスッと軽くなる本 “年”を忘れるほど幸せな生き方』(三笠書房)
高田明和『88歳医師の読むだけで気持ちがスッと軽くなる本 “年”を忘れるほど幸せな生き方』(三笠書房)

私自身は、著述家として知られるようになったのは、ある程度の高齢になってからでした。医学者としての知識はありましたが、だからといって、本を出したいと思っても、すぐに出せるわけがありません。

「どんな本が求められているのか」「どんな著者が人気を集めているのか」といった出版界の情報を集め、編集者たちからボロカスにダメを出され、ヨレヨレを通り越して息も絶え絶えになりながら、試行錯誤した末にやっと本が出せるようになり、現在にたどり着いたわけです。

オリジナリティーを出すために、海外の文献も含めた専門外の論文もたくさん読みました。そうした泥臭い過程を知れば、「なんだ、高田だって、そんなに苦労してやっていたのか。だったら、私にだってできるのではないか」と、考える人も多いのではないでしょうか。

そう思っていただけるなら本望で、私は年齢という「欠点」を、すべての高齢者からなくしたいのです。

自分に限界をつくってはもったいない。

限界をつくれば何もできなくなる、と思うべきです。

年をとるごとに、経験を積み上げている自分をもっともっと信頼しましょう。

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高田 明和(たかだ・あきかず)
浜松医科大学名誉教授 医学博士
1935年、静岡県生まれ。慶應義塾大学医学部卒業、同大学院修了。米国ロズウェルパーク記念研究所、ニューヨーク州立大学助教授、浜松医科大学教授を経て、同大学名誉教授。専門は生理学、血液学、脳科学。また、禅の分野にも造詣が深い。主な著書に『HSPと家族関係 「一人にして!」と叫ぶ心、「一人にしないで!」と叫ぶ心』(廣済堂出版)、『魂をゆさぶる禅の名言』(双葉社)、『自己肯定感をとりもどす!』『敏感すぎて苦しい・HSPがたちまち解決』(ともに三笠書房≪知的生きかた文庫≫)など多数ある。

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(浜松医科大学名誉教授 医学博士 高田 明和)

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