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「大手のハウスメーカーがいい」は大間違い…一級建築士が教える家づくりで大損しないための最低限の知識

プレジデントオンライン / 2024年2月14日 16時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuma seki

家を建てる前に把握しておくべきことは何か。一級建築士でYouTuberのげげさんは「私が施主の方と初めて会った際、家のボリュームを決めるため、家族構成とライフスタイルを知るため必ずする質問がある。『あなたは、新たな家でどんな暮らしがしたいですか』と聞かれて、漠然としたイメージしか持っていないなら要注意だ。『ほしい暮らし』をできる限り具体的にするために、これまでの自分や暮らしを見つめ直し、自ら望む暮らしを導く質問リストを自分に投げかけるといい」という――。

※本稿は、げげ『後悔しない家づくりのすべて』(サンクチュアリ出版)の一部を再編集したものです。

■注文住宅を「なんとなく」で選択する人に伝えたいこと

そもそもなぜ、注文住宅を建てようと思いましたか。

昔からの夢だった、おしゃれだから、広い家に住みたい……。その理由が「なんとなく」という感覚の範疇にあるなら、一度考え直しましょう。

注文住宅は、家の中でもっともコストと時間、労力がかかる選択肢です。もしあなたの家に求める条件が、注文住宅でなくても達成できるなら、こだわる必要はありません。

たとえば中古住宅や建売住宅は、注文住宅よりも安価で、現物を見たうえで購入できますから「イメージと違う」という後悔もありません。マンションの中間階の中住戸は、四方を部屋に囲まれているため断熱性が高く、コストパフォーマンスに優れます。

家を新たにする目的は、住宅というハードをつくることではなく、あくまでソフト、すなわち「幸せな暮らしの実現」にあります。

注文住宅は、そのための選択肢のひとつにすぎません。メリットとデメリットを理解したうえで、やはり「注文住宅がいい」と思えるか確認しましょう。

注文住宅を建てるメリット・デメリット
出所=『後悔しない家づくりのすべて』

■建売で十分幸せに暮らせる人の特徴

戸建ての家がほしいなら、「建売か、注文か」で悩む人は多いでしょう。気に入った建売住宅を探してコストを抑えるか、思い切って注文住宅にするか。自分に合った選択をするには、建売住宅の特徴も知っておかねばなりません。

建売の家は、基本的にあまり個性のないデザインと、オーソドックスな間取りを備え、万人に受けるような仕様になっています。

性能面も「普通」であるものが多く、高性能な注文住宅と比べれば30%〜50%ほど性能が落ちますが、特段住みづらいわけではありません。何事においても、平均点。それが建売の特徴です。

もし家で思う存分楽器を弾きたいという希望があるなら、防音室が必要です。車が趣味なら、ビルトインガレージがあると楽しいもの。そんな特殊な暮らしを実現する場合、注文住宅がベストです。

一方で、叶えたい特殊な暮らしや夢があまりないなら、コストが安く、一般解を満たす建売住宅という選択をしても十分幸せに暮らせるはずです。

「建売」はオーソドックスで平均的な家が手に入る
出所=『後悔しない家づくりのすべて』
建売住宅・注文住宅、どちらを選ぶ?
出所=『後悔しない家づくりのすべて』

■大手のハウスメーカーの保証神話にとらわれたらダメ

家を建てるなら、できるだけ有名なハウスメーカーのほうが安心できる。保証がしっかりしてそう。そう思っている人は、多いかもしれません。

確かに大手ではよく「○○年保証」を謳っています。ただ、「定期点検は無料で行うけれど、問題が見つかった際の工事は有料」というケースが多いです。いくら大手であっても、家の面倒を見ていくのはあくまで施主であるという点を、忘れてはいけません。

また、ハウスメーカーだからトラブルがないというわけでもありません。大手では特に、営業、設計、工事の担当がそれぞれ異なり、窓口がわかりづらくなりがちです。

何もハウスメーカーを否定しているわけではありません。社員には優秀な人材が多くいますし、豊富な事例を共有し、ミスを減らす努力もしています。経営基盤は強固で、一般的な中小企業に比べれば倒産のリスクは圧倒的に低く、長きにわたり相談できるパートナーといえます。

ただ、最初から“保証神話”にとらわれ、発注先を有名ハウスメーカーに絞ってしまうと、結果的に家づくりの選択肢や可能性が狭まりかねません。

家の面倒を見るのは、「住宅会社」ではなく「施主」
出所=『後悔しない家づくりのすべて』

■「ほしい暮らし」を見つけるための声かけ

「あなたは、新たな家でどんな暮らしがしたいですか?」。こう聞かれたら、なんと答えるでしょうか。「広いリビングでゆっくり過ごせて……」など、大抵の人は、漠然としたイメージしか持っていないと思います。家づくりにあたっては、「ほしい暮らし」をできる限り具体的にしておくのが、とても大切です。

まずは、今までの自分や、これまでの暮らしを見つめ直し、そこから自らが望む暮らしはなんなのかを、紐解いていくといいでしょう。

私が施主の方と初めて会った際、必ずする質問があります。まずは家族構成と、持ち込み家財。家のボリュームを決める最低限の情報を知るためです。

また、ライフスタイルや趣味、仕事について、今の住まいのいいところと悪いところなども尋ねます。こうして施主の方について知り、そのうえでどんな方向性で最初の提案をするかを練っていきます。

参考までに、私が設計者として知っておきたい質問をまとめたので、自分の暮らしを省みる材料にしてみてください。

「ほしい暮らし」を見つけるための質問リスト
出所=『後悔しない家づくりのすべて』

■理想の家づくりで施主が建築家に伝えるべきこと

私が担当した施主の方々の中には、間取りを自分で描いてきて「この通りにつくってください」という人がいました。間取りの設計は、構造、性能、予算、法規まであらゆる要素が複雑に絡んでくるため、素人ではできません。

施主がすべきなのは、「自分の求める暮らし」と「優先順位」をできるだけ具体的に設計者に伝えることです。注文住宅の設計は、自らのウェブサイトをつくるのに似ています。

テンプレートを使わずにサイトを立ち上げるなら、プログラミングの知識が不可欠であり、それがないなら専門家に発注することになります。そして依頼の際には、情報発信、集客、物販といった目的を伝え、そのための構造やデザインの提案を受けるはずです。

注文住宅も同じで、間取りを含めた設計を提案するのはプロの仕事、目的とする理想の暮らしを提示するのが施主の仕事と、役割分担があるのです。

家づくりは、チーム戦。任せるべき部分はプロに一任し、自分の役目を果たすのに集中しましょう。

施主がやるべき仕事とは
出所=『後悔しない家づくりのすべて』

■自分に基準を持つためのメンターを

「隣の芝生」に惑わされない→メンターを決めれば基準作りがラクになる

家づくりの参考にと情報を集めすぎると、それがマイナスに作用しがちです。リビングはこの感じ、キッチンは、コンセントの位置は……あらゆる要素を調べ上げ、全部100点をとろうとすれば、お金と時間がいくらあっても足りません。

なぜなら、先に述べたようにすべてを満たす完璧な家など存在しないからです。「隣の芝生は、青く見える」もの。

本来は、「自分にぴったりの家」を建てるのが目的ですから、正解は結局自分の中にしかありません。

とはいえ最初の何もわからない状態では、基準を持つのも難しいはず。そんな際には自分と価値観を同じくする「メンター」を探し、基準づくりの助けとしましょう。

メンターを選ぶ際には、「読者や視聴者の問題解決のために情報を提供している発信者」を探します。コメント欄や評価欄を見れば、その発信者の情報が有益かどうか、ある程度つかめます。そこから先は、相性の問題。自分がもっとも納得できる話をしている人をメンターとしましょう。

おすすめのYouTubeチャンネル
出所=『後悔しない家づくりのすべて』

■100年住み続けられる、家をつくる

現在、日本の住宅の多くは質が低く、資産価値が残りにくいことを知っているでしょうか。

げげ『後悔しない家づくりのすべて』(サンクチュアリ出版)
げげ『後悔しない家づくりのすべて』(サンクチュアリ出版)

これは、高度経済成長期に住宅が足りなくなり、「とにかく数を供給せよ」と質より量を重んじた政策をとったのが尾を引いた結果です。そして日本の住宅は、「スクラップアンドビルド」が常識となり、世代を超えて長く住んだり、資産として残したりといった、欧米ではあたりまえの発想が失われてしまいました。

実は住宅は、適切なメンテナンスを行えば60年以上、ときに100年も住み続けられます。しかしそうした建物の寿命とは別に、「家族構成や生活スタイルが変わった」という理由で、30年ほどで解体されてしまうケースがよくあります。

注文住宅を建てるなら、将来の生活の変化に合わせて使い方を変えられるようにしておくといいでしょう。たとえば部屋の用途を限定せず、最初は子ども部屋、子どもたちが巣立ったら書斎というように、可変的に使えるようにする、など。

末永く住み、次世代へと引き継げる、「社会的長寿の家」を目指しましょう。

日本はいい中古住宅が少ない?
出所=『後悔しない家づくりのすべて』

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げげ(⾦⾕ 尚⼤)(かなたに・なおひろ)
一級建築士YouTuber
⼀級建築⼠事務所げげ代表。1990年⽣まれ。兵庫県出⾝。大学卒業後、新卒で積水ハウスに⼊社。6年で100棟以上の住宅・店舗設計を経験後、独⽴。「住まいの満⾜度を上げ、豊かな⼈⽣を送る⼈を増やす」をミッションに、新しい時代の常識にとらわれない家づくりを提案している。「後悔しない家づくり」の仕組みを、誰にでもわかるようにルール化したYouTubeが話題。

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(一級建築士YouTuber げげ(⾦⾕ 尚⼤))

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