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「南向きの家」に固執すると一生後悔することになる…一級建築士が教える「不幸になるリビング」ワースト3

プレジデントオンライン / 2024年2月17日 12時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maruco

間取りの肝になるリビングはどう設計すべきか。一級建築士でYouTuberのげげさんは「一般的には『南向き』がいいと言われるように、私もまずは日射の取得や採光を考えたうえで南向きでリビングを検討し、さらには『2階リビング』を提案する。ただし、南側の建物との距離がとれなかったり、ゴミ捨て場といった『みたくないもの』が南側に来ている場合、南向きは不向きだ。その際には、道路側などなるべく空間のある方角へリビングを開くようにする、吹き抜けや高窓を設けて採光を増やすといった工夫で居心地のいいリビングを作ればいい」という――。

※本稿は、げげ『後悔しない家づくりのすべて』(サンクチュアリ出版)の一部を再編集したものです。

■一生後悔! 「不幸になるリビング」3選

間取りの検討にあたり、私たち住宅の設計者がまず考えるのが、リビングの位置です。

リビングは、家族がいちばん長い時間を過ごす、みんなの居場所。だからこそ、住人がもっとも心地よく過ごせる空間になるよう、大切に設計するのです。

家族が集まる場所を、いちばん心地よい空間に
出所=『後悔しない家づくりのすべて』

リビングの配置は、窓の位置と大きさ、季節による太陽の動き、内と外の視線のコントロール、庭との関係といった複雑な要素を検討せねばならず、家ごとに最適解が異なります。

ただ、明らかにおすすめできない「不幸になるリビング」というものが存在します。もっとも長い時間を過ごす場所の居心地が悪くなったら、一生後悔することになりかねません。そんな「不幸になるリビング」の代表例を、紹介しておきたいと思います。

まずは、「一生、隣家の外壁を眺めるリビング」。

ここでいう隣家の外壁はあくまで一例であり、他にも道路を通る人の姿や、ゴミ置き場、廃墟といった「見たくないもの」が目に入るようなリビングの配置は、まず避けねばなりません。

リビング=家族がいちばん長く過ごす場所
出所=『後悔しない家づくりのすべて』

■家族が集まる場所を、一番心地よい空間に

続いては「一生、駐車場を眺めるリビング」。

車が趣味で、愛車を毎日眺めて暮らしたい人を否定する気はまったくありません。あくまで個人的にですが、車よりも庭に植えたモミジの木や、庭を元気に走りまわるペットの姿を見ながら暮らすほうが、幸せを感じます。戸建住宅のよさは、「庭」がつくれること。

その「庭」と「建物」の関係次第で、豊かな住空間の可能性が広がるところだと、私は思います。

そして最後が、「冬に直射日光が入らないリビング」。

太陽光は、部屋の温度を上げてくれる「自然の暖房」であり、それをうまく活用できないリビングにしてしまうと、冬はいつも寒く、電気代もかさみます。冬に直射日光をリビングにとり込むには、南側の建物との距離を空けたり、「2階リビング」を検討したりするのがおすすめです。

リビングは、「敷地の中でいちばん気持ちのいい場所に配置する」という視点で間取りをイメージすると、きっといい家づくりができるはずです。

居心地が悪いのはこんなリビング
出所=『後悔しない家づくりのすべて』
建物と庭の関係を意識する
出所=『後悔しない家づくりのすべて』

■「リビングは南向き」にどこまでこだわるべきか

リビングの配置にあたり、東西南北のどちらを向いて設計すべきかといえば、一般的には「南向き」がいいとされています。

確かに、日射の取得や採光を考え、私もまずは南向きでリビングを検討します。特に日射の取得は、冬にも居心地よく暮らすために重要です。「2階リビング」を提案します。

ただ、たとえば南側の建物との距離がとれなかったり、ゴミ捨て場や廃墟といった「見たくないもの」が南側に来ていたりと、南向きリビングが不向きであるケースもあります。

それにもかかわらず、無理に南向きを押し通せば「最大の後悔ポイント」になりかねませんから、南向き以外でリビングを検討すべきです。

その際には、道路側などなるべく空間のある方角へリビングを開くようにする、吹き抜けや高窓を設けて採光を増やすといった工夫が必要です。

結論をいうと、リビングはできれば南向きに設けたほうがいいですが、その他の方角でも工夫次第で十分に居心地のいいリビングをつくれます。

リビングの採光を考える
出所=『後悔しない家づくりのすべて』
周辺環境によって「開くべき方向」は変わる
出所=『後悔しない家づくりのすべて』
南向き以外のリビングの工夫
出所=『後悔しない家づくりのすべて』

■「LDKの常識」に捉われないと選択肢が広がる

「LDKは、1階にあるのがあたりまえ」「LDKは、3つでワンセット」。多くの人が常識と思っているこれらの発想は、実は固定観念にすぎません。

確かにLDKは、基本的に1階に配置しますが、それが最適ではないケースもあります。その解決策のひとつが、「2階にLDKを配置する」という方法です。

2階LDKは採光や直射日光の取得に優れ、眺望がよく、プライバシーも守りやすくなります。天井に勾配をつければ空間が広く使えます。建物の構造としても強くなります。

デメリットとしては、階段の上り下りが必要になりますが、家族が健康で暮らす数十年の間はあまり気にならないはず。病気や事故のリスクはゼロではありませんが、その可能性をおそれて快適さをあきらめ、1階につくるかどうか。リスクに対する個別の判断になります。

また、LDKは「3点セット」ではありません。たとえばダイニングを設けず、「LK」スタイルにして、ソファやテーブルを置かずに床座で生活してみる。こうして固定観念を外すと、家づくりの選択肢が広がります。

LDKは3点セットにしなくていい
出所=『後悔しない家づくりのすべて』

■家事動線の誤解→家事ごとに区切って考えよう

間取りに関する要望のひとつとしてよく挙がるのが、「家事がしやすい間取り」というもの。それを実現すべく登場するのが「家事動線」という言葉です。

家事動線を「キッチンや洗面所、物干し場などをなるべく近くに配し、効率的に移動できるようにする」ととらえている人が多くいます。

家事ごとに区切って考えよう
出所=『後悔しない家づくりのすべて』

ただ、実際にキッチンと洗面所が近ければ家事がラクになるかといえば、そうでもありません。

たとえば洗濯機は全自動化が進んでおり、ボタンひとつで乾燥までできるものが増えています。それを使うと、ボタンを一度押したあとは、洗濯が済むまで洗面所に近づくことはないはずです。

何度も出入りするなら、動線という考え方が重要になりますが、それがないなら、水まわりを1カ所に集めて動線をつくる意味はあまりないでしょう。

たとえば1階にキッチン、2階に浴室と洗面所を設けても、問題なく家事をこなせるはずです。あまり動線にこだわりすぎず、「家事ごと」に区切って、ラクな配置を考えてみるといいと思います。

毎日の「家事」を分類してみよう
出所=『後悔しない家づくりのすべて』
よく見る「家事動線のいい間取り」は本当?
出所=『後悔しない家づくりのすべて』
図表9の間取りを改善してみると
出所=『後悔しない家づくりのすべて』

■後悔しやすいキッチンで絶対に失敗しない方法

家を建てたあとに、「こうしておけば……」という後悔がもっとも発生しやすい場所。それがキッチンです。

カウンターの高さ、食洗器や加熱機器の選択、コンセントの位置や数など、ひとつ間違うだけで、とたんに使い勝手が悪くなる……。そうしたキッチンでの失敗をしないために、押さえたいポイントを挙げていきます。

キッチンに何を求めるかを整理して
出所=『後悔しない家づくりのすべて』
げげ『後悔しない家づくりのすべて』(サンクチュアリ出版)
げげ『後悔しない家づくりのすべて』(サンクチュアリ出版)

カウンターの高さは、1.1〜1.3mが目安となります。食洗器は、「浅型は思いの外食器が入らない」と感じる人が多く、深型食洗機がおすすめです。加熱機器は、掃除のしやすさ重視ならIHです。直火での加熱により、火の通りや味の染み方に優れるガスコンロは、料理好きの人に向いています。

ないと意外に不便なのが、コンセント。どのような家電を使い、何個必要かをしっかり計画し、迷ったら、シンク側にもつけておきましょう。冷蔵庫は、あまり目立たず、かつ使いやすい位置に配置したいところ。カップボードをつくるなら、足元にゴミ箱を格納できるスペースがあると便利です。

主観的おすすめキッチンレイアウト
出所=『後悔しない家づくりのすべて』

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げげ(⾦⾕ 尚⼤)(かなたに・なおひろ)
一級建築士YouTuber
⼀級建築⼠事務所げげ代表。1990年⽣まれ。兵庫県出⾝。大学卒業後、新卒で積水ハウスに⼊社。6年で100棟以上の住宅・店舗設計を経験後、独⽴。「住まいの満⾜度を上げ、豊かな⼈⽣を送る⼈を増やす」をミッションに、新しい時代の常識にとらわれない家づくりを提案している。「後悔しない家づくり」の仕組みを、誰にでもわかるようにルール化したYouTubeが話題。

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(一級建築士YouTuber げげ(⾦⾕ 尚⼤))

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