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「道端に3億円くらい落ちていないかな」は考えてはいけない…意欲がみるみる下がるダメな思考パターン

プレジデントオンライン / 2024年2月28日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AH86

行動力を発揮するには何を意識すればいいか。心理学者の内藤誼人さんは「女性は男性に比べると、あまり行動力がない傾向にある。背景には女性は男性に比べてロマンチックな空想をしがちで、そうした人ほど、学業での成功も、お金も、地位もあまり求めないことがわかっている。しかしロマンチックな空想、つまり妄想は1回くらいなら起きる可能性はあるが、それが連続することは絶対にない。自分で行動しようという意欲を奪ってしまうかもしれないため気をつけるべきだ」という――。(第1回/全3回)

※本稿は、内藤誼人『「なまけもの」のやる気スイッチ』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。

■お腹を空かせてみる

現代の日本人は100年前の日本人には想像できないほどに豊かになりました。ほしいものはたいてい手に入りますし、食べ物に困るということはほとんどありません。何しろ、ホームレスの人でも糖尿病になるというお話を聞いたことがあるくらいです。

飢えずにすむというのは、まことに喜ばしいことではあるものの、困った側面がないわけではありません。

私たちは、お腹がいっぱいだとやる気が出ないのです。お腹が満たされていると、もうどうでもよくなって、何もする気にならないのです。

動物は、お腹が空いてくるとエサを得るために行動しますが、お腹が満たされていると基本的に何もしません。

動物園の動物がそうです。ずっと寝そべってダラダラしているだけです。人間も同じで、お腹がいっぱいだと動こうという気持ちにならないのです。

というわけで、貪欲に何かを求める気持ちを高めたいのであれば、あえてお腹を空かせてみる、という作戦が有効です。お腹が空くと、目がギラギラしてきて、食べ物がほしくなるのは当然として、食べ物以外についての欲求も高まってくるのです。

アメリカにあるミネソタ大学のアリソン・シューは、大学の食堂にこれから入ろうとする人(つまりお腹を空かせている状態の人)と、食堂の中から出ていこうとする人(つまりお腹がいっぱいの状態の人)を呼び止めて、さまざまな商品についての好ましさを評価してもらいました。

なお、評価するものは5つが食べ物(サンドイッチ、パスタ、クッキーなど)、5つは食べ物以外(USBフラッシュドライブ、ワイヤレス・マウス、温泉旅行など)でした。

【図表】お腹が空いていると、食べ物以外のものまでほしくなる
出典=『「なまけもの」のやる気スイッチ』

お腹が空いている人たちと、お腹がいっぱいの人たちの評価の平均値は図表1のようになりました。

お腹が空いていると、食べ物を高く評価するのはわかりますが、食べ物以外のものまでほしくなっていることがよくわかります。

お腹がいっぱいだと、私たちは幸せな気持ちになりすぎて、「もう何もほしくない」という気持ちになります。そういう状態は、行動をするのに適当ではありません。

スポーツの世界や格闘技の世界では「ハングリー精神」という言葉がありますが、多少は、お腹を空かせている状態のほうが、私たちは何事に対しても欲求が高くなりますので、やる気が出ないのなら、あえて食事を抜くのも悪くない作戦です。

1回くらい食事を抜いても、死んでしまうことはありませんので、本気の力を出したいときには、健康的に問題がないのであれば、あえて食事を抜いてみるのはいかがでしょうか。

お腹が空くのは苦しいことではあるものの、代わりにモチベーションがアップするというメリットが享受(きょうじゅ)できます。

■とりあえず立ち上がる

「どうもやる気が出ない」とか、「動くのが億劫(おっくう)だと感じる」のなら、まずはその場で立ち上がってみてください。

立ち上がるくらいなら、簡単にできます。

そして、とりあえず立ち上がると、私たちは行動できるようになるのです。ソファに寝そべっていたり、椅子に座っていたりしていると、心がリラックスしすぎてしまい、やる気も生まれないのです。

ところが、立ち上がってみると、身体を動かす準備状態に入ります。そういう心理モードにスイッチが切り替わるのです。そのため、立ち上がるだけでやる気も出てくるのです。

会議というものは、いつまでもダラダラと続くのが普通ですが、立ったままでやるようにすると、会議も盛り上がりますし、決定もスピーディーにできるはずです。

アメリカにあるワシントン大学のアンドリュー・ナイトは、214人の大学生に3人から5人ずつのグループになってもらい、「どうすればうちの大学の入学希望者を増やせるか?」というテーマで話し合いをしてもらいました。

ただし、グループは2つあり、座ったままで話し合いをするグループと、立ったままで話し合いをするグループを設(もう)けました。

話し合いの場面をビデオ撮影しておいたものを後で分析してみると、立ったまま話し合いをするグループのほうが、話し合いが盛り上がり、ユニークなアイデアがたくさん出されていることがわかりました。

椅子に座っているほうがラクな姿勢ではあるものの、それではやる気は出ませんし、会議も盛り上がらないのです。立ったままのほうが参加者はみなエネルギッシュになってくれます。

くつろいだ姿勢だと、決定までの時間もかかります。

アメリカにあるミズーリ大学のアレン・ブルードーンは、立ったままでグループに意思決定をしてもらうと589.04秒で決断ができたのに、座って意思決定してもらうと決断までに788.04秒もかかるという実験報告をしています。

行動的になりたいのなら、とにかく立ってみてください。

何も考えずに、とりあえず立ち上がってみるのです。すると、不思議なくらいやる気が湧いてくるでしょう。すべての作業がどんどんこなせるはずです。

普通の会社に置かれている事務机で作業をすると仕事の能率が悪いと感じるのなら、スタンディングデスクにしてみるのはどうでしょう。椅子に座らずに立ったまま仕事をするほうが、能率もアップすると思うのですが、どうでしょうか。

ポイント
やる気が出ないときはとにかく立ち上がってみる
仕事の能率が悪いときはスタンディングデスクで作業してみる

■女性のほうが男性よりも行動力がない

読者のみなさんは、「守株待兎(しゅしゅたいと)」という言葉をご存じでしょうか。

たまたま切り株で転んだ兎(うさぎ)を捕まえることができた人は、それからずっと切り株のそばで兎が来るのを待ち続けた、という逸話に由来する言葉です。一般には愚か者がすることを意味します。

自分の人生というものは、自分で切り開いていかなければなりません。

たまたま幸運なことが起きたからといって、それがいつまでも続くわけがないのです。自分で行動するからこそ、道が開けていくというものです。

女性は男性に比べると、あまり行動力がない傾向にあります。自分から率先して何かをしようという気持ちが男性よりも弱いようです。

なぜ女性のほうが男性よりも行動力がないかというと、アメリカにあるラトガース大学のローリー・ルドマンによると、女性は男性に比べてロマンチックな空想をしがちだからというのです。

ルドマンは、77人の女子大学生にシンデレラや眠れる森の美女などのテーマに見られる、白馬に乗った王子さまのような人がいつの日か自分を迎えに来てくれると思うかどうかを聞いてみました。

白馬と男女のイメージ
写真=iStock.com/D-Keine
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/D-Keine

すると、そういうロマンチックな空想をよくする人ほど、学業での成功も、お金も、地位もあまり求めないことがわかりました。

ロマンチックな空想をする女性は、自分で努力をして何かを得ようとするのではなく、王子さままかせなのです。つまりは他人依存の傾向が強かったのです。

■おかしな空想をしていると、行動力が奪われてしまう

ロマンチックな空想というと聞こえはよいのですが、よくよく考えてみると、それは妄想にすぎません。現実には、めったに起きないようなことを夢見ていたら、自分で行動しようという意欲が生まれないのも当然だといえるでしょう。

内藤誼人『「なまけもの」のやる気スイッチ』(総合法令出版)
内藤誼人『「なまけもの」のやる気スイッチ』(総合法令出版)

「道端に3億円くらい落ちていないかな」
「だれか気のいいお金持ちが、私のことを養子にしてくれないかな」
「宝くじで一等が当たったりしないかな」

こういう空想は楽しいかもしれませんが、自分の行動力を奪ってしまうという点では明らかにマイナスです。そんなことを妄想していたら、行動的な人間にはなれませんので注意してください。

幸運なことが次から次へと起きてくれるのなら、ラクな人生を送ることができるかもしれませんが、現実にはそんなことは絶対に起きません。1回くらいなら起きるかもしれませんが、それが連続することはないでしょう。

自分にとって都合のいいことばかりを妄想する人は気をつけてください。そういう妄想が自分のやる気を奪っているということは十分に考えられることです。

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内藤 誼人(ないとう・よしひと)
心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役社長
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。趣味は釣りとガーデニング。著書に『いちいち気にしない心が手に入る本:何があっても「受け流せる」心理学』(三笠書房)、『「人たらし」のブラック心理術』(大和書房)、『世界最先端の研究が教える新事実心理学BEST100』(総合法令出版)、『気にしない習慣 よけいな気疲れが消えていく61のヒント』(明日香出版社)、『羨んだり、妬んだりしなくてよくなる アドラー心理の言葉』(ぱる出版)など多数。その数は250冊を超える。

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(心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役社長 内藤 誼人)

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