英語で「Pardon?」と言ってはいけない…おかしすぎる学校英語の正しい言いかえ9選
プレジデントオンライン / 2024年3月1日 9時15分
■中学英語でも雑談ができるとっておきの一言
初対面の外国人に話しかけるとき、日本人はまず「Hello」を思い浮かべる。しかし、日常ではむしろ「Hi」のほうが挨拶の表現として頻繁に使われているという。
「どちらかというと『Hello』はフォーマルな場面で交わされる挨拶です。もし相手に親しみを感じさせたいなら、『Hi』のほうが自然でより効果的です。それから『What’s your name?』は、自分が名乗っていない状況で質問すると、相手は詮索されている気分になり、失礼だと思われる懸念もあります。よりスムーズに関係性を築きたいなら、まず握手を求めるように手を差し出しつつ、『Hi, I’m Mark. (やあ、私はマーク)』とまず自分の名前を伝えてから相手の名前を聞くのがマナーです」
そうアドバイスするのは、登録者数40万人を超えるグローバル系YouTuber「ニシコリ」のメンバーであるマークだ。「ニシコリ」は日本語禁止をコンセプトに、英検3級(中学校卒業程度)の日本人ユーダイ、ブラジル人のジュンジ、津軽弁のケイタ、前出のイギリス人マークらの5人で動画を投稿している。
ネーティブレベルの英語を話すマークと中学レベルの英語でも外国人との雑談を楽しんでいるというユーダイに、使うと場が盛り上がるフレーズや、何気なく誤用している“なんちゃって英語”を教わりながら、外国人と打ち解けるコミュニケーション術を聞いた。中学英語レベルでも、これさえ押さえておけば外国人と雑談を楽しむことができるという。
具体的なフレーズを学ぶ前に、マークは「大前提として、教科書に載っているフレーズや表現はもちろん間違いではないのですが、ネーティブには違和感を抱かせてしまうケースがあります」と言う。
「基本的に教科書英語はどちらかというと堅い表現が使われています。そのまま使うと正確なニュアンスが伝わらない可能性があります」
続けて、英検3級レベルの英語で、普段から外国人との意思疎通に奮闘するユーダイも、こうアドバイスする。
「英語は日本語に比べてボキャブラリーが少ないので、必要不可欠になるのがジェスチャーや表情です。外国人はボディランゲージが豊かで、話し相手の喜怒哀楽に敏感なので、日本人が仏頂面で教科書英語を使うと、堅苦しい印象を持たれてしまいます。だから僕はギャグやユーモアを交じえて会話しています。例えばYouTubeの動画内では『Hey Mark, what’s your name?』というフレーズを毎回使います。これは直訳すると『へい、マーク、あなたの名前はなんだい?』。英語がうまく喋れないことを逆手に取り、あえて馬鹿なふりをすることで、親近感が生まれ、一気に距離が縮まります」
■英会話に必要なのは砕けたスタンス
ジェスチャーや表情にも、より有効な使い方がある。
「感情や気分を正確に表す便利なフレーズもあります。それが『It was like〜+ジェスチャーや表情』です。『It was like〜』は『〜のような気分』という意味で、そこに続く感情をジェスチャーや表情で代用するんです。一例を挙げると、仕事で大きなミスをした後、同僚と話しているときに、『It was like〜+ため息のジェスチャー』で、『ため息をつくような気分さ』と意味が通る。『Sad』や『Happy』など感情を表現する単語もありますが、感情の波の大きさやニュアンスまでは言語化しにくいので、僕自身もかなりこの表現は重宝しています」(マーク)
コミュニケーションに必要なのは、なにも言語だけではない。表情、ジェスチャー、気の利いたシャレなど、あらゆる手段を織り交ぜていくのがベストだという。
「イギリスで放送されている伝統的な自動車番組では、車をほめるときに『She is hot.』と言うんです。本来なら女性をほめるときに使う表現ですが、あえて車に当てはめるんです。車だけでなく船を『She』と呼んだりもします」(マーク)
日本でいう擬人化を用いることで、洒落たニュアンスが生まれるのだ。
「外国人は、その場の文脈で意味を意訳したり、皮肉めいたジョークを言うのも日常茶飯事です。例えばレストランに行ったとき、出てきた料理が微妙だったら、少し眉をひそめながら『This dish is lovely.(これは最高の一品だね)』と言ったりします。少し上級者向けのテクニックかもしれませんが、『イギリス人はネガティブなことも、あえてポジティブに表現する』と把握しておくだけでも、会話がすれ違いにならないと思います」(マーク)
英語を喋るには、単語や文法を正確に使わないと通じないという先入観がある。しかし2人のアドバイスを聞くと、英語で会話するために必要なのは砕けたスタンスであり、むしろネーティブもシャレや身振り手振りを織り交ぜながら話すのが自然なようだ。
続けて、咄嗟に英語が出てこないときに、ピンチを切り抜けるフレーズも教えてくれた。
「会話の途中で言葉に詰まってしまい、うまくやり過ごしたいときは『Forget about it. Anyway, (話題)〜(いま話したこと忘れちゃって、それはそうと〜)』と伝えると、相手も察してくれてスムーズに次の話題に移れます。似たような表現だと『You know?』もあります。これは『あれだよ、あれ。ほら、えーっと』のように、なにか思い出せないときに、相手に同意を求めるような感じの表現になります」(ユーダイ)
相手との距離を縮めたいときは、ノリや勢いも大切になる。
「例えばサッカー観戦をしているときに、応援しているチームがチャンスになったら、『Come on!』ってワンフレーズを連発しますね。『キタキタ!』という意味で、周りと一緒に盛り上がれます。それから試合で勝ったときは『Let’s go!』って言うんです。学校の授業だと『Let’s go!』は、勧誘する掛け声として定着していますが、海外では『よっしゃ! 最高!』という意味になる。僕らもYouTubeの撮影がうまくいったときによく使っています。カジュアルな表現なのでビジネスシーンには相応しくないですが、知り合いや仲間内だったらノリが良い奴と思われて仲良くなれますよ」(マーク)
飛び道具として、あえて日本語をぶつけてみるのも反応が良いらしい。
「観光客など日本に興味を持っている人には、アニメの決め台詞を言うとウケます。ドラゴンボールの『Kamehameha(かめはめ波)』とか、『Otaku(オタク)』『Hentai(変態)』といった世界でも共通語になっている日本語を使うと、相手も心を開いてくれて打ち解けやすくなるでしょう。最近だとTikTokで『Yametekudasai(やめてください)』と、アニメの萌え声を真似する動画が流行ったりもしました。無理に英語を喋って迎合するよりも、外国人が理解できる程度の日本語を話すのはかなりポイントだと思います。英語のイントネーションで『Ohayogozaimasu(おはようございます)』などと挨拶するだけでも反応してくれますね」
■知っておきたいシンプルで柔らかい言い回し
冒頭で挙げた「Hello」のほかにも、教科書に載っていても場合によっては適さない表現がある。
「返答を求められたときに『No.』と答えると、相手からしたら全否定されたように聞こえ、傷つけて不機嫌にさせてしまう危険性も。そこで『No, thank you(いいえ、大丈夫です)』とか、『It’s not my style(私の好みではないかな)』と言い回しを和らげたり、『I think that〜(私は〜だと思うよ)』とオブラートに包んだりするのを忘れないようにしましょう。同じように『I want to〜(〜したい)』は少し幼稚な言い方なので『Would you mind〜?(〜してもいいですか)』と柔らかく。『I don’t know』はぶっきらぼうなので『I’m not sure.(よくわからない)』に。『You should〜』は命令に聞こえてしまうので『If you can〜(できれば〜してほしい)』『Please〜(〜してもらえないですか)』などとワンクッション置くのがベター。『can』や『should』など助動詞が出てきたら、主語と助動詞の間に『maybe』『probably』などの副詞を挟むのもコツです」(マーク)
基本的に動詞を一語単体で用いると、上から目線の感じが出てしまうのだ。
「僕は動画内で、『Pardon?』とか『What?』と聞き返すフレーズを乱用するのですが、関係性ができていない人に使うと『馬鹿にしているのか』と思われてしまうんです。丁寧にお願いするなら『I beg your pardon』と言うのが無難です」(ユーダイ)
最後に、使うとよりネーティブ感が増す言い回しをいくつか紹介する。
「まず基本的な『Do you like〜?』ですが、イギリスでは『Do you fancy〜?』という表現があるんです。ニュアンスとしては『〜するのはどうですか、〜いかがですか?』と、一気に上品で大人っぽい雰囲気が出ます。同じように『Thank you very much』を『I appreciate it.』と言い換えると、『感謝しております』と格式高いニュアンスに。返答の際に頻出する『You’re welcome.』も、『My pleasure.』と言い換えることで『お役に立てて光栄です』と丁寧な表現になります。それから、リアクションとして『You did it?』はオススメですね。『マジで⁉ すげーじゃん!』のような相手をほめる言葉で、『Really?』よりも気持ちが乗っているように聞こえます。あと細かいですが、食事のシーンで『Yummy(おいしい)』と言うのはおすすめしません。和訳すると『おいちい』に近い赤ちゃん言葉なので(笑)。『Delicious』『Tasty』といった表現を用いましょう」(マーク)
上記に登場したフレーズの中には、聞き慣れない表現もあれど、すべて中学英語レベルでカバーできる表現だ。あえて難しい表現をせずに、丁寧でシンプルな言い回しを意識しつつ、ジェスチャーやユーモアなどで補えば、十分ネーティブとの英会話を堪能できそうだ。
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グローバル系YouTuberグループ「ニシコリ」のリーダー。愛称は「英検3級」。日本語禁止をコンセプトとした投稿で登録者を増やし続けている。YouTubeを通して日本人の持つ英語に対する恐れや抵抗感を払拭することがテーマ。
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グローバル系YouTuberグループ「ニシコリ」の「イギリス人」担当。イギリス出身で英語話者。英語を話すときと日本語を話すときで、まるで別人のようだが、どちらのキャラクターも愛されている。好きなお寿司は納豆巻き。
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(グローバル系YouTuberグループ「ニシコリ」 ユーダイ、グローバル系YouTuberグループ「ニシコリ」 マーク 文=佐藤隼秀)
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