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歩き方がゆっくりな人は要注意…「認知症になりやすい人」と「なりにくい人」を見分ける超シンプルな方法

プレジデントオンライン / 2024年3月6日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/key05

認知症にならないためには、どうすればいいのか。心理学者の内藤誼人さんは「加齢に対してネガティブな信念を持っている人より、ポジティブな信念を持っている人のほうが認知症になる割合が減るという研究結果がある。重要なのは、マイナスの自己暗示をしないことだ」という――。

※本稿は、内藤誼人『老いを楽しむ心理学』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。

■ゆっくり歩く人は認知症を発症しやすい?

だれでも簡単に「将来的に自分が認知症になりやすいかどうか」をテストする方法をお教えしましょう。

それは「歩く速度」。

外を歩いているとき、他の人にどんどん抜かれてしまうようなら、将来、認知症を発症しやすいかもしれません。

英国ロンドン大学のルース・ハケットは、60歳以上の3932名を対象に、歩く速さを測定しました。

それから2002〜2003年、2006〜2007年、2014〜2015年のときに、どれくらい認知症を発症しやすいのかを調べてみました。その結果、歩くのが速い人ほど、認知症になりにくくなることがわかったのです。

ハケットは、歩くのが速い人ほど、認知症だけでなく、認知機能(記憶力や言語の流暢性など)の衰えもあまりみられないことも併せて突き止めました。

■できるだけ颯爽と、大股で元気よく歩こう

読者のみなさんは、どうでしょう。

「私は健脚で、歩くのは普通の人よりも相当に早いほうだ」というのなら、おめでとうございます。認知症にはなりにくいタイプだと判断できますよ。

もし、歩くのが遅いという自覚があるのなら、今からでも遅くありませんので、早歩きするように心がけてください。

できるだけ颯爽と、できるだけ大股で、元気よく歩いてください。

もし自分の前を歩く人を見かけたら、「あの人に追いついて、追い抜いてみよう」という気持ちを持つと、自然と早歩きになります。

マラソンのような陸上競技では、ペースを上げて競技者を引っ張る人のことを「ラビット」といいます。もともとはドッグレースで、犬に兎(ラビット)の模型を追わせるところからできた言葉らしいのですが、歩くときにも「ラビット」は効果的です。

■元気のない歩き方だと気分も滅入ってしまう

100mくらい前を歩いている人を見かけたら、その人を自分のラビットになってもらい、追いつくように早歩きしてみるのです。自分の前に目標があるのと、ないのとでは、歩くスピードも相当に変わってくるものです。

「まずはあの人だ」とラビットを決め、その人を追い越したら、「よし次はあの人!」と新しいラビットを見つけるようにすると、早歩きのトレーニングもになります。

トボトボと元気のない歩き方をしていたら、気分も滅入ってしまいます。

自分はまだ若いのだと言い聞かせて、できるだけ早歩きしながら目的地に向かうようにしてみましょう。

元気に歩いていると、なぜか不思議と気分も高揚してくるものです。走るわけではないので「ランナーズハイ」ではなく「ウォーキングハイ」と呼ぶべきなのかもしれませんが、ともかく気分が盛り上がってくることは間違いありません。

■チーターや猟犬をイメージすると素早く動ける

颯爽と早歩きするには、ちょっとしたコツがあります。

それは、頭の中で走るのが速い動物をイメージしてみること。足の速い動物のことを考えていると、なぜか私たちの動作はキビキビとしてくるのです。

米国ニューヨーク大学のピーター・ゴールウィッツァーは、50名の大学生に「生きものと人間の構造的類似性」というインチキな科学記事を読んでもらいました。

ただし、内容の一部は実験的に変えてあります。記事の中で取り上げられている事例の動物が、スピーディな動物である、チーター、ピューマ、ウマ、グレイハウンド(猟犬)となっているバージョンと、動きがのんびりしている、ナマケモノやカメになっているバージョンの2つにわけて実験したのです。

記事を読んでもらった後で、学生に別の作業をしてもらうと、直前にスピーディな動物の話を読んだ学生は、作業もスピーディにできるようになりました。動きがのんびりしている動物の記事を読んだ学生は、作業もゆっくりになってしまいました(図表1)。

動きの速い動物と遅い動物の記事を読ませたところ……
出所=『老いを楽しむ心理学』(P106)

■歳をとってもキビキビと動けるようになる方法

早歩きをすることで健康を維持したいのなら、ウォーキングを始める前に1分間くらい、チーターやヒョウなどを頭の中で思い浮かべてみるといいかもしれません。チーターの画像を見たりするのもよいでしょう。

競馬の動画を見るのもおすすめです。

サラブレッドたちが、ものすごい速さでゴールに駆け込んでいくシーンなどを見ていると、自分の足取りも早くなるでしょう。私たちは、自分が考えているイメージの影響を強く受けるものですから。

競馬場を走るサラブレッドの集団
写真=iStock.com/Deejpilot
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Deejpilot

歩いている最中でも、競馬のゴールシーンなどを考えるようにすると、足取りも軽くなり、スイスイと歩けるようになります。

「ウソでしょ?」と思われるかもしれませんが、本当なのです。自分がサラブレッドになったような気持ちになるので、自然と歩くペースもアップするのです。

実験的に確認されているわけではありませんが、スピーディな動物でなく、人間でもかまわないかもしれません。たとえば、短距離走やマラソン大会でのラストスパートのシーンを見たり、頭の中でイメージしたりするだけでも、同じような効果が見られる可能性もあります。

歳をとってくると、どうしても動作がゆっくりになりがちですが、動きの早い人や動物をイメージしていると、同じようにキビキビと動けるようになることを覚えておくとよいでしょう。

■「認知症になりやすい遺伝子」もこわくない

認知症のリスクを高めるとされている遺伝子に「アポリポ蛋白E遺伝子」というものがあります。

もし遺伝子検査などをして、「あなたには、アポリポ蛋白E遺伝子があります」と言われるとガッカリしてしまうかもしれませんが、心配はいりません。なぜなら、たとえその遺伝子を持っていても、必ず発症するとは限らないからです。

肥満になりやすい遺伝子を持っているから肥満になってしまうのかというと、そんなこともありません。ガンを発症しやすい遺伝子を持っていても、ガンにならない人はいくらでもいます。認知症も同じです。

■「高齢者はボケやすい」と思い込むリスク

米国イェール大学のベッカ・レヴィは、認知症のリスクを高めるアポリポ蛋白E遺伝子を持っている60歳以上の健常者4765名についての研究を行っています。

レヴィは、加齢に対してポジティブな信念を持っている人と、ネガティブな信念を持っている人を比較してみたところ、アポリポ蛋白E遺伝子を持っていても、「お年寄りでも元気」といったポジティブな信念を持っている人は、認知症になる割合を49.8%も減らせるという結果を報告しています。

歳をとることに対して、ネガティブな思い込みをするのはやめましょう。

「歳をとるとボケやすい」と思い込んでいるから、本当にボケてしまうのです。そのような思い込みをしなければ、ボケることはありません。

リスクを高める遺伝子を持っているからといって、絶対にその遺伝子が発症するのかというと、そんなことはないのです。加齢に対してポジティブな信念を持つようにしていれば、そういう遺伝子があっても大丈夫です。

思い込みによる自己暗示効果はとても強いのです。

おかしな暗示を自分にかけていると、本当に病気になってしまったり、死んでしまったりするので、気をつけましょう。

■認知症の人には「赤ちゃん」と思って接する

認知症の人に接するときには、「この人は赤ちゃんなのだ」と思って接したほうがよいでしょう。そのほうが、何をされても腹が立ちません。「いい歳をした大人」だと思うから腹が立ってしまうのです。

米国フロリダ大学のヒオコーン・アーンは、65歳以上の5万6577名の認知症患者について調べたところ、認知症になると、痛みをうまく伝えることができなくなるため、怒ったり、暴れたりすることで「痛みがある」と表現することを明らかにしました。

認知症になると、自分の気持ちを相手にうまく伝えられません。

そのため、大声で喚いたり、暴れたりするのです。

■「自分もそのうちこうなる」と思うのも重要

赤ちゃんもそうですよね。赤ちゃんは、まだ言葉というものを知りませんので、「お腹が空いた」とか「オムツを取り替えてほしい」ということを伝えられません。赤ちゃんにできることといったら、大きな声で泣いたり、手足をバタバタさせたりすることくらい。

内藤誼人『老いを楽しむ心理学』(ワニブックス)
内藤誼人『老いを楽しむ心理学』(ワニブックス)

もし配偶者が認知症になってしまったら、赤ちゃんだと思ってください。

そう思って接すれば、大きな声を出されても、洋服を脱ぎ散らかしていても、「まあ、しかたないか」と許してあげることができます。

赤ちゃんが泣き喚いたからといって、そのたびに赤ちゃんを責める人はいませんよね。

認知症になってしまった人も同じ。

脳の萎縮により、言語機能がうまく働かなくなると、口ではうまく表現できなくなり、赤ちゃんと同じようなことしかできないのはしかたがありません。

認知症の人と付き合うときには、「自分もそのうち、こうなるのだから」と考える作戦も有効です。「自分だって、そのうちにこうなる」と思っていれば、かりに配偶者や家族が認知症になってしまっても、そんなに腹も立ちません。人間ならだれでも通る道なのだと思っていると、寛大な態度で接することができるのです。

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内藤 誼人(ないとう・よしひと)
心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役社長
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。趣味は釣りとガーデニング。著書に『いちいち気にしない心が手に入る本:何があっても「受け流せる」心理学』(三笠書房)、『「人たらし」のブラック心理術』(大和書房)、『世界最先端の研究が教える新事実心理学BEST100』(総合法令出版)、『気にしない習慣 よけいな気疲れが消えていく61のヒント』(明日香出版社)、『羨んだり、妬んだりしなくてよくなる アドラー心理の言葉』(ぱる出版)など多数。その数は250冊を超える。

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(心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役社長 内藤 誼人)

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