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職場の飲み会はストレス発散になるが脳は全く休まらない…帰り道~就寝前にしたい脳を休める習慣とは

プレジデントオンライン / 2024年3月9日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/taka4332

脳をうまく休ませている人は何をしているか。脳科学者の茂木健一郎さんは「職場の飲み会は心身ともにリラックスする機会になるかもしれないが、脳を休めるには一人時間が大切だ。そのため、家に帰るときの夜道の10分、20分、30分の間、1日の出来事や自分が今考えていることなどを振り返るといい。また『睡眠前に1日を振り返ってみる』こともおすすめだ。1日の出来事を前向きに振り返ることで、睡眠中に脳内整理の手助けとなるだけでなく、質の良い睡眠を取ることにもつながる」という――。

※本稿は、茂木健一郎『脳をしっかり休ませる方法』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

■職場の飲み会では脳は休まらない

社会人として会社に勤めている以上、避けては通れないのが職場の仲間たちとの飲み会です。

職場の飲み会の目的の1つには、社員同士が親睦を深めて円滑なコミュニケーションを図りながら、楽しく仕事をするというものがあります。

ところが、職場の人と飲みに行くと、ついつい愚痴や人の悪口が出てしまう。そんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか。

確かに、愚痴をこぼしたり、お酒の勢いを借りて上司の悪口をいったりすることで、ストレス発散になるかもしれません。

「上司が正当な評価をしてくれない!」
「自分が輝けないのは、今の会社の制度が悪いんだ!」

このように、愚痴や上司の悪口が出てしまう人は、職場の飲み会がストレスの捌け口になっていることは否定できません。

ですが、こうした飲み会は、たとえストレス発散といった効果があったとしても、脳を休ませるということにはなりません。

■「グループよりも個人で」が基本姿勢に

やはり、脳を休ませるには、「一人でやる」という基本姿勢が大事になってくるのです。

・瞑想(めいそう)をする
・ウォーキングをする
・ジョギングをする
・お風呂に入る
・睡眠を取る

どれも脳を休ませるための有効な方法なのですが、どれをとっても一人でやれることばかりです。

つまり、脳を休ませるためには「一人でやる」ということが、最も効果的であるといえるわけです。

私自身は、ジョギングによって脳を休ませることが多いのですが、必ず一人で走るようにしているのは、しっかりと脳を休ませたいからに他なりません。

よく皇居などで、グループでジョギングしている光景を見かけます。

グループで走るメリットはいくつかあるのですが、脳を休ませるという意味においてはあまりお勧めできません。

■飲み会で新しい情報が入ったら、それを消化する時間をつくる

また、先に述べたような職場での飲み会が、ストレス発散の絶好の機会だという人も少なくないはずです。

確かに、毎日の過酷な労働の後、心身ともに疲弊してストレスを感じているときに一人でいると、余計暗い気持ちになってしまうこともあるでしょう。

そういうときに、友人と飲みに行って、いろいろな話を聞いてもらうというのは、心身ともにリラックスする上で欠かせないことかもしれません。

そうしたリフレッシュは、脳のオン・オフの切り替えスイッチとしての役割を担うこともあります。

私自身もまた、1日の仕事が終わった後、気の合う仲間とお酒を飲んだりすることは人生の楽しみの1つです。

ですが、脳を休ませるという意味において大事なのは、楽しく飲みに行った、その後なのです。

気の合う仲間や友人と会って話を聞いてもらったり、いろいろ慰めてもらったり、あるいは鬱憤(うっぷん)を晴らしたその後、家に帰るときの夜道の10分、20分、30分の間、1日の出来事や自分が今考えていることなどを振り返ってみるのです。

こうした一人時間は、外から意味のある情報が入ってこない状態です。これが、脳のアイドリングをするのに最も望ましいことなのです。

人と会っている間には、新しい情報がどんどん脳に運ばれてきます。

大切なのは、新しい情報が入ったら、それを自分のなかで消化する時間をつくるということです。

夜の街でスマートフォンを見るビジネスマン
写真=iStock.com/monzenmachi
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/monzenmachi

■気ままな一人旅は、最高の脳内休暇

「毎日、仕事、仕事……。たまには旅行にでも行きたい」

こんなふうに感じるのは、脳が休みを訴えているためかもしれません。

旅に出ると、意外にも頭のなかがクリアになることがあります。

日々溜まっていた疲れや、ちょっとしたストレスが、旅のなかでさまざまな刺激を受けることで、いつの間にかどこかに吹き飛んでしまう。そんな経験は誰もがあるはずです。

そして、旅から戻れば、また気持ちを新たに仕事に取り組めたり、何か新しいことに挑戦したくなったりすることもあると思います。

これは、旅のなかでうまく脳を休ませることができたという証拠でもあるのです。

特にいいのが一人旅です。

一人旅をしているときというのは、ある意味で誰にも邪魔をされずに、自分のペースで物事を決めることができます。

この「マイペース」というのが、脳を休ませるキーワードです。

というのも、マイペースに旅をすることは、セロトニンが分泌され、リラックス効果が得られるからです。

先に述べたとおり、セロトニンは、別名「幸せホルモン」とも呼ばれており、たくさん分泌されていると心が落ち着き、リラックスするのです。

つまり、マイペースな一人旅というのは、日常生活から解放されリラックスした状態になれるというわけです。

これによって、脳がうまく休まり、脳内が整理されることになります。

旅先から戻ってくると、新しいアイデアが浮かぶことが多いというのも、このようなメカニズムによるものだと考えられています。

日本の伝統的なレトロスタイルの町で一人旅をする女性
写真=iStock.com/monzenmachi
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/monzenmachi

■寝る前に1日を振り返って脳内を整理しよう

「何をやっても、どうせうまくいかないし……」
「毎日こんなに頑張っているのに、どうして結果が出ないんだ!」

そんな、ネガティブな気持ちに支配されていませんか?

実は、私たちの脳というのは、ポジティブな考えや経験よりも、ネガティブなことを強く記憶に留めてしまう癖を持っているのです。

そのため、ついクヨクヨ悩んでしまったり、イライラしてしまったりと、ストレスをつくり出してしまうのです。

こうした脳の癖は、脳が疲れれば疲れるほど、顕著になってきます。

まわりからみれば、「あいつはただ怠けているだけだ」と思われそうな状態ですが、本人は怠けているわけではないのです。

「やる気が出ない」「ぼんやりして考えがまとまらない」などといった、いわば無気力状態は、脳の疲労が原因なのかもしれません。

何より、自分自身が脳の疲れに気づかずに、「自分は怠け者なんだな」と思ってしまうと、さらにネガティブな思考に陥ってしまいます。

私がお勧めしているのが、「睡眠前に1日を振り返ってみる」ということです。これもまた、先に述べた脳のアイドリングとして有効な方法だといえます。

なぜなら、寝る前に少しだけでも1日の出来事を前向きに振り返ることで、睡眠中に脳内整理の手助けをすることができるからです。

それだけではありません。1日の出来事を前向きに振り返ることで質の良い睡眠を取ることができ、脳の疲れを取ることもできます。

まさに一石二鳥というわけです。

■その日の悩みはその日に解消するよう心掛ける

その日の出来事を振り返るというのは、今自分が抱えている問題に対する行動の効果がより向上していくことでもあります。

茂木健一郎『脳をしっかり休ませる方法』(三笠書房)
茂木健一郎『脳をしっかり休ませる方法』(三笠書房)

うまくいったことであれば、どうすればもっと良くなるのかを振り返って考えてみる。

逆に、うまくいかなかった、悪かったことはどうすれば次はうまくいくのかを考えてみるといったように、一つひとつを振り返ることが、未来につながるヒントとなって悩みを解決してくれるはずです。

「その日の悩みはその日のうちに解消する!」

この心掛けが大切です。

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茂木 健一郎(もぎ・けんいちろう)
脳科学者
1962年生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、同大学院理学系研究科修了。クオリア(感覚の持つ質感)を研究テーマとする。『脳と仮想』(新潮社)で第4回小林秀雄賞を受賞。近著に『脳のコンディションの整え方』(ぱる出版)など。

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(脳科学者 茂木 健一郎)

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