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朝、顔を洗う時に「洗顔料」を使ってはいけない…ズボラな人ほど肌がツルツルになる医学的理由

プレジデントオンライン / 2024年3月15日 7時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maruco

いつも肌が綺麗な人は、なにが違うのか。医学博士の北條元治さんは「美容を熱心に心がける人ほど、肌トラブルを招きやすい。美容は100点よりも60点を目指したほうがいい」という――。

※本稿は、北條元治『40代の壁を乗り越える美容トレ 「肌の再生医療の専門家」が忖度なしで教える最高のエイジングケア』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■美容はがんばるほど、肌を痛めてしまう

美容は「しすぎるよりも、あまりしないこと」が実は大事です。私は肌の再生医療の専門家として、5000人以上の患者さんを診てきました。

肌トラブルを招いてしまう人のなかには、傾向としてはどちらかというと、美容に意識の高い方やがんばって美容をされている方が多いのです。

それはよかれとおもってやっている「間違った方法」を継続してしまうことで、余計に良くない方向にいってしまうことがあるからです。

「タレントさんがこういう方法をおすすめしてたから、やってみたけど悪化してしまった……」
「SNSでバズっていたから試してみたんだけど効果が出ない……」

そういうこともよくお聞きします。まずは情報を鵜呑みにしすぎず「美容をがんばりすぎない」とハードル低く持つくらいがいいと思います。

例えば、たるみをなくそうと表情筋のストレッチをやっていませんか。洗顔料をつけて朝洗顔をやっていないでしょうか。入浴時に身体をゴシゴシと洗いすぎていないでしょうか。これらは実は間違っているやってはいけない美容の一例です。

本稿では、「やってはいけない美容の習慣5つ」とその対処法なども含めて、ご紹介させていただきます。

肌トラブルに陥りやすい人は特に、日常の生活で意識してみてください。

■小顔マッサージはやってはいけない

①表情筋のストレッチ・小顔マッサージはNG

表情筋のストレッチは絶対にやめましょう。なぜなら「表情筋は鍛えられるものではない」からです。間違えた方法でやるとかえってシワが増え、たるみの原因になります。表情筋を動かすことによってできるシワがあるなら、動かさなければいいという発想の下で出てきた治療法が「ボトックス」です。表情筋のストレッチはこの治療法の真逆を行きます。

また摩擦を伴うようなマッサージ全般はやめたほうがいいでしょう。特に目の周りはただでさえ皮膚が薄いのです。人間の皮膚の中で、一番薄い皮膚は上下眼瞼の皮膚です。だからゴシゴシ擦ると真皮部分のコラーゲンが断裂したりと、いいことは何もありませんので摩擦を伴う強いマッサージは避けましょう。特に目の周りは刺激は控えて、「保湿」を心がける一択です。

押さえたりとか押したりとか、いわゆる小顔マッサージみたいなものもありますが、それは解剖学を習った身からすると根拠のない理論だと言えます。

■黒ずみの除去、スクラブ洗顔もダメ

なぜか、よく年を取ると骨が失われていくとか縮んでいくと言われますが実際には手足は短くなりはしません。体幹の身長が縮むのは骨が小さくなるからではなくて、椎間板が薄くなっていくからです。椎間板というゼリー状の組織が、背骨一つ一つのあいだに座布団のように存在します。この椎間板の水分量が加齢とともに減少していきます。

そのため椎間板の厚みが薄くなり身長が低くなります。これは誰にも起こりうることです。ただし、骨が縮んで身長が縮むわけではありません。ですから小顔になりたいと思ったら、ホームケアで対処するのは難しいのです。骨格上で決まっているものですから、それを受け入れる必要があるのは事実です。

②黒ずみをとろうとする

毛穴パックなどで黒ずみをとろうとすることは、逆に毛穴が広がってしまう恐れがあります。スキンケアの一番の基本は、物理的な刺激を与えない・角質を剝ぎ取ってしまわないことです。毛穴パックはこれらと完全に逆行していますので、良くありません。

顔面スクラブ、これもダメです。基本的なスタンスとしては、皮膚の角質を剥ぎ取るような機械的な刺激は与えない。スクラブはつぶつぶで物理的に剥がして取るものだから、良くありません。

毛穴は刺激しないが原則ですから、高温の出るホットスチーマーも避けてください。

高温に熱した水を顔に当てるというのは、物理的刺激を与えるのと一緒なのかなと思います。

■「化粧品」分類のシミ取りクリームは効果なし

③シミを消そうとビタミンC配合化粧水を使用する

断言しますと、シミ取りクリームのカテゴリーが化粧品であれば薬理効果がないので効きません。ただし反対に「医薬部外品」であれば効きます。どういうことかと言いますと、シミを薄くするということは、何かの化学物質を皮膚に塗って、皮膚という生体がその化学物質によって反応を起こすということです。

生体が反応してしまうものというのは、当然良い反応もすれば悪い反応もします。悪い反応によって、皮膚が白くなってしまったり被れてしまったり、生体に悪い反応を起こすようなものが、広く流通してしまったら危険ですよね。

ですので、基本的に生体に反応する物質は薬機法という法律で「薬」として厳しく取り締まられています。反対に生体に変化をもたらさない物質は「薬」ではなく化粧品として管理しています。これは大原則です。

シミは加齢とともにある程度できてくるものですが、シミをこれ以上増やさない徹底的な予防対策としては「物理的に刺激を与えない」ことです。物理的な刺激に紫外線B波(UVB)も含まれます。

■シミができる仕組みはまだ解明されていない

シミができる原因として、メラノサイトの何らかのシグナルトランスダクションがきて、メラニンというたんぱく質を生成して、それが真皮に落ち込んで恒久的なシミになってしまうのです。この何らかのシグナルが伝わってくるということがミソなんですね。これは、どのようなシグナルがメラノサイトに伝わって、メラニンという物質が生成されるのか。その最初のトリガーは、よくわかっていません。

ただシミの外的な要因としては、UVBがトリガーになるということは明らかになっています。まずは、紫外線による外的刺激を徹底的にカットすることです。それと、物理的な刺激をカットすることが大事で、繰り返しお伝えしますが主にクレンジングでゴシゴシ顔を洗う、カッサでゴリゴリ顔をこするのはシミを作る一番の原因です。

現状は、紫外線の対策と肌の摩擦に気をつけることが、究極の方法となっています。

④朝洗顔で洗顔料を使って洗う

朝洗顔時に「洗顔料を使ってはダメ」です。それは、肌のバリア機能を壊す恐れがあるからです。そもそも朝洗顔をしていいのか、という意見も多くいただきます。

これはどちらかといえば「したほうがいい」と思います。これは夜につけたスキンケア商品を洗い流さないといけない、とか残ってしまった化粧品を洗い流さなければいけないという話ではありません。

顔を洗う女性
写真=iStock.com/K-Angle
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/K-Angle

■朝の洗顔はぬるま湯か水で行う

どちらかというと清潔感の問題からです。目ヤニがついていたり、口元によだれを垂らしてしまっていたり、顔に埃がついていたりするので、そのための方法として、朝に洗顔をしたほうが肌も問題を起こしにくいのではないかと思います。

スキンケア商品を洗い流さないと不安かもしれませんが、もし化粧が残っていても、洗顔料は使わないほうがいいと思います。1日そこそこ化粧が残っていても肌に悪さは起こさないですし、酸化した化粧品を洗い流すという意味では、特に洗い流す必要もないです。

表皮は28日程度で完全に入れ替わります。百歩譲って酸化して有害物質になったとしても、それが肌に違和感がないのであれば問題なく、2、3日で垢として勝手に落ちていきます。

洗顔のやり方に関しては、脂っぽい肌であればぬるま湯で、乾燥肌であれば水でパシャパシャと軽く行いましょう。ゴシゴシとせずに、水だけで優しく行いましょう。タオルで顔を拭くときも優しく押し付けるようにして摩擦しないように水を拭いてください。

これまで洗顔料でやっていた方は、切り替えると気持ち悪いと思うかもしれませんが、慣れの問題だと思います。肌トラブルのある方を診察した時に、「洗顔やめてみて」「ボディソープをやめてみて」、と言うとかなりの方が改善していきました。肌トラブルを起こす方は界面活性剤を使いすぎているところがあるのではと感じています。

■身体を洗うときは、タオルは使わずに手でやさしく

⑤風呂でのアカスリ

人間の身体は入浴を前提に考えられていません。ここ100年くらいで入浴が根付いてきただけのことです。

お風呂に入るというのは、身体を石鹸で洗う、入浴などで外的なバリアを保護しているモノをはがし落とす恐れがあります。そして、より乾燥、かゆみがひどくなっていくのです。

最良のボディケアは、「自分自身の角質層を使う」ことです。入浴や石鹸で自分の悪質層を落としてしまわないことが大事です。

もちろん清潔感は大事です。ただし清潔を手に入れるのと引き換えに、角質層を剝ぎ落としています。何もお風呂に入るなとは言いません。私も入っています。

お風呂に入る時に気をつけることは、不用意に身体をこすらないことです。身体を洗う時もタオルではなく、手で行うことをお勧めします。

北條元治『40代の壁を乗り越える美容トレ 「肌の再生医療の専門家」が忖度なしで教える最高のエイジングケア』(KADOKAWA)
北條元治『40代の壁を乗り越える美容トレ 「肌の再生医療の専門家」が忖度なしで教える最高のエイジングケア』(KADOKAWA)

もちろん、風呂でのアカスリなどもおすすめできません。汗をかいたり、不快な状態はあるでしょうから、お風呂には入り、入浴した後には必ずボディケアをすることが大事です。

その時も自分自身に合った心地のいいボディクリームや化粧水を使うのが最善です。

私の場合は、夏はキュレルのディープモイスチャースプレー、冬は乾燥がひどいのでウレパールを使うこともあります。人はいつしか入浴が習慣になったから、そのぶんトラブルも起こるのは当然なのです。

そういう本質を理解したうえで、自分のボディケアを見つければいいと思います。

■美容は「60点」を目指したほうがうまくいく

私は常に美容を考えて100点満点の生活を心がけるよりも「60点でいい」みたいなマインドが良いのかなと思っています。結局、がんじがらめで生きるより好きなことをしながら見直すことが健康としてもいいんです。

「がんばらなきゃ」というマインドでいると、シャンプーをしすぎたり、肌トラブルも招きがちです。

本質的には「人生を充実して生きる」ことが大事なのであって、そのための一つの要素が、年齢よりも若く見えることやきれいであることだと思います。

美容は「人生を楽しく生きる」目的を達成するための手段にすぎないと覚えていただいて損はないです。

その1つの手段を達成するために参考にしていただければ幸いです。

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北條 元治(ほうじょう・もとはる)
医学博士
1964年、長野県生まれ。医学博士。東海大学医学部非常勤講師。株式会社セルバンク代表取締役。弘前大学医学部卒業。信州大学附属病院勤務を経てペンシルベニア大学医学部で培養皮膚を研究。帰国後、東海大学にて同研究と熱傷治療に従事。2004年に細胞の製造・保管や再生医療の技術・導入支援を行う株式会社セルバンクを設立し、2005年に肌の老化防止(肌の再生医療)専門の医療機関RDクリニックを開設。創業ドクターとして、5000人以上もの女性の肌の悩みを解決している。現在は社長業と共に再生医療の普及に従事するため、YouTuberとしても活動中。YouTube登録者数30.1万人(2024年3月現在)。

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(医学博士 北條 元治)

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