「どこか陰のあるダメ男を放っておけない」責任感の強い女性が結婚願望のない男性に尽くしてしまう意外な原因
プレジデントオンライン / 2024年3月17日 8時15分
■「婚活沼」にハマりやすい女性の共通点
婚活沼にハマってしまう理由は人によってさまざまだが、今回は、「私が彼を幸せにしてあげなければ」と思い込み、結婚に向かない相手や、そもそも結婚する気がない相手に尽くしすぎてしまう女性の事例を紹介する。
そのような女性たちの中には、責任感が強すぎるあまりに自分を責めたり、自分を認められなかったりする人が少なくないのだ。
■元カレへの未練を引きずり40歳に
S子さんは、大手食品メーカーに勤める42歳。おっとりとした雰囲気で、趣味は料理。会社では、チームリーダーとして責任のある仕事を任されており、多忙な日々を送っている。
結婚相談所に登録して婚活を始めたものの、「お見合いをしても、ことごとくうまくいかないんです」と、2年ほど前に私のところへ相談に訪れた。
S子さんの悩みは、まじめで誠実そうな男性にはどうしても興味がわかないこと。「私が幸せにしてあげなければ」という使命感を抱かせる、どこか「弱くて放っておけない雰囲気の人」にひかれてしまうのだという。
S子さんには、30歳の頃から3年間、交際していた男性がいた。相手は、友達に誘われて行ったライブハウスで演奏していたインディーズ系のミュージシャン。ルックスも、どこか陰のある雰囲気も好みのタイプだった。ミュージシャンといっても音楽活動での収入はなく、実際のところはフリーター。デート代はいつもS子さんが支払っていた。
3歳下の彼には生活力がなく、放っておくとまともに食事もとらずに家で寝てばかり。そんな彼のことが心配で、S子さんはしょっちゅう家に行って料理をしたり、掃除をしたりして世話を焼いていた。
彼は酔うと、「オレなんてダメな人間だ」と弱音を吐いた。そのたびにS子さんは励ましたりなぐさめたりして、彼を精神面でも支えていた。
S子さんは、そんな彼と「いつかは結婚したい」と夢見ていた。「私が彼を支えて、幸せにしてあげなければ」と心底思っていたのだという。
■「ほかに好きな人ができた」
ところが、S子さんは失恋してしまった。突然、「ほかに好きな人ができた」と言われたのだ。
「別れたくない」とS子さんは追いすがったが、彼の気持ちが変わることはなかった。どうしてもあきらめられないS子さんは、彼の家を何度か訪ねた。すると、彼は話し合いに応じてくれるどころか、「これ以上つきまとったら、警察に相談する」と冷たく言い放った。
「あんなに尽くしたのに……」「彼に喜んでもらおうと努力したのに」3年間、彼のためにしてきたことを思うと、S子さんの胸中には悲しみよりも怒りがわいた。簡単に忘れられるとは思えなかった。現に、S子さんはその後何年間も、彼への恨みや未練を引きずったまま過ごした。
「新しい恋を始めよう」と切り替える気持ちになれず、代わりに仕事にまい進した。
そうしているうちに気づけば40歳になり、ようやく婚活を始める気になったのが2年前なのだという。
■「母は私より妹のほうが大事」
S子さんのように「私が幸せにしなければ」という責任感が強い女性のなかには、親の愛情に「不足感」を抱いている人がじつは多い。
S子さんも、「小さい頃から、母は私より妹のほうが大事なんだと思っていました」と打ち明けてくれた。S子さんの妹は、幼い頃しょっちゅうぜんそくの発作を起こした。母親はそのたびに病院へ連れて行き、夜通し付き添う。妹に比べて手がかからない子どもだったS子さんは、妹にかかりきりの母親に手間をかけないよう気を遣っていたという。
S子さんは、「自分が母親を支えなければ」という思いを抱いて成長した。大人になってからは、母親の悩みやグチを聞くのがS子さんの役目になった。
S子さんの両親はけっして不仲ではないが、母親は父親に対してそれなりに不満を抱いており、しっかり者のS子さんにしょっちゅうグチをこぼす。S子さんは母親の話に耳を傾け、時には父親に助言をすることもあるそうだ。
結婚して家を出た妹に対しても同じだ。グチを聞いてあげたり、まだ手のかかる年頃の子どもを見てあげたりと、サポートしている。
幼い頃から、S子さんが妹の面倒を見ていると母親は喜んで、褒めてくれた。
S子さんは自分では無意識のうちに、「どうすれば母親に褒めてもらえるか」「どうすれば喜んでもらえるか」を基準に行動するようになった。母親に褒められたくて勉強もがんばったし、妹のこともかわいがってきた。
その陰で、S子さんは自分の心のなかに「母親の意に沿わないことをすれば、愛してもらえない」という不安を育ててしまったのだ。
■意識を変えれば出会いが変わる
婚活を始めたS子さんが心ひかれるのは、「どこか不安そうな人や、陰のある人」。
つまり「私が幸せにしてあげなければ」と思わせる男性ばかりだという。S子さんは結婚相談所に登録しているが、これまで「おつきあいしたい」と思ったのは、そこで紹介された男性ではなく、友人を通じて出会った人や、行きつけの店で偶然出会った人だった。
しかし、「おつきあいしたい」と思った男性の多くは結婚に向いていない。そもそも結婚する気がない人も多い。これまでにS子さんが好意をもった男性は、S子さんが結婚をほのめかしたとたんに「オレはダメな男だ」「キミを幸せにすることはできない」などという言葉を残して去っていったという。
そんなS子さんに必要なことは、「意識を変えること」。私がアドバイスしたのは、たったひとつ「あなたは、すでに愛されていますよ」ということだ。
S子さんは、「自分は努力をしなければ愛されない」と思い込んでしまっている。だから、恋愛の相手にも努力のしがいがある男性を選んで尽くそうとする。
S子さんに必要なのは、「何もしなくても、自分は親に愛されているし、将来のパートナーにも愛される」という意識を持つことだ。
そう伝えると、S子さんは驚きつつもハッとした表情をして、「そういえば」と思い出話をしてくれた。S子さんはミュージシャンに失恋したときに、ショックのあまり食事が喉を通らなくなってしまったという。憔悴(しょうすい)するS子さんを見て、母親は詮索することなく、そっと寄り添ってくれた。
「言葉でわかりやすい愛情表現をする母ではないけれど、私が何もしていないときだって、ちゃんと愛情を伝えてくれていたんですよね」。
S子さんは、目に涙をためて喉を詰まらせながら話してくれた。
もし、そうは言われてもなかなか意識を変えるなんて難しい……と思われる方は、「自分はすでに愛されている」と認識するために、ぜひ以下のワークを行ってみてください。
認識をチェンジするワークのやり方
少し時間をとって、次のことを自分に質問し、伝えてみてください。タイミングは湯船に浸かっているときや寝る前などのゆったりした時間がおすすめです。時間は5分程度、長くても10分ほどでOKです。
「もしも私が愛されているとしたら? 今のままの私が愛されていると仮定して、愛されている証拠を探してみよう」
一度聞いただけでは、なかなか自分の中に答えが浮かんでこないかもしれませんが、毎日、自分に問いかけるうちに、何かしらの証拠を見つけられるようになります。
愛されている証拠が浮かばず私は愛されて「ない」と思ったときでも、次のように自分に問い、伝えることで、その日のワークを終了してください。
「愛されているとしたら? 愛されている証拠はあるから、言葉にしてみよう」
家族や友人、学校、近所の人、職場の人、過去~今、自分に関わってきた人を振り返って、思い出してみましょう。ポイントは、愛されている証拠はあるという前提に立ち、どんな小さなことでも見つけていくことです。
自分の心が楽になるまでや何かしらの気づきが起こるまでやるのがいいのですが、まずは1週間試してみていただければと思います。
■今のままで「愛される価値がある」ということ
「自分はすでに愛されている」と認識することで、S子さんの世界は変わった。
「愛されたいと思ってがんばっていた自分を、今は愛おしく思えます」
その言葉からは、今の自分だけでなく、過去の自分のことも認められるようになったことがうかがえた。
その1年後、S子さんは結婚相談所で紹介された男性と入籍をした。
婚活で「いい人と出会えない」と思っている人のなかには、S子さんのようにみずから「いい人」を遠ざけているケースがある。自分の「意識」が変わると、出会う相手も変わっていく。
「自分は努力しなければ愛されない」と思い込んでいる人の多くが、責任感のある努力家だ。
これまで、責任感を持ってがんばってきた自分を認めてあげてほしい。そして、「自分は、今のままでじゅうぶん愛されている」「愛される価値がある」と自分に言い聞かせてあげてほしい。
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アラフォー・アラフィフ専門婚活カウンセラー
1970年生まれ、東京在住。約9年間の婚活中には、条件を下げたり、妥協を重ねることで「婚活ウツ」を発症。そこから研究を重ね、数々のワークを生み出し、実践。39歳から再開した婚活では、出会いから2カ月でプロポーズに至るスピード婚を果たす。自身の経験を通じて構築した〈最短最速で理想通りの男性と結婚する方法〉を伝える「3ヶ月で全員婚活卒業!婚活塾」は全国から参加の受講生で毎回即満席となる。受講生の成婚年齢は40代が一番多く、平均44歳。50代の成婚者も少なくない。結婚相談所Lulu Spacesの代表も務める。近著は『結局、理想を下げない女ひとが選ばれる』(フォレスト出版)。
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(アラフォー・アラフィフ専門婚活カウンセラー 伊藤 友美)
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