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毎朝子どものお弁当をつくるのが大変…愚痴から始まる世間話に「雑談が上手な人」がやっている"最高の返し方"

プレジデントオンライン / 2024年3月21日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/metamorworks

どうすれば雑談上手になれるのか。『雑談が上手い人が話す前にやっていること』(アスコム)を書いたコミュニケーション・コンサルタントのひきたよしあきさんは「無理に話をしようとする必要はない。相手が話したいことを見抜き、『教えてもらう立場』になればいい」という――。

■対話と雑談の違いは何か

会話を大きく分類すると2つに分かれます。対話と雑談です。

対話は、相談すること。
雑談は、教えてもらうこと。

学生たちに、私はこう教えています。対話は、対等な立場でお互いが意見交換しながら、共通のゴールに近づく相談をすること。会議で売り上げを上げるための議論をすること、相手とWIN-WINの関係を構築する交渉、夫婦で子どもの教育について話し合いをすることは、対話です。

一方、雑談は、決まった目的やゴールがない会話です。雑談で大切なことは、相手に気持ちよくなってもらい、親睦を深めること。だから、雑談では、相手に「教えてもらう」という態度を示すことは、極めて有効です。

人は、誰かに何かを教えることが好きな生き物です。

●教えることで、「感謝されたい」という欲求が満たされます
●教えることで、自分に自信が持てます
●教えることで、頭のよさを示せます
●教えることで、「いいことをした」という自己肯定感が高まります

人に何かを教えるって、気持ちがいい行為なんです。だから、相手を「教える立場」にしてあげる。これも、雑談が上手くいく極意です。

■相手が「もっと話したいこと」を見つける

相手が教えたいことを探すコツは、こんな感じです。

たとえば相手が、「このところ出張続きで、さすがにバテ気味です」と、言ったとします。この言葉には、「疲れている」という内容のほかにもうひとつ、「がんばっている私を認めてほしい」という意味が含まれているかもしれません。

このとき、あなたは何を教えてほしいと伝えたら、相手は喜ぶでしょうか。そのためには、こんな感じで聞いてみてください。

「教えてほしいんですが、出張続きなのに、どうしてそんなに元気なんですか。何か健康のためにやってるんですか?」
「教えてほしいんですが、出張先のホテルを選ぶコツってありますか? 私、いつも失敗してるんですよ」

と、「教えてほしいこと」を質問する。このときのコツは、「自分が聞きたいこと」ではなく、「相手がしゃべりたそうなこと」を探すことです。ポイントは、次のような気持ちをくすぐること。

●認められたい
●ほめられたい
●共感、同情されたい

この3つのポイントを「察する力」を磨くことです。

ただし、毎回、相手の気持ちにジャストフィットする質問ができるわけではありません。ひょっとして、外れちゃうことのほうが多いかもしれません。でも、そこでがっかりしないでください。相手の気持ちになって考えた経験は、確実にあなたの雑談レベルを上げています。

「しまった、ちょっと当たりが外れたかも」と思うたびに、あなたの中で、チャリンチャリンと経験値が高まっているのです。経験値の貯金は、自分にとってすごい価値になるはずです。

■困った表情に隠された本音

ただ、相手の気持ちを察するときに、注意も必要です。日本人の謙遜体質が、話を見えにくくしていることがあるからです。

「めちゃくちゃがんばったから、ようやく昇進したぞ!」
「うちの息子、優秀だから東大に合格しましたの!」

と、本当は言いたくても、言わない人が多いですよね。

日本人は、「人に自慢しているように思われたくない」という気持ちの強い人が多い。だから、「ここが認められたい!」「ここをほめてほしい」という話が表に見えにくい傾向があります。

会話をする人たちのイメージ
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/metamorworks

そんなときは、とにかく話をよく聞いてください。そうすると、「大変だ」「苦労している」と、困っているような表現の裏には、ヒントが隠されていることに気づくはずです。

こうした言い回しが出てきたら、「ここがほめてほしい、認めてほしいポイント!」と推測してください。

■雑談の正解は「相手がいい気持ちになる」こと

もうひとつ例をあげます。

「朝、子どものお弁当をつくるのが大変。うちの子、好き嫌いが多いから」

これも、よく聞く話です。さて、ここから「教えてほしいこと」を探してみましょう。

まず、相手の言葉の裏にある気持ちを読み取ります。「朝、子どものお弁当をつくるのが大変」と言っているので、ここから「毎朝、起きて必ずお弁当をつくっている私」を認めてほしいという、本音が見えます。もうひとつ。好き嫌いの多い子どものために、献立を工夫しているところをほめられたいという気持ちもあるのではないでしょうか。

そこで、こう質問します。

「ぜひ、毎朝ちゃんと起きられるコツを教えてください」
「毎日の献立をどうやって思いつくのか、教えてください」

どうでしょうか。相手が「よくぞ、聞いてくれました」と、心で思っているイメージが見えてくるんじゃないでしょうか。

雑談は、相手にしゃべってもらうのが鉄則。自分が興味のあることで会話を組み立てても、相手の興味関心とずれていれば、会話は続きません。

でも、相手の話したそうなことに対して、「教えてほしい」という態度を示せば、相手は「待ってました!」とばかりに話してくれるはずです。それで、いいのです。雑談は、目の前の相手がマイクを握り続けて、いい気持ちになることなのですから。

【ポイント】
相手が話したいことを、「教えてほしい」という態度で質問する。

■「会話のトスを上げ続ける人」になる

「この人と話をしていると、なんだか楽しい」という人がいます。話をしていると楽しい人って、どういう人でしょうか。

●面白い話を、たくさんしてくれる人。
●テンションが高く、盛り上げ上手な人。

確かにそういう人も、会話が楽しい人ですよね。

もうひとつ、こういうタイプの人も会話の楽しい人です。それは、「会話のトスを上げ続ける人」。

一緒にいると会話が弾むのだけど、よくよく考えてみると、相手は「会話のトス」を上げてくれているだけで、つい自分がおしゃべりになって話してしまう。こういうタイプの人です。

話すのが苦手ならば、会話のトス=相手に聞く、質問することで雑談に加わればいいわけです。

では、具体的に相手に質問を続ける方法を紹介します。

まず、気をつけたいのは、答えがYES・NOで終わってしまう質問は、すぐに会話が終了してしまう可能性があるので、避けたいところです。

「もう、お昼食べましたか?」
「あなたの嫌いなものはキュウリですか?」
「明日って、水曜日でしたっけ?」

という質問に対しての答えは、「はい」「いいえ」だけで終わってしまいます。

それを防ぐために、質問するときには、英語の「5W1H」を使います。5W1Hとは「When、Where、Who、What、Why、How」のことです。

この「5W1Hを活用しましょう」ということはよく言われます。ただし、いざ質問をするときに、5W1Hがいまいちパッと思い出せないという話をよく聞きます。

■「6つの切り口」に当てはめて質問する

英語だとイメージしにくいのかもしれません。そこで私は、こう覚えてくださいとすすめています。

●When(いつ)→「時間の質問」
●Where(どこで)→「場所の質問」
●Who(誰と・どんな人と)→「人の質問」
●What(何を)→「モノの質問」
●Why(なぜ)→「理由の質問」
●How(どのように)→「手段の質問」

時間、場所、人、モノ、理由、手段

そう覚えておくのです。

使い方は、こんな感じです。

「私は、前職で営業をしていました」と相手が話したら、

●「いつまで(その仕事を)されてたのですか?」(時間の質問)
●「どこで(その仕事を)されてたのですか?」(場所の質問)
●「どんな人と一緒に仕事をされていましたか?」(人の質問)
●「営業で、何を売ってたのですか?」(モノの質問)
●「なぜ、今の仕事に変わられたのですか?」(理由の質問)
●「どのようにして、今の仕事に変わられたのですか?」(手段の質問)

というように、「6つの切り口」から質問をつくることができます。

会話をするビジネスマンのイメージ
写真=iStock.com/key05
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/key05

質問をゼロから考えるのではなく、まず「6つの切り口」に当てはめて質問する。相手が、質問に答えるように話してくれたら、その内容から、また「6つの切り口」を考える。これであなたは、会話のトスを相手に出し続けることができます。

たとえば、先ほどの「前職が営業」という話の続きであれば、こんな感じです。

相手「私は、前職で営業をしていました」
あなた「なぜ、今の仕事に変わられたのですか?」(理由の質問)
相手「今の仕事をやりたいと思っていたからです」
あなた「それは、いつからそう思ってたんですか?」(時間の質問)
相手「10年ほど前からです」
あなた「今は、どんな人と一緒に仕事をしているんですか?」(人の質問)

のように、質問を続けていくことができます。

■口下手でも雑談上手になれる

会話のトスを上手く上げる方法が、もうひとつあります。それは、「自分の話の最後に、必ず質問をつける」という方法です。たとえば、こんな感じに。

(昨日のサッカーの試合の話をふられる)
→「テレビで見ました。私は大興奮でしたが、●●さんはいかがでした?」
(リモート会議について意見を求められる)
→「リモート会議のほうが個人的にはうれしいのですが、みなさんはどうお考えですか?」

ひきたよしあき『雑談が上手い人が話す前にやっていること』(アスコム)
ひきたよしあき『雑談が上手い人が話す前にやっていること』(アスコム)

自分の話の最後に質問を入れ、会話を回していくイメージです。

会話のトス役に徹すると、特に自分から話さなくても、口下手に見えません。それどころか、話を回しているように見えます。ぜひ、質問を上手く使って、相手の話を盛り上げる技を身につけてください。

経営学者、コンサルタントのピーター・ドラッカーは、こう言っています。

「コンサルタントとしての私の最大の長所は、無知になり、いくつかの質問をすることである」

雑談も同じ。無知になって、相手にどんどん質問する。そうすれば、相手にも喜んでもらえるはずです。

【ポイント】
「時間、場所、人、モノ、理由、手段」で質問をして、相手に気持ちよく話してもらう。

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ひきた よしあき(ひきた・よしあき)
コミュニケーション・コンサルタント スピーチライター
大阪芸術大学芸術学部放送学科客員教授。早稲田大学法学部卒業。博報堂に入社後、クリエイティブディレクターとして数々のCM を手がける。スピーチライターとしても活動。著書に『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)、『大勢の中のあなたへ』(朝日学生新聞社)、『トイレでハッピーになる366の言葉』(主婦の友社)などがある。

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(コミュニケーション・コンサルタント スピーチライター ひきた よしあき)

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