メールの件名が「ご報告」ではダメ…上司に送るメールで絶対に心がけたい「件名」と「書き出し」のルール
プレジデントオンライン / 2024年4月4日 6時15分
※本稿は、濱田秀彦『あなたが上司から求められているシンプルな50のこと』(実務教育出版)の一部を加筆・再編集したものです。
■なぜメールを後回しにされてしまうのか
リモートワークが普及しはじめた頃から、「上司のメールのレスポンスが悪い」という悩みを、部下層の皆さんから、よく聞くようになりました。マネジメント研修の講師という仕事柄、様々な仕事の悩みを聞くのですが、この問題については、全ての方が悩んでいるというわけではありません。レスポンスよく、上司からの返信をもらえている人もいる一方で、なかなか返信をもらえず損している人がいるという印象です。
その違いは、どこにあるのか、損している人はどうすればいいのか考えてみましょう。まずは、メールに関する上司の状況を考察します。近年の上司が受け取るメールの数は、以前に比べてケタ違いに多くなり、1日100通、200通受け取るという人もいます。そうなると、全てを同じ集中力で処理していくことはできなくなり、優先順位をつけて処理をすることになります。
では、何で優先順位をつけるか。それはメールの件名です。件名が目立たなければ、後回しになってしまう確率は高くなります。「上司からのメールのレスポンスが悪い」「回答を催促することが多い」という人は、まず自分が書いているメールの件名を改善する必要があります。
■開封率を上げる「2つのポイント」
件名改善のカギは上司の関心事項にあります。上司の一番の関心事項は、チームの業績です。件名を見たときに、「これはチームの業績に影響が大きい」と感じれば、開封する可能性は高まります。優先順位を上げたいならば、上司にそう思わせればよいわけです。例えば、あなたが上司だったら、次のA~Cの件名のうち、どれを優先して開封しますか?
B:ご報告とご相談
C:東西産業への納品遅延対応のご相談
当然、真っ先にCを開けるでしょう。東西産業という固有名詞があり、なおかつ納品遅延というクレーム絡みで、その先の顧客との関係悪化、チーム業績の悪化がイメージできます。なお、チーム業績への影響は、クレームのような負のものだけでなく、ビジネスチャンスにつながるプラスのものもありますので、両方を活用していきましょう。
ちなみに、Bに関しては、Aよりは多少よいという位置づけです。「相談」という言葉を見ると、「回答しなくてはならない」という意識が生まれます。「相談」よりもさらに強いのは「お願い」という言葉で、「何かしなくてはならない」という意識が生まれます。「報告」だけだと、「後で見ておけばいいだろう」という受け身の姿勢が生まれやすいので、単独では使わず「相談」「お願い」という言葉を組み合わるのが有効です。
件名に業績影響度を感じさせる表現、加えて「相談」「お願い」という語尾、この2つのポイントを押さえるだけで、開封される確率は上がります。
しかし、これだけでは上司のレスポンスが悪いという問題は解決しません。
■依頼事項は「最初の6行まで」に書く
めでたく開封されたとしても、返信が来るとは限りません。肝心のことが、メールの後半に書かれていると、読み飛ばされてしまう可能性があるからです。
上司の状況を考察しましょう。私の研修に来てくれた管理職の方の中に、1日200通のメールを問題なく処理できているという方がいました。そのコツを聞くと「すべて集中して読むわけではない。注意して読むのは最初の数行。引用部分は読まない」とおっしゃっていました。このような対応は、特に直感と行動で生きている管理職の方に多いようです。
とすると、依頼事項ははじめのほうに書かないと、「最初のほうを読んでおしまい」とされ、レスポンスがもらえない可能性が出てきます。
実際、人が集中して読めるメールの行数は最初の6行ぐらいまでと言われています。これは、宛先や「お疲れ様です」といった、慣用句を含めての話です。対策としては、「依頼事項は最初の6行までに書く」ということです。
■重要な内容は「引用前」に記す
最初の6行の中に「以下の東西産業への納品遅延対応について、4月5日(金)までに、ご判断、返信をお願いします」というように、具体的に記す必要があります。
もし、長々とした状況説明の後で、「上記の件で、早めに返信をお願いします」と書いたら、読み飛ばされる可能性大ですので気をつけましょう。
また、引用箇所は読み手の集中力を落とす可能性があるので、重要な内容は引用前に記すのがお勧めです。
開封の優先順位を上げ、依頼事項に確実に応えてもらうための方法を挙げてきましたが、もう1つ注意しておくべきことがあります。それは、上司が口うるさく言う報連相に関連したことです。部下は、メールで報連相をしているつもりでも、上司はそう受け取っていないことはよくあります。なぜそうなるのか、どうすればいいのかを考えてみましょう。
■CCは報告代わりにならない
メールでの報告で、上司と部下の間にある大きな考えの違いは、CCの重みです。部下は、CCを上司宛に入れておけば、報告・連絡をしているという感覚になります。しかし、上司もその実感はありません。中には、「CCは原則読まない」という上司、「CCは別のフォルダに振り分けている」という上司もいます。CCメールが迷惑メールと同じ扱いになっていることさえあるわけです。
ただ、上司に「このプロジェクトで私が先方に送るメールはCC入れておきますか?」と聞くと、かなりの確率で「一応入れておいて」という反応が返ってきます。そう言っておきながらCCを読まないのは、上司に非がありますが、この際、上司批判はいったん置いておきましょう。
部下側としては、「CCは報告代わりにはならない」と考えておいたほうがよいもの。それは、上司が読まないかもしれないから、という意味だけではありません。CCに書かれているのは、送信者であるあなたが、取引先や関係者に発するメッセージだけだからです。そこには、なぜそう書いたのかという意図、次の一手をこう考えているという構想などの重要情報は記されません。上司はそこが知りたいのです。
■ポイントごとのマインド共有は、対面で話す
上司がCCを見ていれば、ある程度、プロジェクトの状況はつかめるでしょう。でも、その背後にある部下のマインドはつかめません。マインドの共有がなされていないと、プロジェクトの土壇場で想いの違いが発覚し、問題になる可能性もあります。
だから、CCだけでなく、ポイントごとに、直メールで自分の意図や構想を伝えておく必要があるのです。
このポイントごとのマインド共有は、対面で話すというのも効果的です。上司世代は「会話を通じて関係を作り、深める」ことを重視してきた人が多いことから、会話はメールやビジネスチャットを補完する強力なツールになると言えます。
今回は、上司とのコミュニケーションの質の向上というテーマで、メールというツールを中心に話を進めてきました。フルリモートでなくても、週1、2はリモートOKという職場は増えており、メールをはじめとして、上司との文書のやりとりによるコミュニケーションはますます大切になってきています。今回の内容を活用して、上司と効率よくコミュニケーションをとっていきましょう。
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マネジメントコンサルタント
ビジネス書作家。早稲田大学卒業後、住宅メーカー関連会社へ入社、最年少支店長を経て人材開発会社に転職。営業マネージャー、経営企画マネージャーを経て独立。現在は、ヒューマンテック代表。マネジメント、コミュニケーション、キャリア開発のコンサルタントとして講演・セミナーを行う。主な著書に『新入社員ゼッタイ安心マニュアル』『課長のキホン』(以上、河出書房新社)、『主任・係長の教科書』(光文社)などがある。
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(マネジメントコンサルタント 濱田 秀彦)
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