「妻は一緒に走ってくれなかった」アプリで出会った7歳年下女性と毎週末"デート"に出かける40代男性の言い訳
プレジデントオンライン / 2024年4月13日 9時15分
■「大人の友情」を求めた男女が「底なしの不倫沼」に
「結婚はしているが、異性と交流したい」というニーズに応えるための既婚者向けマッチングアプリを使ったことがある人は、私のまわりにも増えている。
以前はマッチングアプリといえば独身の男女が活用する出会いのためのツールと決まっていて、そこに身分を偽り既婚者が混入することでトラブルが生じたという話もよく聞いた。ところが最近は、はじめから既婚者同士と知ったうえで、出会いを求める男女も少なくない。
「お互いに既婚者と知って出会えば、恋愛感情が生まれることなく穏やかな大人の友情を育めるのでは?」と考えるかもしれないが、現実はその限りではない。そこで今回は、既婚者向けマッチングアプリに手をそめたことがきっかけで、底なしの不倫沼を経験する羽目になったケースを紹介したい。
※プライバシーを考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。
■夫からの「セックス卒業宣言」
【CASE1】セックスレスの不満をぶつける相手がほしかった妻
「マッチングアプリをはじめた理由は、夫とのセックスレスで悩んでいたから」と話すのはK美さん(42歳)。結婚13年目、小学6年生の子どもがひとりいる会社員だ。2歳年上の夫とは、出産をきっかけにセックスレス状態。
「子どもが生まれて数年間は、夫から何度か求められることがあっても、はじめての育児で余裕がなかった私が拒んでいました。夫もそのことに理解があると思っていたし、そのうちまた再開すればいいと楽観的に思っていたのです。ところが、気づけば子どもが小学校に上がる頃になってもセックスはなし。そこではじめて『これって、もしかしてセックスレス?』と気づき、焦った私はその晩夫を誘ってみたものの『ごめん。今さらもうK美のことを抱く気はないから』と夫のほうから断られてしまったんです」
夫からのセックス卒業宣言に深く傷ついたK美さんは、夫婦問題について誰かに相談したかったものの、まわりに適切な相手がいなかった。
■セックスレスの既婚者男性と出会い不倫関係に
「夫とは同じ職場で知り合い、共通の友人も多いため、セックスのことをあけすけに話すことには抵抗があるんです。学生時代の友人はみんな夫婦円満なので、私が夫とのことを打ち明けて彼女たちから同情されるなんて耐えられない。だからこそ、知り合いでもなく利害関係もない相手に話を聞いてほしかったんです」
その後まもなくK美さんは既婚者専用のマッチングアプリの存在を知り、すぐに登録。夫と同じ肩書きの「2歳年上の会社員」という男性と知り合い、会うことになったという。
「相手も既婚者で子どもがいるということだったので、『おかしなことはできないだろう』という安心感がありました。そうして何度かお茶をしたり食事に行ったりして相談しているうちに、彼自身も妻とセックスレスであることを知ったんです。同じ苦しみを共有しているうちに彼に対して恋愛感情が芽生え、気持ちを伝えたところ『オレも同じ気持ちだよ』とお互いに傷をなめあうように不倫関係になりました」
1年以上の不倫が続く今、K美さんの心のよりどころは彼と会う時間だと話す。「彼と過ごす時間があるからこそ、夫とはセックスレスでも生活をしていくことができると感じています。このまま夫婦関係を続けていくためにも、彼とはしばらく別れられそうにありません」。
■7歳年下の女性と毎週末ランニングしていた“いい夫”
【CASE2】一緒に趣味を楽しめる相手がほしかった夫
結婚16年目で2人の子どもの父親でもあるY太さん(47歳)の趣味はランニング。平日は毎朝、休日の午後も自宅近くを走っている。「自分で言うのもなんですが、これまでの僕はいわゆる“いい夫”だったと思っています。家事や育児も協力的だし、酒やギャンブルにお金を投じることもなかった。ただ走ることだけが毎日の楽しみだったんです」。
そんな“いい夫”のY太さんが既婚者向けのマッチングアプリをはじめたのは「一緒に走る楽しみを分かち合える仲間がほしかったから」。4歳年下のY太さんの妻はインドア派。外に出るよりも家で海外ドラマを観て過ごしたいタイプだという。「自分が既婚者と知って出会うなら、浮気やお金が目的の出会いとは違い、もっとカジュアルな関係を築けると思ったんです。どれだけ誘ってもランニングに一向に興味を示さない妻に対して、物足りなさを感じていたのも事実です」。
Y太さんがマッチングアプリで知り合ったのは、既婚者だが子どもはいない、隣駅に住む7歳年下の女性ランナーだった。「はじめは近所のファミレスでお茶をしながらランニングの話をするだけでしたが、それでもとにかく楽しかった。3回目に会ったとき、彼女のほうから『せっかくだから一緒に走りませんか?』と誘われたことがきっかけで、それから休日は2人で同じコースを走るようになりました」。
■「夫不在の家」で男女の関係に…
もともと走ることが長年の習慣になっていたY太さんだけに、休日に外出することは不自然なことではなかった。「家を出るときの格好や走ること自体は以前と変わっていないので、今でも妻からは1ミリも浮気を疑われていないと思っています」。
週末に2人で走るようになり、2カ月ほどたったある日、ランニングの途中で急にゲリラ豪雨に見舞われたことがあった。「ランニングを中断したものの雨はなかなかやみそうにない。そんなとき、彼女が『じつは主人は単身赴任で私は今ひとりで暮らしているんです。よかったらウチで雨宿りしていきませんか?』と誘ってくれたんです。一瞬迷ったものの、結局彼女の魅力に勝てず、その日から男女の関係になってしまいました」。
現在は、彼女の夫が不在の週末は必ず彼女の家まで走っていくようになるほど、すっかり不倫にはまっているY太さん。「彼女の自宅まで走っていって、一緒の時間を過ごし、また走って自宅に帰る。それだけでも十分だと思っていたが、最近ではもっと長い時間会っていたいと思うほど、彼女にのめり込んでいます。今年のGWは『ランニングの地方大会に出場する』と妻には告げ、彼女と朝まで一緒にいようと考えています」。
■「プラトニックな関係」を求めてアプリを使い始めた女性
【CASE3】セカンドパートナーとして異性の相手がほしかった妻
「もう一度、恋愛っぽいことがしたいと思ってはじめた既婚者向けのマッチングアプリでしたが、ここまで夢中になるとは想像もしていませんでした」とため息をつくのはR奈さん(38歳)。美容系の仕事をしているR奈さんの夫は9歳年上の会社経営者で、2人の間には小学生の子どもがひとりいる。
R奈さんいわく「夫には以前からモラハラっぽいところがあり、いつも私の家事や育児にダメ出しをしてきます。収入も夫のほうがあるせいか、『それでよく勤まっているよな』と仕事への取り組み方まで非難されるんです。私の職場は年下の女性ばかりで話が合わず、休憩時間の会話といえば夫のグチと子どものことばかり。ひとりの女性として扱ってくれるような大人で異性の友人がほしかった」。
プラトニックな恋愛関係を求めて既婚者向けのマッチングアプリを利用したR奈さんが会うことにしたのは、同じ年の会社員の男性だった。「実際に会ってみたら、同世代ということもあって話が弾んで楽しかった。夫以外の男性と2人で会ってプライベートな会話をする機会も10年以上なかったので、とても新鮮でドキドキしました」。日常生活のなにげない出来事や職場の人間関係のことなど、「夫が聞いてくれないようなささいな話を、ダメ出しをせずに優しく聞いてもらえることでも癒やされました」。
■「ホテルに行くのは時間の問題だったと思っています」
4回目に会ったとき、お酒を飲んだ勢いもあってホテルに誘われたというR奈さん。「はじめは私もプラトニックな関係を希望していたのですが、彼と会う回数を重ねていくうちにどんどん好きになっていくのが自分でもわかりました。彼から恋愛対象として見られることも素直にうれしかったんです。彼に会う日は身につける洋服だけでなく、下着にまで気をつかうようになっていたので、ホテルに行くのは時間の問題だったと思っています」。
R奈さんが最近、気になっているのは夫のことだという。「私の見た目がおしゃれに変化していることや、たまに夫から話しかけられても上の空だったりすることから、『おまえ、浮気していないか?』と疑ってくるようになったんです。もしも浮気がバレて彼と会えなくなったら、これから暮らしていくためのモチベーションが保てそうにありません。夫の存在は怖いけれど、今の私には彼と会えなくなるほうがもっとダメージが大きいんです」。
■「自分のパートナーが知ったらどう思うか」考えてほしい
既婚者向けマッチングアプリは、結婚している男女に特化したコミュニケーションツール。既婚者向けマッチングアプリを活用する理由は「パートナーとうまくいっていないから」「日常生活に刺激がほしいから」「プラトニックな関係で婚外恋愛を楽しみたいから」「気の合う異性の親しい人がほしいから」などさまざまだ。
ポイントは、利用者が必ずしもはじめから不倫を望んでいるわけではないという点だろう。アプリ上で出会う相手とは、友達以上ではあるがあくまでも不倫未満の関係で、夫婦の存在を超えるものではないということだ。そのあたりの微妙なボーダーラインを意識しつつ、自分の貞操感をコントロールできるなら、新たな出会いが楽しいものにもなるはず。一方、そこが崩壊した瞬間、ここに紹介したようなやっかいな事態が待っていることは間違いない。
既婚者向けマッチングアプリを利用する人に考えておいてほしいこともある。たとえば、今の自分のパートナーに露呈したときのことだ。「パートナーが既婚者向けマッチングアプリを通じて、自分以外の異性と楽しく会っている」という事実をつきつけられて、傷つかずにいられるかどうか。これまで築きあげてきた信頼関係が揺るがないかどうか。そこをクリアできないようなら、今の夫婦関係に火種を持ち込まないためにも利用を思いとどまったほうがいい。既婚者向けマッチングアプリが不倫の入り口となって後悔することだけは避けるべきだろう。
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夫婦問題研究家・パートナーシップアドバイザー
夫婦問題研究家、パートナーシップアドバイザー、NPO日本家族問題相談連盟理事長。立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験を生かし、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。これまでに32年間、38000件以上の相談を受け、2200人以上の離婚カウンセラーを創出『離婚カウンセラーになる方法』(ごきげんビジネス出版)。近著は夫婦の修復のヒントとなる『夫婦がベストパートナーに変わる77の魔法』(サンマーク出版)。著書多数。
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(夫婦問題研究家・パートナーシップアドバイザー 岡野 あつこ)
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