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会社員の鑑「真面目・実直・努力家」ほどバカを見る…生成AI活用で輝く人がやっている一流ビジネスハック術

プレジデントオンライン / 2024年7月22日 7時15分

失敗を恐れず、前例のないことにもチャレンジしていこう。失敗しても、人工知能がきちんと補って辻褄を合わせてくれる。

■生成AIを使わないという選択肢はありえない

チャットGPTのような生成AIとの付き合い方は、これからのビジネス、そして人生において最重要の課題であることは疑いない。生成AIを使わないという選択肢はもはや絶対にありえない。不使用は、ただ単に競争において圧倒的に不利になることを意味するだけである。

生産性の向上を図る際にも、生成AIは欠かせない。例えば、外国語の翻訳に生成AIを用いるのはもはや常識だし、プレゼン資料の作成などでも使わない手はない。ビジネスのあらゆる局面において、生成AIをどのように活用するかが成否を分ける時代になっているのである。

人工知能は、ある基準が与えられたら、その評価を高くするように出力を調整して「最適化」できる。例えば、荷物の輸送の一番効率の良いルートを考えるとか、スケジュールを調整するとかいったことが最適化の事例である。

最適化という考え方の適用範囲は、驚くほど広い。日本語と英語の間の翻訳は一つの最適化である。日本語の原文があるときに、それに対応する英語のうち、最適なものを生成AIが出力するのである。あるいは、文章を入れて画像や映像を出力するのも一つの最適化である。考えうるあらゆる候補のうち、文章に最もふさわしいものをアウトプットするのである。

ビジネスにおいて、最適化は仕事の効率を上げて、ものごとを迅速に進める重要な「エンジン」となる。データの集計、分析はもちろん、さまざまなワークフローも、最適化という視点から改善し、人工知能ができるところは積極的にアウトソーシングすることが大切なのである。

最悪なのは、本来、人工知能に任せれば最適化が進み、効率良くできることを、人間が抱え込んでしまうこと。無駄な作業とやりとりで時間を浪費すると、より本質的なことに脳のリソースを割く余裕がなくなってしまう。

人工知能時代に必要な洞察の一つは、効率化は、人間の脳がより本質的なこ とに注意を向けるためのスペースをつくるためにあるということなのだ。

人工知能は、確かに、人間の仕事の一部を置き換える。しかし、すべての仕事を置き換えられるわけではない。人工知能が得意なのは、最適化を通した省力化、効率化。人工知能に任せられることは思い切りアウトソーシングして、人間の脳は、創造的で付加価値を生み出すタスクに特化するのが賢い選択だといえるのである。

■過大な期待はせずに、効率化のアシストは受ける

人工知能に創造性をもたせる研究も進んではいるが、今のところうまくはいっていない。文章にしても、画像、映像にしても、最大公約数的な当たり障りのないアウトプットはそこそこ得られるが、人間のプロが精魂込めた作品に比べると見劣りする。

人工知能の出力が、プロの文章のように人の心を動かしたり、「うーむ」と唸らせたりすることは当分ありそうもない。生成AIの描く絵が、ピカソやバスキアの作品のように高値になることも期待できない。ましてや、全編人工知能が生み出した映画がアカデミー賞を受賞することもしばらくは考えられないだろう。

生成AIを含む人工知能は、人間がこれまでに生み出したアウトプットを統計的に学習して、傾向を再現している。だからこそ、その出力は優等生的であり、そこそこ使えるが、びっくりするような感動はない。

一方、人間は生きている。失敗することもあるが、思わぬブレークスルーやイノベーションも起こる。人工知能が統計的学習の「レッドオーシャン」での優等生だとすれば、人間は時に前例のない「ブルーオーシャン」を泳ぐことができる。人工知能は、ブルーオーシャンにはついて来られない。なぜならばそこには「前例」という「データ」がないからだ。

これからの時代に有効なライフハックの一つは、人工知能を自分が好きにジャンプしたり走ったり飛んだりするうえでの「足場」とすることである。

前例のないことをあれこれとやって、時には破綻しかけたとしても、人工知能がちゃんと補って辻褄を合わせてくれる。天才型の破天荒(人間)を、優等生型の実直(人工知能)がサポートするという感じだ。そのような関係性を築くことができたら、人工知能時代に最も輝く人になることができる。

肝心なことは、人工知能ができること、できないことをきちんと見分けて、あまり過大な期待はせずに、しかしちゃっかりと最適化、効率化のアシストは受けることだろう。

最近、チャットGPTのような生成AIを相手にアイデアの「壁打ち」をするのが流行っていて、オープンAIのサム・アルトマン氏もやっているようだ。どんな奇想天外な考えも、人工知能がきちんと整えて打ち返してくれる。生成AIとの付き合い方の一つのベストプラクティスだといえる。

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茂木 健一郎(もぎ・けんいちろう)
脳科学者
1962年生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、同大学院理学系研究科修了。クオリア(感覚の持つ質感)を研究テーマとする。『脳と仮想』(新潮社)で第4回小林秀雄賞を受賞。近著に『脳のコンディションの整え方』(ぱる出版)など。

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(脳科学者 茂木 健一郎 写真=PIXTA)

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