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実は蕎麦が血糖値を爆上げする理由…健康的な体質を得るためにスーパーで刮目したい「栄養成分表」の項目

プレジデントオンライン / 2024年5月15日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/key05

医療費が少なくすむ、健康的な生活はどうすれば送れるか。精神科医の保坂隆さんは「糖尿病になる人の数は、年齢とともに増加するが、糖質の量はあまり意識していない人が多い。例えば蕎麦は一見すると淡泊でいかにもヘルシーだが、実際には豚肉の564倍もの糖質がある。医療費が少なくて済む生活を実現するには、スーパーで食品を買う際に食品成分表の糖質・炭水化物の量をみるといい」という――。

※本稿は、保坂隆『楽しく賢くムダ知らず 「ひとり老後」のお金の知恵袋』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

■老いの兆しを感じたら、「腹八分目」、さらには「腹六分目」で

食事は「腹八分目」を心がける。これは成長期を除いて、年代を問わない健康の鉄則です。

厚生労働省の「年齢別基礎代謝基準値と基礎代謝量(平均値)」によると、50~69歳の1日の基礎代謝量は男性で1400kcal、女性で1100kcal。70歳以上になると男性は1290kcal、女性は1020kcal。ちなみに30~49歳では男性は1530kcal、女性は1150kcalです。

シニア世代からは「若い頃のように食べられなくなった」という声をよく聞きますが、基礎代謝量の低下にともなって、体が自然に働かせる調節機能の結果といえるでしょう。いってみれば自然現象です。食べる量が激減でもしない限りは、特段、心配することではありません。

さらにいえば、運動量も減ってくるのですから、老いの兆しを感じる年代になったら、「腹八分目」、さらには「腹六分目」くらいで十分と感じるのが自然ではないでしょうか。

それなのに、年齢を重ねても食事量はそう減っていない人が少なからずいるようです。

その大きな理由のひとつは、これまでの習慣から、つい、おかずや味噌汁などを作りすぎてしまうことでしょう。

作ったものは「ちょっと多いかな」と思っても、残すのはもったいないし、と全部盛り付けて食卓に出す……。目の前にあれば、ついひと箸、もうひと箸と余分に食べてしまうことになります。

その結果、高齢者にとっては腹六分目どころか、腹十分目、腹十二分目になったりするのです。

■ひとりになったら鍋やフライパンのサイズを見直す

地域の高齢者の家を回って患者さんのお世話をしている訪問看護師の話によると、高齢者のお宅はどこの家でも、たいてい大きな鍋が置いてあるそうです。

家事のベテランの主婦ほど、いちいち分量を量ったりせず、長年の経験で身につけた目分量、手分量で調理するでしょう。鍋が大きいと、目分量、手分量も自然と多めになり、その結果、ひとりにしては作りすぎになりがちです。

そうしたことを避けるためにも、ひとりになったら、小さいサイズの鍋やフライパンにきちんと買い替えることをおすすめします。それなりの出費にはなりますが、これが「腹八分目」につながることを思えば、けっして“高い買い物”ではないでしょう。

大きな鍋は、子供の家族などが遊びにくるときなどに備えて1、2個残して、あとは潔く処分してしまいましょう。

年をとったら、味噌汁などを作るときにも、面倒くさがらずにひとり分を量って作るように心がけたいものです。

「多めに作って温め直して飲めばいい」という人もいるかもしれませんが、味噌汁は温め直せば味が落ちます。捨てるのはもったいないからといって何杯もお代わりすると、塩分の摂りすぎになり、高齢者の健康にはマイナスになります。

腹七分、腹六分の食事は、多少手間がかかっても、適量を作っていちばんおいしいタイミングで味わう習慣を心がけることから生まれるのです。

料理をする高齢女性
写真=iStock.com/visualspace
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/visualspace

■開閉を頻繁にすると食べ物が腐敗しやすい

最近は巨大な冷蔵庫を備えている家が少なくないようです。当然、中身もぎっしりと詰まっているのでしょう。

ひとりになっても、家族がいたときの習慣が抜けないようで、お昼過ぎになるとなんとなく商店街をぶらりと歩き、スーパーにも立ち寄ります。帰りは、せっかくきたのだからと、手には必ず何かがぶらさがっています。

他人事ながら、さらに増えた冷蔵庫のストック食品はどうするのだろう? 生活費だってよけいに出ていくだろうし、と気になってしまいます。

冷蔵庫に入れておけば2、3日は大丈夫。そんな過信があるのかもしれませんが、基本的には食品は買ってきたときがいちばん鮮度が高く、味もいいのです。

「まだ大丈夫のはず」が大丈夫ではなく、取り出した食品がカビていた、腐っていたという経験は誰にでもあるでしょう。

冷蔵庫の中は、意外と腐敗しやすい環境になってしまっていることが多いのです。

冷蔵庫の中の温度は平均1~5度くらい。とはいっても、扉を開けるたびに冷気が逃げ、同時に温かい空気が入り込みますから、そのたびに一気に7~8度まで上がってしまうことも珍しくないようです。

この7~8度という温度は、雑菌の繁殖が始まる温度でもあります。冷蔵庫に入れておいたのに、想像以上に早く腐敗していて驚くのは、たぶん開閉を頻繁にした結果でしょう。

■冷蔵庫を貯蔵庫と勘違いしない

家庭用の冷蔵庫内の温度はJIS規格で定められています。それによると冷凍庫の適正温度はマイナス20~マイナス18度です。しかし、冷凍庫も扉の開閉によって外気が入り込むと、温度が上がってしまいます。

マイナス5度~マイナス8度だと見た目には魚も肉も凍っていますが、食材の組織内の氷はすでに解け出していて、それが再冷凍されると大きな氷の粒になります。

長く冷凍庫にあった食品の味が落ちてしまうのは、ほとんどが「冷凍→解け始める→再冷凍」を何度か繰り返したためと考えられます。

つまり冷蔵庫も冷凍庫も、基本的には「食べ物や食品を一時的に保管しておくところ」であり、決して食品ストッカー(貯蔵庫)ではないのです。そう認識を改めるべきでしょう。

スーパーに行く前には、必ず冷蔵庫や冷凍庫をのぞいて在庫を確認する習慣をつけるといいでしょう。のぞいた結果、「今日はスーパーに行く必要はない」という結論になれば、余計な出費も抑えられます。

冷蔵庫から物を取り出す人
写真=iStock.com/Edwin Tan
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Edwin Tan

■肉よりも蕎麦のほうが血糖値を上げる

糖尿病になる人の数は、年齢とともに増加します。厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(令和元年)によると、20歳以上の男性の場合、「糖尿病が強く疑われる者」の割合は19.7%となっています。

年齢別では30~39歳は1.6%、40~49歳は6.1%、50~59歳は17.8%、60~69歳は25.3%、70歳以上では26.4%となっています。これを見ると明らかのように、年を重ねれば重ねるほど糖尿病になるリスクは高くなるのです。

糖尿病は、インスリンというホルモンが十分に働かず、血液中を流れるブドウ糖という糖(血糖)が増えてしまう疾患です。糖尿病では自覚症状がほとんどないまま、さまざまな合併症を起こしてしまいます。恐ろしい病気といっていいでしょう。

しかし、食べ物のカロリーに気を配ったり、油の摂りすぎに注意したりしている人は多くても、糖質の量はあまり意識していない人が多いのではないでしょうか。

ざる蕎麦と豚肉の生姜焼きでは、どちらが血糖値を上げるか、ご存じでしょうか。

血糖値を上げる主な要因は糖質(炭水化物)ですから、2つの糖質量を比べてみましょう。

すると、生蕎麦はゆでる前の状態だと100グラムで56.4グラム、豚肩ロースは100グラムで0.1グラムです。

蕎麦は一見すると淡泊でいかにもヘルシーなのですが、実際にはなんと豚肉の564倍もの糖質があるのです。

■必ず栄養成分表を確認するという習慣を

米、パン、うどんや蕎麦などの麺類といった穀物ベースの食べ物は軒並み高糖質です。それに対して肉、魚、卵、チーズといった動物性たんぱく質を多く含む食品の糖質はごくわずかです。

このような知識を頭に入れて、栄養バランスを考えながら、糖質に気をつけた食生活にシフトすれば、健康的な体質を手に入れることは可能です。これまでのカロリー神話から少し離れて、新しいヘルシーライフに挑戦してみてはどうでしょうか。

では、家で料理をする場合やスーパーで食品を買う場合、どのように糖質をコントロールすればいいのか、その注意点を確認しておきましょう。

商店で売られている食品にはたいていの場合、栄養成分が表示されています。食品のパッケージの裏や側面に示されているこの表が大事なポイントになります。

保坂隆『楽しく賢くムダ知らず 「ひとり老後」のお金の知恵袋』(明日香出版社)
保坂隆『楽しく賢くムダ知らず 「ひとり老後」のお金の知恵袋』(明日香出版社)

表には、1袋当たりまたはグラム当たりのカロリー、炭水化物、糖質、脂質、たんぱく質の量などが表示されているので、これを見て食品を選ぶ参考にします。

栄養成分表では、炭水化物で表示しているものと糖質で表示しているものがあり、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、糖質が示されていないときは、炭水化物の量を見るとだいたいの量がわかるでしょう。糖質量の計算方法は「糖質=炭水化物-食物繊維」となります。

また、インターネットでも食品の糖質量を計算してくれるサイトがいろいろとあります。

食品を選ぶときには必ず栄養成分表を確認するという習慣が、糖尿病にならない生活、ひいては医療費が少なくて済む生活を実現する近道だといえるでしょう。

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保坂 隆(ほさか・たかし)
精神科医
1952年山梨県生まれ。保坂サイコオンコロジー・クリニック院長、聖路加国際病院診療教育アドバイザー。慶應義塾大学医学部卒業後、同大学精神神経科入局。1990年より2年間、米国カリフォルニア大学へ留学。東海大学医学部教授(精神医学)、聖路加国際病院リエゾンセンター長・精神腫瘍科部長、聖路加国際大学臨床教授を経て、2017年より現職。また実際に仏門に入るなど仏教に造詣が深い。著書に『精神科医が教える50歳からの人生を楽しむ老後術』『精神科医が教える50歳からのお金がなくても平気な老後術』(大和書房)、『精神科医が教えるちょこっとずぼら老後のすすめ』(海竜社)など多数。

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(精神科医 保坂 隆)

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